特徴
フェノチアジン系抗ヒスタミン薬。第1世代
専門医コメント
古い第一世代のヒスタミン薬。第二世代と比
用法・用量
プロメタジン塩酸塩として、通常成人1回5〜25mgを1日1〜3回経口投与する。振せん麻痺、パーキンソニスムには1日25〜200mgを、適宜分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
禁忌
2.1. フェノチアジン系化合物及びその類似化合物に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある]。2.3. バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制剤の作用を延長し増強させる]。
2.4. 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。
2.5. 前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患のある患者[排尿困難を悪化させることがある]。
2.6. 2歳未満の乳幼児〔9.7.1、11.1.2参照〕。
腎機能用量
腎機能正常者と同じ
適応
振戦麻痺、パーキンソニスム、麻酔前投薬、人工(薬物)冬眠、感冒等上気道炎に伴うくしゃみ・鼻汁・咳嗽、アレルギー性鼻炎、枯草熱、血管運動性浮腫、皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、薬疹、中毒疹)、蕁麻疹、動揺病
効果・効能
1). パーキンソニスム。
2). 麻酔前投薬。
3). 人工<薬物>冬眠。
4). 感冒等上気道炎に伴うくしゃみ・鼻汁・咳嗽。
5). 皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、薬疹、中毒疹)。6). 枯草熱。
7). アレルギー性鼻炎。
8). じん麻疹。
9). 血管運動性浮腫。
10). 振せん麻痺。
11). 動揺病。
効果・効能に関連する注意
抗パーキンソン剤は、フェノチアジン系化合物、ブチロフェノン系化合物等による口周部等の不随意運動(遅発性ジスキネジア)を通常軽減しない(場合によっては、このような症状を増悪、顕性化させることがある)。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明):抗精神病薬との併用及び抗うつ剤との併用において、本剤及び併用薬の減量又は中止により、発熱、無動緘黙、意識障害、強度筋強剛、不随意運動、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、体冷却、水分補給等の全身管理等の適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇があらわれることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下があらわれることがある)〔9.1.2参照〕。
11.1.2. 乳児突然死症候群(SIDS)(頻度不明)、乳児睡眠時無呼吸発作(頻度不明)〔2.6、9.7.1参照〕。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(頻度不明)発疹、光線過敏症。
2). 肝臓:(頻度不明)肝障害。
3). 血液:(頻度不明)白血球減少、顆粒球減少。
4). 精神神経系:(0.1〜5%未満)眠気、めまい、倦怠感、頭痛、耳鳴、視覚障害、不安感、興奮、神経過敏、不眠、痙攣。
5). 消化器:(0.1〜5%未満)悪心・嘔吐、口渇、食欲不振、下痢、腹痛。6). 循環器:(0.1〜5%未満)血圧上昇、低血圧、頻脈、起立性低血圧。7). その他:(0.1〜5%未満)発汗、咳嗽、振戦。発現頻度は、再評価の結果を含む。
慎重投与
1.開放隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。
2.肝障害のある患者[肝障害を悪化させる恐れがある]。3.脱水を伴う身体的疲弊・栄養不良状態を伴う身体的疲弊等のある患者[Syndrome malin(悪性症候群)が起こりやすい]。
重要な基本的な注意
8.1. 眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように十分注意すること。
8.2. 制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。
特定の背景を有する患者に関する注意
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 開放隅角緑内障の患者:抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。
9.1.2. 脱水を伴う身体的疲弊・栄養不良状態を伴う身体的疲弊等のある患者:悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい〔11.1.1参照〕。(肝機能障害患者)
肝機能障害患者:肝機能障害を悪化させるおそれがある。
相互作用
10.2. 併用注意:
1). 抗コリン作用を有する薬剤(フェノチアジン系化合物、三環系抗うつ剤等)[<臨床症状>相互に抗コリン作用を増強することがあり、更には、腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは腹部の弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがある(なお、この悪心・嘔吐は、本剤及び他のフェノチアジン系化合物等の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること);<措置方法>減量するなど慎重に投与し、また、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること(共に抗コリン作用を有する)]。
2). 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体・麻酔剤等)[相互に中枢神経抑制作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること(共に中枢神経抑制作用を有する)]。
3). アルコール[相互に中枢神経抑制作用を増強することがある(共に中枢神経抑制作用を有する)]。
4). 降圧剤(カルシウム拮抗剤、アンジオテンシン2受容体拮抗剤等)[相互に降圧作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること(共に降圧作用を有する)]。
高齢者
減量するなど注意すること(一般に、生理機能が低下している)。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等
9.7.1. 2歳未満の乳幼児:投与しないこと。小児<特に2歳未満>に投与した場合、乳児突然死症候群(SIDS)及び乳児睡眠時無呼吸発作があらわれたとの報告がある。また、外国で、2歳未満の乳幼児への投与により致死的呼吸抑制が起こったとの報告がある〔2.6、11.1.2参照〕。
9.7.2. 2歳以上の幼児、小児:治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(2歳以上の幼児、小児を対象とした臨床試験は実施していない)。
過剰投与
13.1. 症状
過量投与時、傾眠、意識消失等の中枢神経抑制、低血圧、口渇、瞳孔散大、呼吸障害、錐体外路症状等であり、その他、幻覚、痙攣等の中枢神経興奮作用があらわれることがある。
13.2. 処置
過量投与時、アドレナリンは更に血圧低下を引き起こすおそれがあるので使用しないこと。
適用上の注意
取扱い上の注意
外箱開封後は遮光して保存すること。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 ピレチア細粒10%
有効成分 1g中
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩 135mg
(プロメタジン塩酸塩として100mg)
添加剤 乳糖水和物、トウモロコシデンプン、メチルセルロース
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3.2 製剤の性状
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販売名 ピレチア細粒10%
性状 白色の細粒剤
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薬効薬理
18.1 作用機序
プロメタジンは強力な抗ムスカリン作用を持っており、抗動揺病効果を有するH1拮抗薬である。
18.2 抗ヒスタミン作用
モルモットにあらかじめ抗ヒスタミン剤を投与することにより、ヒスタミンによる死亡を阻止することができるが、この方法によるとジフェンヒドラミンの約30倍、トリペレナミンの約15倍の抗ヒスタミン作用を示した。
18.3 抗アナフィラキシー作用
モルモットの羊血清によるアナフィラキシーを強く阻止した。
18.4 抗パーキンソン作用
トレモリンにより惹起されるマウスの振戦に対して、トリヘキシフェニジルの約2.8倍の抑制作用を示した。
18.5 神経系に対する作用
中枢神経抑制作用、強化麻酔・催眠増強・鎮痛・体温下降・制吐作用、中等度の副交感神経抑制・軽度の交感神経抑制作用、局所麻酔・鎮痙・血圧降下作用を有する。
薬物動態
16.1 血中濃度
健康成人6名にプロメタジン塩酸塩25mg、50mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータを表16‐1に示す(外国人によるデータ)。
表16‐1 薬物動態パラメータ
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投与量(mg) n Cmax(ng/mL) tmax(hr) AUC0−24(ng・hr/mL) t1/2(hr)
25 6 11.2±2.6 2.7±0.6 111.7±17.2 12.7±2.4
50 6 39.2±8.2 2.5±0.6 333.3±45.9 13.7±2.1
(測定法:HPLC)(mean±S.D.)
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16.2 吸収
16.2.1 吸収率:80%以上
16.2.2 生物学的利用率:25%
16.3 分布
蛋白結合率:76〜80%(外国人によるデータ)
16.4 代謝
16.4.1 肝臓で主にプロメタジンスルホキシドとデスメチルプロメタジンに代謝される(外国人によるデータ)。
16.4.2 肝での初回通過効果:有(外国人によるデータ)
16.4.3 肝代謝には主にCYP2D6が関与する(in vitro)。
16.5 排泄
16.5.1 尿中には主としてプロメタジンスルホキシドが排泄される(外国人によるデータ)。