特徴
1日2回使用で有効な点鼻ステロイド薬。小
専門医コメント
1日2回点鼻で有効な点鼻ステロイド剤であ
用法・用量
成人は、通常1回各鼻腔に1噴霧(フルチカゾンプロピオン酸エステルとして50μg)を1日2回投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日の最大投与量は、8噴霧を限度とする。
禁忌
2.1. 有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者[症状を増悪するおそれがある]。
2.2. 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者。
用法・用量に関連する注意
本剤の十分な臨床効果を得るためには継続的に使用すること。
腎機能用量
腎機能正常者と同じ
適応
アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎
効果・効能
1). アレルギー性鼻炎。
2). 血管運動性鼻炎。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
アナフィラキシー(頻度不明):アナフィラキシー(呼吸困難、全身潮紅、血管性浮腫、蕁麻疹等)があらわれることがある。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(頻度不明)発疹、浮腫。
2). 鼻腔:(0.1%〜1%未満)鼻症状(鼻刺激感、鼻疼痛、鼻乾燥感)、鼻出血、不快臭、(頻度不明)鼻中隔穿孔、鼻潰瘍。
3). 口腔並びに呼吸器:(0.1%未満)咽喉頭症状(咽喉頭刺激感、咽喉頭乾燥感)、不快な味。
4). 精神神経系:(0.1%未満)頭痛、(頻度不明)振戦、睡眠障害。5). その他:(頻度不明)眼圧上昇。
発現頻度には使用成績調査の結果を含む。
慎重投与
1.鼻咽喉感染症の患者[症状を増悪する恐れがある]。
2.反復性鼻出血の患者[出血を増悪する恐れがある]。
重要な基本的な注意
8.1. 〈効能共通〉本剤の投与期間中に鼻症状の悪化がみられた場合には、抗ヒスタミン剤あるいは、全身性ステロイド剤を短期間併用し、症状の軽減にあわせて併用薬剤を徐々に減量すること。
8.2. 〈効能共通〉本剤には持続効果が認められるので、特に通年性の患者において長期に使用する場合は、症状の改善状態が持続するようであれば、本剤の減量又は休薬につとめること。
8.3. 〈効能共通〉全身性ステロイド剤の減量は本剤の投与開始後症状の安定をみて徐々に行う(減量にあたっては一般のステロイド剤の減量法に準ずる)。8.4. 〈効能共通〉全身性ステロイド剤の減量並びに離脱に伴って、気管支喘息発現・気管支喘息増悪、ときに湿疹発現・湿疹増悪、蕁麻疹発現・蕁麻疹増悪、眩暈発現・眩暈増悪、動悸発現・動悸増悪、倦怠感発現・倦怠感増悪、顔のほてり発現・顔のほてり増悪、結膜炎発現・結膜炎増悪等の症状があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
8.5. 〈効能共通〉全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、点鼻ステロイド剤の投与により全身性作用(クッシング症候群、クッシング様症状、副腎皮質機能抑制、小児成長遅延、骨密度低下、白内障、緑内障、中心性漿液性網脈絡膜症を含む)が発現する可能性がある。特に長期間、大量投与の場合には定期的に検査を行い、全身性作用が認められた場合には適切な処置を行うこと。
8.6. 〈アレルギー性鼻炎〉季節性の疾患に対しては、その好発期を考慮し初期治療を開始し、抗原との接触がなくなるまで続けることが望ましい。(特定の背景を有する患者に関する注意)
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 鼻咽喉感染症<有効な抗菌剤の存在しない感染症・全身の真菌症を除く>の患者:症状を増悪するおそれがある。
9.1.2. 反復性鼻出血の患者:出血を増悪するおそれがある。9.1.3. 重症肥厚性鼻炎や鼻茸の患者:本剤の鼻腔内での作用を確実にするため、これらの症状がある程度減少するよう他の療法を併用するとよい。9.1.4. 長期又は大量の全身性ステロイド療法を受けている患者:全身性ステロイド剤の減量中並びに離脱後も副腎皮質機能検査を行い、外傷、手術、重症感染症等の侵襲には十分に注意を払い、また必要があれば一時的に全身性ステロイド剤の増量を行うこと(これらの患者では副腎皮質機能不全となっていることが考えられる)。
相互作用
本剤は、主としてCYP3A4で代謝される〔16.4参照〕。10.2. 併用注意:
CYP3A4阻害作用を有する薬剤(リトナビル等)[副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様の症状があらわれる可能性がある(CYP3A4による代謝が阻害されることにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)。特に、リトナビルとフルチカゾンプロピオン酸エステル製剤の併用により、クッシング症候群、副腎皮質機能抑制等が報告されているので、リトナビルとの併用は治療上の有益性がこれらの症状発現の危険性を上回ると判断される場合に限ること(リトナビルは強いCYP3A4阻害作用を有しリトナビルとフルチカゾンプロピオン酸エステル製剤を併用した臨床薬理試験にて血中フルチカゾンプロピオン酸エステル濃度の大幅上昇また血中コルチゾール値の著しい低下が認められている)]。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に、生理機能が低下している)。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(本薬は皮下投与による動物実験(ラット、ウサギ)で副腎皮質ステロイド剤に共通した奇形発生、胎仔発育抑制がみられ、これらの所見はウサギにおいて低い用量で出現することが報告されている)。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意
14.1.1. 患者には添付の携帯袋及び鼻用定量噴霧器の使用説明書を渡し、使用方法を指導すること。
(1). 鼻腔内噴霧用にのみ使用すること。
(2). 用時振盪すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報
レセルピン系製剤、α−メチルドパ製剤等の降圧剤には、副作用として鼻閉がみられることがあり、このような副作用として鼻閉がみられる降圧剤服用中のアレルギー性鼻炎又は血管運動性鼻炎の患者に、本剤を投与すると、鼻閉症状に対する本剤の効果が隠蔽されるおそれがあるので、臨床的観察を十分に行いながら投与すること。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 フルチカゾン点鼻液50μg「杏林」28噴霧用
有効成分 1mL中 フルチカゾンプロピオン酸エステル0.51mg
1回噴霧中 フルチカゾンプロピオン酸エステル50μg
添加剤 濃グリセリン、ポリソルベート80、ベンザルコニウム塩化物、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、エデト酸ナトリウム水和物、pH調節剤
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3.2 製剤の性状
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販売名 フルチカゾン点鼻液50μg「杏林」28噴霧用
剤形・性状 白色の懸濁液の点鼻液
pH 5.0〜7.0
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薬効薬理
18.1 作用機序
フルチカゾンプロピオン酸エステルは合成副腎皮質ステロイドであり、グルココルチコイド受容体を刺激することにより、抗炎症作用、アレルギー性鼻炎抑制作用及び抗アレルギー作用を示す。
18.2 抗炎症作用
18.2.1 ヒト皮膚血管収縮作用
フルチカゾンプロピオン酸エステルは、McKenzieらの方法による健康成人皮膚における血管収縮試験(皮膚蒼白度を指標)において、ベクロメタゾンプロピオン酸エステルの約1.9倍、ベタメタゾン吉草酸エステルの約2.6倍、フルオシノロンアセトニドの約9.5倍の血管収縮作用を示した。
18.2.2 カラゲニン浮腫抑制作用
ラットにおけるカラゲニン足蹠浮腫抑制作用の強さは、局所投与でフルチカゾンプロピオン酸エステル>ベタメタゾン吉草酸エステル=ベクロメタゾンプロピオン酸エステルの順である。
18.3 アレルギー性鼻炎抑制作用
18.3.1 ラットアレルギー性鼻炎モデルにおいて、全身投与(皮下)あるいは局所投与により鼻粘膜血管透過性亢進反応を用量依存的に抑制する。全身投与による抑制作用の強さはED50の比較においてフルチカゾンプロピオン酸エステル>ベクロメタゾンプロピオン酸エステル>ベタメタゾン吉草酸エステルの順である。
18.3.2 スギ花粉症患者に対し、好発期直前から200μg/日を鼻腔内投与した場合、鼻粘膜粘液上皮層中の好塩基性細胞数及び好酸球数の増加を抑制し、ヒスタミン含有量の減少傾向が認められた。
18.4 抗アレルギー作用
ラットにおける48時間PCA反応に対し、皮下投与で用量依存的に抑制する。抑制作用の強さは、フルチカゾンプロピオン酸エステル>ベタメタゾン吉草酸エステル>クロモグリク酸ナトリウムの順である。また、picryl chloride誘発マウス耳浮腫法による遅延型アレルギー反応に対し、皮下投与で用量依存的に抑制し、その強さはED50の比較において、フルチカゾンプロピオン酸エステル=ベクロメタゾンプロピオン酸エステル>ベタメタゾン吉草酸エステルの順である。
18.5 生物学的同等性試験
18.5.1 抗原誘発鼻粘膜血管透過性亢進に対する抑制作用(ラット)
ラットの実験的アレルギー性鼻炎モデルにおいて、鼻腔局所投与により抗原誘発鼻粘膜血管透過性亢進に対する抑制作用をプラセボ及びフルナーゼ点鼻液50μgと比較検討した。抑制効果の指標としては、鼻腔から流出する液を採取して、抗原誘発後60分間の漏出色素量を測定し検討を行った。
フルチカゾン点鼻液50μg「杏林」群及びフルナーゼ点鼻液50μg群は、誘発後30及び40分では、プラセボ群との間に有意差が認められ、漏出色素量増加に対する抑制効果が確認された。また、フルチカゾン点鼻液50μg「杏林」群とフルナーゼ点鼻液50μg群を比較した結果、有意差は認められず、両製剤の薬理学的同等性が確認された。
<<図省略>>
18.5.2 抗原誘発鼻腔抵抗増加に対する抑制作用(モルモット)
モルモットの実験的アレルギー性鼻炎モデルにおいて、鼻腔局所投与により抗原誘発鼻腔抵抗増加に対する抑制作用をプラセボ及びフルナーゼ点鼻液50μgと比較検討した。通気溢出量の上昇を鼻腔抵抗上昇反応として測定し、抗原誘発後30分までの鼻腔抵抗値を比較検討した。
誘発後5、7、10、15及び20分では、フルチカゾン点鼻液50μg「杏林」群及びフルナーゼ点鼻液50μg群ともに、プラセボ群との間に有意差が認められ、鼻腔抵抗増加の抑制効果が確認された。また、フルチカゾン点鼻液50μg「杏林」群とフルナーゼ点鼻液50μg群を比較した結果、有意差は認められず、両製剤の薬理学的同等性が確認された。
<<図省略>>
薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人に200μg又は400μgを単回鼻腔内投与した場合、血中濃度は検出限界(50pg/mL)以下である。
16.1.2 反復投与
健康成人に200μgを1日2回(400μg/日)14日間連続鼻腔内投与した場合、血中濃度は検出限界(50pg/mL)以下である。
16.3 分布
16.3.1 分布容積
ラットに3H‐フルチカゾンプロピオン酸エステル10μg/kgを鼻腔内に単回使用した結果、使用後45分に大部分の組織は最高濃度を示し、消化管、鼻粘膜、下垂体及び甲状腺に高い濃度が認められた。使用後168時間では皮膚に最高濃度の7%、腎臓に2%、及び鼻粘膜に0.5%が認められたが、その他の組織はいずれも検出限界付近又はそれ以下であった。
16.3.2 血漿蛋白結合率
In vitroでのヒト血漿蛋白結合率は81〜95%であった。
16.4 代謝
フルチカゾンプロピオン酸エステルはCYP3A4によって代謝を受ける。[10.参照]
健康成人における経口投与時の血中主要代謝物は、17β‐カルボン酸体であり、尿中では17β‐カルボン酸体及びそのグルクロン酸抱合体、糞中では未吸収による未変化体及び17β‐カルボン酸体である(外国人データ)。