特徴
アドレナリン作動性の気管支拡張作用と中枢
専門医コメント
市販の風邪薬などの医薬品に含まれるが単剤
用法・用量
dl−メチルエフェドリン塩酸塩として、通常成人1回25〜50mgを1日3回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
禁忌
カテコールアミン製剤投与中(アドレナリン、イソプレナリン塩酸塩等)の患者〔10.1参照〕。
用法・用量に関連する注意
7.1. 1回あたりの製剤量
1回投与量:0.25〜0.5g。
適応
気管支喘息、 感冒、 急性・慢性気管支炎、 肺結核、 上気道炎に伴う咳嗽、 蕁麻疹、 湿疹
効果・効能
1). 次記疾患に伴う咳嗽:気管支喘息、感冒、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺結核、上気道炎(咽喉頭炎、鼻カタル)。
2). 蕁麻疹、湿疹。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 重篤な血清カリウム値低下(頻度不明):キサンチン誘導体併用、ステロイド剤併用及び利尿剤併用により血清カリウム値低下増強することがあるので、重症喘息患者では特に注意すること〔9.1.5、10.2参照〕。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 循環器:(0.1〜5%未満)心悸亢進、顔面蒼白。2). 精神神経系:(0.1〜5%未満)頭痛、不眠、めまい、眠気、神経過敏、疲労、(頻度不明)熱感。
3). 消化器:(0.1〜5%未満)悪心、食欲不振、腹部膨満感。4). 過敏症:(頻度不明)発疹。
5). その他:(0.1〜5%未満)口渇。
慎重投与
1.甲状腺機能亢進症の患者[交感神経刺激作用により甲状腺機能亢進症を悪化させる恐れがある]。
2.高血圧症の患者[交感神経刺激作用により高血圧症状を悪化させる恐れがある]。3.心疾患のある患者[交感神経刺激作用により心拍数が増加し、心臓に過負荷をかけることがあるため、症状を悪化させる恐れがある]。
4.糖尿病の患者[交感神経刺激作用により糖代謝を促進し、血中グルコースを増加させる恐れがある]。
重要な基本的な注意
8.1. 用法・用量どおり、正しく使用しても効果が認められない場合は、本剤が適当でないと考えられるので、投与を中止すること。
なお、小児に投与する場合には、使用法を正しく指導し、経過の観察を十分に行うこと。8.2. 過度に使用を続けた場合、不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがあるので、使用が過度にならないように注意すること。
特定の背景を有する患者に関する注意
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 甲状腺機能亢進症の患者:交感神経刺激作用により甲状腺機能亢進症を悪化させるおそれがある。
9.1.2. 高血圧症の患者:交感神経刺激作用により高血圧症状を悪化させるおそれがある。
9.1.3. 心疾患のある患者:交感神経刺激作用により心拍数が増加し、心臓に過負荷をかけることがあるため、症状を悪化させるおそれがある。9.1.4. 糖尿病の患者:交感神経刺激作用により糖代謝を促進し、血中グルコースを増加させるおそれがある。
9.1.5. 低酸素血症のある患者:定期的に血清カリウム値を観察することが望ましい(低酸素血症は、血清カリウム値の低下が心リズムに及ぼす作用を増強することがある)〔10.2、11.1.1参照〕。
相互作用
10.1. 併用禁忌:
カテコールアミン製剤(アドレナリン<ボスミン>、イソプレナリン塩酸塩<プロタノール>等)〔2.禁忌の項参照〕[不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがあるので併用を避けること(相加的に作用(交感神経刺激作用)を増強させる)]。10.2. 併用注意:
1). モノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)[作用が増強されるおそれがあるので、減量をするなど慎重に投与すること(これらの薬剤のMAO−B選択性が低下した場合、交感神経刺激作用が増強されるおそれがある)]。
2). 甲状腺製剤(チロキシン、リオチロニン等)[作用が増強されるおそれがあるので、減量をするなど慎重に投与すること(これらの薬剤が心臓のカテコールアミンに対する感受性を増大するおそれがある)]。
3). キサンチン誘導体(テオフィリン)、ステロイド剤(プレドニゾロン)、利尿剤(アミノフィリン)〔9.1.5、11.1.1参照〕[血清カリウム値が低下するおそれがあるので、併用する場合には定期的に血清カリウム値を観察し、用量について注意すること(相加的に作用(血清カリウム値の低下作用)を増強し、β2刺激剤はcAMPを活性化しNa−Kポンプを刺激する)]。
高齢者
減量するなど注意すること(一般に生理機能が低下している)。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
取扱い上の注意
外箱開封後は光を避けて保存すること。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 dl−メチルエフェドリン塩酸塩散10%「メタル」
有効成分 1g中
dl‐メチルエフェドリン塩酸塩(日局) 0.1g
添加剤 乳糖水和物、バレイショデンプン
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3.2 製剤の性状
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販売名 dl−メチルエフェドリン塩酸塩散10%「メタル」
性状 白色の粉末である。
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薬効薬理
18.1 作用機序
交感神経興奮様薬物。α及びβ受容体を刺激するが、作用の一部は交感神経終末からのノルアドレナリン遊離を介する間接的なものである。
18.2 気管支拡張作用
ヒスタミン吸入によるモルモット実験的喘息に対する喘息防止作用(ED50)は経口投与45mg/kg、皮下投与28mg/kgである。
50mg/kg経口投与により作用は3時間持続する。
18.3 鎮咳作用
亜硫酸ガス吸入によるモルモット実験咳に対する鎮咳作用(ED50)は皮下投与24mg/kgで、エフェドリンの0.7倍、コデインの0.6倍である。また、機械的刺激に対しては腹腔内投与35.2mg/kgで、コデインの0.4倍である。
18.4 抗アレルギー作用
ヒスタミン皮内投与によるヒトの膨疹及び発赤に対し、1mg皮内投与によりジフェンヒドラミンと同程度に抑制する。
薬物動態
16.5 排泄
健康成人男子3例に27.1mgのl‐メチルエフェドリンを水溶液として経口投与したとき、24時間までに投与量の63.7〜79.7%が未変化体として尿中に排泄される。N‐脱メチル化代謝物であるエフェドリン及びノルエフェドリンの尿中排泄率は、それぞれ10.0〜16.9%、1.0〜1.7%である(酸性尿の場合)。