特徴
長時間型。ピーク時間:8h。半減期:24
専門医コメント
長時間型の抗不安薬であるが、低力価でもあ
用法・用量
〈神経症における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害、心身症における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ〉
通常成人オキサゾラムとして1回10〜20mg、1日3回経口投与する。なお年齢・症状に応じ適宜増減する。
〈麻酔前投薬〉
通常オキサゾラムとして1〜2mg/kgを就寝前又は手術前に経口投与する。なお年齢・症状・疾患に応じ適宜増減する。
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 急性閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。
2.3. 重症筋無力症の患者[筋弛緩作用により症状を悪化させるおそれがある]。
腎機能用量
腎機能正常者と同じ
適応
神経症・心身症の不安・緊張・抑うつ・心身症の身体症候、麻酔前投薬
効果・効能
1). 神経症における不安・神経症における緊張・神経症における抑うつ・神経症における睡眠障害。
2). 心身症(消化器疾患、循環器疾患、内分泌系疾患、自律神経失調症)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ。
3). 麻酔前投薬。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 依存性(頻度不明):連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと〔8.2参照〕。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(1%以上)眠気、(1%未満)ふらつき、不眠、めまい、いらいら、頭痛、舌のもつれ、(頻度不明)頭重感。
2). 循環器:(頻度不明)頻脈[麻酔前投薬として用いた場合]。3). 消化器:(1%未満)口渇、悪心、食欲不振、便秘、下痢、胃部不快感、(頻度不明)嘔吐。
4). 過敏症:(1%未満)発疹・かゆみ・蕁麻疹。
5). 骨格筋:(1%以上)倦怠感。
慎重投与
1.心障害のある患者[症状が悪化する恐れがある]。
2.肝障害、腎障害のある患者[肝障害、腎障害のある患者では一般に排泄が遅延する傾向があるので薬物の体内蓄積による副作用の発現に注意する]。3.脳器質的障害のある患者[作用が強く現れる]。
4.低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児[副作用発現の危険性が高い]。5.衰弱患者[嗜眠状態や運動失調になりやすい]。
6.中等度呼吸不全又は重篤な呼吸不全のある患者[他のベンゾジアゼピン系薬剤で、呼吸機能低下している患者に投与したところ、呼吸不全をおこし、炭酸ガスナルコーシスになったとの報告がある]。
7.高齢者。
重要な基本的な注意
8.1. 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。8.2. 連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避ける(本剤の投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討する)〔11.1.1参照〕。
特定の背景を有する患者に関する注意
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 心障害のある患者:症状が悪化するおそれがある。9.1.2. 脳器質的障害のある患者:作用が強くあらわれる。9.1.3. 衰弱患者:嗜眠状態や運動失調になりやすい。9.1.4. 中等度呼吸不全又は重篤な呼吸不全のある患者:他のベンゾジアゼピン系薬剤で、呼吸機能低下している患者に投与したところ、呼吸不全をおこし、炭酸ガスナルコーシスになったとの報告がある。
腎機能障害患者
腎機能障害患者:薬物の体内蓄積による副作用の発現に注意すること(一般に排泄が遅延する傾向がある)。
肝機能障害患者
肝機能障害患者:薬物の体内蓄積による副作用の発現に注意すること(一般に排泄が遅延する傾向がある)。
相互作用
10.2. 併用注意:
1). 中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等(クロルプロマジン、フェノバルビタール等))、アルコール[併用によりその作用が増強されることがあるので、投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には慎重に投与すること(相加的な中枢神経抑制作用の増強)]。
2). MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)[併用によりその作用が増強されることがあるので、投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には慎重に投与すること(本剤の代謝が抑制される)]。
高齢者
少量から投与を開始するなど慎重に投与すること(運動失調等の副作用が発現しやすい)。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.1. 妊娠中に他のベンゾジアゼピン系薬剤の投与を受け、出生した新生児に口唇裂(口蓋裂を伴うものを含む)等が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。
9.5.2. ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されており、なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある(また、ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に黄疸増強を起こすことが報告されている)。
9.5.3. 分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系薬剤で報告されている。
9.5.4. マウスでの試験(20・100・500・1000mg/kg器官形成期に6日間、経口)及びラットでの試験(20・100・300・600mg/kg器官形成期に6日間、経口)において、各々100mg/kg、300mg/kg以上の投与群で胎仔に対する発育抑制作用が認められている。
授乳婦
授乳を避けさせること(ヒト母乳中へ移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが他のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム)で報告されており、また黄疸増強する可能性がある)。
小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
過剰投与
13.1. 処置
本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意を必ず読むこと。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
取扱い上の注意
アルミピロー包装開封後は、湿気を避けて保存すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報
投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニルを投与された(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化、鎮静・抗痙攣作用が遅延するおそれがある。
保管上の注意
室温保存。
保険給付上の注意・その他
本剤は厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に基づき、1回30日分を限度として投薬する。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 有効成分 添加剤
セレナール錠5 1錠中オキサゾラム(日局)5mg トウモロコシデンプン、乳糖水和物、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、精製白糖、ゼラチン、無水リン酸水素カルシウム、アラビアゴム末、酸化チタン、沈降炭酸カルシウム、グリセリン脂肪酸エステル、ポビドン、カルナウバロウ
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3.2 製剤の性状
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販売名 色・剤形 外形 識別コード
直径(mm) 厚さ(mm) 質量(mg)
セレナール錠5 白色・糖衣錠 <<図省略>> <<図省略>> <<図省略>> NF106
5.8 3.4 90
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薬効薬理
18.1 作用機序
ベンゾジアゼピン受容体は、抑制性神経伝達物質であるγ‐アミノ酪酸(GABA)受容体及びCl−チャンネルと複合体を形成して機能的に共役している。ベンゾジアゼピン誘導体はベンゾジアゼピン受容体に結合し、GABAのGABA受容体への親和性を増大させる。そしてGABA受容体と共役するCl−チャンネルが活性化され、Cl−イオンの透過性が高まる。Cl−イオンの細胞内への流入を増加させて神経細胞を過分極の状態にさせることにより、神経系に抑制的に作用する。
本薬の静穏作用はネコ、ウサギの実験から特異的に扁桃核−視床下部を含めた大脳辺縁系に特異的に作用する結果と推定される。
18.2 静穏作用・馴化作用
動物実験(マウス、ハムスター、ラット、サル)から、闘争反応、狂暴性、攻撃性、興奮等の実験的情動障害を抑制する作用(静穏作用・馴化作用)が明らかにされており、一方催眠・筋弛緩・歩行失調等の自発性行動抑制作用は弱く(マウス)、条件回避反応の抑制も少ない(ラット)ことが認められている。
18.3 意識水準に対する作用
ヒトで意識レベルの変化に対して、脳の興奮水準を示す光−眼輪筋反射に及ぼす影響を検討した結果、抑制的ではなく、脳幹網様体−新皮質賦活系(意識水準)に対してほとんど影響がないことが明らかにされている。
18.4 抗痙攣作用
メジマイド、ペンテトラゾールによる間代性痙攣(マウス、ラット)、振動誘発痙攣(Elマウス)に対し抑制効果が認められている。
薬物動態
16.1 血中濃度
健康成人7例を対象としてオキサゾラム20mgを空腹時1回経口投与後の血中ならびに尿中代謝物を主として高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
その結果、オキサゾラムの未変化体の血中・尿中濃度はいずれも定量感度以下(8ng/mL以下)であった。
16.3 分布
14C標識オキサゾラムをラットに経口投与して血中濃度及び臓器内濃度を測定した実験、また全身マクロオートラジオグラフィーでマウス体内分布を観察した実験では、オキサゾラムは投与30分後にすでに脳をはじめ全身の各臓器に広く分布し、しかも30〜60分に濃度のピークがみられた。
16.4 代謝
健康成人7例を対象としてオキサゾラム20mgを空腹時1回経口投与後の血中ならびに尿中代謝物を主として高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
主代謝物としてN‐desmethyldiazepamが検出されており、また、尿中主代謝物は2‐amino‐5‐chloro‐4‐hydroxybenzophenone(ACHB)ならびにその抱合体及び2‐amino‐5‐chlorobenzophenone(ACB)であった。