特徴
第二世代II類抗ヒスタミン薬。眠気の副作
専門医コメント
第二世代II類抗ヒスタミン薬であり、ヒス
用法・用量
[成人]
通常、成人には1回1g(レボセチリジン塩酸塩として5mg)を1日1回、就寝前に用時溶解して経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、最高投与量は1日2g(レボセチリジン塩酸塩として10mg)とする。
[小児]
通常、6ヵ月以上1歳未満の小児には1回0.25g(レボセチリジン塩酸塩として1.25mg)を1日1回用時溶解して経口投与する。
通常、1歳以上7歳未満の小児には1回0.25g(レボセチリジン塩酸塩として1.25mg)を1日2回、朝食後及び就寝前に用時溶解して経口投与する。通常、7歳以上15歳未満の小児には1回0.5g(レボセチリジン塩酸塩として2.5mg)を1日2回、朝食後及び就寝前に用時溶解して経口投与する。
禁忌
2.1. 本剤の成分又はピペラジン誘導体(セチリジン、ヒドロキシジンを含む)に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 重度腎障害(クレアチニンクリアランス10mL/min未満)のある患者〔7.1、9.2.1、16.6.1参照〕。
用法・用量に関連する注意
7.1. 腎障害患者では、血中濃度半減期の延長が認められ、血中濃度が増大するため、次のとおりクレアチニンクリアランスに応じて、投与量の調節が必要である〔2.2、9.2.1、9.2.2、16.6.1参照〕[成人患者の腎機能に対応する用法及び用量の目安]クレアチニンクリアランス≧80mL/min:推奨用量5mgを1日に1回、クレアチニンクリアランス50〜79mL/min:推奨用量2.5mgを1日に1回、クレアチニンクリアランス30〜49mL/min:推奨用量2.5mgを2日に1回、クレアチニンクリアランス10〜29mL/min:推奨用量2.5mgを週に2回(3〜4日に1回)。
腎障害を有する小児患者では、各患者の腎クリアランスと体重を考慮して、個別に用量を調整すること。
7.2. 高齢者では、低用量(例えば2.5mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること〔9.8高齢者の項参照〕。
腎機能用量
50≦CCr<80:1日1回2.5mg
30≦CCr<50:1回2.5mgを2日に1回
10≦CCr<30:1回2.5mgを週2回(3〜4日毎)
CCr<10:禁忌
適応
(成人・小児共通)アレルギー性鼻炎、蕁麻疹(成人のみ)湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症(小児のみ)皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
効果・効能
[成人]
1). アレルギー性鼻炎。
2). 蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症。
[小児]
1). アレルギー性鼻炎。
2). 蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、血圧低下、蕁麻疹、発赤等)があらわれることがある。11.1.2. 痙攣(頻度不明)〔9.1.1参照〕。
11.1.3. 肝機能障害(0.6%)、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇、LDH上昇、Al−P上昇等の肝機能障害(初期症状:全身倦怠感、食欲不振、発熱、嘔気等)、黄疸があらわれることがある。11.1.4. 血小板減少(頻度不明)。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(0.1〜5%未満)眠気、倦怠感、(0.1%未満)頭痛、頭重感、ふらふら感、しびれ感、めまい、浮遊感、(頻度不明)不眠、振戦、抑うつ、激越、攻撃性、傾眠、疲労、無力症、睡眠障害、錯感覚、幻覚、自殺念慮、失神、*健忘、*不随意運動、*意識消失、悪夢。
2). 消化器:(0.1〜5%未満)口渇、嘔気、食欲不振、(0.1%未満)胃不快感、下痢、消化不良、腹痛、腹部不快感、胃痛、口唇炎、便秘、口唇乾燥感、嘔吐、味覚異常、口内炎、(頻度不明)腹部膨満感、食欲亢進。
3). 循環器:(0.1%未満)動悸、血圧上昇、不整脈(*房室ブロック、期外収縮、頻脈、*発作性上室性頻拍、心房細動)。
4). 血液:(0.1〜5%未満)*好酸球増多、(0.1%未満)好中球減少、*リンパ球増多、白血球増多、白血球減少、*単球増多、*血小板増加、*血小板減少。5). 過敏症:(0.1%未満)発疹、蕁麻疹、浮腫、かぶれ、そう痒感、血管性浮腫、(頻度不明)多形紅斑、薬疹。
6). 眼:(0.1%未満)結膜充血、霧視、(頻度不明)視覚障害、眼球回転発作。7). 肝臓:(0.1〜5%未満)ALT上昇、AST上昇、総ビリルビン上昇、(0.1%未満)Al−P上昇。
8). 腎臓・泌尿器:(0.1%未満)*尿蛋白、BUN上昇、*尿糖、*ウロビリノーゲン異常、頻尿、*血尿、(頻度不明)排尿困難、尿閉、*遺尿。9). その他:(0.1%未満)耳鳴、月経異常、胸痛、ほてり、息苦しさ、(頻度不明)関節痛、手足のこわばり、嗅覚異常、鼻出血、脱毛、咳嗽、体重増加、筋肉痛、呼吸困難。
*)セチリジン塩酸塩でのみ認められている副作用。
副作用発現頻度についてはセチリジン塩酸塩の発現状況に基づき記載した。
慎重投与
1.腎障害のある患者[高い血中濃度が持続する恐れがある]。2.肝障害のある患者[高い血中濃度が持続する恐れがある]。3.高齢者[高い血中濃度が持続する恐れがある]。
4.てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を発現する恐れがある]。
重要な基本的な注意
8.1. 〈効能共通〉眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。8.2. 〈効能共通〉効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
8.3. 〈アレルギー性鼻炎〉季節性の患者に投与する場合は、好発季節を考えて、その直前から投与を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましい。(特定の背景を有する患者に関する注意)
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣を発現するおそれがある〔11.1.2参照〕。
腎機能障害患者
9.2.1. 重度腎障害(クレアチニンクリアランス10mL/min未満)のある患者:投与しないこと(高い血中濃度が持続するおそれがある)〔2.2、7.1、16.6.1参照〕。
9.2.2. 腎障害<重度腎障害を除く>のある患者:高い血中濃度が持続するおそれがある〔7.1、16.6.1参照〕。
肝機能障害患者
9.3.1. 肝障害のある患者:高い血中濃度が持続するおそれがある〔16.6.2参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:
1). テオフィリン[テオフィリンの薬物動態に変化はないが、*セチリジン塩酸塩との併用によりセチリジン塩酸塩のクリアランスが16%減少する(機序は明らかではない)]。
2). リトナビル[*セチリジン塩酸塩との併用によりセチリジン塩酸塩の曝露量の増加<40%>及びセチリジン塩酸塩との併用によりリトナビル曝露量のわずかな変化<−11%>が報告されている(リトナビルによりセチリジン塩酸塩の腎排泄が阻害される可能性が考えられる)]。
3). 中枢神経抑制剤、アルコール[中枢神経系に影響を与える可能性がある(中枢神経抑制作用が増強される可能性がある)]。
4). ピルシカイニド塩酸塩水和物[*セチリジン塩酸塩との併用により両剤の血中濃度が上昇し、セチリジン塩酸塩との併用によりピルシカイニド塩酸塩水和物の副作用が発現したとの報告がある(機序は明らかではない)]。
*)ラセミ体であるセチリジンのR−エナンチオマーがレボセチリジンである。
高齢者
慎重に投与し、異常が認められた場合は減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと(腎機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続するおそれがある)〔7.2、16.6.3参照〕。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(ラット)で胎盤を通過することが報告されている)。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(*セチリジン塩酸塩において、ヒト乳汁中へ移行することが報告されている)。*)ラセミ体であるセチリジンのR−エナンチオマーがレボセチリジンである。
小児等
6ヵ月未満の乳児等を対象とした臨床試験は実施していない。
臨床検査結果に及ぼす影響
アレルゲン皮内反応を抑制するため、アレルゲン皮内反応検査を実施する3〜5日前より本剤の投与を中止することが望ましい。
過剰投与
13.1. 症状
過量投与時、傾眠傾向があらわれることがある。過量投与時、特に小児では激越、落ち着きのなさがあらわれることがある。
13.2. 処置
過量投与時、本剤の特異的な解毒剤はない、また本剤は透析で除去されない。
適用上の注意
取扱い上の注意
安定性試験:温度40℃、相対湿度75%、6カ月の加速試験及び温度25℃、相対湿度60%、24カ月の長期保存試験の結果、本剤は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
保管上の注意
室温保存(1〜30℃)。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 レボセチリジン塩酸塩ドライシロップ0.5%「日本臓器」
成分・含量 1g中 レボセチリジン塩酸塩5mg含有
添加剤 乳糖水和物、β‐シクロデキストリン、クエン酸ナトリウム水和物、ヒドロキシプロピルセルロース、アセスルファムカリウム、スクラロース、軽質無水ケイ酸、黄色5号、香料
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3.2 製剤の性状
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販売名 レボセチリジン塩酸塩ドライシロップ0.5%「日本臓器」
剤形 ドライシロップ剤
色・性状 橙色の粉末を含む粒状である。
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薬効薬理
18.1 作用機序
レボセチリジンは、ラセミ体であるセチリジンのR‐エナンチオマーであり、セチリジンと同様に、持続性選択ヒスタミンH1受容体拮抗・アレルギー性疾患治療薬である。
18.2 ヒスタミンH1受容体拮抗作用
ヒスタミンH1受容体に選択的に結合することにより、ヒスタミンの作用を阻害する。ヒスタミンH1受容体に対する親和性はセチリジンよりも約2倍高い。ヒスタミンH2、ヒスタミンH3、アドレナリン、ドパミン、アセチルコリン、セロトニンの各受容体に対する親和性は低い(ヒト、ラット、モルモット)。
摘出臓器(モルモット気管)のヒスタミン反応を濃度依存的に抑制した。
また、ヒスタミン誘発皮膚反応における膨疹及び発赤抑制作用は投与1時間後から認められ、投与32時間後まで持続した(ヒト)。
18.3 好酸球に対する作用
in vitroにおいて、エオタキシン刺激による好酸球の血管内皮細胞間隙遊走を抑制した(ヒト)。
18.4 細胞接着分子産生抑制作用
花粉抗原刺激による皮膚血管内皮細胞からのVCAM‐1産生を抑制した(ヒト)。
薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性20例にレボセチリジン塩酸塩5mg(シロップ)を空腹時単回経口投与した時、血漿中レボセチリジン濃度は投与0.75時間後には最高血漿中濃度203.3ng/mLに到達した。血漿中濃度の消失半減期は約7.9時間であった。セチリジン塩酸塩10mg(ドライシロップ)を空腹時単回経口投与した時、血漿中レボセチリジン濃度は投与1時間後には最高血漿中濃度196.5ng/mLに到達し、血漿中濃度の消失半減期は約7.9時間であった。
レボセチリジン塩酸塩(シロップ)は、セチリジン塩酸塩(ドライシロップ)の半量で同様の血漿中レボセチリジン濃度が得られ、血漿中レボセチリジンのCmax及びAUC0−48は同等であった。
レボセチリジンの薬物動態パラメータ
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投与薬剤 投与量 tmax(hr) Cmax(ng/mL) t1/2(hr) AUC0−∞(ng・hr/mL)
レボセチリジン(シロップ) 5mg 0.75(0.50−1.50) 203.3±42.49 7.91±1.00 1844.7±317.56
セチリジン(ドライシロップ) 10mg 1.00(0.50−1.50) 196.5±31.31 7.85±1.00 1737.1±278.99
n=20、平均値±標準偏差、tmax:中央値(範囲)
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健康成人男性20例にレボセチリジン塩酸塩5mg(錠剤)を空腹時単回経口投与した時、血漿中レボセチリジン濃度は投与1時間後には最高血漿中濃度232.6ng/mLに到達した。血漿中濃度の消失半減期は約7.3時間であった。また、10mgを単回経口投与した時、投与量増量に伴うCmaxの上昇及びAUCの増加が認められた。セチリジン塩酸塩10mg(錠剤)を空腹時単回経口投与した時、血漿中レボセチリジン濃度は投与1時間後には最高血漿中濃度228.3ng/mLに到達し、血漿中濃度の消失半減期は約7.3時間であった。
レボセチリジン塩酸塩(錠剤)はセチリジン塩酸塩(錠剤)の半量で同様の血漿中レボセチリジン濃度が得られ、血漿中レボセチリジンのCmax及びAUC0−48は同等であった。
レボセチリジンの薬物動態パラメータ
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投与薬剤 投与量 tmax(hr) Cmax(ng/mL) t1/2(hr) AUC0−∞(ng・hr/mL)
レボセチリジン(錠剤) 5mg 1.00(0.25−4.00) 232.60±64.49 7.33±0.98 1814.06±392.49
10mg 0.75(0.50−2.00) 480.00±104.01 7.57±0.89 3546.51±712.14
セチリジン(錠剤) 10mg 1.00(0.50−2.00) 228.30±40.67 7.32±0.78 1875.37±377.94
n=20、平均値±標準偏差、tmax:中央値(範囲)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
16.1.2 反復投与
健康成人20例にレボセチリジン塩酸塩5mgを1日1回8日間空腹時反復経口投与した時、血漿中レボセチリジン塩酸塩濃度は投与開始後2日までに定常状態に到達し、AUC0−24について算出した累積係数は1.08であった(外国人データ)。
16.1.3 生物学的同等性
レボセチリジン塩酸塩ドライシロップ0.5%「日本臓器」1gとザイザルシロップ10mL(レボセチリジン塩酸塩として5mg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中レボセチリジン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、生物学的同等性の判定基準log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
レボセチリジン塩酸塩ドライシロップ0.5%「日本臓器」1gの薬物動態パラメータ
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\ 判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0−48hr(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL) tmax(hr) t1/2(hr)
レボセチリジン塩酸塩ドライシロップ0.5%「日本臓器」、1g 1699.2±251.9 209.2±38.8 0.8±0.3 8.6±1.0
ザイザルシロップ0.05%、10mL 1845.5±288.3 212.0±42.8 0.8±0.4 8.4±0.7
n=18、平均値±標準偏差
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<<図省略>>
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人20例にレボセチリジン塩酸塩5mgを食後(高脂肪食)又は空腹時に単回経口投与した時、空腹時投与と比べ、食後投与の血漿中レボセチリジン塩酸塩のtmaxは約1.3時間遅延し、Cmaxが約35%低下したが、AUCに顕著な差はみられなかった(外国人データ)。
16.3 分布
16.3.1 分布容積
健康成人男性20例にレボセチリジン塩酸塩5mgを空腹時単回経口投与した時、レボセチリジンの見かけの分布容積は25.14Lであった。
16.3.2 血漿蛋白結合率
in vitroでの14C‐レボセチリジン(0.2〜5μg/mL)のヒト血漿蛋白結合率は約92%であった。
16.4 代謝
16.4.1 代謝酵素
レボセチリジンの代謝経路はフェニル基の水酸化、N‐及びO‐脱アルキル化並びにタウリン抱合体の生成である。in vitroにおいて、レボセチリジンは主にCYP3A4で脱アルキル体に、複数のCYP分子種(未同定)でフェニル基の水酸化体に代謝された。
16.4.2 代謝酵素阻害・誘導
in vitroにおいて、レボセチリジンは臨床用量のCmax付近の濃度でCYP1A2、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4を阻害せず、UGT1A並びにCYP1A2、2C9及び3A4を誘導しなかった。
16.5 排泄
16.5.1 健康成人男性20例にレボセチリジン塩酸塩5mg及び10mgを空腹時単回経口投与した時の見かけの全身クリアランスは、それぞれ2.435±0.567L/hr及び2.482±0.582L/hrであった。
16.5.2 健康成人20例にレボセチリジン塩酸塩5mgを空腹時単回経口投与した時の投与48時間後までのレボセチリジン塩酸塩の累積尿中排泄率は約73%であった(外国人データ)。
16.5.3 健康成人男性4例に14C‐レボセチリジン塩酸塩溶液5mgを空腹時単回経口投与した時の投与168時間後までの尿及び糞中の放射能回収率はそれぞれ85.4%及び12.9%であった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能低下者
クレアチニンクリアランスが45〜90mL/min(軽度)、10〜45mL/min(中等度)の腎機能低下者、及び血液透析を必要とする重度の腎機能低下者にレボセチリジン塩酸塩5mgを単回経口投与した時、腎機能正常者に比べ、腎機能低下者では、レボセチリジン塩酸塩のAUC0−∞は約1.8〜5.7倍増加し、t1/2は約1.4〜3.9倍に延長した(外国人データ)。[2.2、7.1、9.2.1、9.2.2参照]
腎機能低下者におけるレボセチリジン塩酸塩の薬物動態パラメータ
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腎機能 正常6例 軽度低下6例 中等度低下6例 重度低下5例
CLcr(mL/min/1.73m2) 98.7±7.2 62.4±9.8 26.4±10.3 0
Cmax(ng/mL) 220.5±68.78 295.2±60.76 320.0±67.06 358.0±90.64
AUC0−∞(ng・hr/mL) 2212.5±282.60 3884.4±769.85 8290.9±3653.54 12579±3518.4
t1/2(hr) 10.4±2.76 14.9±3.12 25.2±9.73 41.0±15.54
CLr(mL/min/1.73m2) 25.6±4.64 14.3±5.13 4.2±2.33 −
CL/f(L/hr) 2.29±0.27 1.33±0.25 0.68±0.22 0.43±0.15
平均値±標準偏差
CLcr:クレアチニンクリアランス
CLr:腎クリアランス
CL/f:全身クリアランス
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16.6.2 肝障害のある患者
肝機能低下者におけるレボセチリジン塩酸塩の薬物動態の検討は行われていない。
なお、原発性胆汁性肝硬変患者にセチリジン塩酸塩10mgを単回経口投与した場合、肝機能正常者に比べ、血清中濃度消失半減期の延長、Cmaxの上昇、AUCの増大が認められた(外国人データ)。[9.3.1参照]
肝障害のある患者におけるセチリジン塩酸塩の薬物動態パラメータ
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被験者 tmax(hr) Cmax(ng/mL) t1/2(hr) AUC(mg・hr/L)
健康成人14例 1.0±0.5 384±103 7.4±1.6 3.3±0.9
原発性胆汁性肝硬変患者6例 1.0±0.4 498±118 13.8±1.8 6.4±1.6
平均値±標準偏差
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16.6.3 高齢者
高齢者(年齢:平均68歳)9例にレボセチリジン塩酸塩30mg注4)を1日1回6日間反復経口投与した時のレボセチリジン塩酸塩の全身クリアランスは、健康成人(年齢:平均40歳)と比較して約25%低かった(外国人データ)。[9.8参照]
注4)本剤の承認用量は、通常、成人には1回1g(レボセチリジン塩酸塩として5mg)を1日1回、就寝前に経口投与、最高投与量は1日2g(レボセチリジン塩酸塩として10mg)である。
高齢者におけるレボセチリジン塩酸塩の薬物動態パラメータ
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被験者 tmax(hr) Cmax(ng/mL) t1/2(hr) AUC0−∞(ng・hr/mL)
健康成人27例 0.58(0.58−2.08) 1635±268 6.92±1.10 13855±2340
高齢者9例 1.08(0.58−2.08) 1596±287 8.92±1.71 20382±6025
平均値±標準偏差、tmax:中央値(範囲)
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16.6.4 小児等
アレルギー性鼻炎もしくは皮膚疾患に伴うそう痒を有する小児(生後6ヵ月以上2歳未満)に、レボセチリジン塩酸塩1.25mgを生後6ヵ月以上1歳未満の小児には1日1回、1歳以上2歳未満の小児には1日2回投与した時、血漿中レボセチリジン濃度は次記の通りであった。
小児におけるレボセチリジン濃度
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被験者 Cmax(ng/mL) Cmin(ng/mL)
生後6ヵ月以上1歳未満 216.1±81.7(29) 21.6±19.2(30)
1歳以上2歳未満 203.4±69.1(29) 53.8±25.8(29)
平均値±標準偏差
(例数)
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