Antaa DI

drug

クリノリル錠50

特徴

  • 腎臓の組織で非活性のスリンダクに戻る性質

専門医コメント

一時供給停止が続き最近は採用から外されて

用法・用量

スリンダクとして、通常成人1日量300mgを1日2回(朝夕)に分けて、食直後に経口投与する。なお、疾患、症状により適宜増減する。

禁忌

1.消化性潰瘍又は胃腸出血のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用に基づくとされる胃粘膜防御能の低下又は消化器への直接刺激作用により、これらの症状が悪化する恐れがある]。

2.重篤な血液異常のある患者[血液の異常が悪化する恐れがある]。3.重篤な肝障害のある患者[肝障害のため、本剤及び活性代謝物(スルフィド体)の血中濃度上昇、AUCが増加する恐れがあり、また、肝障害が悪化する恐れがある]。4.重篤な腎障害のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量低下及び水、ナトリウムの貯留が起こるため、腎障害が悪化する恐れがある]。5.重篤な心機能不全のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、水、ナトリウムの貯留が起こるため、心機能不全が悪化する恐れがある]。6.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

7.アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[重症喘息発作を誘発することがある]。

8.妊婦又は妊娠している可能性のある女性。

腎機能用量

30≦CCr<60:高齢者、高血圧、糖尿病、心不全、利尿薬の併用されている症例など、腎障害のリスクの高い患者には漫然と投与しない

CCr<30:禁忌(腎機能を悪化させる恐れがある)

適応

関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎の消炎・鎮痛

効果・効能

次記疾患並びに症状の消炎・鎮痛:関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頚肩腕症候群、腱炎・腱鞘炎。

副作用

臨床試験(治験):総症例1,176例中、副作用が報告されたのは181例(15.39%)であり、主な副作用症状としては、腹痛64件(5.44%)、発疹27件(2.30%)であった。また、主な臨床検査値異常としては、AST(GOT)上昇5件(0.43%)、ALT(GPT)上昇6件(0.51%)であった。使用成績調査:総症例14,563例中、副作用が報告されたのは497例(3.41%)であり、主な副作用症状としては、腹痛166件(1.14%)、発疹81件(0.56%)であった。また、主な臨床検査値異常としては、AST(GOT)上昇21件(0.14%)、ALT(GPT)上昇22件(0.15%)であった。

重大な副作用

1.重大な副作用:次のような副作用が現れることがあるので、症状が現れた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。

1).ショック、アナフィラキシー様症状(いずれも頻度不明):冷汗、顔面蒼白、呼吸困難、血圧低下等が現れることがあるので観察を十分に行う。2).消化性潰瘍(0.1%未満)、胃腸出血、胃腸穿孔(いずれも頻度不明)。3).皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)(いずれも頻度不明)。

4).血管浮腫(頻度不明)。

5).うっ血性心不全(頻度不明)。

6).再生不良性貧血、無顆粒球症、骨髄抑制(いずれも頻度不明):血液検査を行うなど観察を十分に行う。

7).急性腎不全、急性間質性腎炎、ネフローゼ症候群(いずれも頻度不明):乏尿、血尿、尿蛋白、BUN上昇・血中クレアチニン上昇、高カリウム血症、低アルブミン血症等が現れることがある。

8).膵炎(頻度不明):血中アミラーゼ、尿中アミラーゼ、アミラーゼ−クレアチニンクリアランス比、電解質、血中カルシウム、グルコース、リパーゼ等の検査を行う。9).無菌性髄膜炎(頻度不明):項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あるいは意識混濁等を伴う無菌性髄膜炎が現れることがある(特にSLE又はMCTDの患者に発現しやすい)。

10).肝炎(0.1%未満)、肝機能障害(頻度不明)、黄疸(0.1%未満):肝炎、肝機能障害、黄疸が現れることがあるので、検査を実施するなど観察を十分に行う。

その他の副作用

2.その他の副作用:次のような症状又は異常が現れた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。

1).消化器:(頻度不明)腹部不快感、胃腸痙攣、(0.1〜5%未満)腹痛、食欲不振、消化不良、胃腸炎、悪心・嘔吐、便秘、下痢、口内炎、(0.1%未満)胃炎、鼓腸放屁、口渇、舌荒れ。

2).精神神経系:(頻度不明)神経過敏、不眠、発汗、無力症、抑うつ、精神障害、(0.1%未満)頭痛、眩暈、傾眠、知覚異常。

3).皮膚:(頻度不明)多形紅斑、光線過敏症、(0.1%未満)脱毛。4).過敏症:(頻度不明)粘膜乾燥、寒気、(0.1〜5%未満)発疹、そう痒、(0.1%未満)口内粘膜糜爛、蕁麻疹、発赤、発熱、ほてり、好酸球増多。5).肝臓:(頻度不明)胆汁うっ滞、胆石、(0.1〜5%未満)肝機能異常(AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al−P上昇等)。6).循環器:(頻度不明)血圧上昇、(0.1%未満)心悸亢進。7).血液:(頻度不明)溶血性貧血、血小板機能低下(出血時間延長)、(0.1%未満)貧血、白血球減少、血小板減少、紫斑。

8).腎臓:(頻度不明)血尿、高カリウム血症、結晶尿。9).感覚器:(頻度不明)難聴、(0.1%未満)耳鳴、視力障害、味覚異常。10).その他:(0.1〜5%未満)浮腫。

慎重投与

1.消化性潰瘍又は胃腸出血の既往歴のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用に基づくとされる胃粘膜防御能の低下又は消化器への直接刺激作用により、これらの症状が再発する恐れがある]。

2.非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある患者で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている患者[ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能・効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もあるので、本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与する]。

3.血液異常又はその既往歴のある患者[血液の異常が悪化又は再発する恐れがある]。4.出血傾向のある患者[血小板機能異常が起こることがあるため、出血傾向を助長する恐れがある]。

5.肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害のため、本剤及び活性代謝物(スルフィド体)の血中濃度上昇、AUCが増加する恐れがあり、また、肝障害が悪化又は再発する恐れがある]。

6.腎障害又はその既往歴のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量低下及び水、ナトリウムの貯留が起こるため、腎障害が悪化又は再発する恐れがある]。

7.心機能異常のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、水、ナトリウムの貯留が起こるため、心機能異常が悪化する恐れがある]。

8.過敏症の既往歴のある患者。

9.気管支喘息のある患者[重症喘息発作を誘発することがある]。10.SLE(全身性エリテマトーデス)の患者[無菌性髄膜炎等の副作用が現れやすい]。

11.MCTD(混合性結合組織病)の患者[無菌性髄膜炎等の副作用が現れやすい]。12.潰瘍性大腸炎の患者[症状が悪化する恐れがある]。13.クローン病の患者[症状が悪化する恐れがある]。

14.高齢者。

重要な基本的な注意

1.消炎鎮痛剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意する。2.慢性疾患(関節リウマチ、変形性関節症等)に対し本剤を用いる場合には、次の事項を考慮する。

1).慢性疾患(関節リウマチ、変形性関節症等)に対し本剤を長期投与する場合には、定期的に臨床検査(尿検査、血液検査等)を行い、また、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な措置を講ずる。

2).慢性疾患(関節リウマチ、変形性関節症等)に対し本剤を用いる場合には、薬物療法以外の療法も考慮する。

3.急性疾患に対し本剤を用いる場合には、次の事項を考慮する。1).急性疾患に対し本剤を用いる場合には、急性炎症、疼痛、発熱の程度を考慮し、投与する。

2).急性疾患に対し本剤を用いる場合には、原則として同一の薬剤の長期投与を避ける。

3).急性疾患に対し本剤を用いる場合には、原因療法があればこれを行う。4.患者の状態を十分観察し、副作用の発現に留意する。過度の体温下降、虚脱、四肢冷却等が現れることがあるので、特に高熱を伴う小児及び高熱を伴う高齢者又は消耗性疾患の患者においては、投与後の患者の状態に十分注意する。

5.感染症を不顕性化する恐れがあるので、感染による炎症に対して用いる場合には必要に応じて適切な抗菌剤を併用し、観察を十分に行い慎重に投与する。6.他の消炎鎮痛剤との併用は避けることが望ましい。

7.高齢者には副作用の発現に特に注意し、必要最小限の使用にとどめるなど慎重に投与する。

相互作用

併用注意:

1.メトトレキサート[メトトレキサートの血中濃度が上昇しその副作用を増強するので、血中濃度をモニターし、メトトレキサートの量を調節する(非ステロイド性消炎鎮痛剤のプロスタグランジン合成阻害作用により腎血流量が減少し、メトトレキサートの尿細管分泌を抑制するためと考えられている)]。

2.経口抗凝血剤(ワルファリンカリウム)[臨床的に有意な相互作用は認められないが、プロトロンビン時間の延長が現れたとの報告がある(本剤及び代謝物が血漿蛋白と高率に結合するため、結合部位で抗凝血剤を遊離させ、その抗凝血作用を増強させると考えられている)]。

3.血糖降下剤(トルブタミド)[臨床的に有意な相互作用は認められないが、血糖降下作用が増強される可能性がある(本剤及び代謝物は血漿蛋白と高率に結合するため、遊離型の血糖降下剤が増加すると考えられている)]。

4.ACE阻害剤、A−2受容体拮抗剤[腎機能悪化している患者では、更に腎機能が悪化する恐れがある(機序不明)]。

5.チアジド系利尿剤(ヒドロクロロチアジド)[これらの医薬品の利尿降圧作用を減弱させることがある(本剤がプロスタグランジン合成を阻害して、水、塩類の体内貯留が生じ、利尿剤の水、塩類排泄作用に拮抗するためと考えられている)]。6.アスピリン[消化器系の副作用の発現率が上昇し、また、活性代謝物<スルフィド体>の血中濃度が低下する(機序不明)]。

7.シクロスポリン[シクロスポリンによる腎毒性が増強されることがあるので、腎機能に注意する(本剤のプロスタグランジン合成阻害作用により腎血流量が減少するためと考えられている)]。

高齢者

高齢者への投与

高齢者では、副作用が現れやすいので、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する。

妊婦・授妊婦

妊婦・産婦・授乳婦等への投与

1.妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しない[妊娠末期に投与したところ、胎児の動脈管収縮、羊水過少症が起きたとの報告がある]。2.本剤投与中は授乳を中止させる[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている]。

小児等

小児等への投与

小児等に対する安全性は確立していない。

適用上の注意

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

その他の注意

1.本剤の代謝物が腎結石の構成成分として大量に含まれていたとの報告がある。2.尿が変色することがある。

3.非ステロイド性消炎鎮痛剤を長期間投与されている女性において、一時的不妊が認められたとの報告がある。

保管上の注意

気密容器。

組成・性状

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販売名 クリノリル錠50

剤形・色調 片面に割線を有する黄色の素錠

有効成分の名称 スリンダク

含量(1錠中) 50mg

添加物 セルロース、アルファー化デンプン、ステアリン酸マグネシウム

外形 表面 <<図省略>>

裏面 <<図省略>>

直径:6.7×6.1mm

側面 <<図省略>>

厚さ:2.6mm

本体コード ◇051

包装コード ◇051

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薬効薬理

1.抗炎症作用

スリンダクは急性並びに慢性炎症のいずれに対してもすぐれた抗炎症作用を有することが示されている。

急性炎症としてのラットにおけるカラゲニン浮腫及びモルモットにおける皮膚紫外線紅斑に対する抑制作用はイブプロフェンと同程度、インドメタシンの0.3〜0.5倍である。またカラゲニン浮腫においてはアスピリンの16倍の効力を有することが示されている。さらに慢性炎症としてのラットのアジュバント関節炎に対してはインドメタシンの0.5倍の効力を有する。

2.鎮痛作用

スリンダクの鎮痛作用は主として末梢性によるものである。ラットの後肢足蹠へのビール酵母の皮下注射による炎症性疼痛やアジュバント関節炎の屈曲痛に対しインドメタシンと同程度、イブプロフェンより約10倍強い鎮痛作用を示す。

3.プロスタグランジン合成酵素阻害作用

ヒツジ精嚢のプロスタグランジン合成酵素を用いたin vitro試験でスリンダクはプロスタグランジン合成酵素阻害作用を示さないが、その活性代謝物のスルフィド体はインドメタシンの0.2倍の合成酵素阻害作用を示す。

薬物動態

1.吸収

健康人にスリンダク100〜400mgを食後30分に経口投与した場合、血漿中濃度はスリンダク及びスルフィド体では投与後約4時間で最高値に達する。半減期は2相性を示し、スリンダクの第1相半減期(投与後4〜12時間)及び第2相半減期(投与後12〜48時間)はそれぞれ3時間及び11〜15時間、スルフィド体ではそれぞれ3〜4時間及び15〜18時間である。

また反復投与したとき、血漿中濃度はほぼ5日目でプラトーに達する。

2.代謝・排泄

健康人にスリンダク100〜400mgを1回経口投与した場合、尿中にはほとんどがスリンダクとスルフォン体並びにそれらの抱合体として排泄される。投与後48時間までにいずれの投与量でもほぼ同様にその35〜39%が尿中に排泄されるが、その大部分を占めるのはスルフォン体であり、そのほとんどは抱合体として排泄される。

外国人のデータでは、健康成人に14C‐標識スリンダクを経口投与した場合、血漿中からスリンダク及びその代謝物のスルフォン体並びにスルフィド体、尿中から主にスリンダクとスルフォン体及びそれらのグルクロン酸抱合体が認められている。

(注)本剤の承認された用法・用量は成人1日量300mgを1日2回(朝夕)に分けて経口投与する。