Antaa DI

drug

レスリン錠50

特徴

  • 5-HT2受容体拮抗作用と選択的5-HT

専門医コメント

抗うつ薬として第一選択になることはほぼな

用法・用量

トラゾドン塩酸塩として、通常、成人には1日75〜100mgを初期用量とし、1日200mgまで増量し、1〜数回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

禁忌

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

腎機能用量

腎機能正常者と同じ

適応

うつ病・うつ状態

効果・効能

うつ病・うつ状態。

効果・効能に関連する注意

抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること〔8.2−8.5、9.1.4、9.1.7、15.1.1参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. QT延長、心室頻拍(torsade de pointesを含む)、心室細動、心室性期外収縮(いずれも頻度不明)〔8.7参照〕。11.1.2. 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。11.1.3. セロトニン症候群(頻度不明):錯乱、発汗、反射亢進、ミオクロヌス、戦慄、頻脈、振戦、発熱、協調異常等が認められた場合には、投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと〔10.2参照〕。11.1.4. 錯乱(頻度不明)、せん妄(0.07%):減量又は休薬等の適切な処置を行うこと。

11.1.5. 麻痺性イレウス(0.03%):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

11.1.6. 持続性勃起(頻度不明):陰茎の持続性勃起及び陰核の持続性勃起の治療として、アドレナリン、ノルアドレナリンなどのα−アドレナリン作動薬の海綿体内注射及び外科的処置が行われた症例が報告されている。

11.1.7. 無顆粒球症(頻度不明)〔8.8参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 循環器:(0.1〜5%未満)低血圧、動悸・頻脈、(0.1%未満)失神、徐脈、不整脈、(頻度不明)高血圧、起立性低血圧。

2). 精神神経系:(0.1〜5%未満)眠気、めまい・ふらつき、頭痛・頭重、構音障害、振戦等のパーキンソン症状、頭がボーッとする、視調節障害(霧視、複視等)、不眠、運動失調、躁転、(0.1%未満)痙攣、焦燥感、流涎、健忘、知覚障害、幻覚、運動過多、不安、見当識障害、口周囲不随意運動、集中力低下、(頻度不明)興奮、妄想、性欲亢進、性欲減退、悪夢、怒り・敵意(攻撃的反応)、異常感覚、インポテンス、協調運動障害、激越。

3). 過敏症:(0.1〜5%未満)浮腫、発疹、(0.1%未満)そう痒感、(頻度不明)眼瞼そう痒感。

4). 血液:(0.1〜5%未満)白血球減少、貧血、(0.1%未満)白血球増多、(頻度不明)溶血性貧血、血小板減少。

5). 消化器:(0.1〜5%未満)口渇、便秘、悪心・嘔吐、食欲不振、腹痛、(0.1%未満)下痢、胃重感、嚥下障害、腹部膨満感、味覚異常、(頻度不明)食欲亢進、胸やけ。

6). 肝臓:(0.1〜5%未満)肝機能障害(AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇、γ−GTP上昇等)。

7). その他:(0.1〜5%未満)倦怠感、ほてり、脱力感、排尿障害、(0.1%未満)鼻閉、関節痛、筋肉痛、発汗、眼精疲労、耳鳴、尿失禁、頻尿、射精障害、月経異常、乳房痛、胸痛、体重減少、体重増加、疲労、悪寒、血清脂質増加、(頻度不明)息切れ、血尿、乳汁分泌、眼球充血、低ナトリウム血症、発熱。使用成績調査(1991年6月28日〜1995年6月27日)を含む。

重要な基本的な注意

8.1. 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

8.2. うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.3−8.5、9.1.4、9.1.7、15.1.1参照〕。

8.3. 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪、軽躁増悪、躁病増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2、8.4、8.5、9.1.4−9.1.7、15.1.1参照〕。8.4. 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2、8.3、8.5、9.1.4、9.1.7、15.1.1参照〕。8.5. 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.4、9.1.4−9.1.7、15.1.1参照〕。

8.6. 投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、不安、睡眠障害等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。

8.7. QT延長、心室頻拍(torsade de pointesを含む)、心室細動、心室性期外収縮があらわれることがあるので、定期的に心電図検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.1参照〕。

8.8. 無顆粒球症があらわれたとの報告があるので、血液検査等の観察を十分に行うこと〔11.1.7参照〕。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

9.1.1. 心筋梗塞回復初期の患者及び心疾患の患者又はその既往歴のある患者:循環器系に影響を及ぼすおそれがある。

9.1.2. 緑内障、排尿困難又は眼内圧亢進のある患者:抗コリン作用を若干有するため、症状を悪化させるおそれがある。

9.1.3. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣発作を起こすおそれがある。

9.1.4. 躁うつ病の患者:躁転、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.7、15.1.1参照〕。9.1.5. 脳器質障害又は統合失調症素因のある患者:精神症状を増悪させることがある〔8.3、8.5、9.1.6参照〕。

9.1.6. 衝動性が高い併存障害を有する患者:精神症状を増悪させることがある〔8.3、8.5、9.1.5参照〕。

9.1.7. 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.4、15.1.1参照〕。

相互作用

本剤は主に肝代謝酵素CYP3A4、CYP2D6で代謝される。10.2. 併用注意:

1). 降圧剤[起立性低血圧及び失神を含む低血圧が起こるおそれがあるので、降圧剤の用量調節に注意すること(本剤によってもまた、血圧低下があらわれることがある)]。

2). アルコール[本剤の作用が増大するおそれがある;なお、できるだけ飲酒は避けさせること(中枢神経抑制作用が増強される)]。

3). 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)[本剤の作用が増大するおそれがある(中枢神経抑制作用が増強される)]。

4). モノアミン酸化酵素阻害剤[これらの薬剤の中止直後あるいは併用する場合に、本剤の作用が増大するおそれがあるので、本剤の投与量を徐々に増量するなど慎重に投与を開始すること(セロトニン再取り込み阻害作用により、脳内のセロトニン濃度が高まるおそれがある)]。

5). 強心配糖体(ジゴキシン等)、フェニトイン[ジゴキシン又はフェニトインの血清中濃度が上昇するおそれがある(機序不明)]。

6). フェノチアジン誘導体(クロルプロマジン塩酸塩等)[血圧低下を起こすおそれがある(ともにα受容体遮断作用を有する)]。

7). ワルファリンカリウム[プロトロンビン時間の短縮がみられたとの報告がある(機序不明)]。

8). カルバマゼピン[本剤の血中濃度が低下し作用が減弱するおそれがある(CYP3A4の誘導作用により本剤の代謝が促進される)]。

9). CYP3A4阻害剤(リトナビル、ニルマトレルビル・リトナビル、インジナビル)[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがあるので、本剤を減量するなど用量に注意すること(これらの薬剤のCYP3A4阻害作用により本剤の代謝が阻害される)]。

10). セロトニン作動薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>(パロキセチン)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤<SNRI>、アミトリプチリン、イミプラミン塩酸塩、クロミプラミン塩酸塩、タンドスピロン、炭酸リチウム、トリプタン系薬剤、L−トリプトファン含有製剤、タペンタドール塩酸塩含有製剤、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物含有製剤、トラマドール塩酸塩含有製剤、フェンタニル含有製剤、ペチジン塩酸塩含有製剤、ペンタゾシン含有製剤、メサドン塩酸塩等)〔11.1.3参照〕、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品〔11.1.3参照〕[セロトニン症候群を起こすおそれがある(機序不明)]。

高齢者

減量するなど注意すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。

妊婦・授妊婦

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること〔16.3参照〕。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中へごくわずか移行する)〔16.6.1参照〕。

小児等

国内において、小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

過剰投与

13.1. 症状

13.1.1. 本剤の過量投与により、眠気と嘔吐がもっとも頻繁にみられ、また、torsade de pointes、QT延長、心電図変化、持続性勃起、呼吸停止、痙攣発作、立ちくらみ、ふらつきが発現することが報告されている。13.1.2. 本剤の過量投与の患者に次の薬剤を併用した症例で死亡例が報告されている:アルコール、アモバルビタール、クロルジアゼポキシド、メプロバメート又はアルコール・抱水クロラール・ジアゼパム。

13.2. 処置

過量投与時、特異的な解毒剤は知られていない。

適用上の注意

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

取扱い上の注意

着色することがあるので、高温多湿を避けて保存すること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. 海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、本剤を含む複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.4、9.1.7参照〕。15.1.2. 主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。

15.1.3. 電気ショック療法との併用は、経験がないため避けること。

保管上の注意

室温保存。

組成・性状

3.1 組成

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

販売名 レスリン錠50

有効成分 1錠中 トラゾドン塩酸塩 50.0mg

添加剤 乳糖水和物、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、酸化チタン

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

3.2 製剤の性状

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

販売名 レスリン錠50

剤形・色調 フィルムコーティング錠・白色

外形 表面 <<図省略>>

直径:7.1mm

裏面 <<図省略>>

側面 <<図省略>>

厚さ:3.5mm

重さ 128.0mg

識別コード XD2

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

薬効薬理

18.1 作用機序

トラゾドン塩酸塩の抗うつ作用の作用機序は次のように考えられる。

・セロトニン(5‐HT)再取り込み阻害作用を示し、うつ病患者で低下したセロトニン神経機能を亢進させる。

・5‐HT2受容体遮断作用が比較的強く、うつ病・うつ状態に伴う睡眠障害を改善させる。

18.2 セロトニン取り込み阻害作用

18.2.1 ラット脳シナプトゾームを用いた実験で、ノルアドレナリンよりもセロトニンに対して強い取り込み阻害作用を示した。

18.2.2 ラットでのin vivo試験において、ノルアドレナリン取り込み阻害作用はほとんど認められなかった。

18.3 各種モノアミン受容体への作用

ラット脳を用いたin vitroの実験において、α1及びα2受容体並びにセロトニン受容体に対して親和性を示すが、ドーパミン受容体及びムスカリン性アセチルコリン受容体に対する親和性はほとんどなかった。

18.3.1 セロトニン受容体

(1)5‐HT2(セロトニン2)受容体遮断作用が比較的強かった。

(2)低用量では、セロトニンにより誘発されるマウス首振り行動(head twitch)を抑制し、フェンフルラミンによるラット後肢屈曲反射亢進を抑制したことからセロトニン受容体遮断作用を有すると考えられる。高用量では、それ自体で後肢屈曲反射を亢進したことからセロトニン受容体に対する直接的な刺激作用を有すると考えられる。

18.3.2 α受容体/β受容体

(1)ラットを用いた実験において、ノルアドレナリンによる昇圧反応を抑制したことから、α受容体遮断作用を有すると考えられる。

(2)ラットを用いた実験において、25日間の連続投与によりβ受容体への[3H]‐ジヒドロアルプレノロール結合量が減少し、β受容体の感受性が低下したと考えられる。

18.4 抗うつ、抗不安・鎮静作用の検討

18.4.1 従来の三環系抗うつ薬と異なり、ラットを用いた抗レセルピン作用、マウスを用いたメタンフェタミンの作用増強効果を示さず、強制遊泳試験においても副作用が認められず、マウスを用いた抗コリン作用もほとんど認められなかった。

18.4.2 健康成人における定量脳波試験において、100mg投与1時間後にthymoleptic型の脳波変化を示すが、低域α波の増加と速波の減少が特徴的であった。トラゾドン塩酸塩の作用特性は精神賦活作用よりも抗不安・鎮静作用が強いと考えられる。

薬物動態

16.1 血中濃度

16.1.1 単回投与

健康成人にトラゾドン塩酸塩50mg注)及び100mgを食後に単回経口投与したとき、血漿中トラゾドン濃度は投与3〜4時間後に最高値に達し、半減期6〜7時間で消失した。

16.1.2 反復投与

健康成人にトラゾドン塩酸塩25mgを1日3回14日間反復経口投与したとき、血漿中トラゾドン濃度は投与2日目から定常状態に達した。

16.2 吸収

ラット及びイヌにトラゾドン塩酸塩を経口投与したとき、主として小腸から良好かつ速やかに吸収された。

16.3 分布

ラット及びイヌ等に14C標識トラゾドン塩酸塩を経口投与したとき、直ちに各組織に分布したが、消失は速やかであった。また、ラットに14C標識トラゾドン塩酸塩を経口投与したとき、胎仔への移行は少なかった。[9.5参照]

トラゾドンの血清蛋白結合率は、健康成人、精神疾患を有する患者、慢性腎不全患者で94〜95%、血液透析患者で79%であり、主要な結合蛋白はアルブミンである(in vitro)(外国人データ)。

16.4 代謝

健康成人にトラゾドン塩酸塩を経口投与したとき、尿中にはオキソトリアゾロピリジンプロピオン酸(TPA)が最も多く、他に4‐ヒドロキシ体のグルクロン酸抱合体、ジヒドロジオール体等が認められた。未変化体は極めて少量であった。

16.5 排泄

ラット及びイヌに14C標識トラゾドン塩酸塩を経口投与したとき、尿中への排泄率は約40%であり、一部腸肝循環することが示唆された。

16.6 特定の背景を有する患者

16.6.1 授乳婦

授乳婦にトラゾドン塩酸塩50mg注)を単回経口投与したとき、血漿中トラゾドン濃度は投与2時間後に最高値に達し、その後二相性で減少した。乳汁中トラゾドン濃度は血漿中濃度の約1/10で、血漿中濃度とほぼ並行して推移した(外国人データ)。[9.6参照]

注)本剤の用法及び用量は「トラゾドン塩酸塩として、通常、成人には1日75〜100mgを初期用量とし、1日200mgまで増量し、1〜数回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。」である。