特徴
AMPC/CVA。AMPC:CVA=14
専門医コメント
主に小児に用いられる合成ペニシリン製剤で
用法・用量
通常、小児には、本剤として1日量96.4mg(力価)/kg(クラブラン酸カリウムとして6.4mg(力価)/kg、アモキシシリン水和物として90mg(力価)/kg)を2回に分けて12時間ごとに食直前に経口投与する。
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者〔8.2、9.1.1、11.1.1−11.1.3参照〕。
2.2. 伝染性単核症のある患者[発疹の発現頻度を高めるおそれがある]。2.3. 本剤の成分による黄疸又は肝機能障害の既往歴のある患者[再発するおそれがある]。
原則禁忌
ペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者。
用法・用量に関連する注意
7.1. 〈分包製剤〉次の体重換算による服用量を目安とし、症状に応じて適宜投与量を決めること。
1). 〈分包製剤〉1日量(ドライシロップとして)1.01g:体重6〜10kg。2). 〈分包製剤〉1日量(ドライシロップとして)2.02g:体重11〜16kg。
3). 〈分包製剤〉1日量(ドライシロップとして)3.03g:体重17〜23kg。
4). 〈分包製剤〉1日量(ドライシロップとして)4.04g:体重24〜30kg。
5). 〈分包製剤〉1日量(ドライシロップとして)5.05g:体重31〜36kg。
6). 〈分包製剤〉1日量(ドライシロップとして)6.06g:体重37〜39kg。
7.2. 〈ボトル製剤〉1日量(調製後懸濁液として)が0.75mL/kgになるよう調製すること〔14.1.1参照〕。
腎機能用量
高度:投与間隔延長
適応
【適応症】表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、膀胱炎、腎盂腎炎、中耳炎、副鼻腔炎【適応菌種】本剤に感性の肺炎球菌(ペニシリンGに対するMIC≦2μg/mL)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、ブドウ球菌属、大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス属、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)
効果・効能
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管炎・リンパ節炎、慢性膿皮症、咽頭炎・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、膀胱炎、腎盂腎炎、中耳炎、副鼻腔炎。
効果・効能に関連する注意
〈咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、中耳炎、副鼻腔炎〉「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
適応菌種
本剤に感性の肺炎球菌(ペニシリンGに対するMIC≦2μg/mL)、モラクセラ・カタラーリス(ブランハメラ・カタラーリス)、インフルエンザ菌、ブドウ球菌属、大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス属、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗、顔面浮腫、眼瞼浮腫等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔2.1、8.2、9.1.1参照〕。11.1.2. アレルギー反応に伴う急性冠症候群(頻度不明)〔2.1、8.2、9.1.1参照〕。
11.1.3. 薬剤により誘発される胃腸炎症候群(頻度不明):投与から数時間以内の反復性嘔吐を主症状とし、下痢、嗜眠、顔面蒼白、低血圧、腹痛、好中球増加等を伴う、食物蛋白誘発性胃腸炎に類似したアレルギー性胃腸炎(Drug−induced enterocolitis syndrome)があらわれることがある(主に小児で報告されている)〔2.1、8.2、9.1.1参照〕。
11.1.4. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症、紅皮症(剥脱性皮膚炎)(いずれも頻度不明):発熱、頭痛、関節痛、皮膚紅斑・皮膚水疱や粘膜紅斑・粘膜水疱、膿疱、皮膚緊張感・皮膚灼熱感・皮膚疼痛等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。11.1.5. 無顆粒球症、顆粒球減少、血小板減少(いずれも頻度不明)〔8.3参照〕。
11.1.6. 急性腎障害(頻度不明)〔8.4、9.2.1参照〕。11.1.7. 偽膜性大腸炎、出血性大腸炎(いずれも頻度不明):偽膜性大腸炎、出血性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある(腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと)。11.1.8. 肝障害:肝炎、黄疸、また、AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇(いずれも頻度不明)等の肝障害があらわれることがある(クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物製剤において肝障害は、主に男性と高齢患者で報告されており、また、長期投与と関連する可能性もある(兆候や症状は、通常、投与中又は投与直後に発現するが、投与終了後、数週間発現しない可能性もある)、これらの症状は通常可逆的であるが、重篤になる可能性もあり、極めてまれな状況では死亡例が報告されている)。小児におけるこれらの症状の報告は非常にまれである。
11.1.9. 間質性肺炎、好酸球性肺炎(いずれも頻度不明):咳嗽、呼吸困難、発熱等が認められた場合には、速やかに胸部X線、速やかに胸部CT等の検査を実施すること(間質性肺炎、好酸球性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと)。
11.1.10. 無菌性髄膜炎(頻度不明):項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あるいは意識混濁等を伴う無菌性髄膜炎があらわれることがある。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(1%未満)発疹、そう痒、(頻度不明)発熱、蕁麻疹、血管神経性浮腫、*血清病様症候群[*:発熱、発疹(蕁麻疹・麻疹様皮疹)、関節痛、浮腫、リンパ節症を特徴とする]、過敏性血管炎。
2). 血液:(頻度不明)好酸球増多、貧血、白血球減少、好中球減少、溶血性貧血。3). 消化器:(1%以上)下痢、悪心、嘔吐、(頻度不明)食欲不振、*歯牙変色[*:通常歯牙変色は歯磨き又は歯科医による処置によって除去することができる]、黒毛舌、変色便、消化不良。
4). 菌交代症:(1%未満)カンジダ症、口内炎。
5). ビタミン欠乏症:(頻度不明)ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)。6). 中枢神経:(頻度不明)頭痛、*痙攣[*:腎障害患者において、又は高投与量時に発現することがある]、浮動性めまい、多動。
7). 腎臓:(頻度不明)結晶尿。
8). 皮膚:(頻度不明)線状IgA水疱症。
慎重投与
1.セフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー反応を起こしやすい体質を有する患者。
3.高度腎障害のある患者[血中濃度が持続するので、投与間隔をあけて使用する]。
4.経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者[ビタミンK欠乏症状が現れることがあるので、観察を十分に行う]。
5.肝機能障害のある患者[肝機能障害が悪化する恐れがある]。
6.フェニルケトン尿症の患者[本剤はアスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)を含有する]。
重要な基本的な注意
8.1. 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。8.2. ショック、アナフィラキシー、アレルギー反応に伴う急性冠症候群、薬剤により誘発される胃腸炎症候群の発生を確実に予知できる方法はないが、事前にショック、アナフィラキシー、アレルギー反応に伴う急性冠症候群、薬剤により誘発される胃腸炎症候群の既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質によるアレルギー歴は必ず確認する)〔2.1、9.1.1、11.1.1−11.1.3参照〕。8.3. 無顆粒球症、顆粒球減少、血小板減少があらわれることがあるので、血液検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.5参照〕。
8.4. 急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと〔9.2.1、11.1.6参照〕。(特定の背景を有する患者に関する注意)
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)〔2.1、8.2、11.1.1−11.1.3参照〕。
9.1.2. 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー反応を起こしやすい体質を有する患者。
9.1.3. 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者:観察を十分に行うこと(ビタミンK欠乏症状があらわれることがある)。9.1.4. フェニルケトン尿症の患者:投与に際しては十分注意すること(本剤はアスパルテーム(L−フェニルアラニン化合物)を含有しており、本剤1.01g中7mgのフェニルアラニンを含有する)。
腎機能障害患者
9.2.1. 高度腎障害のある患者:投与間隔をあけて使用すること(血中濃度が持続する)〔8.4、11.1.6参照〕。
肝機能障害患者
肝機能障害患者:肝機能障害が悪化するおそれがある。
相互作用
10.2. 併用注意:
1). プロベネシド[アモキシシリンの排泄が抑制され、アモキシシリンの平均血清中濃度曲線下面積<AUC>が89%増加するとの報告があり、クラブラン酸のAUCは影響を受けない(プロベネシドは尿細管分泌を阻害するため、アモキシシリンの腎排泄が抑制され、アモキシシリンのAUCが増加するとの報告がある)]。2). ワルファリンカリウム[プロトロンビン時間延長(INR上昇)が報告されているので、ワルファリン投与中に本剤を投与開始又は投与中止する場合には、血液凝固能検査値等に注意し、ワルファリン投与中に本剤を投与開始又は投与中止する場合には、ワルファリンの投与量を調節するなど適切な処置を行うこと(本剤は腸内細菌によるビタミンKの産生を抑制し、ワルファリンの作用が増強される可能性があると考えられているが、機序は不明である)]。
3). 経口避妊薬[経口避妊薬の効果が減弱するおそれがある(腸内細菌叢を変化させ、経口避妊薬の腸肝循環による再吸収を抑制すると考えられている)]。4). ミコフェノール酸モフェチル[ミコフェノール酸モフェチルの効果が減弱するおそれがある(併用により、ミコフェノール酸モフェチルの活性代謝物であるミコフェノール酸のトラフ値が約50%低下したとの報告があり、本剤は、ミコフェノール酸の腸肝循環による再吸収を抑制する可能性があると考えられる)]。5). メトトレキサート[メトトレキサートのクリアランスが減少するおそれがある(メトトレキサートの尿細管分泌が阻害され、体内からの消失が遅延し、メトトレキサートの毒性が増強する可能性がある)]。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること〔15.1参照〕。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等
9.7.1. 低出生体重児、新生児、3ヵ月未満の乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2. 体重40kg以上の小児を対象とした有効性及び安全性を指標とした小児の推奨用量を確認する臨床試験は実施していない。
臨床検査結果に及ぼす影響
酵素反応を除くベネディクト試薬、フェーリング試薬による尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
過剰投与
13.1. 症状
過量投与時、消化器症状(下痢、嘔吐等)、体液バランスの変化及び電解質バランスの変化がみられる可能性がある(また、アモキシシリン結晶尿が認められたとの報告がある)。
13.2. 処置
過量投与時、本剤は血液透析によって除去することができる。
適用上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意
14.1.1. 〈ボトル製剤〉調製方法:ボトル製剤の容器に次に示す容量の約3分の2の水を先に加え激しく振り混ぜた後残りの水を加えて更に振り混ぜる[10.1gガラス瓶(過量充填されている):加える水の量;50mL、1日量;0.75mL/kg]〔7.2参照〕。
14.1.2. 〈ボトル製剤〉保存時:ボトル製剤の場合、懸濁液に調製後は、冷蔵庫(約4℃)に保存し、10日以内に使用すること。
14.2. 薬剤投与時の注意
〈ボトル製剤〉ボトル製剤の場合、使用時、十分に振り混ぜること。(取扱い上の注意)
吸湿性があるので、開封後は湿気を避けて保存すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報
適応外であるが前期破水時の感染予防を目的としたクラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物製剤投与群において、非投与群より新生児の壊死性腸炎の発生率が高いという疫学調査の報告がある〔9.5妊婦の項参照〕。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 クラバモックス小児用配合ドライシロップ
有効成分 1.01g中
日局クラブラン酸カリウム42.9mg(力価)
日局アモキシシリン水和物600mg(力価)
添加剤 軽質無水ケイ酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アスパルテーム(L‐フェニルアラニン化合物)、キサンタンガム、含水二酸化ケイ素、香料
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3.2 製剤の性状
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販売名 クラバモックス小児用配合ドライシロップ
剤形・性状 ストロベリークリームの芳香を有する白色〜帯黄白色の粉末で、用時懸濁して用いるシロップ用剤
用時懸濁するとき、白色〜帯黄白色の懸濁液
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薬効薬理
18.1 作用機序
AMPCは、合成ペニシリンで、グラム陽性菌、陰性菌の細胞壁合成を阻害し殺菌的な抗菌力を示す。CVAはβ‐ラクタマーゼを不可逆的に阻害することにより、AMPCの加水分解を防ぐ。
したがって、CVA/AMPCはAMPC感受性菌に加えて、β‐ラクタマーゼを産生するAMPC耐性菌に対しても抗菌力を示す。
18.2 抗菌作用(in vitro試験)
本剤は、ペニシリン耐性菌を含む肺炎球菌、β‐ラクタマーゼ産生菌をそれぞれ含むインフルエンザ菌及びモラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリスに対して抗菌力を示した。また、好気性のグラム陽性菌、陰性菌、嫌気性のグラム陰性菌等の広範囲の各種菌株に対して、抗菌力を示し、特にβ‐ラクタマーゼ産生AMPC耐性菌に対し、AMPC単独に比べ、抗菌力が増強された。さらに、ブドウ球菌属をはじめ、グラム陰性の大腸菌、プロテウス・ミラビリス、アンピシリン(ABPC)(含む誘導体)・AMPCが無効であるクレブシエラ属、プロテウス・ブルガリス及び嫌気性菌(バクテロイデス属等)にも幅広い抗菌力を示した。
18.3 動物感染試験
18.3.1 ペニシリン耐性肺炎球菌及びβ‐ラクタマーゼ非産生ABPC耐性(BLNAR)あるいはβ‐ラクタマーゼ産生のインフルエンザ菌による呼吸器感染ラットにおいて、CVA、AMPCを持続静注することで本剤のヒトにおける血中濃度推移をラット血中で再現することにより、肺内生菌数を有意に低下させた。
18.3.2 β‐ラクタマーゼ産生のAMPC耐性菌(大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリス、黄色ブドウ球菌)等によるマウス実験的全身感染症(腹腔内接種)、腎膿瘍(大腸菌接種)、皮下混合感染症(大腸菌、バクテロイデス・フラギリス接種)の感染防御試験において、CVA/AMPC(CVA:AMPC=1:2)はAMPC、CEX、CEZより優れた治療効果を示した。
18.4 腸内細菌叢ヘの影響
CVA/AMPC(CVA:AMPC=1:2)及びAMPCをマウスに、2mg/日、7日間連続投与し、盲腸内クロストリジウム・ディフィシルの菌数を非投与群と比較検討した。その結果、偽膜性大腸炎の原因とされるクロストリジウム・ディフィシルの増殖が明らかに少ないことが認められている。これは、クロストリジウム・ディフィシルに対する抗菌力(MIC)が0.01μg/mLであり、AMPCのMIC0.39μg/mLに比べて、著しく増強されたために菌の出現が阻止されたものと考えられる。
薬物動態
16.1 血中濃度
小児患者(18例)にクラバモックス(クラブラン酸(CVA)・アモキシシリン(AMPC)=3.2・45mg/kg/回)を経口投与した時、添付文書の図1のように平均血漿中AMPC濃度は投与約2時間後に約16μg/mLのピークを、またCVAは投与約1.5時間後に約1.7μg/mLのピークを示し、その後AMPCは半減期約1.4時間、CVAは約1.1時間で減少した(外国人データ)。AMPCの濃度が細菌のMICを上回る時間(T>MIC)によって、その効果を予測でき、T>MICが40%以上の時に細菌学的効果を発現する。クラバモックスは、12時間の投与間隔では、AMPCのMIC=4μg/mLの場合、その46%にあたる5.5時間にわたりMICを上回った。
日本人小児患者において、投与1.5及び4時間後に測定した平均血漿中AMPC及びCVA濃度は、欧米人の平均血漿中濃度と同様であった。
図1 欧米人及び日本人小児患者にクラバモックスを経口投与した時の血漿中AMPC濃度(平均±SD)[欧米人(18例)、日本人(1.5時間:19例、4時間:18例)]
<<図省略>>
図1 欧米人及び日本人小児患者にクラバモックスを経口投与した時の血漿中CVA濃度(平均±SD)[欧米人(18例)、日本人(1.5時間:19例、4時間:18例)]
<<図省略>>
小児中耳炎患者にクラバモックス(CVA・AMPC=3.2・45mg/kg)を経口投与した時、中耳分泌液中のAMPC濃度は表1のように投与後1、2及び3時間でそれぞれ平均3.2、3.3及び5.8μg/mLであった(外国人データ)。血漿中濃度との比はそれぞれ0.32、0.21及び0.53であり、AMPCは中耳分泌液中への良好な移行性を示した。
表1 小児中耳炎患者にクラバモックス(CVA・AMPC=3.2・45mg/kg)を経口投与した時の血漿及び中耳分泌液中のAMPC濃度(外国人データ)
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採血時点 AMPC
血漿中濃度(μg/mL) 中耳分泌液中濃度(μg/mL) 中耳分泌液中/血漿中の濃度比
1時間 平均 7.7 3.2 0.32
範囲(例数) 1.5−14.0(5) 0.2−5.5(4) 0.08−0.59(4)
2時間 平均 15.7 3.3 0.21
範囲(例数) 11.0−25.0(7) 1.9−6.0(5) 0.08−0.35(5)
3時間 平均 13.0 5.8 0.53
範囲(例数) 5.5−21.0(5) 3.9−7.4(5) 0.32−0.71(5)
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16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
薬物動態への食事の影響を検討した結果、AMPCは影響を受けにくいが、CVAは食直前の投与が良好なバイオアベイラビリティを示した(外国人データ)。
16.3 分布
16.3.1 血漿蛋白結合率
In vitroでの血漿蛋白結合率は、AMPCが10.6〜30.0%、CVAが13.0%であった。
16.3.2 体液・組織内移行
ヒト体液・組織内移行は良好で、喀痰、口蓋扁桃組織、女性性器(子宮動静脈血、子宮各部、卵管、卵巣)、胆汁、歯肉・上顎洞粘膜等へ移行した。
16.5 排泄
小児にCVA・AMPC(CVA:AMPC=1:2)顆粒剤を経口投与(7.5mg/kg、10.0mg/kg、15.0mg/kg、20.0mg/kg)注)した時のAMPC、CVAの平均尿中濃度の推移は添付文書の図2のとおりであり、それぞれ投与量の42〜61%、16〜29%が尿中に排泄された。なおヒト尿中にはAMPC、CVA以外の抗菌活性代謝物は認められなかった。
図2 CVA・AMPC(CVA:AMPC=1:2)顆粒剤投与時の尿中排泄
<<図省略>>
注)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、小児には、クラバモックスとして1日量96.4mg(力価)/kg(クラブラン酸カリウムとして6.4mg(力価)/kg、アモキシシリン水和物として90mg(力価)/kg)を2回に分けて12時間ごとに食直前に経口投与する。」である。