特徴
摂食調整中枢への直接作用及び神経終末にお
専門医コメント
ダイエット薬として美容外科で使用されてい
用法・用量
本剤は肥満度が+70%以上又はBMIが35以上の高度肥満症患者に対して、食事療法及び運動療法の補助療法として用いる。
通常、成人には、マジンドールとして0.5mg(1錠)を1日1回昼食前に経口投与する。1日最高投与量はマジンドールとして1.5mg(3錠)までとし、2〜3回に分けて食前に経口投与するが、できる限り最小有効量を用いること。投与期間はできる限り短期間とし、3ヵ月を限度とする。なお、1ヵ月以内に効果のみられない場合は投与を中止すること。
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 閉塞隅角緑内障の患者[眼圧が上昇するおそれがある]。2.3. 重症心障害のある患者[症状が悪化するおそれがある]。2.4. 重症膵障害のある患者[インスリン分泌抑制作用を有する]。2.5. 重症腎障害・重症肝障害のある患者〔9.2.1、9.3.1参照〕。2.6. 重症高血圧症の患者[カテコラミンの昇圧作用を増強する]。2.7. 脳血管障害のある患者[症状が悪化するおそれがある]。2.8. 不安状態・抑うつ状態・異常興奮状態の患者及び統合失調症等の精神障害のある患者[症状が悪化するおそれがある]。
2.9. 薬物乱用・アルコール乱用歴のある患者[一般に依存性、乱用が起こりやすいと考えられる]。
2.10. MAO阻害剤投与中(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩及びサフィナミドメシル酸塩)又はMAO阻害剤投与中止後2週間以内の患者〔10.1参照〕。2.11. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。2.12. 小児〔9.7小児等の項参照〕。
用法・用量に関連する注意
7.1. 本剤投与中に肺高血圧症があらわれたとの報告があり、また、海外で、食欲抑制剤の長期投与により肺高血圧症の発症の危険性が増加するとの報告があるので、本剤を3ヵ月を超えて投与しないこと〔11.1.2参照〕。
7.2. 本剤は、睡眠障害を引き起こすことがあるので夕刻の投与は避けること。
腎機能用量
CCr<30・透析:禁忌
適応
あらかじめ適用した食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度肥満症(肥満度が+70%以上又はBMIが35以上)における食事療法及び運動療法の補助
効果・効能
あらかじめ適用した食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度肥満症(肥満度が+70%以上又はBMIが35以上)における食事療法の補助及び運動療法の補助。
効果・効能に関連する注意
5.1. 肥満症治療の基本である食事療法及び運動療法をあらかじめ適用し、その効果が不十分な高度肥満症患者にのみ、本剤の使用を考慮すること。5.2. 本剤は肥満度が+70%以上又はBMIが35以上の高度肥満症であることを確認した上で適用を考慮すること。
肥満度(%)=(実体重−標準体重)/標準体重×100。BMI(Body Mass Index)=体重(kg)/身長(m)の2乗。5.3. 内分泌性肥満、遺伝性肥満、視床下部性肥満等の症候性(二次性)肥満患者においては、原疾患の治療を優先させること。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 依存性(頻度不明):本剤の主要な薬理学的特性はアンフェタミン類と類似しており、サルでの静脈内薬物自己摂取試験においては摂取頻度の増加がみられ、精神依存の形成が認められている。
イヌでの22ヵ月間経口投与による慢性毒性試験においては幻覚様異常行動がみられている。
この点に関し、ヒトにおける長期投与による依存性・精神症状の発現は明確ではないが、本剤を投与する際は、依存性について留意すること(アンフェタミンをはじめとする中枢興奮剤は耐性及び精神依存を形成することが知られている)〔1.1参照〕。11.1.2. 肺高血圧症(頻度不明):労作性呼吸困難、胸痛、失神等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔7.1参照〕。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(5%以上*)口渇感、(0.1%〜5%未満*)睡眠障害、頭痛、脱力感、めまい、けん怠感、いらいら感、眠気、ふらつき、(頻度不明)神経過敏、激越、抑うつ、精神障害、振戦、幻覚、知覚異常、不安、痙攣。2). 消化器:(5%以上*)便秘、(0.1%〜5%未満*)悪心・嘔吐、胃部不快感、腹部膨満感、腹痛、下痢。
3). 循環器:(0.1%〜5%未満*)動悸、(頻度不明)頻脈、胸痛、血圧上昇、脳卒中、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、心停止、顔面潮紅。4). 過敏症:(0.1%〜5%未満*)発疹、(頻度不明)そう痒感。5). 肝臓:(0.1%〜5%未満*)AST上昇、ALT上昇。6). 泌尿器:(0.1%〜5%未満*)排尿困難、(0.1%未満*)頻尿。7). その他:(0.1%〜5%未満*)口中苦味感、発汗、性欲減退、脱毛、さむけ、(0.1%未満*)咽頭不快感、月経異常。
*)臨床試験と承認後の市販後調査を合算した発現頻度。
警告
1.1. 本剤の主要な薬理学的特性はアンフェタミン類と類似しており、本剤を投与する際は、依存性について留意すること。また、海外においては食欲抑制剤の多くで数週間以内に薬物耐性がみられるとの報告がある〔11.1.1参照〕。1.2. 本剤の適用にあたっては、使用上の注意に留意し、用法及び用量、効能又は効果を厳守すること。
慎重投与
1.糖尿病の患者[インスリン、経口糖尿病剤の必要量が変化することがある]。2.精神病の既往歴のある患者。
3.てんかん又はその既往歴のある患者[本剤の副作用で痙攣が報告されており、発作を誘発する恐れがある]。
4.開放隅角緑内障の患者[眼圧が上昇する恐れがある]。5.高齢者。
重要な基本的な注意
8.1. 急激な減量による心血管系の合併症のリスクを避けるため本剤投与中は体重の推移に注意すること。
8.2. 食事量、体重の推移、食生活等に留意の上、常に投与継続の可否、投与量について注意すること。
8.3. 本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
特定の背景を有する患者に関する注意
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 糖尿病の患者:インスリン、経口糖尿病剤の必要量が変化することがある〔10.2参照〕。
9.1.2. 精神病の既往歴のある患者:症状が悪化するおそれがある。9.1.3. てんかん又はその既往歴のある患者:本剤の副作用で痙攣が報告されており、発作を誘発するおそれがある。
9.1.4. 開放隅角緑内障の患者:眼圧が上昇するおそれがある。(腎機能障害患者)
9.2.1. 重症腎障害のある患者:投与しないこと(排泄が遅延するおそれがある)〔2.5参照〕。
肝機能障害患者
9.3.1. 重症肝障害のある患者:投与しないこと(代謝又は排泄が遅延するおそれがある)〔2.5参照〕。
相互作用
10.1. 併用禁忌:
MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>、サフィナミドメシル酸塩<エクフィナ>)〔2.10参照〕[高血圧クリーゼを起こすことがあるので、MAO阻害剤投与中又はMAO阻害剤投与中止後2週間は、本剤を投与しないこと(本剤は、交感神経刺激作用を有し、MAO阻害剤の作用を増強すると考えられる)]。
10.2. 併用注意:
1). 昇圧アミン(アドレナリン、ノルアドレナリン等)[昇圧アミンの作用を増強することがあるので、観察を十分に行うこと(本剤は神経終末におけるカテコラミンの再吸収を抑制するため、昇圧アミンの作用を増強する)]。
2). グアネチジン系薬剤(グアネチジン、ベタニジン)、ラウオルフィア製剤(レセルピン等)、クロニジン、メチルドパ[降圧効果を減弱することがある(本剤は、交感神経刺激作用を有するため、グアネチジン系薬剤、ラウオルフィア製剤、クロニジン、メチルドパの交感神経遮断作用に拮抗する)]。
3). インスリン、経口糖尿病剤〔9.1.1参照〕[インスリン、経口糖尿病剤の必要量が変化することがある(インスリン分泌抑制作用が認められること、また肥満の改善により、インスリン、経口糖尿病剤の必要量が変化するため)]。4). アルコール(飲酒)[めまい・眠気等の副作用が増強されるおそれがある(併用により、中枢神経系の刺激が増強されるため)]。
5). ハロゲン系吸入麻酔剤(ハロタン等)[不整脈等を引き起こすおそれがある(本剤の交感神経刺激の効果により、ハロゲン系吸入麻酔剤の心筋の感受性を高めるため)]。
6). 中枢神経刺激剤(アマンタジン等)[幻覚・睡眠障害等の副作用が増強されるおそれがあるので、用量に注意すること(いずれも中枢神経刺激作用を有するため)]。7). 甲状腺ホルモン[本剤の中枢神経刺激作用を増強するおそれがある(甲状腺ホルモンが、カテコラミンのレセプターの感受性を増大すると考えられているため)]。
高齢者
市販後調査で収集した安全性解析対象症例において、高齢者における副作用発現症例率は、65歳未満の症例に比べて高い傾向が認められている。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験(ラット)で母獣に毒性のあらわれる大量投与により胎仔毒性(胎仔体重増加抑制、出生率低下等)が報告されている)〔2.11参照〕。
授乳婦
授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている)。
小児等
投与しないこと(小児等を対象とした臨床試験は実施していない)〔2.12参照〕。
過剰投与
13.1. 症状
過量投与時の症状は、悪心、嘔吐、頭痛、頻脈、不整脈、呼吸困難、排尿障害、興奮、痙攣発作、昏睡。
13.2. 処置
過量投与時、興奮及び痙攣発作が認められる場合には、短時間作用型バルビツール酸誘導体又はベンゾジアゼピン系薬剤を投与する。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
保管上の注意
室温保存。
保険給付上の注意・その他
本剤は厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づき、投薬期間は1回14日間分を限度とされている。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 サノレックス錠0.5mg
有効成分 1錠中マジンドール0.50mg
添加剤 ステアリン酸マグネシウム、ポビドン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン、乳糖水和物
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3.2 製剤の性状
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販売名 サノレックス錠0.5mg
色・剤形 白色の素錠
外形 <<図省略>> <<図省略>> <<図省略>>
識別コード LG
大きさ(約) 直径:5.0mm 厚さ:2.0mm 質量:0.055g
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薬効薬理
18.1 作用機序
本剤は、主として視床下部にある食欲中枢に作用し、摂食行動を抑制する。マジンドールは摂食調節中枢であるVMH及び視床下部外側野(LHA)への直接作用及び神経終末におけるモノアミン(ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニン)の再吸収抑制を介した機序により、摂取エネルギー抑制(摂食抑制、消化吸収抑制)及び消費エネルギー促進(グルコース利用、熱産生促進)をもたらし、更に肥満時にみられる代謝変動を改善することにより肥満症を是正するものと考えられる。
18.2 摂食行動に対する作用
1回及び1日摂餌量の減少、食事後食事間間隔の延長及び体重減少が認められる(ラット)。また、肥満動物モデルである視床下部腹内側核(VMH)破壊ラットにおいて正常ラットに対して影響を及ぼさない用量で摂餌量及び体重減少が認められる。
18.3 消化吸収に対する作用
唾液(イヌ)及び胃酸分泌(ラット)の抑制が認められる。また、肥満動物モデルであるgoldthioglucose(GTG)投与マウスにおいて増大した小腸の絨毛表面積縮小及び消化酵素(スクラーゼ、エステラーゼ)活性の低下が認められる。
18.4 グルコース利用促進
骨格筋等へのグルコースの取り込み促進が認められ、組織におけるグルコース利用の増加が示唆されている(ラット)。
18.5 熱産生促進
ラット及び肥満型糖尿病モデルであるYellow KKマウスにおいて褐色脂肪組織(BAT)のミトコンドリア蛋白含量及びBAT熱産生能の指標であるguanosine 5’‐diphosphate(GDP)結合能の増加等、BATの活性化が示唆されている。
18.6 肥満時の代謝変動に対する作用
肥満時に認められる肝及び血中の脂質(コレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸等)、血中インスリン、脂肪組織重量、脂肪細胞容積等の増加を抑制する(VMH破壊ラット、GTG投与マウス)。
薬物動態
16.1 血中濃度
健康成人にマジンドール2mgを1回経口投与注)し、マジンドール未変化体の血漿中濃度を検討した。最高血漿中濃度は投与2時間後に得られ、その値は約2.81ng/mLであった。また、血漿中半減期は約9時間であった。
健康成人にマジンドール2mgを経口投与注)後の平均血漿中濃度の推移(n=12、mean±S.E.)
注)本剤の用法及び用量は、通常、1日1回0.5mgで、1日最高投与量は1.5mgである。
<<図省略>>
16.5 排泄
健康成人にマジンドール2mgを1回経口投与注)し、マジンドール未変化体の尿中排泄量を検討した。尿中排泄は投与後72時間でほぼ終了し、未変化体の総排泄量は投与量の約4.5%であった。
注)本剤の用法及び用量は、通常、1日1回0.5mgで、1日最高投与量は1.5mgである。