特徴
第二世代II類抗ヒスタミン薬。
専門医コメント
第二世代II類抗ヒスタミン薬であり、ヒス
用法・用量
通常、成人には、エバスチンとして1回5〜10mgを1日1回経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
用法・用量に関連する注意
高齢者では、1日1回5mgから投与するなど注意すること〔9.8高齢者の項参照〕。
腎機能用量
腎機能正常者と同じ
適応
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、痒疹
効果・効能
1). 蕁麻疹。
2). 湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症。
3). アレルギー性鼻炎。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):血圧低下、呼吸困難、喉頭浮腫等の症状が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。11.1.2. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、γ−GTP上昇、ALP上昇、ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(頻度不明)発疹、浮腫、じん麻疹。
2). 循環器:(0.1%未満)動悸、(頻度不明)血圧上昇。3). 精神神経系:(1%以上)眠気、倦怠感、(0.1%未満)頭痛、めまい、しびれ感、(頻度不明)不眠。
4). 消化器:(1%以上)口渇、(0.1〜1%未満)胃部不快感、鼻腔内乾燥・口腔内乾燥、(0.1%未満)下痢、舌炎、(頻度不明)嘔気・嘔吐、腹痛。5). 肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、γ−GTP上昇、ALP上昇、ビリルビン上昇。
6). 泌尿器:(頻度不明)排尿障害、頻尿。
7). その他:(0.1〜1%未満)胸部圧迫感、(0.1%未満)ほてり、(頻度不明)好酸球増多、体重増加、月経異常、脱毛、味覚異常、BUN上昇、尿糖。
慎重投与
肝障害又はその既往歴のある患者[肝機能異常が現れる恐れがある]。
重要な基本的な注意
8.1. 〈効能共通〉眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転など危険を伴う機械の操作に注意させること。
8.2. 〈アレルギー性鼻炎〉季節性の患者に投与する場合は、好発季節を考えて、その直前から投与を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましい。(特定の背景を有する患者に関する注意)
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 長期ステロイド療法を受けている患者:本剤投与によりステロイドの減量をはかる場合は、十分な管理下で徐々に行うこと。
肝機能障害患者
9.3.1. 肝機能障害又はその既往歴のある患者:肝機能異常があらわれるおそれがある。
相互作用
本剤は、主として代謝酵素CYP2J2及びCYP3A4で代謝される〔16.4.3参照〕。
10.2. 併用注意:
1). エリスロマイシン〔16.7.1参照〕[本剤の代謝物カレバスチンの血漿中濃度が約2倍に上昇することが報告されている(カレバスチンの代謝が抑制されると考えられる)]。
2). イトラコナゾール[本剤の代謝物カレバスチンの血漿中濃度が上昇することが報告されている(カレバスチンの代謝が抑制されると考えられる)]。3). リファンピシン[本剤の代謝物カレバスチンの血漿中濃度が低下することが報告されている(カレバスチンの代謝が促進されると考えられる)]。
高齢者
患者の状態を十分に観察しながら投与すること。一般に生理機能が低下している〔7.用法及び用量に関連する注意の項参照〕。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
臨床検査結果に及ぼす影響
本剤はアレルゲン皮内反応を抑制するため、アレルゲン皮内反応検査を実施する前は、本剤を投与しないこと。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意
14.1.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
14.1.2. 本剤は舌の上にのせて唾液を湿潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である(また、水で服用することもできる)。
取扱い上の注意
アルミピロー開封後は遮光して保存すること。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 有効成分 添加剤
エバスチンOD錠10mg「NP」 1錠中 日本薬局方エバスチン 10mg D‐マンニトール、トウモロコシデンプン、カルメロース、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、タウマチン、香料
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3.2 製剤の性状
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販売名 性状 外形・大きさ
直径(mm) 厚さ(mm) 重量(mg)
識別コード
エバスチンOD錠10mg「NP」 白色の素錠(口腔内崩壊錠) <<図省略>> <<図省略>> <<図省略>>
8.0 3.1 200
NP‐327
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薬効薬理
18.1 作用機序
エバスチンのアレルギー反応に対する抑制作用は、主代謝物であるカレバスチンによる末梢性のヒスタミンH1受容体拮抗作用を主体とする。また、高濃度でヒスタミン遊離抑制作用も認められる(in vitro)。
18.2 抗アレルギー作用
エバスチンは、経口投与により、ヒスタミン誘発皮膚反応(ラット)、受動皮膚アナフィラキシー(PCA)反応(モルモット)、実験的アレルギー性鼻炎(ラット)を抑制し、そのPCA反応抑制作用は長時間持続した。
18.3 ヒスタミンH1受容体拮抗作用
エバスチンの活性代謝物であるカレバスチンは、モルモット摘出気管標本及び回腸標本におけるヒスタミン誘発収縮を濃度依存的に抑制し、ヒスタミンH1受容体拮抗作用を示した。エバスチンは、モルモット摘出気管標本で作用を示さなかった(in vitro)。
18.4 ヒスタミン遊離抑制作用
カレバスチンは、高濃度で感作ラットの腹腔肥満細胞からの抗原誘発ヒスタミン遊離及びヒト末梢血好塩基球からの抗ヒトIgE抗体誘発ヒスタミン遊離を抑制した(in vitro)。
18.5 ヒスタミン誘発皮内反応試験
健康成人を対象としたヒスタミン誘発皮内反応試験において、エバスチン5、10mgの経口投与で、膨疹及び紅斑を用量依存的に抑制し、投与後24時間においてもプラセボに比し有意に抑制した。
薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
エバスチンは、経口投与後、初回通過効果を強く受け、ほとんどがカレバスチンに代謝される。健康成人にエバステル錠(普通錠)5mg(5例)、10、20注)、40mg注)(各6例)を空腹時1回経口投与後、未変化体であるエバスチンは、40mg注)投与1時間後にのみ14ng/mLが検出された。
注)本剤の承認された1日通常用量は5〜10mgである。
16.1.2 生物学的同等性試験
〈エバスチンOD錠5mg「NP」〉
エバスチンOD錠5mg「NP」とエバステルOD錠5mgのそれぞれ1錠(エバスチンとして5mg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中カレバスチン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC0→72hr、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ(水あり投与)
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判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0→72hr(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL) Tmax(hr) t1/2(hr)
エバスチンOD錠5mg「NP」 1547.7±611.9 61.0±22.3 5.0±1.5 19.6±2.7
エバステルOD錠5mg 1504.4±715.9 58.6±29.9 5.6±2.2 18.4±3.5
(Mean±S.D.、n=15)
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血漿中カレバスチン濃度推移(水あり投与)
<<図省略>>
薬物動態パラメータ(水なし投与)
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判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0→72hr(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL) Tmax(hr) t1/2(hr)
エバスチンOD錠5mg「NP」 1418.6±525.3 53.5±17.4 4.7±1.0 20.4±8.1
エバステルOD錠5mg 1454.7±497.2 57.3±20.6 4.6±1.3 19.3±3.0
(Mean±S.D.、n=16)
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血漿中カレバスチン濃度推移(水なし投与)
<<図省略>>
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
〈エバスチンOD錠10mg「NP」〉
エバスチンOD錠10mg「NP」とエバステルOD錠10mgのそれぞれ1錠(エバスチンとして10mg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中カレバスチン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC0→72hr、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ(水あり投与)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0→72hr(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL) Tmax(hr) t1/2(hr)
エバスチンOD錠10mg「NP」 3175.9±750.2 118.0±27.2 5.7±2.3 19.0±3.1
エバステルOD錠10mg 3139.4±880.9 114.1±28.2 5.7±1.4 20.1±3.0
(Mean±S.D.、n=16)
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血漿中カレバスチン濃度推移(水あり投与)
<<図省略>>
薬物動態パラメータ(水なし投与)
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判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0→72hr(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL) Tmax(hr) t1/2(hr)
エバスチンOD錠10mg「NP」 3233.9±614.7 121.6±25.2 5.4±1.2 17.9±2.1
エバステルOD錠10mg 2911.6±603.9 105.2±22.0 5.5±1.3 18.3±2.1
(Mean±S.D.、n=16)
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血漿中カレバスチン濃度推移(水なし投与)
<<図省略>>
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 吸収率
約90%(ラット)
16.3 分布
16.3.1 血漿・血清蛋白結合率
エバスチン:99.9%以上(in vitro、ヒト血清、平衡透析法)
カレバスチン:97.4〜97.7%(in vitro、ヒト血漿、限外ろ過法)
16.4 代謝
16.4.1 主な代謝産物
カレバスチン(活性あり)
16.4.2 代謝経路
エバスチンはtert‐ブチル基の逐次酸化でカルボン酸体であるカレバスチンに代謝され、さらに、フェニル基の4位の水酸化とそれに続く3位のメトキシ化、酸化的N‐脱アルキル化、エーテル結合の切断及び抱合を受けることが認められている(外国人データ)。
16.4.3 代謝酵素
カレバスチンへの代謝には主としてCYP2J2、CYP3A4が、また未変化体の酸化的N‐脱アルキル化にはCYP3A4が関与する。[10.参照]
16.5 排泄
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(健康成人、1回経口投与)
投与量(mg) 試料採取時間(h) 尿中排泄率(投与量に対する%)
エバスチン カレバスチン
5 0〜72 0.1 1.7
10 0〜72 0.0 1.8
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
また、エバスチン(methoxy‐14C)10mgを1回経口投与後、放射能は72時間までの尿中に投与量の63%、48時間までの糞便中に投与量の16%が排泄された(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 エリスロマイシン
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(健康成人8例にエバスチン10mgを1日1回14日間反復経口投与、8日目よりエリスロマイシン1,200mg/日を併用経口投与)[10.2参照]
測定日 カレバスチン
Cmax(ng/mL) Tmax(h) t1/2(h) AUC0〜24(ng・h/mL)
試験7日目(単独投与最終日) 244±15 5±1 17.2±0.4 4,092±181
試験14日目(併用投与最終日) 514±27 5±1 21.6±0.9 9,492±581
平均値±標準誤差
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