Antaa DI

drug

ラツーダ錠40mg

特徴

  • 双極性障害におけるうつ症状の改善に適応を

専門医コメント

副作用として、アカシジアは若干多いものの

用法・用量

〈統合失調症〉

通常、成人にはルラシドン塩酸塩として40mgを1日1回食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は80mgを超えないこと。〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉

通常、成人にはルラシドン塩酸塩として20〜60mgを1日1回食後経口投与する。なお、開始用量は20mg、増量幅は1日量として20mgとし、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は60mgを超えないこと。

禁忌

2.1. 昏睡状態の患者[昏睡状態が悪化するおそれがある]。2.2. バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される]。

2.3. CYP3A4を強く阻害する薬剤投与中(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール(経口剤、口腔用剤、注射剤)、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ポサコナゾール、リトナビルを含む製剤、ダルナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、エンシトレルビル、コビシスタットを含む製剤、クラリスロマイシン、ロナファルニブ)の患者〔10.1、16.7.1参照〕。

2.4. CYP3A4を強く誘導する薬剤投与中(リファンピシン、フェニトイン、ホスフェニトイン)の患者〔10.1、16.7.1参照〕。2.5. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.6. アドレナリン投与中<アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く>の患者〔10.1参照〕。

用法・用量に関連する注意

7.1. 〈統合失調症〉忍容性が確認され、効果不十分な場合にのみ増量を検討すること(また、本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること)。

7.2. 〈統合失調症〉中等度以上の腎機能障害のある患者では、次記を参考に、腎機能の程度に応じて投与量を適宜減量し、慎重に投与すること〔9.2.1、16.6.1参照〕。

1). 〈統合失調症〉中等度腎機能障害の統合失調症:1.4mg/dL<Cr≦2.4mg/dLの統合失調症の男性、1.2mg/dL<Cr≦2.0mg/dLの統合失調症の女性、30mL/min≦CLcr<50mL/minの統合失調症;開始用量20mg、増量幅10mg、維持用量40mg、最高用量60mg。2). 〈統合失調症〉重度腎機能障害の統合失調症:Cr>2.4mg/dLの統合失調症の男性、Cr>2.0mg/dLの統合失調症の女性、CLcr<30mL/minの統合失調症;開始用量20mg、増量幅10mg、維持用量20mg、最高用量60mg。

血清クレアチニン(Cr):クレアチニンクリアランス(CLcr)に相当する換算値(年齢60歳、体重65kg)。

7.3. 〈統合失調症〉中等度以上の肝機能障害のある患者では、次記を参考に、肝機能の程度に応じて投与量を適宜減量し、慎重に投与すること〔9.3.1、16.6.2参照〕。

1). 〈統合失調症〉中等度肝機能障害の統合失調症:Child−Pugh分類Bの統合失調症;開始用量20mg、増量幅10mg、維持用量40mg、最高用量60mg。

2). 〈統合失調症〉重度肝機能障害の統合失調症:Child−Pugh分類Cの統合失調症;開始用量20mg、増量幅10mg、維持用量20mg、最高用量30mg。7.4. 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉中等度以上の腎機能障害のある患者では、次記を参考に、腎機能の程度に応じて投与量を適宜減量し、慎重に投与すること〔9.2.1、16.6.1参照〕。

1). 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉中等度腎機能障害の双極性障害:1.4mg/dL<Cr≦2.4mg/dLの双極性障害の男性、1.2mg/dL<Cr≦2.0mg/dLの双極性障害の女性、30mL/min≦CLcr<50mL/minの双極性障害;開始用量10mg、増量幅10mg、維持用量設定なし、最高用量60mg。

2). 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉重度腎機能障害の双極性障害:Cr>2.4mg/dLの双極性障害の男性、Cr>2.0mg/dLの双極性障害の女性、CLcr<30mL/minの双極性障害;開始用量10mg、増量幅10mg、維持用量設定なし、最高用量60mg。

血清クレアチニン(Cr):クレアチニンクリアランス(CLcr)に相当する換算値(年齢60歳、体重65kg)。

7.5. 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉中等度以上の肝機能障害のある患者では、次記を参考に、肝機能の程度に応じて投与量を適宜減量し、慎重に投与すること〔9.3.1、16.6.2参照〕。

1). 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉中等度肝機能障害の双極性障害:Child−Pugh分類Bの双極性障害;開始用量10mg、増量幅10mg、維持用量設定なし、最高用量60mg。

2). 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉重度肝機能障害の双極性障害:Child−Pugh分類Cの双極性障害;開始用量10mg、増量幅10mg、維持用量設定なし、最高用量30mg。

腎機能用量

中等度以上は血中濃度上昇の恐れ

[統合失調症]CCr<50:開始量20mg, 増量幅10mg, 最大60mg, 30≦CCr<50:維持量40mg, CCr<30:維持量20mg

[双極性障害におけるうつ症状の改善]CCr<50:開始量及び増量幅10mg, 最大60mg

適応

統合失調症、双極性障害におけるうつ症状の改善

効果・効能

1). 統合失調症。

2). 双極性障害におけるうつ症状の改善。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 悪性症候群(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある〔9.1.3参照〕。11.1.2. 遅発性ジスキネジア(1%未満):長期投与により、口周部不随意運動等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること(なお、投与中止後も症状が持続することがある)。11.1.3. 痙攣(頻度不明):痙攣(強直間代性痙攣、部分発作及びミオクローヌス発作等)があらわれることがある〔9.1.2参照〕。

11.1.4. 高血糖(1%未満)、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(いずれも頻度不明):高血糖悪化や糖尿病悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと〔8.3、9.1.5参照〕。11.1.5. 肺塞栓症、深部静脈血栓症(いずれも頻度不明):肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔9.1.8参照〕。

11.1.6. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。11.1.7. 無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(1%未満)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 過敏症:(1〜5%未満)そう痒、(1%未満)じん麻疹、湿疹、発疹、血管浮腫、顔面腫脹、(頻度不明)過敏症、咽頭浮腫、舌腫脹。

2). 精神神経系:(1〜5%未満)統合失調症の悪化、不安、傾眠、不眠、頭痛、浮動性めまい、(1%未満)精神症状の悪化、易刺激性、激越、攻撃性、リビドー減退、幻覚・妄想、悪夢、鎮静、うつ症状の悪化・抑うつ、自傷行為、自殺念慮、自殺企図、(頻度不明)失神、パニック発作、突然死、眉間反射異常。

3). 錐体外路症状:(5%以上)アカシジア(静坐不能)(8.3%)、(1〜5%未満)振戦、ジストニア、パーキンソニズム、筋固縮、ジスキネジア、(1%未満)運動緩慢、流涎過多、眼球回転発作、構語障害、筋緊張、筋痙縮、落ち着きのなさ、錐体外路障害、(頻度不明)開口障害、舌痙攣、嚥下障害、斜頚、運動低下[症状があらわれた場合には必要に応じて減量又は抗パーキンソン薬の投与等、適切な処置を行うこと]。4). 循環器:(1%未満)心電図異常(QT延長、PR短縮)、房室ブロック、動悸、頻脈、徐脈、血圧上昇、(頻度不明)脳卒中、狭心症、起立性低血圧。5). 血液:(1%未満)血小板減少、好中球減少、(頻度不明)貧血。6). 内分泌:(1〜5%未満)プロラクチン上昇、(1%未満)甲状腺機能異常(甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症)、乳汁分泌、月経異常、(頻度不明)乳房腫大、乳房痛、勃起不全。

7). 消化器:(1〜5%未満)悪心、嘔吐、便秘、腹部不快感、(1%未満)胃腸障害、口内乾燥、口渇、上腹部痛、腹痛、食欲減退、食欲亢進、消化不良、腹部膨満、胃炎、下痢。

8). 肝臓:(1%未満)ALT上昇、AST上昇、肝機能異常、ビリルビン上昇、肝障害。

9). 腎臓・泌尿器:(1%未満)排尿困難・排尿異常、尿蛋白陽性、(頻度不明)腎不全。

10). その他:(1〜5%未満)体重増加、(1%未満)体重減少、多汗、熱感、発熱、脱力、疲労、CK上昇、筋力低下、筋骨格硬直、胸内苦悶感・胸部圧迫感、疼痛、背部痛、耐糖能異常(血糖上昇、HbA1c上昇、尿糖陽性)、脂質異常症、多飲症、摂食障害症状(拒食・過食)、咳嗽、鼻咽頭炎、アレルギー性鼻炎、色素沈着、脱毛、霧視、回転性めまい、末梢性浮腫、(頻度不明)低ナトリウム血症、糖尿病。

重要な基本的な注意

8.1. 〈効能共通〉興奮悪化、不眠悪化、不安悪化等の精神症状を悪化させる可能性があるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。

8.2. 〈効能共通〉眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

8.3. 〈効能共通〉本剤の投与により、高血糖悪化や糖尿病悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤の投与に際しては、あらかじめ高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至る副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること(特に糖尿病又はその既往歴あるいは糖尿病の危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと)〔9.1.5、11.1.4参照〕。

8.4. 〈効能共通〉投与初期、再投与時、増量時にα交感神経遮断作用に基づく起立性低血圧があらわれることがあるので、患者の状態を慎重に観察し、低血圧症状があらわれた場合には減量する等、適切な処置を行うこと。

8.5. 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること〔9.1.4参照〕。8.6. 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉双極性障害におけるうつ症状の改善の場合、自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること〔9.1.4参照〕。8.7. 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉双極性障害におけるうつ症状の改善の場合、家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること〔9.1.4参照〕。

8.8. 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉大うつ病性障害等の精神疾患(双極性障害におけるうつ症状を含む)を有する患者への抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること〔9.1.4、15.1.3参照〕。8.9. 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏等があらわれることが報告されている。また、双極性障害におけるうつ症状の改善の場合、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと〔9.1.4参照〕。

8.10. 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉双極性障害におけるうつ症状が改善した場合には、本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないよう注意すること。双極性障害の維持療法における本剤の有効性は確立していない。(特定の背景を有する患者に関する注意)

合併症・既往歴等のある患者

9.1.1. パーキンソン病又はレビー小体型認知症の患者:錐体外路症状が悪化するおそれがある。

9.1.2. てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者:痙攣閾値を低下させるおそれがある〔11.1.3参照〕。

9.1.3. 脱水を伴う身体的疲弊・栄養不良状態を伴う身体的疲弊等のある患者:悪性症候群が起こりやすい〔11.1.1参照〕。

9.1.4. 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある〔8.5−8.9参照〕。9.1.5. 糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者:血糖値が上昇することがある〔8.3、11.1.4参照〕。

9.1.6. 不整脈の既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者:QT延長する可能性がある。

9.1.7. 心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者:一過性血圧降下があらわれるおそれがある。

9.1.8. 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者:肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている〔11.1.5参照〕。

腎機能障害患者

9.2.1. 中等度以上の腎機能障害患者:血中濃度が上昇するおそれがある〔7.2、7.4、16.6.1参照〕。

肝機能障害患者

9.3.1. 中等度以上の肝機能障害患者:血中濃度が上昇するおそれがある〔7.3、7.5、16.6.2参照〕。

相互作用

本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4で代謝される〔16.4参照〕。10.1. 併用禁忌:

1). CYP3A4を強く阻害する薬剤(イトラコナゾール<イトリゾール>、ボリコナゾール<ブイフェンド>、ミコナゾール<経口剤・口腔用剤・注射剤><フロリード、オラビ>、フルコナゾール<ジフルカン>、ホスフルコナゾール<プロジフ>、ポサコナゾール<ノクサフィル>、リトナビルを含む製剤<ノービア、カレトラ、パキロビッド>、ダルナビル<プリジスタ>、アタザナビル<レイアタッツ>、ホスアンプレナビル<レクシヴァ>、エンシトレルビル<ゾコーバ>、コビシスタットを含む製剤<ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ>、クラリスロマイシン<クラリシッド>、ロナファルニブ<ゾキンヴィ>)〔2.3、16.7.1参照〕[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強されるおそれがある(本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する)]。2). CYP3A4を強く誘導する薬剤(リファンピシン<リファジン>、フェニトイン<アレビアチン>、ホスフェニトイン<ホストイン>)〔2.4、16.7.1参照〕[本剤の血中濃度が低下し作用が減弱されるおそれがある(本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する)]。

3). アドレナリン<アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く><ボスミン>〔2.6参照〕[アドレナリンの作用を逆転させ重篤な血圧降下を起こすことがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β−受容体の刺激剤であり、本剤のα−受容体遮断作用により、β−受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される)]。10.2. 併用注意:

1). アドレナリン含有歯科麻酔剤(リドカイン・アドレナリン歯科麻酔剤)[重篤な血圧降下を起こすことがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β−受容体の刺激剤であり、本剤のα−受容体遮断作用により、β−受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある)]。

2). 中枢神経抑制剤[相互に中枢神経抑制作用を増強するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること(本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による)]。3). アルコール[相互に中枢神経抑制作用を増強するおそれがある(アルコールは中枢神経抑制作用を有する)]。

4). ドパミン作動薬(レボドパ製剤、ブロモクリプチン等)[相互に作用が減弱するおそれがある(本剤はドパミン受容体遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる)]。

5). CYP3A4を阻害する薬剤(ジルチアゼム、エリスロマイシン、ベラパミル等)〔16.7.1参照〕[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強されるおそれがあるので、観察を十分に行い、患者の状態に応じて本剤の用量を通常の半量に減じるなど慎重に投与すること(本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する、ジルチアゼム併用時の本剤のCmax及びAUCは、ジルチアゼム非併用時の2倍程度に上昇した)]。6). グレープフルーツ含有食品[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強されるおそれがあるので、本剤の服用中は摂取しないように注意すること(CYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する)]。

7). CYP3A4を誘導する薬剤(カルバマゼピン、バルビツール酸誘導体、ボセンタン、エファビレンツ、エトラビリン、モダフィニル、セント・ジョーンズ・ワート含有食品等)[本剤の血中濃度が低下し作用が減弱されるおそれがあるので、観察を十分に行うこと(本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある)]。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に、生理機能が低下している)。

妊婦・授妊婦

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている)。

過剰投与

13.1. 徴候、症状

外国において、過量投与例で錐体外路症状、昏睡、呼吸抑制、不整脈、低血圧等があらわれたとの報告がある。

13.2. 処置

過量投与時、アドレナリン、ドパミン、あるいは他のβ−受容体アゴニスト活性を有する薬剤は低血圧を更に悪化させるおそれがあるので使用しないこと。過量投与時、重度錐体外路症状に対しては抗コリン剤の投与を考慮すること。

適用上の注意

14.1. 薬剤交付時の注意

14.1.1. 本剤の吸収は食事の影響を受けやすいので、食後に服用するよう指導すること〔16.1.1、16.2.2参照〕。

14.1.2. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. 〈効能共通〉本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。15.1.2. 〈効能共通〉外国で実施された高齢認知症患者を対象とした17の臨床試験において、類薬の非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6〜1.7倍高かったとの報告がある(なお、本剤との関連性については検討されておらず、明確ではない)、また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率上昇に関与するとの報告がある。

15.1.3. 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉外国で実施された大うつ病性障害等の精神疾患(双極性障害のうつ症状を含む)を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した〔8.8参照〕。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

15.2.1. 動物実験(イヌ)で制吐作用が認められたため、腸閉塞、脳腫瘍、薬剤中毒等による嘔吐症状を不顕性化する可能性がある。

15.2.2. げっ歯類(マウス、ラット)のがん原性試験において、乳腺腫瘍(雌マウス30mg/kg/日以上、雌ラット12mg/kg/日以上)、下垂体腫瘍(雌マウス30mg/kg/日以上)の発生頻度の上昇が認められている。これらの所見は、プロラクチンの上昇と関連した変化として、げっ歯類でよく知られている。

保管上の注意

室温保存。

組成・性状

3.1 組成

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販売名 ラツーダ錠40mg

有効成分 1錠中ルラシドン塩酸塩40mg

添加剤 D‐マンニトール、部分アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウム、マクロゴール6000、酸化チタン、カルナウバロウ

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3.2 製剤の性状

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販売名 ラツーダ錠40mg

色・剤形 白色〜帯黄白色の円形の割線入りのフィルムコーティング錠

外形 <<図省略>>

<<図省略>>

<<図省略>>

大きさ 直径(mm) 厚さ(mm) 重さ(mg)

約8.1 約3.3 約163

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薬効薬理

18.1 作用機序

ルラシドンはドパミンD2受容体、セロトニン5‐HT2A、5‐HT1A及び5‐HT7受容体に対して結合親和性を示す。ルラシドンはドパミンD2受容体アンタゴニスト作用、セロトニン5‐HT2Aアンタゴニスト作用、5‐HT7受容体アンタゴニスト作用及びセロトニン5‐HT1A受容体部分アゴニスト作用を併せ持ち、これらの薬理作用が臨床における有用性に寄与しているものと考えられる(in vitro)。

18.2 統合失調症の諸症状に関連するin vivo試験系における作用

ルラシドンは陽性症状の指標と考えられているラットメタンフェタミン誘発運動過多を抑制し、認知機能障害の指標と考えられているスコポラミン/MK‐801誘発性の受動的回避試験におけるステップスルー潜時の短縮を改善した。また、ラットマイクロダイアリシスにおいて、認知機能や陰性症状に対する改善作用及び抗うつ作用発現との関連が示唆されている前頭前皮質でのドパミン遊離量を増加させた。

18.3 うつ・不安症状に関連するin vivo試験系における作用

ルラシドンはラット恐怖条件付けすくみ行動評価、ラットフォーゲル型水飲みコンフリクト試験、ラット電撃プローブ埋め隠し試験及びラット社会相互行動評価でうつ・不安症状の指標とされる行動変化を抑制又は改善した。

薬物動態

16.1 血中濃度

16.1.1 単回投与

健康成人男性11例に、本剤40mgを食後又は空腹時に単回経口投与したとき、血清中ルラシドンの薬物動態パラメータは次のとおりであった。[14.1.1、16.2.2参照]

健康成人男性に本剤を単回投与した場合の薬物動態パラメータ

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投与時期 例数 Cmax(ng/mL) AUC0−48(ng・h/mL) AUC0−∞(ng・h/mL) Tmaxa)(h)     t1/2(h)

食後   11 52.73±21.92 193.20±66.18     212.37±76.13    1.50(1.5−4.0) 22.45±6.99

空腹時  11 22.10±8.65  115.99±39.10     125.64±47.06    1.50(1.0−4.0) 15.97±6.40

平均値±標準偏差、a)中央値(範囲)

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<<図省略>>

16.1.2 反復投与

〈統合失調症〉

統合失調症患者20例に本剤1日1回20mgから80mgを漸増漸減法により8週間食後経口投与した。同一用量で6日間以上反復投与した後の血清中ルラシドンのCmax、Cmin及びAUC0−24は、いずれも投与量の増加に伴って、ほぼ線形に増加した。

統合失調症患者に本剤を反復経口投与した場合の定常状態の薬物動態パラメータ

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投与量  例数 Cmax(ng/mL) Cmina)(ng/mL) AUC0−24b)(ng・h/mL) Tmaxc)(h)

20mg 6  16.37±8.99  1.60±0.59     95.16±29.01        2.75(1.1−7.8)

40mg 9  48.33±25.35 4.34±2.15     285.56±113.37      3.80(1.5−5.9)

60mg 8  65.97±37.42 5.01±1.91     362.83±175.77      2.00(1.0−4.0)

80mg 7  79.39±41.39 7.32±4.33     487.39±211.90      2.00(0.5−3.8)

平均値±標準偏差、a)投与直前の濃度、b)20mgの1例についてAUC0−8を用いて算出、c)中央値(範囲)

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<<図省略>>

〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉

母集団薬物動態解析の結果、健康成人、統合失調症患者及び双極I型障害患者の各集団(健康成人131例、統合失調症患者1491例及び双極I型障害患者454例)で推定された経口クリアランスの平均値及びその95%信頼区間(下限−上限)はそれぞれ220.7(201.5−239.8)、220.7(210.1−231.4)及び210.5(171.6−249.3)L/hと被験者集団間で類似しており、被験者集団間で薬物動態は同様であると考えられた(外国人データ)。

16.2 吸収

16.2.1 吸収率

健康成人男性に14C標識ルラシドン40mgを食後単回経口投与したときの尿中放射能排泄率から、経口投与後9.19〜19.1%が吸収されていると考えられた(外国人データ)。

16.2.2 食事の影響

血清中ルラシドンのCmax、AUC0−48及びAUC0−∞は、空腹時投与に比べて食後投与では2.4倍、1.7倍及び1.7倍に増加した。[14.1.1、16.1.1参照]

16.3 分布

16.3.1 蛋白結合率

99.8%以上(in vitro、ヒト血清、100ng/mL〜1μg/mL、平衡透析法)

16.4 代謝

ルラシドンは、主にCYP3A4による代謝を受け体内から消失する。複数の代謝経路の組み合わせにより多くの代謝物が存在する。そのうち量的に主要なものはシクロヘキシルメチル‐ピペラジン間のC‐N結合の開裂を受けた2種の代謝物で、AUC0−8は総放射能のそれぞれ約24%及び約11%であったが、いずれも薬理活性を示さなかった。また、ノルボルナン骨格の水酸化体2種は、in vivoで未変化体と同程度の薬理活性を示すが、いずれもヒトの血清中濃度は未変化体より低かった。[10.参照]

16.5 排泄

健康成人男性各6例に本剤2.5mg注)から30mgを食後単回経口投与したとき、投与後48時間までに、未変化体として尿中に排泄されたのは投与量の0.2%以下であり、本剤は主に代謝により体内から消失することが示された。

健康成人男性11例に14C標識ルラシドン40mgを食後単回経口投与したとき、尿中及び糞中放射能排泄率はそれぞれ投与量の9.19〜19.1%及び67.2〜80.1%であった(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

16.6.1 腎機能障害患者

腎機能障害患者27例(軽度:クレアチニンクリアランス50mL/min以上80mL/min以下9例、中等度:30mL/min以上50mL/min未満9例、重度:30mL/min未満9例)に本剤40mgを食後単回投与したとき、健康成人に比べて、血清中ルラシドンのAUC0−∞は腎機能障害が軽度、中等度及び重度でそれぞれ1.5倍、1.9倍及び2.0倍に上昇し、Cmaxは1.4倍、1.9倍及び1.5倍に上昇した(外国人データ)。[7.2、7.4、9.2.1参照]

16.6.2 肝機能障害患者

肝機能障害患者15例(軽度:Child‐Pugh分類クラスA6例、中等度:クラスB6例、重度:クラスC3例)に、本剤20mgを食後単回投与したとき、血清中ルラシドンのAUC0−∞は健康成人に比べて軽度では1.3倍、中等度では1.8倍、重度では3.0倍※に上昇した。肝機能障害の程度はCmaxに影響しなかった(外国人データ)。[7.3、7.5、9.3.1参照]

※:AUC0−∞の比は算出不能であったため、AUC0−lastの比を示した。

16.6.3 高齢者

65歳以上の健康高齢男性12例及び健康非高齢男性8例に本剤20mgを食後単回投与したとき、血清中ルラシドン濃度は、高齢者では非高齢者よりTmaxが約1.7倍長く、Cmaxが0.7倍に低下したが、AUC0−48は同程度であった。高齢者では非高齢者に比べて吸収が遅れる傾向が認められたが、吸収量は変わらないと考えられた。

血清中ルラシドンの薬物動態パラメータ

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       例数 Cmax(ng/mL) AUC0−48(ng・h/mL) Tmaxa)(h)     t1/2(h)

健康高齢者  12 22.53±10.90 97.93±41.96      2.00(1.0−4.0) 19.87±4.05

健康非高齢者 8  31.56±12.98 86.11±29.44      1.50(1.0−2.0) 29.96±12.91

平均値±標準偏差、a)中央値(範囲)

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16.7 薬物相互作用

16.7.1 併用薬がルラシドンの薬物動態に与える影響

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併用薬及び用法・用量                                     例数 本剤の用法・用量      ルラシドンの薬物動態パラメータの比(併用時/本剤単独時)

                                                                Cmax AUC

ケトコナゾール※(強いCYP3A4阻害剤)[2.3、10.1参照] 400mg/日5日間   10 10mg単回注)      6.8  9.3

ジルチアゼム※(CYP3A4阻害剤)[10.2参照]        240mg/日5日間   10 20mg単回        2.1  2.2

リファンピシン※(強いCYP3A4誘導剤)[2.4、10.1参照] 600mg/日8日間   20 40mg単回        0.15 0.19

リチウム※                             600mg1日2回8日間 20 120mg/日注)定常状態 0.92 1.1

※:外国人データ

注)本剤の承認された用量は1日1回20〜80mgである。

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16.7.2 ルラシドンが併用薬の薬物動態に与える影響

リチウム600mgを1日2回反復投与した後の定常状態でのトラフの血清中リチウム濃度は、本剤120mg注)を1日1回反復投与で併用した定常状態においても、治療濃度範囲である0.6〜1.2mmol/Lに維持されていた(外国人データ)。

16.7.3 薬物代謝酵素の誘導及び阻害

ヒト新鮮肝細胞を用いた検討で、ルラシドンはCYP酵素(CYP1A2、CYP2B6、CYP3A4)に対する誘導能をほとんど示さなかった。ヒト肝ミクロソームを用いた検討でルラシドンは、CYP1A2、CYP2B6、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4に対して顕著な阻害能を示さなかった。CYP2C8、CYP2C9及びCYP2C19に対しては阻害作用(IC50は5.9〜7.4μmol/L)を示した(in vitro)が、臨床用量では前記CYP酵素を阻害しないと考えられた。

16.7.4 トランスポーター

Caco‐2細胞又はトランスポーター発現系細胞を用いた検討で、ルラシドンはP糖蛋白、BCRP、OATP1B1及びOATP1B3の基質ではないことが示された(in vitro)。

また、BCRP、OAT3、OCT1、OCT2及びMATE1の活性に対しては阻害作用(IC50は0.498〜2.57μmol/L)を示し、OAT1、OATP1B1、OATP1B3、MATE2‐K及びBSEPの活性に対しても弱く阻害作用を示した(IC50>10μmol/L)(in vitro)が、本剤をこれらトランスポーターの基質薬剤と併用投与しても、臨床用量では併用薬の取り込み及び排泄を阻害しないと考えられた。

注)本剤の承認された用量は1日1回20〜80mgである。