特徴
等価換算量:リスパダール1㎎=セレネース
専門医コメント
ロナセンテープは、内服よりも血中濃度が一
用法・用量
通常、成人にはブロナンセリンとして1回4mg、1日2回食後経口投与より開始し、徐々に増量する。維持量として1日8〜16mgを2回に分けて食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は24mgを超えないこと。通常、小児にはブロナンセリンとして1回2mg、1日2回食後経口投与より開始し、徐々に増量する。維持量として1日8〜16mgを2回に分けて食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は16mgを超えないこと。
禁忌
2.1. 昏睡状態の患者[昏睡状態が悪化するおそれがある]。2.2. バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される]。
2.3. アドレナリン投与中<アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く>の患者〔10.1参照〕。
2.4. イトラコナゾール投与中、ボリコナゾール投与中、ミコナゾール<経口剤・口腔用剤・注射剤>投与中、フルコナゾール投与中、ホスフルコナゾール投与中、ポサコナゾール投与中、リトナビル含有製剤投与中、ダルナビル投与中、アタザナビル投与中、ホスアンプレナビル投与中、エンシトレルビル投与中、コビシスタット含有製剤投与中、ロナファルニブ投与中の患者〔10.1参照〕。
2.5. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
用法・用量に関連する注意
7.1. 小児において増量する場合には、1週間以上の間隔をあけて行うこと(1週間未満で増量した場合の安全性は確立していない(使用経験が少ない))。7.2. 成人において、ブロナンセリン経皮吸収型製剤から本剤へ切り替える場合には、本剤の用法・用量に従って、1回4mg、1日2回食後経口投与より開始し、徐々に増量すること。成人において、本剤からブロナンセリン経皮吸収型製剤へ切り替える場合には、次の投与予定時刻に切り替え可能であるが、患者の状態を十分観察し、切り替えに際しては、ブロナンセリン経皮吸収型製剤の「臨床成績」の項を参考に用量を選択すること。なお、成人において、本剤とブロナンセリン経皮吸収型製剤を同時期に投与することにより過量投与にならないよう注意すること。
腎機能用量
腎機能正常者と同じ
適応
統合失調症
効果・効能
統合失調症。
効果・効能に関連する注意
本剤は、原則として12歳以上の患者に使用すること〔9.7小児等の項参照〕。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 悪性症候群(5%未満):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある〔9.1.6参照〕。11.1.2. 遅発性ジスキネジア(5%未満):長期投与により、口周部不随意運動等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること(なお、投与中止後も症状が持続することがある)。11.1.3. 麻痺性イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔15.2.1参照〕。
11.1.4. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。11.1.5. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。11.1.6. 無顆粒球症、白血球減少(いずれも頻度不明)。11.1.7. 肺塞栓症、深部静脈血栓症(いずれも頻度不明):肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔9.1.7参照〕。
11.1.8. 肝機能障害(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇、ALP上昇、ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。11.1.9. 高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(いずれも頻度不明):高血糖悪化や糖尿病悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと〔8.4、9.1.5参照〕。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(5%未満)発疹、湿疹、そう痒。
2). 循環器:(5%未満)血圧低下、起立性低血圧、血圧上昇、心電図異常(QT間隔延長、T波変化等)、頻脈、徐脈、不整脈、心室性期外収縮、上室性期外収縮、動悸、心拍数増加、心拍数減少。
3). 錐体外路症状:(5%以上)パーキンソン症候群(振戦、筋強剛、流涎過多、寡動、運動緩慢、歩行障害、仮面様顔貌等)(33.5%)、アカシジア(静坐不能)(24.7%)、ジスキネジア(構音障害、嚥下障害、口周部不随意運動・四肢不随意運動等の不随意運動等)(12.9%)、ジストニア(痙攣性斜頚、顔面攣縮・喉頭攣縮・頚部攣縮、眼球上転発作、後弓反張等)[症状があらわれた場合には必要に応じて減量又は抗パーキンソン薬の投与等、適切な処置を行うこと]。
4). 肝臓:(5%未満)AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇、LDH上昇、ALP上昇、ビリルビン上昇、肝機能異常、(頻度不明)脂肪肝。5). 眼:(5%未満)眼調節障害、霧視、羞明、(頻度不明)眼乾燥。6). 消化器:(5%以上)便秘、食欲不振、悪心、(5%未満)嘔吐、食欲亢進、下痢、上腹部痛、腹痛、胃不快感、腹部膨満感、口唇炎、(頻度不明)胃炎、胃腸炎。7). 内分泌:(5%以上)プロラクチン上昇(21.3%)、(5%未満)月経異常、乳汁分泌、射精障害、女性化乳房、勃起不全。
8). 泌尿器:(5%未満)排尿困難、尿閉、尿失禁、頻尿。9). 精神神経系:(5%以上)不眠(19.6%)、眠気(12.4%)、不安・焦燥感・易刺激性、めまい・ふらつき、頭重・頭痛、興奮、(5%未満)統合失調症の悪化、過鎮静、脱抑制、抑うつ、幻覚・幻聴、妄想、被害妄想、睡眠障害、行動異常、多動、自殺企図、脳波異常、躁状態、意識障害、異常感、しびれ感、会話障害、多弁、緊張、痙攣、(頻度不明)攻撃性、悪夢。
10). 血液:(5%未満)白血球増加、好中球増加、白血球減少、リンパ球減少、赤血球増加、貧血、赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少、血小板増加、血小板減少、異型リンパ球出現。
11). その他:(5%以上)倦怠感、口渇、脱力感、(5%未満)発汗、発熱、体重増加、体重減少、胸痛、咳嗽、過換気、鼻漏、鼻出血、多飲、顔面浮腫、嚥下性肺炎、低体温、CK上昇、トリグリセリド上昇、血中コレステロール上昇、血中インスリン上昇、血中リン脂質増加、血糖上昇、BUN上昇、BUN減少、血中総蛋白減少、血中カリウム上昇、血中カリウム減少、血中ナトリウム減少、尿中蛋白陽性、尿中ウロビリン陽性、尿糖陽性、尿潜血陽性、(頻度不明)浮腫、水中毒、脱毛、糖尿病、血糖低下、上気道感染、鼻咽頭炎、四肢痛。
頻度不明にはブロナンセリン経皮吸収型製剤のみで認められた副作用を含む。
重要な基本的な注意
8.1. 本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。
8.2. 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.3. 興奮悪化、誇大性悪化、敵意悪化等の陽性症状を悪化させる可能性があるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
8.4. 本剤の投与により、高血糖悪化や糖尿病悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤の投与に際しては、あらかじめ高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至る副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること(特に糖尿病又はその既往歴あるいは糖尿病の危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと)〔9.1.5、11.1.9参照〕。(特定の背景を有する患者に関する注意)
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 心・血管系疾患、低血圧、又はそれらの疑いのある患者:一過性血圧降下があらわれることがある。
9.1.2. パーキンソン病又はレビー小体型認知症のある患者:錐体外路症状が悪化するおそれがある。
9.1.3. てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者:痙攣閾値を低下させるおそれがある。
9.1.4. 自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者:症状を悪化させるおそれがある。
9.1.5. 糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者:血糖値が上昇することがある〔8.4、11.1.9参照〕。
9.1.6. 脱水を伴う身体的疲弊・栄養不良状態を伴う身体的疲弊等のある患者:悪性症候群が起こりやすい〔11.1.1参照〕。
9.1.7. 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者:肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている〔11.1.7参照〕。
肝機能障害患者
肝機能障害患者:血中濃度が上昇するおそれがある。
相互作用
本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4で代謝される〔16.4.3参照〕。10.1. 併用禁忌:
1). アドレナリン<アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く><ボスミン>〔2.3参照〕[アドレナリンの作用を逆転させ重篤な血圧降下を起こすことがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β−受容体の刺激剤であり、本剤のα−受容体遮断作用により、β−受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される)]。2). CYP3A4を強く阻害する薬剤(イトラコナゾール<イトリゾール>、ボリコナゾール<ブイフェンド>、ミコナゾール<経口剤・口腔用剤・注射剤><フロリード、オラビ>、フルコナゾール<ジフルカン>、ホスフルコナゾール<プロジフ>、ポサコナゾール<ノクサフィル>、リトナビルを含む製剤<ノービア、カレトラ、パキロビッド>、ダルナビル<プリジスタ>、アタザナビル<レイアタッツ>、ホスアンプレナビル<レクシヴァ>、エンシトレルビル<ゾコーバ>、コビシスタットを含む製剤<ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ>、ロナファルニブ<ゾキンヴィ>)〔2.4、16.7.3参照〕[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性があり、外国において、ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)との併用により本剤のAUCが17倍、Cmaxが13倍に増加したとの報告がある)]。
10.2. 併用注意:
1). アドレナリン含有歯科麻酔剤(リドカイン・アドレナリン歯科麻酔剤)[重篤な血圧降下を起こすことがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β−受容体の刺激剤であり、本剤のα−受容体遮断作用により、β−受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある)]。
2). 中枢神経抑制剤、アルコール[相互に作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること(本剤及びこれらの薬剤等の中枢神経抑制作用による)]。3). ドパミン作動薬(レボドパ製剤、ブロモクリプチン等)[相互に作用が減弱することがある(本剤はドパミン受容体遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる)]。
4). 降圧薬[降圧作用が増強することがある(本剤及びこれらの薬剤の降圧作用による)]。
5). エリスロマイシン〔16.7.1参照〕[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて減量するなど慎重に投与すること(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性があり、エリスロマイシンとの併用により本剤のAUCが2.7倍、Cmaxが2.4倍に増加したとの報告がある)]。
6). グレープフルーツジュース〔16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて減量するなど慎重に投与すること(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性があり、グレープフルーツジュースとの併用により本剤のAUC、Cmaxが1.8倍に増加したとの報告がある)]。
7). CYP3A4阻害作用を有する薬剤(クラリスロマイシン、シクロスポリン、ジルチアゼム等)[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて減量するなど慎重に投与すること(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性がある)]。8). CYP3A4誘導作用を有する薬剤(フェニトイン、カルバマゼピン、バルビツール酸誘導体、リファンピシン等)[本剤の血中濃度が低下し作用が減弱するおそれがある(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を誘導するため、経口クリアランスが増加する可能性がある)]。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下しているので、血中濃度が上昇する可能性があり、錐体外路症状等の副作用があらわれやすい)。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている)。
小児等
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は12歳未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない〔5.効能又は効果に関連する注意の項参照〕。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意
14.1.1. 本剤の吸収は食事の影響を受けやすく、有効性及び安全性は食後投与により確認されているため、食後に服用するよう指導すること〔16.1.2参照〕。14.1.2. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報
15.1.1. 本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。15.1.2. 外国で実施された高齢認知症患者を対象とした17の臨床試験において、類薬の非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6〜1.7倍高かったとの報告がある(なお、本剤との関連性については検討されておらず、明確ではない)、また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率上昇に関与するとの報告がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報
15.2.1. 動物実験(イヌ)で制吐作用が認められたため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化する可能性がある〔11.1.3参照〕。15.2.2. げっ歯類(マウス、ラット)に104週間経口投与したがん原性試験において、マウス(1mg/kg/日以上)で乳腺腫瘍、下垂体腫瘍、ラット(1mg/kg/日)で乳腺腫瘍の発生頻度の上昇が認められた。これらの所見は、プロラクチンに関連した変化として、げっ歯類ではよく知られている。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 ロナセン錠2mg
有効成分 1錠中ブロナンセリン2mg
添加剤 乳糖水和物、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム
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3.2 製剤の性状
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販売名 ロナセン錠2mg
色・剤形 白色の素錠
外形 <<図省略>> <<図省略>> <<図省略>>
大きさ 直径(mm) 厚さ(mm) 重さ(mg)
約5.8 約2.4 約60
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薬効薬理
18.1 作用機序
In vitro受容体結合試験において、ブロナンセリンはドパミンD2受容体サブファミリー(D2、D3)及びセロトニン5‐HT2A受容体に対して親和性を示し、完全拮抗薬として作用した。主要代謝物であるN‐脱エチル体もドパミンD2受容体サブファミリー(D2、D3)及びセロトニン5‐HT2A受容体に対して親和性を示したが、ドパミンD2受容体への親和性はブロナンセリンの約1/10であった。N‐脱エチル体はセロトニン5‐HT2C受容体及び5‐HT6受容体に対しても親和性が認められた。また、ブロナンセリンはアドレナリンα1、ヒスタミンH1、ムスカリンM1及びM3等の受容体に対して主作用であるドパミンD2受容体サブファミリー(D2、D3)及びセロトニン5‐HT2A受容体への親和性に比べて低い親和性を示し、N‐脱エチル体もアドレナリンα1、ヒスタミンH1、ムスカリンM1等の受容体に対する親和性は低かった。
18.2 薬理作用
動物実験において、次の薬理作用が認められている。
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作用の種類(動物種、投与経路) EDあるいはED50(mg/kg) 備考
ブロナンセリン ハロペリドール
条件回避反応抑制作用 単回投与(ラット、経口) 反復投与(ラット、経口) ED50:0.55 耐性なし ED50:0.62 耐性なし 抗精神病効果と相関
側坐核内ドパミン投与による運動過多の抑制作用(ラット、経口) ED:0.3〜3 ED:1、3 ドパミン仮説に基づく統合失調症の病態モデルへの作用
メタンフェタミン誘発前頭前皮質自発発火障害の改善作用(ラット、静脈内) ED:1 − ドパミン仮説に基づく統合失調症の病態モデルへの作用
メタンフェタミン誘発運動過多抑制作用(ラット、経口) ED50:0.446 ED50:0.287 陽性症状改善作用の指標
フェンシクリジン誘発無動改善作用(マウス、経口) ED:0.3、1 − 陰性症状改善作用の指標
アポモルヒネ誘発プレパルス抑制障害改善作用(ラット、経口) ED:0.3〜3 ED:1、3 認知障害改善作用の指標
カタレプシー惹起作用(ラット、経口) ED50:16.4 ED50:5.63 急性期錐体外路系副作用の指標
SKF38393誘発異常口唇運動増強作用(ラット、経口) 10mg/kg/dayで作用なし ED:3 慢性期錐体外路系副作用の指標
ED:作用用量、ED50:50%作用用量
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薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与(空腹時投与)
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(健康成人8例、空腹時単回経口投与)
投与量(mg) Tmax(h)a) Cmax(ng/mL)b) t1/2(h)b) AUClast(ng・h/mL)b)
4 1.5(1−3) 0.14±0.04 10.7±9.4 0.91±0.34
8 1.5(0.5−2) 0.45±0.22 12.0±4.4 2.82±1.38
12 1.5(1−3) 0.76±0.44 16.2±4.9 6.34±6.34
a)中央値(最小値−最大値)、b)平均値±標準偏差
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<<図省略>>
16.1.2 単回投与(食後投与)
食後単回経口投与におけるCmax及びAUC0−12は、空腹時投与と比較して、それぞれ2.68倍及び2.69倍上昇した。また、食後投与時のTmax及び平均滞留時間(MRT)は、空腹時投与に比べて有意に延長したが、消失速度定数(kel)に差は認められなかった。[14.1.1参照]
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(健康成人12例、2mg注)食後単回経口投与)
投与時期 Tmax(h) Cmax(ng/mL) AUC0−12(ng・h/mL) MRT(h) kel(l/h)
空腹時 1.8±0.6 0.06±0.03 0.36±0.17 7.19±1.26 0.16±0.03
食後 3.8±1.7 0.14±0.07 0.83±0.38 9.63±4.04 0.15±0.05
平均値±標準偏差
注)本剤の承認された用法・用量は、成人は1日8〜24mgを2回に分けて、小児は1日4mgより開始し8〜16mgを2回に分けて食後経口投与である。
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<<図省略>>
16.1.3 反復投与(食後投与)
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(健康成人10例、1回2mg注)1日2回(朝・夕食後)10日間反復経口投与)
Tmax(h)a) Cmax(ng/mL)b) t1/2(h)b) AUC0−12(ng・h/mL)b)
2(2−2) 0.57±0.19 67.9±27.6 3.22±1.10
a)中央値(最小値−最大値)、b)平均値±標準偏差
注)本剤の承認された用法・用量は、成人は1日8〜24mgを2回に分けて、小児は1日4mgより開始し8〜16mgを2回に分けて食後経口投与である。
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16.1.4 小児
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(小児統合失調症患者(12〜18歳)、1日2回(朝・夕食後)、4〜24mg/日注)、反復経口投与)
採血直前の1回投与量 採血時点 血漿中ブロナンセリン濃度(ng/mL)
6週 28〜36週 52〜60週
4mg 2−4時間付近 − 0.46±0.26(14) −
トラフ付近 0.25±0.12(38) 0.29±0.13(6) 0.19±0.13(21)
8mg 2−4時間付近 − 0.79±0.30(7) −
トラフ付近 0.45±0.19(36) 0.41±0.48(5) 0.51±0.27(12)
平均値±標準偏差(例数)
注)本剤の承認された用法・用量は、成人は1日8〜24mgを2回に分けて、小児は1日4mgより開始し8〜16mgを2回に分けて食後経口投与である。
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小児統合失調症患者(12〜18歳)に本剤4〜24mgを1日2回に分けて朝食後及び夕食後に投与時の血漿中濃度(解析対象:132例、濃度データ数:347データ)を用いて母集団薬物動態解析を実施した結果、1日投与量が8mg又は16mgの患者のAUC24,SS推定値(平均値±標準偏差)はそれぞれ9.04±3.48ng・h/mL(42例)、17.7±9.46ng・h/mL(30例)であった。また、15歳未満と小児患者全例で薬物動態は類似していた。
16.2 吸収
16.2.1 吸収率
84%(ラット)
16.3 分布
16.3.1 血清蛋白結合率
99.7%以上(in vitro、ヒト血清、10ng/mL〜2μg/mL、平衡透析法)
16.4 代謝
16.4.1 主な代謝産物
N‐脱エチル体(in vivo薬理活性:未変化体の1/4.4〜1/25)
7,8位の各水酸化体及びこれらのグルクロン酸抱合体
脳内では、主として未変化体及びN‐脱エチル体が認められた(ラット、イヌ、サル)。
16.4.2 代謝経路
ブロナンセリンは、ピペラジン環のN‐脱エチル化及びN‐オキシド化、シクロオクタン環の酸化、これに続く抱合反応あるいはピペラジン環の開環など広範に代謝される。
16.4.3 代謝酵素
ブロナンセリンは、主としてCYP3A4で代謝されると考えられる(in vitro)。[10.参照]
16.5 排泄
16.5.1 排泄経路
尿中及び糞便中
16.5.2 排泄率
健康成人6例に14C‐ブロナンセリン4mgを朝食2時間後単回投与したとき、尿中及び糞便中には、それぞれ投与放射能量の約59%及び約30%が排泄された。尿中に未変化体は認められず、主代謝物として数種類のグルクロン酸抱合体が存在した。また、糞便中には未変化体が少量(糞便中放射能量の5%未満)認められた(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 エリスロマイシン併用時の薬物動態
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(健康成人12例に本剤2mg注)を朝食後投与)[10.2参照]
Tmax(h)a) Cmax(ng/mL)b) t1/2(h)b) AUClast(ng・h/mL)b)
単独投与時 2(1−3) 0.26±0.11 14.9±8.5 1.94±1.03
併用投与時c) 3(2−3) 0.63±0.24 27.0±11.0 4.93±1.65
a)中央値(最小値−最大値)、b)平均値±標準偏差
c)本剤投与7日前より投与前日までエリスロマイシン1,200mg/日(分4)を反復経口投与し、本剤投与時はエリスロマイシン300mgを併用
注)本剤の承認された用法・用量は、成人は1日8〜24mgを2回に分けて、小児は1日4mgより開始し8〜16mgを2回に分けて食後経口投与である。
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16.7.2 グレープフルーツジュース併用時の薬物動態
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(健康成人12例に本剤2mg注)を朝食後投与)[10.2参照]
Tmax(h)a) Cmax(ng/mL)b) t1/2(h)b) AUClast(ng・h/mL)b)
単独投与時 2(1−3) 0.22±0.13 12.3±11.7 1.73±0.96
併用投与時c) 2.5(1−6) 0.39±0.25 15.7±8.7 3.17±1.71
a)中央値(最小値−最大値)、b)平均値±標準偏差
c)本剤投与60分前及び投与時にグレープフルーツジュース200mLを摂取
注)本剤の承認された用法・用量は、成人は1日8〜24mgを2回に分けて、小児は1日4mgより開始し8〜16mgを2回に分けて食後経口投与である。
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16.7.3 ケトコナゾール併用時の薬物動態
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(健康成人12例に本剤2.5mg注)を朝食後投与(外国人データ))[10.1参照]
Tmax(h)a) Cmax(ng/mL)b) t1/2(h)b) AUClast(ng・h/mL)b)
単独投与時 3(1−5) 0.32±0.13 20.9±9.0 2.60±1.39
併用投与時c) 4.3(2−5) 4.22±2.05 18.2±5.5 45.17±22.82
a)中央値(最小値−最大値)、b)平均値±標準偏差
c)本剤投与7日前より投与当日までケトコナゾール400mg/日反復経口投与
注)本剤の承認された用法・用量は、成人は1日8〜24mgを2回に分けて、小児は1日4mgより開始し8〜16mgを2回に分けて食後経口投与である。
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注)本剤の承認された用法・用量は、成人は1日8〜24mgを2回に分けて、小児は1日4mgより開始し8〜16mgを2回に分けて食後経口投与である。