特徴
超音波乳化吸引法による白内障摘出術及び眼
専門医コメント
手術補助薬についてはその空間維持能および
用法・用量
通常、超音波乳化吸引法による白内障摘出時には0.1〜0.4mL、眼内レンズ挿入時には0.1〜0.3mLを前房内へ注入する。
又、必要に応じて眼内レンズのコーティングに0.1mL使用する。
原則禁忌
本剤の成分に対し過敏症又は蛋白系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
適応
水晶体再建術の手術補助
効果・効能
次の一連の眼科手術における手術補助:超音波乳化吸引法による白内障摘出術及び眼内レンズ挿入術。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
眼:(0.1〜5%未満)眼圧上昇、(頻度不明)角膜浮腫、角膜混濁、眼炎症反応、霧視。
重要な基本的な注意
8.1. 本剤の使用にあたっては、必ず添付のカニューレを使用し、カニューレが完全にシリンジに装着したことを確認してから使用する(装着が完全でないと、使用中にカニューレが外れ重篤な事故が生ずる可能性がある)。
8.2. 注意深く、ゆっくりと注入すること。
8.3. 過量に注入しないこと(術後の眼圧上昇の原因となる可能性がある)。8.4. 超音波乳化吸引術を行う前に灌流・吸引を行い、水晶体と本剤との間に灌流液で満たした空間を作ること(空間が不十分なまま超音波乳化吸引を行うとチップの閉塞により、灌流不全となり角膜熱傷を起こすことがある)。
8.5. 特に手術後は、注意深く眼圧を観察すること(もし、眼圧上昇があらわれた場合は適切な処置を行うこと)。
8.6. 手術後、灌流・吸引により本剤を除去する(ただし、本剤は低凝集性のため、高凝集性の類薬に比べて灌流・吸引に時間を要するので慎重に行う)。(特定の背景を有する患者に関する注意)
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 本剤の成分に対し過敏症又は蛋白系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。
小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤使用時の注意
14.1.1. 本剤の使用にあたっては、気泡の混入を防ぐため使用法に十分留意すること。
14.1.2. 術後は本剤を十分に除去すること。
14.1.3. 本剤の開封後の使用は1回限りとし、残液は容器とともに廃棄すること。
取扱い上の注意
20.1. ブリスター包装内は滅菌済みのため、使用直前に開封すること。開封後は速やかに使用すること。
20.2. ブリスター包装が開封していたり、破損している場合、使用しないこと。
保管上の注意
室温保存。
保険給付上の注意・その他
シェルガン0.5眼粘弾剤の使用方法
正確なセッティングを行うために、次記の順序を必ず守る。1. パッケージを開け本体、カニューレを取り出す。
2. カニューレのバックキャップを取り外す。
3. 先端のゴムキャップをつまみ、一旦強く押し込んでから、ゆっくりねじるようにして取り外す。
4. しっかり固定されるようカニューレを装着する。本品はカニューレ脱落防止のためにルアーロック式容器を採用している。添付のカニューレのみを使用し、しっかり回して固定する。
5. カニューレ内の空気を除くため、本剤が先端から出てくるまでプランジャーロッドをゆっくり押す。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 シェルガン0.5眼粘弾剤
有効成分 1筒(0.5mL)中
日局 精製ヒアルロン酸ナトリウム 15mg
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム 20mg
添加剤 塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム水和物、リン酸水素ナトリウム水和物、D‐ソルビトール
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3.2 製剤の性状
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剤形 プレフィルドシリンジ製剤
性状 無色澄明の粘稠な液
pH 7.0〜7.5
浸透圧比 0.9〜1.3(生理食塩液に対する比)
粘度 35000〜60000mPa・s(25℃、せん断速度 2/s)
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薬効薬理
18.1 作用機序
本剤は分散性が高く、超音波乳化吸引術時の灌流・吸引下でも眼内に滞留することで前房空間を保持し、手術時の機械的侵襲や超音波による侵襲から角膜内皮細胞を物理的に保護する。
18.2 角膜内皮保護効果
18.2.1 ブタ摘出角膜の内皮に、本剤又はオキシグルタチオン含有眼灌流液(対照群)を100μL滴下し、眼内レンズ素材(ポリメチルメタクリレート)接触後の角膜内皮障害部位面積を指標にした試験により、本剤は統計学的に有意に優れた角膜内皮保護効果を示した(in vitro)。
18.2.2 ウサギ眼球を用いて、本剤又はオキシグルタチオン含有眼灌流液(対照群)で前房水(250μL)を置換後、超音波乳化吸引術後の一定面積当たりの角膜内皮細胞数を指標にした試験により、本剤は統計学的に有意に優れた角膜内皮保護効果を示した(in vivo)。
18.3 生物学的同等性試験
本剤と標準製剤の角膜内皮保護効果を生物学的同等性試験にて評価した。ブタ摘出眼球を用いたin vitro試験及びウサギを用いたin vivo試験の結果より、本剤と標準製剤は生物学的に同等の角膜内皮保護効果を示した。
18.3.1 ブタ摘出角膜の内皮に、本剤、標準製剤(ビスコート0.5眼粘弾剤)又はオキシグルタチオン含有眼灌流液(対照群)を100μL滴下し、眼内レンズ素材(ポリメチルメタクリレート)接触後の角膜内皮障害部位面積を指標に角膜内皮保護効果を評価した(in vitro)。本剤群および標準製剤群の角膜内皮障害部位面積が、対照群と比較して有意水準5%において統計学的に有意に小さく(Satterthwaite t検定、P=0.0004)、かつ両製剤群間の角膜内皮障害部位面積が有意水準15%においても統計学的に有意差を認めなかったことから(t検定、P=0.9248)、本剤群と標準製剤群の生物学的同等性が確認された。
18.3.2 ウサギ眼球を用いて、本剤、標準製剤(ビスコート0.5眼粘弾剤)又はオキシグルタチオン含有眼灌流液(対照群)で前房水(250μL)を置換後、超音波乳化吸引術後の一定面積当たりの角膜内皮細胞数を指標に角膜内皮保護効果を評価した(in vivo)。本剤群および標準製剤群の角膜内皮細胞数が、対照群と比較して有意水準5%において統計学的有意に多く((対照群vs標準製剤群;Satterthwaite t検定、P=0.0002)及び(対照群vs本剤群;t検定、P<0.0001))、さらに本剤群と標準製剤群の平均値の差の標準製剤群に対する比率の90%信頼区間を算出したところ、−0.0075(−0.0644〜0.0493)であり判定基準(−0.20〜0.20)の範囲内であったため、本剤群と標準製剤群の生物学的同等性が確認された。