特徴
ベンザミド系。等価換算量:リスペリドン1
専門医コメント
抗精神病薬ではあるが、統合失調症にではな
用法・用量
チアプリドとして、通常成人1日75〜150mgを3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
パーキンソニズムに伴うジスキネジアの患者では、1日1回、25mgから投与を開始することが望ましい。
禁忌
プロラクチン分泌性下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)の患者[抗ドパミン作用によりプロラクチン分泌が促進し、病態を悪化させるおそれがある]。
用法・用量に関連する注意
7.1. 〈効能共通〉本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、低用量(例えば1回25mg、1日1〜2回)から投与を開始するなど慎重に投与すること〔9.8高齢者の項、16.6.2参照〕。7.2. 〈脳梗塞後遺症に伴う攻撃的行為・精神興奮・徘徊・せん妄の改善〉本剤の投与期間は、臨床効果及び副作用の程度を考慮しながら慎重に決定するが、投与6週で効果が認められない場合には投与を中止すること。
腎機能用量
15≦CCr<60:1日50〜75mg を分2〜3
CCr<15:1日1回25〜50mg
適応
脳梗塞後遺症に伴う攻撃的行為、精神興奮、徘徊、せん妄の改善、特発性ジスキネジア及びパーキンソニズムに伴うジスキネジア
効果・効能
1). 脳梗塞後遺症に伴う攻撃的行為、精神興奮、徘徊、せん妄の改善。2). 特発性ジスキネジア及びパーキンソニズムに伴うジスキネジア。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 悪性症候群(Syndrome malin)(0.1%未満):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている〔9.1.5参照〕。
11.1.2. 昏睡(0.1〜5%未満)。
11.1.3. 痙攣(0.1〜5%未満)。
11.1.4. QT延長、心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)(各0.1%未満)〔9.1.3参照〕。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 循環器:(0.1〜5%未満)不整脈、頻脈、胸内苦悶、血圧上昇、血圧低下。2). 錐体外路症状:(0.1〜5%未満)パーキンソン症候群(振戦、筋強剛、運動減少、流涎、姿勢障害・歩行障害等)、ジスキネジア、言語障害、咬痙、アカシジア、(0.1%未満)ジストニア、嚥下障害[このような症状があらわれた場合には、減量又は抗パーキンソン剤の併用等適切な処置をとること]。
3). 内分泌:(0.1〜5%未満)乳汁分泌、女性化乳房、月経異常。4). 精神神経系:(0.1〜5%未満)眠気、不眠、不安・焦燥、抑うつ、ぼんやり、性欲亢進。
5). 自律神経系:(0.1〜5%未満)めまい・ふらつき、口渇、頭痛・頭重、脱力感・倦怠感、しびれ、排尿障害、尿失禁、耳鳴。
6). 消化器:(0.1〜5%未満)悪心・嘔吐、腹痛・胃部不快感、食欲不振、便秘、口内炎、下痢、(0.1%未満)食欲亢進、腹部膨満感。7). 肝臓:(0.1〜5%未満)AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇、(0.1%未満)黄疸。
8). 過敏症:(0.1〜5%未満)発疹、そう痒感。
9). その他:(0.1〜5%未満)発熱、眼調節障害、ほてり、貧血。発現頻度は、承認時までの臨床試験及び使用成績調査結果に基づいている。
慎重投与
1.重篤な循環器障害のある患者[血圧低下が現れやすい]。2.QT延長のある患者[QT延長が悪化する恐れがある]。3.QT延長を起こしやすい患者(著明な徐脈のある患者、低カリウム血症のある患者等)[QT延長が発現する恐れがある]。
4.腎障害のある患者[高い血中濃度が持続する恐れがある]。5.高齢者。
6.褐色細胞腫の疑いのある患者[類似化合物であるスルピリドの投与により急激な昇圧発作が現れたとの報告がある]。
7.脱水を伴う身体的疲弊・栄養不良状態を伴う身体的疲弊等のある患者[悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい]。
重要な基本的な注意
8.1. 眠気、めまい・ふらつき等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。8.2. 制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。
特定の背景を有する患者に関する注意
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 重篤な循環器障害のある患者:血圧低下があらわれやすい。9.1.2. QT延長のある患者:QT延長が悪化するおそれがある。9.1.3. 著明な徐脈又は低カリウム血症のある患者:QT延長を起こしやすい〔11.1.4参照〕。
9.1.4. 褐色細胞腫又はパラガングリオーマの疑いのある患者:類似化合物であるスルピリドの投与により急激な昇圧発作があらわれたとの報告がある。9.1.5. 脱水を伴う身体的疲弊・栄養不良状態を伴う身体的疲弊等のある患者:悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい〔11.1.1参照〕。(腎機能障害患者)
腎機能障害患者:高い血中濃度が持続するおそれがある〔16.6.1参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:
1). QT延長を起こすことが知られている薬剤(ハロペリドール等)[QT延長・心室性不整脈等の重篤な副作用を起こすおそれがある(本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により作用が増強するおそれがある)]。2). ベンザミド系薬剤(メトクロプラミド、スルピリド等)、フェノチアジン系薬剤(クロルプロマジン等)、ブチロフェノン系薬剤(ハロペリドール等)[内分泌機能異常、錐体外路症状が発現しやすくなる(本剤及びこれらの薬剤は抗ドパミン作用を有するため、併用により抗ドパミン作用が強くあらわれる)]。
3). ドパミン作動薬(レボドパ等)[相互に作用を減弱させることがある(本剤は抗ドパミン作用を有するため、作用が拮抗する)]。
4). 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体、麻酔剤等)[相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある(本剤及びこれらの薬剤は中枢神経抑制作用を有する)]。5). アルコール(飲酒)[相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある(ともに中枢神経抑制作用を有する)]。
高齢者
副作用(錐体外路症状等)の発現に注意すること(高い血中濃度が持続するおそれがある)〔7.1、16.6.2参照〕。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳婦
授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている)〔16.3.1参照〕。
小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
過剰投与
13.1. 症状
過量投与時、パーキンソン症候群等の錐体外路症状、昏睡等があらわれることがある。13.2. 処置
過量投与時、本剤は血液透析ではわずかしか除去されない。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
その他の注意
15.2. 非臨床試験に基づく情報
15.2.1. 動物(ラット)の亜急性及び慢性毒性試験で子宮萎縮及び精巣萎縮を、また、生殖試験で交尾までの期間の延長を起こすとの報告がある。15.2.2. ラットに長期間経口投与した試験において、臨床最大用量の30倍(75mg/kg/日)以上の投与量で乳腺腫瘍、また、60倍(150mg/kg/日)で下垂体腫瘍発生頻度が対照群に比し高いとの報告がある。
15.2.3. 動物実験(ウサギ)で着床後胚損失率増加が80及び160mg/kg/日で報告されている。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
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チアプリド錠25mg「テバ」
組成 1錠中:
チアプリド塩酸塩・・・27.8mg(チアプリドとして25mg)
〈添加物〉
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、結晶セルロース、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、乳糖水和物、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、マクロゴール6000
性状 白色〜微帯黄白色のフィルムコーティング錠
識別コード(PTP) t G25 25mg
外形(サイズ) 表(直径mm) <<図省略>> 6.1
裏(重量mg) <<図省略>> 89
側面(厚さmm) <<図省略>> 3.0
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薬効薬理
18.1 作用機序
ドパミン受容体、とりわけD2受容体に選択的な遮断作用を示すことにより、ジスキネジア及び脳血管障害性疾患に伴う問題行動を抑制するものと考えられる。
18.2 受容体親和性
中枢の各種トランスミッター受容体に対する結合能試験において、ドパミン受容体に対してのみ親和性を示し、他の受容体への親和性は極めて弱かった(in vitro試験)。
18.3 ドパミン受容体作動薬による生体反応変化に対する作用
18.3.1 ラット
ドパミン受容体作動薬(アポモルフィン、メタンフェタミン)により惹起されるラットの強制咀嚼運動及び回転運動に対して、スルピリドと同等又はそれ以上の抑制作用を示した。また、血液−脳関門の関与がないとされる部位での抗ドパミン作用はスルピリドより弱く、チアプリドの脳内への透過性はスルピリドに優っていた。
18.4 抗うつ作用及び抗不安作用
抗うつ作用の評価系とされるサルでのレセルピンによる抑うつ的な精神身体症状に対して拮抗作用を示し、抗不安作用の評価系であるラットでの葛藤状態を軽減した。
18.5 その他の神経遮断作用
サルでのカタレプシー惹起作用、眼瞼下垂作用、鎮静作用及び脳波の徐波化作用、マウスでの自発運動抑制作用並びにラットでの条件回避反応の抑制作用はクロルプロマジンより明らかに弱く、また、サルの音刺激による脳波覚醒反応抑制、マウスでの麻酔増強、牽引試験での筋弛緩、サル及びラットでの体温下降等の作用を全く示さなかった。
薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人6例にチアプリド錠100mgを1回経口投与した場合注)、速やかにかつほぼ完全に吸収され、血清中濃度は投与2時間後にピーク(720ng/mL)に達した後、消失半減期3.91時間で減少した。
16.1.2 生物学的同等性試験
〈チアプリド錠25mg「NIG」〉
(1)チアプリド錠25mg「NIG」とグラマリール錠25mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ2錠(チアプリドとして50mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血清中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
<<図省略>>
薬物動態パラメータ
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投与量(mg) AUC0−24(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL) Tmax(hr) T1/2(hr)
チアプリド錠25mg「NIG」 50 1332±246 213.4±56.9 1.6±0.7 3.5±0.6
グラマリール錠25mg 50 1290±232 214.1±38.0 1.8±0.6 3.2±0.9
(平均±標準偏差、n=14)
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血清中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
〈チアプリド錠50mg「NIG」〉
(2)チアプリド錠50mg「NIG」とグラマリール錠50mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(チアプリドとして50mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血清中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
<<図省略>>
薬物動態パラメータ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
投与量(mg) AUC0−24(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL) Tmax(hr) T1/2(hr)
チアプリド錠50mg「NIG」 50 1321±208 219.0±41.8 1.7±0.6 4.0±2.2
グラマリール錠50mg 50 1302±143 217.4±24.0 1.8±0.6 3.5±1.7
(平均±標準偏差、n=14)
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血清中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
16.3.1 乳汁中移行
授乳中のラットに14C標識チアプリドを経口投与すると、乳汁中放射能濃度は2時間後に最高値を示し、その濃度は全血中濃度の1.2倍であった。その後、全血中濃度の減少に伴って乳汁中濃度も減少した。[9.6参照]
16.4 代謝
健康成人にチアプリド錠100mgを1回経口投与した場合注)、ほとんど代謝されなかった。
16.5 排泄
健康成人にチアプリド錠100mgを1回経口投与した場合注)、投与24時間後までに投与量の71.7%が未変化体、9.3%がN‐脱エチル体として尿中に排泄された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害患者にチアプリド錠100mgを経口投与した場合注)、Ccrの低下に伴って消失半減期は遅延し、中等度以上の腎機能障害患者(Ccr60mL/min以下)では健康成人に比べて半減期は2倍以上になった。[9.2参照]
腎機能障害患者にチアプリド錠100mg経口投与時の半減期
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腎機能障害の程度 t1/2(h)
高度(Ccr0〜10、平均Ccr2.9、n=5) 21.6
やや高度(Ccr11〜30、Ccr16.0、n=1) 8.63
中等度(Ccr31〜60、平均Ccr55.3、n=3) 7.54
軽度(Ccr61〜90、平均Ccr69.6、n=4) 4.24
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16.6.2 老年患者
老年患者(60〜79歳、平均67歳)にチアプリド錠100mgを経口投与した場合注)、健康成人に比べ消失半減期が約1.5倍遅延したが、経口投与後の吸収は健康成人と同様に速やかであり、かつ良好であった。また、1日3回ずつの連続経口投与でも血清中濃度は投与1週間以内に定常状態に達し、蓄積傾向は認められなかった。[7.1、9.8参照]
老年患者における薬物速度論的パラメータ
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Tmax(h) Cmax(μg/mL) t1/2(h) AUC(μg/mL・h)
1.8±0.2 0.876±0.127 5.75±0.59 5.89±0.85
(n=6、平均±S.E.)
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注)本剤の承認された用法及び用量は「チアプリドとして、通常成人1日75〜150mgを3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。パーキンソニズムに伴うジスキネジアの患者では、1日1回、25mgから投与を開始することが望ましい。」である。