特徴
フリーラジカル消去作用により、神経細胞の
専門医コメント
用法・用量
通常、成人に1回5mL(エダラボンとして105mg)を空腹時に1日1回経口投与する。
通常、本剤投与期と休薬期を組み合わせた28日間を1クールとし、これを繰り返す。第1クールは14日間連日投与する投与期の後14日間休薬し、第2クール以降は14日間のうち10日間投与する投与期の後14日間休薬する。
禁忌
2.1. 重篤な腎機能障害のある患者〔8.3.2、8.3.3、9.2.1参照〕。2.2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
用法・用量に関連する注意
本剤は食事の影響により血漿中濃度が低下するため、起床時等の8時間絶食後に本剤を服用することとし、服用後少なくとも1時間は水以外の飲食は避けること。8時間絶食ができない場合、低脂肪食では摂取後4時間以上、軽食では摂取後2時間以上あけて、本剤を服用することが可能である(ただし、高脂肪食では摂取後8時間以上あけて本剤を服用する)〔16.2.2参照〕。
適応
筋萎縮性側索硬化症(ALS)における機能障害の進行抑制
効果・効能
筋萎縮性側索硬化症(ALS)における機能障害の進行抑制。
効果・効能に関連する注意
5.1. 臨床試験に組み入れられた患者のALS重症度分類、呼吸機能等の背景及び試験ごとの結果を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.1、17.1.2参照〕。
5.2. ALS重症度分類4度以上の患者、努力性肺活量が理論正常値の70%未満に低下している患者におけるエダラボンの投与経験は少なく、有効性及び安全性は確立していない(これらの患者に本剤を投与することについては、リスクとベネフィットを考慮して慎重に判断すること)。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 急性腎障害(頻度不明)、ネフローゼ症候群(頻度不明):腎機能低下所見や乏尿等の症状が認められた場合には、直ちに投与を中止し、腎機能不全の治療に十分な知識と経験を有する医師との連携のもとで適切な処置を行うこと〔8.3.1、9.1.1−9.1.3、9.2.2参照〕。
11.1.2. 劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明):劇症肝炎等の重篤な肝炎、著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいALP上昇、著しいγ−GTP上昇、著しいLDH上昇、著しいビリルビン上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある〔8.3.1参照〕。
11.1.3. 血小板減少(頻度不明)、顆粒球減少(頻度不明)〔8.3.1参照〕。
11.1.4. 播種性血管内凝固症候群(DIC)(頻度不明):播種性血管内凝固症候群を疑う血液所見や症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.3.1参照〕。
11.1.5. 急性肺障害(頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常を伴う急性肺障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.6. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.3.1参照〕。
11.1.7. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがある。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(頻度不明)発疹、腫脹、紅斑(多形滲出性紅斑等)、発赤、膨疹、そう痒感。
2). 血液:(頻度不明)赤血球減少、白血球増多、白血球減少、ヘマトクリット値減少、ヘモグロビン減少、血小板増加、血小板減少。
3). 肝臓:(0.1〜5%未満)ALT上昇、AST上昇、(頻度不明)総ビリルビン値上昇、LDH上昇、ALP上昇、γ−GTP上昇、ビリルビン尿、ウロビリノーゲン陽性。
4). 腎臓:(頻度不明)BUN上昇、血清尿酸上昇、血清尿酸低下、蛋白尿、血尿、多尿、クレアチニン上昇。
5). 消化器:(0.1〜5%未満)下痢、(頻度不明)嘔気、嘔吐。6). 全身症状:(0.1〜5%未満)倦怠感。
7). その他:(頻度不明)発熱、熱感、頭痛、血圧上昇、血清コレステロール上昇、血清コレステロール低下、トリグリセライド上昇、血清総蛋白減少、CK上昇、CK低下、血清カリウム上昇、血清カリウム低下、血清カルシウム低下、尿中ブドウ糖陽性。頻度不明の副作用は、注射剤での副作用報告に基づく。
重要な基本的な注意
8.1. 本剤の投与は、本剤に関する十分な知識及びALSの治療経験を持つ医師との連携のもとで行うこと。
8.2. 投与に際しては、患者又はそれに代わり得る適切な者に対して、本剤の副作用等について十分な説明を行うとともに、本剤投与期と休薬期を組み合わせた用法及び用量であることを十分に説明すること。
8.3. 急性腎障害増悪又は腎機能障害増悪、重篤な肝障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)があらわれ、致命的経過をたどることがある(注射剤で、腎機能障害、肝機能障害、血液障害等を同時に発現する重篤な症例が報告されている)。8.3.1. 投与開始初期に検査値の異常が発現することがあるため、投与前にBUN、クレアチニン、AST、ALT、LDH、CK、赤血球、血小板等の腎機能検査、肝機能検査及び血液検査を実施すること(本剤投与中も、腎機能検査、肝機能検査及び血液検査を定期的に実施すること。投与後も継続して十分な観察を行うこと)〔9.1.1−9.1.3、9.2.1、9.2.2、9.3肝機能障害患者の項、11.1.1−11.1.4、11.1.6、16.6.2、16.6.3参照〕。8.3.2. 病勢進展に伴う筋萎縮により血清クレアチニン値の低下を認める可能性があるため、一時点の血清クレアチニン値を基準値と比較するのではなく、血清クレアチニン値の推移を確認し、悪化傾向の有無を確認すること。また、BUN値は体内水分量等により変動するため、一時点のBUN値を基準値と比較するのではなく、BUN値の推移を確認し、悪化傾向の有無を確認すること〔2.1参照〕。
8.3.3. 筋萎縮のある患者では、投与開始前及び投与中定期的に、血清クレアチニン値・BUN値の測定に加えて血清シスタチンCによる推定糸球体ろ過量の算出や、蓄尿によるクレアチニンクリアランスの算出等筋肉量による影響を受けにくい腎機能評価を実施すること〔2.1参照〕。
8.3.4. 投与中に感染症等の合併症を発症し、抗生物質を併用した場合には、投与継続の可否を慎重に検討し、投与を継続する場合は特に頻回に検査を実施すること(また、投与終了後も頻回の検査を実施して観察を十分に行うこと)〔9.1.2、10.2参照〕。
特定の背景を有する患者に関する注意
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 脱水のある患者:投与に際し全身管理を徹底すること(急性腎障害や腎機能障害の悪化を来すことがある。注射剤で、BUN/クレアチニン比が高いなど脱水状態が認められた患者では致命的経過をたどる例が多く報告されている)〔8.3.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. 感染症のある患者:投与に際してはリスクとベネフィットを十分考慮すること(注射剤で、致命的経過をたどる例が多く報告されており、全身状態の悪化により急性腎障害や腎機能障害悪化を来すことがある)〔8.3.1、8.3.4、11.1.1参照〕。
9.1.3. 心疾患のある患者:心疾患が悪化するおそれがある(また、腎機能障害があらわれるおそれがある)〔8.3.1、11.1.1参照〕。(腎機能障害患者)
9.2.1. 重篤な腎機能障害のある患者:投与しないこと(腎機能障害が悪化するおそれがある)〔2.1、8.3.1参照〕。
9.2.2. 腎機能障害<重篤な腎機能障害を除く>のある患者:投与に際し全身管理を徹底すること(急性腎障害や腎機能障害の悪化を来すことがある。特に注射剤で、投与前のBUN/クレアチニン比が高い患者では致命的経過をたどる例が多く報告されている)〔8.3.1、11.1.1、16.6.2参照〕。
肝機能障害患者
肝機能障害患者:肝機能障害が悪化するおそれがある〔8.3.1、16.6.3参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:
抗生物質(セファゾリンナトリウム、セフォチアム塩酸塩、ピペラシリンナトリウム等)〔8.3.4参照〕[腎機能障害が増悪するおそれがあるので、併用する場合には頻回に腎機能検査を実施するなど観察を十分に行うこと(機序は不明であるが、本剤は主として腎臓から排泄されるため、腎排泄型の抗生物質との併用により、腎臓への負担が増強する可能性が考えられる)]。
高齢者
副作用があらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと(一般に高齢者では生理機能が低下しており、注射剤で、致命的経過をたどる例が多く報告されている)。
妊婦・授妊婦
妊婦
投与しないことが望ましい。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(エダラボンを単回静脈内投与(2mg/kg)したラットの乳汁中移行性実験において、乳汁中への移行が認められている)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意
患者に対し次の点に注意するよう指導すること。
14.1.1. 服用時
・ 付属の経口投与用シリンジを用いて量り取ること。
・ 使用前にボトルを振とうし、ボトルの底に固着物の付着がないことを確認してから薬剤を抜き取る(ボトルの底に固着物の付着が認められた場合、薬液が完全に混ざるまで振とうを繰り返す)。
・ 経口投与時は付属の経口投与用シリンジから直接投与し、他の容器に移し替えて投与しないこと。
・ 経口投与が困難な場合、経鼻胃管又は胃瘻チューブを用いて経管投与することもできる(投与後は、30mL以上の水を流してチューブに付着している薬剤残液を投与する)。
14.1.2. 保存時
・ ボトル開封前は冷蔵(2〜8℃)で保存し、開封後は密栓して室温で保存すること。・ ボトル開封後15日以内に使用すること。
取扱い上の注意
ボトル開封前は冷蔵(2〜8℃)で正立保存すること。
キャップをボトル本体に強く押しつけたまま(カチカチ音がしない状態まで)左に回して開けること。
ボトル開封後は使用の都度必ず密栓し室温で正立保存すること。ボトル開封後15日以内に使用していない本剤は廃棄すること。
その他の注意
15.2. 非臨床試験に基づく情報
24時間持続静注によるイヌ28日間投与毒性試験において、60mg/kg/日以上の用量で、イヌ39週間反復経口投与毒性試験において、100mg/kg/日以上の用量で、四肢動作の限定、歩行異常等の症状及び病理組織検査における末梢神経線維変性及び脊髄神経線維変性(背索神経線維変性)が観察されたとの報告がある。
保管上の注意
2〜8℃保存。
保険給付上の注意・その他
本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づき、2024年3月末日までは、1回14日分を限度として投薬すること。
組成・性状
3.1 組成
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有効成分 含量(1mL中) 日局 エダラボン 21mg
添加剤 ポリビニルアルコール(部分けん化物)、キサンタンガム、亜硫酸水素ナトリウム、L‐システイン塩酸塩水和物、D‐ソルビトール、シメチコンエマルション、pH調節剤
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3.2 製剤の性状
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内容量 35mL 50mL
性状 白色の懸濁液 白色の懸濁液
pH 2.5〜5.0 2.5〜5.0
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薬効薬理
18.1 作用機序
ALSの発症及び病勢進展は原因不明であるが、フリーラジカルによる酸化ストレスが関与している可能性が示唆されている。本剤は、フリーラジカルを消去し、運動神経細胞等の酸化的傷害を抑制することで病勢進展の遅延を示す。
18.2 フリーラジカル消去作用
18.2.1 フリーラジカル消去作用及び脂質過酸化抑制作用
エダラボンは、ヒドロキシルラジカル消去作用を示した。また、ヒドロキシルラジカルによるリノール酸の過酸化及び脳ホモジネートの脂質過酸化を濃度依存的に抑制した。更に、水溶性及び脂溶性ペルオキシルラジカルによる人工リン脂質膜リポソームの脂質過酸化を抑制した(in vitro)。
18.2.2 フリーラジカルによる血管内皮細胞傷害に対する抑制作用
1μMから15‐ヒドロペルオキシエイコサテトラエン酸による培養血管内皮細胞傷害を抑制した(in vitro)。
18.3 ALSの病態に関連した試験
家族性ALSの原因遺伝子とされる変異型スーパーオキシドジスムターゼを導入したトランスジェニックラットに対し、エダラボン3mg/kg/hを1時間かけて静脈内投与(2日間投与し2日間休薬を繰り返す用法)し、ラットの正向反射消失時まで投与したとき、四肢の運動機能を総合的に評価する傾斜板の角度について、雌で有意な低下抑制作用が認められた。
薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人42例に本剤(エダラボンとして105mg)を空腹時に単回経口投与及びエダラボン60mgを60分かけて単回点滴静脈内投与したときの血漿中未変化体濃度の推移及び濃度推移から求めた薬物動態パラメータは次のとおりである。点滴静脈内投与後に対する本剤の薬物動態パラメータの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、AUC0−∞で0.977(0.917−1.041)、Cmaxで1.217(1.090−1.359)であった。
<<図省略>>
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tmax(h) Cmax(ng/mL) AUC0−∞(ng・h/mL) t1/2(h)
経口投与 0.44±0.17 1656±734 1762±540 9.75±8.47
静脈内投与 1.00±0.01 1253±229 1736±331 8.82±8.33
(mean±S.D.)
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16.1.2 反復投与
健康成人12例にエダラボン120又は200mgの懸濁液を空腹時に1日1回5日間反復経口投与したときの血漿中未変化体濃度の推移から求めた薬物動態パラメータは次のとおりである。
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用量 評価時点 tmax(h) Cmax(ng/mL) AUC0−24h(ng・h/mL) t1/2(h)
120mg 1日目 0.42±0.13 1953±838 1917±383 4.60±0.41
5日目 0.42±0.13 2308±941 2189±516 8.66±3.24
200mg 1日目 0.38±0.14 3855±1676 4133±1260 4.20±0.23
5日目 0.42±0.13 4092±1716 4279±1166 12.35±1.89
(mean±S.D.)
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注)本剤のALSで承認された1回用量は105mgである。
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
健康成人において本剤の経口投与後のAUC0−∞をエダラボン60mgの静脈内投与と比較した場合、エダラボンのバイオアベイラビリティは57.3%であった。
16.2.2 食事の影響
健康成人男性6例に空腹時及び高脂肪食(1000キロカロリー、50%脂肪)摂取30分後にエダラボン200mgの懸濁液を経口投与したとき、高脂肪食摂取30分後の投与では空腹時投与と比較してCmaxが約80%低下し、AUC0−∞が約60%低下した。健康成人男性9例に空腹時、高脂肪食摂取4時間後、及び高脂肪食摂取の1時間前にエダラボン100mgの懸濁液を経口投与したとき、高脂肪食摂取4時間後の投与では空腹時投与と比較して、Cmaxが約50%低下し、AUC0−∞が約25%低下したが、高脂肪食摂取の1時間前の投与では、空腹時投与と比較して顕著な食事の影響は見られなかった。健康成人16例に空腹時、高脂肪食摂取8時間後、低脂肪(通常)食(400キロカロリー、25%脂肪)摂取4時間後、低脂肪(通常)食摂取2時間後及び軽食(経腸栄養剤)(250キロカロリー)摂取2時間後に本剤(エダラボンとして105mg)を経口投与したとき、高脂肪食摂取後8時間後、低脂肪(通常)食摂取後4時間後、及び軽食摂取後2時間後に本剤を経口投与したときの薬物動態パラメータは空腹時投与と比較して大きな違いは認められなかったが、低脂肪(通常)食摂取2時間後に本剤を経口投与したときでは空腹時投与と比較して、Cmaxは約50%低下し、AUC0−∞は約20%低下した。[7.参照]
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用量 食事条件 Cmax(ng/mL)mean(S.D.) AUC0−∞(ng・h/mL)mean(S.D.)
最小二乗平均値の比[90%信頼区間] 最小二乗平均値の比[90%信頼区間]
200mg 空腹時 4933(1268) 6313(1246)
高脂肪食摂取30分後 899.0(463.9) 2466(825)
0.175[0.123−0.250] 0.387[0.327−0.459]
100mg 空腹時 1810(849.8) 1647(433)
高脂肪食摂取1時間前 1502(1272) 1475(658)
0.657[0.379−1.137] 0.842[0.697−1.017]
高脂肪食摂取4時間後 1012(603.3) 1247(425)
0.522[0.301−0.903] 0.737[0.610−0.891]
105mg 空腹時 2318(1229) 2165(673)
高脂肪食摂取8時間後 2525(1337) 2209(658)
1.083[0.821−1.429] 1.025[0.931−1.128]
低脂肪(通常)食摂取4時間後 2020(1114) 2073(641)
0.872[0.661−1.150] 0.959[0.871−1.056]
軽食摂取2時間後 1898(865.9) 1955(523)
0.820[0.621−1.082] 0.910[0.827−1.002]
低脂肪(通常)食摂取2時間後 1276(805.6) 1717(463)
0.536[0.362−0.794] 0.801[0.712−0.901]
最小二乗平均値の比は、空腹時投与に対する比として表示
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注)本剤のALSで承認された1回用量は105mgである。
16.3 分布
エダラボン(5μM及び10μM)のヒト血清蛋白及びヒト血清アルブミンに対する結合率は、92%及び89〜91%であった(in vitro)。
16.4 代謝
本剤の血漿中における主代謝物は硫酸抱合体であり、グルクロン酸抱合体も検出された。一方、尿中において主代謝物はグルクロン酸抱合体であり、硫酸抱合体も認められた。
16.5 排泄
健康成人に本剤を経口投与したとき、投与48時間までに尿中に未変化体として0.63%、代謝物としてグルクロン酸抱合体が59.8%、硫酸抱合体が6.58%排泄された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 高齢者
65歳以上の健康高齢者5例にエダラボンを体重1kg当たり0.5mg、30分かけて1日2回2日間反復点滴静脈内投与したときの血漿中未変化体濃度の推移及び初回投与時の血漿中未変化体濃度推移から求めたパラメータは次のとおりである。血漿中未変化体濃度は同じ用量で投与した健康成人男子5例とほぼ同様に消失し、蓄積性は認められなかった。
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薬物動態パラメータ 健康高齢者(5例) 健康成人(5例)
Cmax(ng/mL) 1041±106 888±171
t1/2α(h) 0.17±0.03 0.27±0.11
t1/2β(h) 1.84±0.17 2.27±0.80
(mean±S.D.)
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注)注射剤のALSで承認された1回用量は60mgである。
16.6.2 腎機能障害者
軽度腎機能障害者(6例)、中等度腎機能障害者(8例)又は腎機能正常者(8例)にエダラボン30mgを60分かけて単回点滴静脈内投与したときの血漿中未変化体濃度の推移から求めたパラメータは次のとおりである。腎機能障害の程度に伴い、t1/2の平均値は延長する傾向が認められた。腎機能正常者に対するCmax、AUC0−∞の幾何平均値の比(90%信頼区間)はそれぞれ軽度腎機能障害患者で1.150(0.967−1.366)、1.202(0.991−1.457)、中等度腎機能障害者で1.247(1.063−1.463)、1.294(1.083−1.547)であった。[8.3.1、9.2.2参照]
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薬物動態パラメータ 軽度腎機能障害 中等度腎機能障害 腎機能正常
Cmax(ng/mL) 545.4±92.59 593.2±115.4 475.9±95.32
AUC0−∞(ng・h/mL) 771.0±153.6 826.4±149.4 644.9±153.1
t1/2(h) 5.38±6.04 7.31±5.83 2.87±0.38
(mean±S.D.)
軽度:eGFRが60〜89mL/分/1.73m2、中等度:eGFRが30〜59mL/分/1.73m2、正常:eGFR≧90mL/分/1.73m2
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注)注射剤のALSで承認された1回用量は60mgである。
軽度:eGFRが60〜89mL/分/1.73m2、中等度:eGFRが30〜59mL/分/1.73m2、正常:eGFR≧90mL/分/1.73m2
16.6.3 肝機能障害者
(1)重度肝機能障害者(6例)又は肝機能正常者(6例)にエダラボン30mgを60分かけて単回点滴静脈内投与したときの血漿中未変化体濃度の推移から求めたパラメータは次のとおりである。Cmax及びAUC0−∞の幾何平均値の比(90%信頼区間)はそれぞれ1.203(0.819−1.766)及び1.190(0.835−1.696)であった。[8.3.1、9.3参照]
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薬物動態パラメータ 重度肝機能障害 肝機能正常
Cmax(ng/mL) 347.6±146.8 280.3±101.0
AUC0−∞(ng・h/mL) 497.0±183.8 416.3±165.0
t1/2(h) 3.88±1.12 9.51±6.62
(mean±S.D.)
重度:Child‐Pugh分類C
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注)注射剤のALSで承認された1回用量は60mgである。
重度:Child‐Pugh分類C
(2)軽度肝機能障害者(8例)、中等度肝機能障害者(6例)又は肝機能正常者(8例)にエダラボン30mgを60分かけて単回点滴静脈内投与したときの血漿中未変化体濃度の推移から求めたパラメータは次のとおりである。肝機能正常者に対するCmax、AUC0−∞の幾何平均値の比(90%信頼区間)はそれぞれ軽度肝機能障害患者で1.203(0.992−1.458)、1.065(0.860−1.320)、中等度肝機能障害者で1.235(1.003−1.521)、1.142(0.906−1.440)であった。[8.3.1、9.3参照]
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薬物動態パラメータ 軽度肝機能障害 中等度肝機能障害 肝機能正常
Cmax(ng/mL) 538.1±182.3 533.4±88.57 429.0±44.36
AUC0−∞(ng・h/mL) 727.6±262.0 751.5±148.3 654.3±107.2
t1/2(h) 3.14±0.58 4.37±1.90 4.70±6.92
(mean±S.D.)
軽度:Child‐Pugh分類A、中等度:Child‐Pugh分類B
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注)注射剤のALSで承認された1回用量は60mgである。
軽度:Child‐Pugh分類A、中等度:Child‐Pugh分類B