特徴
脳血管に対する特異性が高く、降圧作用や心
専門医コメント
基本的には急速かつ短期の降圧に用いるため
用法・用量
通常成人には1回ニカルジピン塩酸塩として10〜20mgを1日3回経口投与する。
禁忌
2.1. 頭蓋内出血で止血が完成していないと推定される患者[出血が促進する可能性がある]。
2.2. 脳卒中急性期で頭蓋内圧亢進している患者[頭蓋内圧が高まるおそれがある]。
2.3. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
腎機能用量
CCr<60:腎機能正常者と同じ。CKDではAUCが1.6倍上昇するため減量すべきという報告もある(Br J Clin Pharmacol 32: 57-62, 1991)
適応
【内服】本態性高血圧症【注射】手術時の異常高血圧の救急処置、高血圧緊急症、急性心不全(慢性心不全増悪含む)
効果・効能
本態性高血圧症。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 血小板減少(頻度不明)。
11.1.2. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):AST上昇・ALT上昇・γ−GTP上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 肝臓:(0.1〜5%未満)AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇、(0.1%未満)ビリルビン上昇。
2). 腎臓:(0.1%未満)BUN上昇、クレアチニン上昇。3). 血液:(0.1%未満)顆粒球減少。
4). 消化器:(0.1〜5%未満)悪心・嘔吐、胃部不快感、食欲不振、(0.1%未満)胸やけ、口渇、便秘、下痢、腹痛。
5). 循環器:(0.1〜5%未満)顔面潮紅、熱感、動悸、血圧低下、浮腫、倦怠感、のぼせ、(0.1%未満)立ちくらみ、頻脈。
6). 過敏症:(0.1〜5%未満)発疹、(0.1%未満)そう痒感、光線過敏症。7). 口腔:(0.1%未満)歯肉肥厚。
8). その他:(0.1〜5%未満)頭痛・頭重、めまい、(0.1%未満)耳鳴、眠気、しびれ感、不眠、胸部不快感、流涎、発赤、頻尿。
発現頻度は、承認時までの臨床試験及び使用成績調査結果に基づいている。
重要な基本的な注意
8.1. Ca拮抗剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意すること。
8.2. 降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
特定の背景を有する患者に関する注意
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 低血圧症の患者:血圧がさらに低下する可能性がある。9.1.2. 緑内障の患者:血管拡張作用により眼圧の上昇を招くおそれがある。(腎機能障害患者)
一般に重篤な腎機能障害のある患者では、降圧に伴い腎機能が低下する可能性がある。(肝機能障害患者)
肝機能障害患者:本剤は肝臓で代謝される。
相互作用
本剤は、主としてCYP3A4で代謝される。
10.2. 併用注意:
1). 他の血圧降下剤[血圧降下作用が増強されることがある(両剤の薬理学的な相加作用等による)]。
2). β−遮断剤(プロプラノロール等)[うっ血性心不全患者では、過度の血圧低下、心機能の低下があらわれることがあるので、必要に応じどちらかを減量又は投与を中止する(両剤の薬理学的な相加作用による:@血圧降下作用の増強、A陰性変力作用の増強)]。
3). ジゴキシン[ジゴキシンの作用を増強し中毒症状<嘔気・嘔吐・めまい・徐脈・不整脈等>があらわれることがあるので、必要に応じジゴキシンを減量する(本剤が、主に腎でのクリアランスを減少させ、ジゴキシンの血中濃度が上昇する)]。4). ダントロレンナトリウム水和物[他のCa拮抗剤<ベラパミル等>の動物実験で心室細動、他のCa拮抗剤<ベラパミル等>の動物実験で循環虚脱がみられたとの報告がある(高カリウム血症を来すと考えられる)]。
5). タンドスピロンクエン酸塩[動物実験で血圧降下作用が増強されたとの報告がある(タンドスピロンクエン酸塩は中枢性の血圧降下作用を有し、相加的な降圧作用を示す)]。
6). ニトログリセリン[動物実験で房室ブロックを起こしたとの報告がある(機序不明)]。
7). 免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス水和物等)[免疫抑制剤の作用を増強し中毒症状<特に腎機能異常>があらわれることがあり、また、本剤の作用を増強し血圧低下・頻脈等があらわれることがあるので、必要に応じ免疫抑制剤及び本剤を減量する(本剤あるいは免疫抑制剤によりCYP3A4が阻害され、免疫抑制剤あるいは本剤の血中濃度が上昇する)]。
8). フェニトイン:
@. フェニトイン[フェニトインの作用を増強し中毒症状<神経的>があらわれることがあるので、必要に応じフェニトインを減量する(本剤の蛋白結合率が高いため、血漿蛋白結合競合により、遊離型フェニトインが上昇する)]。
A. フェニトイン[本剤の作用が減弱されることがあるので、必要に応じ本剤を増量する(CYP3A4が誘導され、本剤の代謝が促進される)]。9). リファンピシン[本剤の作用が減弱されることがあるので、必要に応じ本剤を増量する(CYP3A4が誘導され、本剤の代謝が促進される)]。10). シメチジン[本剤の作用が増強され血圧低下・頻脈等があらわれることがあるので、必要に応じ本剤を減量する(これらの薬剤によりCYP3A4が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する)]。
11). HIVプロテアーゼ阻害剤(サキナビル、リトナビル等)[本剤の血中濃度が上昇し本剤の作用が増強されるおそれがある(これらの薬剤によりCYP3A4が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する)]。
12). グレープフルーツジュース[本剤の作用が増強されるおそれがある(グレープフルーツジュースによりCYP3A4が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する)]。
高齢者
低用量から投与を開始し、経過を十分に観察しながら慎重に投与することが望ましい(一般的に過度の降圧は好ましくないとされている)。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で、妊娠末期に投与すると出生仔低体重、その後の出生仔体重増加抑制もされた〔2.3参照〕。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で、乳汁中へ移行することが報告されている)。
小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
その他の注意
15.2. 非臨床試験に基づく情報
ラットに24カ月経口投与した実験で、45mg/kg/日投与群(臨床用量の約40倍)の雄に甲状腺濾胞の腫瘍が対照群に比し有意に増加したとの報告がある。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 有効成分 添加剤
ペルジピン錠10mg 日局 ニカルジピン塩酸塩 10mg(1錠中) 乳糖水和物、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、部分アルファー化デンプン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、白糖、乳酸カルシウム水和物、結晶セルロース、酸化チタン、マクロゴール20000、カルナウバロウ
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3.2 製剤の性状
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販売名 剤形 色調 外形・大きさ・質量
ペルジピン錠10mg 糖衣錠 白色 表 裏 側面
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直径 厚さ 質量
6.1mm 3.4mm 0.095g
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薬効薬理
18.1 作用機序
ニカルジピン塩酸塩は、血管平滑筋細胞中へのCa2+の取り込みを抑制することにより、血管拡張作用を発揮する。ニカルジピン塩酸塩は、血管平滑筋において心筋の30,000倍の強いCa拮抗作用を示し、血管選択性は他のCa拮抗薬(ニフェジピン、ベラパミル、ジルチアゼム)より高かった。
18.2 血圧降下作用
ニカルジピン塩酸塩は、種々の実験的高血圧動物において的確な降圧作用を示した。また、長期間投与によっても耐薬性を生ずることなく、持続的な降圧作用を示し、高血圧に伴う心臓肥大の進展及び脳卒中の発生を防止した。
ヒトに投与した場合、穏和で日内変動や体位変換に伴う血圧変動の少ない安定した降圧効果が認められている。
18.3 血管拡張作用
ニカルジピン塩酸塩は、麻酔イヌにおいて末梢血管抵抗を低下させ、用量依存的な血圧降下作用を示した。また、本薬は麻酔イヌにおいて椎骨動脈、冠動脈、大腿動脈、腎動脈等の血管を拡張し、これら臓器への血流を増加させた。
18.4 血管平滑筋弛緩作用
ニカルジピン塩酸塩は、イヌ摘出冠動脈での実験においてK+により誘発された収縮を用量依存的に弛緩した。その作用はニフェジピンの約10倍、ベラパミルの約1,000倍強かった。
18.5 利尿作用
ニカルジピン塩酸塩は、ラットにおいて用量依存的にナトリウム利尿作用を示した。麻酔イヌにおいては、腎血流量及び糸球体濾過率を増加させナトリウム利尿を起こした。
18.6 その他
ニカルジピン塩酸塩は、麻酔イヌにおいて、他のCa拮抗薬に比べて房室伝導障害及び心収縮抑制を起こしにくかった。
薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回経口投与
健康成人に本剤10〜40mg注1)を経口投与したとき、その血漿中未変化体濃度は投与後30〜60分に最高濃度に達し、半減期は約90分であった。(半減期は投与後8時間までの数値より算出した。)
単回経口投与時の血漿中濃度
<<図省略>>
薬動力学パラメータ
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投与量(mg) n Tmax(h) Cmax(μg/mL) AUC(μg・min/mL) CL(mL/min・kg)
10 4 0.5 0.013 1.4 131
20 5 1.0 0.032 4.6 90
30 6 1.0 0.091 10.3 54
40 4 0.5 0.253 24.2 27
平均値
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16.1.2 連続経口投与
健康成人に本剤20mgを1日3回経口投与したとき、投与1、8、15日目いずれにおいても夕食後服用時の半減期は約4時間であった。また、8日目と15日目のAUCに差は見られず、8日以内に定常状態に達していると考えられる。
連続経口投与時の血漿中濃度
<<図省略>>
薬動力学パラメータ
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AUC(ng・h/mL) t1/2(h)
1日目 269 4.4
8日目 463 3.7
15日目 447 4.1
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16.4 代謝
健康成人に本剤40mg注2)を経口投与したときの主代謝物はニカルジピンの脱ベンジル体であった。
16.5 排泄
健康成人に本剤40mg注3)を経口投与したとき、24時間までの尿中への未変化体の排泄率は投与量の0.01%以下であり、主代謝物であるニカルジピンの脱ベンジル体が3.2%と最も多く排泄された。
注1)、注2)、注3)本剤の承認された1回用量は10〜20mgである。