特徴
利尿作用:ラシックス20㎎≒ルプラック4
専門医コメント
フロセミドは以前からよく用いられているが
用法・用量
通常、成人には、トラセミドとして、1日1回4〜8mgを経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
禁忌
2.1. 無尿の患者[本剤の効果が期待できない]。
2.2. 肝性昏睡の患者〔9.3.1参照〕。
2.3. 体液中のナトリウム減少、体液中のカリウム減少が明らかな患者[電解質失調を起こすおそれがある]〔11.1.3参照〕。
2.4. デスモプレシン酢酸塩水和物投与中<男性における夜間多尿による夜間頻尿>の患者〔10.1参照〕。
2.5. 本剤の成分又はスルフォンアミド誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者。
用法・用量に関連する注意
<用法・用量に関連する使用上の注意>
本剤は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜から吸収されることはないため、唾液又は水で飲み込む。
腎機能用量
腎機能正常者と同じ
透析:無尿の患者は禁忌
適応
心性浮腫、 腎性浮腫、 肝性浮腫
効果・効能
1). 心性浮腫。
2). 腎性浮腫。
3). 肝性浮腫。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 肝機能障害(0.03%)、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、ALP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。11.1.2. 血小板減少(頻度不明)。
11.1.3. 低カリウム血症、高カリウム血症(いずれも頻度不明):血清カリウム値異常変動に伴い、不整脈、全身倦怠感、脱力等が発現するおそれがある〔2.3、8.1、8.2、9.8高齢者の項、10.2参照〕。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 血液:(0.1〜5%未満)血液障害(血小板数減少、白血球数減少、赤血球数減少、ヘマトクリット値減少等)。
2). 代謝異常:(0.1〜5%未満)電解質失調(低ナトリウム血症、低カリウム血症、低クロール性アルカローシス)、血清尿酸値上昇、高カリウム血症、(0.1%未満)血清脂質増加、高血糖症。
3). 過敏症:(0.1%未満)発疹、そう痒。
4). 消化器:(0.1〜5%未満)口渇、(0.1%未満)食欲不振、下痢、腹痛、嘔気・嘔吐、胸やけ。
5). 肝臓:(0.1〜5%未満)AST上昇、ALT上昇、(0.1%未満)γ−GTP上昇、ALP上昇。
6). 腎臓:(0.1〜5%未満)BUN上昇、クレアチニン上昇、頻尿。7). 精神神経系:(0.1〜5%未満)頭痛、めまい、(0.1%未満)手足のしびれ、聴覚障害。
8). その他:(0.1〜5%未満)倦怠感、(0.1%未満)動悸、痛風様発作、関節痛、筋痙攣、CK上昇、LDH上昇、(頻度不明)女性化乳房。発現頻度は、製造販売後調査の結果を含む。
慎重投与
1.進行した肝硬変症のある患者[肝性昏睡を起こす恐れがある]。2.重篤な冠硬化症又は重篤な脳動脈硬化症のある患者[急激な利尿が現れた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発する恐れがある]。3.腎機能障害のある患者[腎機能が増悪することがあり、また、排泄遅延により血中濃度が上昇する恐れがある]。
4.肝疾患・肝機能障害のある患者[肝性昏睡を起こす恐れがある]。5.本人又は両親、兄弟に痛風、糖尿病のある患者[痛風発作を起こす恐れがあり、糖尿病を悪化する恐れがある]。
6.下痢、嘔吐のある患者[電解質失調を起こす恐れがある]。7.手術前の患者[昇圧アミンに対する血管壁への反応性を低下させることがあり、ツボクラリン等の麻痺作用を増強することがある]。
8.ジギタリス剤投与中、糖質副腎皮質ホルモン剤投与中、ACTH投与中又はグリチルリチン製剤投与中の患者。
9.減塩療法時の患者[低ナトリウム血症を起こす恐れがある]。10.高齢者。
11.乳児[乳児では電解質バランスがくずれやすい]。
重要な基本的な注意
8.1. 本剤の利尿効果は急激にあらわれることがあるので、電解質失調、脱水に十分注意し、少量から投与を開始して、徐々に増量すること〔11.1.3参照〕。8.2. 連用する場合、電解質失調があらわれることがあるので定期的に検査を行うこと〔11.1.3参照〕。
8.3. 降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。8.4. 夜間の休息が必要な患者には、夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望ましい。
特定の背景を有する患者に関する注意
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 重篤な冠動脈硬化症又は重篤な脳動脈硬化症のある患者:急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。
9.1.2. 本人又は両親、兄弟に痛風、糖尿病のある患者:痛風発作を起こすおそれがあり、糖尿病を悪化するおそれがある。
9.1.3. 下痢、嘔吐のある患者:電解質失調を起こすおそれがある。9.1.4. 手術前の患者〔10.2参照〕。
9.1.5. 減塩療法時の患者:低ナトリウム血症を起こすおそれがある。(腎機能障害患者)
9.2.1. 腎機能障害のある患者:腎機能障害が増悪することがあり、また、排泄遅延により血中濃度が上昇するおそれがある〔16.6.1参照〕。(肝機能障害患者)
9.3.1. 肝性昏睡の患者:投与しないこと(低カリウム血症によるアルカローシスの増悪により肝性昏睡が悪化するおそれがある)〔2.2参照〕。9.3.2. 進行した肝硬変症のある患者:肝性昏睡を起こすおそれがある。9.3.3. 肝疾患・肝機能障害のある患者:肝性昏睡を起こすおそれがある。
相互作用
10.1. 併用禁忌:
デスモプレシン酢酸塩水和物<男性における夜間多尿による夜間頻尿><ミニリンメルト>〔2.4参照〕[低ナトリウム血症が発現するおそれがある(いずれも低ナトリウム血症が発現するおそれがある)]。
10.2. 併用注意:
1). 昇圧アミン(ノルアドレナリン等)〔9.1.4参照〕[昇圧アミンの作用を減弱するおそれがあるので、手術前の患者に使用する場合には、一時休薬等の処置を講ずること(本剤が昇圧アミンに対する血管壁の反応性を低下させるためと考えられている)]。
2). ツボクラリン及びその類似物質(ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物)〔9.1.4参照〕[麻痺作用を増強することがあるので、手術前の患者に使用する場合には、一時休薬等の処置を講ずること(血清カリウム値の低下により、これらの薬剤の神経・筋遮断作用が増強されると考えられている)]。
3). 降圧剤(ACE阻害剤、β遮断剤等)[併用する降圧剤の用量調節に注意する(併用により降圧作用を増強するおそれがある)]。
4). アミノグリコシド系抗生物質(ゲンタマイシン硫酸塩、アミカシン硫酸塩等)[併用を避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には、アミノグリコシド系抗生物質の血中濃度をモニターし、投与量、投与間隔を調節する(アミノグリコシド系抗生物質の腎障害及び第8脳神経障害(聴力障害)を増強するおそれがある)]。5). セファロスポリン系抗生物質[併用する場合には、慎重に投与する(尿細管でのナトリウムの再吸収の増加に伴い、セファロスポリン系抗生物質の再吸収も増加し、腎毒性を増強するおそれがある)]。
6). ジギタリス剤(ジギトキシン、ジゴキシン等)〔11.1.3参照〕[不整脈を起こすおそれがあるので、血清カリウム値をモニターし、カリウム剤の補充を行う(低カリウム血症を起こし、ジギタリスの心臓毒性を増強する可能性が考えられる)]。7). 糖質副腎皮質ホルモン剤、ACTH、グリチルリチン製剤〔11.1.3参照〕[過剰のカリウム放出を起こすおそれがあるので、併用する場合には、慎重に投与する(ともにカリウム排泄作用を有する)]。
8). 糖尿病用剤[糖尿病用剤の作用を著しく減弱するおそれがある(細胞内外のカリウム喪失がインスリン分泌の抑制、末梢でのインスリン感受性の低下をもたらすと考えられている)]。
9). リチウム(炭酸リチウム)[リチウム中毒を起こすおそれがあるので、血中リチウム濃度に注意すること(リチウムの腎における再吸収を促進し、リチウムの血中濃度が上昇するおそれがある)]。
10). サリチル酸誘導体(サリチル酸ナトリウム、アスピリン等)[サリチル酸中毒が発現するおそれがある(腎の排泄部位において両剤の競合が起こり、サリチル酸誘導体の排泄が遅れるおそれがある)]。
11). 非ステロイド性消炎鎮痛剤(インドメタシン等)[本剤の利尿作用が減弱されるおそれがある(非ステロイド性消炎鎮痛剤のプロスタグランジン合成抑制による水、ナトリウム体内貯留傾向が、本剤の水、ナトリウム排泄作用に拮抗するためと考えられている)]。
12). 尿酸排泄促進剤(プロベネシド等)[尿酸排泄促進剤の尿酸排泄作用を減弱するおそれがある(尿酸再吸収の間接的増大により、尿酸排泄促進剤の作用が抑制される)]。
13). カルバマゼピン[症候性低ナトリウム血症があらわれることがある(ナトリウム排泄作用が増強され、低ナトリウム血症が起こる)]。
高齢者
高齢者:次の点に注意し、少量(4mg)から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
・ 高齢者:急激な利尿は血漿量の減少を来し、脱水、低血圧等による立ちくらみ、めまい、失神等を起こすことがある。
・ 高齢者:特に心疾患等で浮腫のある高齢者患者では急激な利尿は急速な血漿量の減少と血液濃縮を来し、脳梗塞等の血栓塞栓症を誘発するおそれがある。・ 高齢者:低ナトリウム血症、低カリウム血症があらわれやすい〔11.1.3参照〕。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊娠初期又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(ラット)で、生後には消失する一過性胎仔骨格異常、胎仔化骨遅延及び出生仔体重増加抑制が、また、ウサギで母体毒性が認められている)。
授乳婦
授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)で本剤の乳汁移行が認められている)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。乳児では電解質バランスがくずれやすい。
過剰投与
13.1. 症状
過量投与時、電解質及び体液喪失により血圧低下、心電図異常、血栓塞栓症、急性腎障害、譫妄状態等を起こす可能性がある。
13.2. 処置
過量投与時、本剤は血液透析によって除去できない。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意
14.1.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
14.1.2. 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である(また、水で服用することもできる)。
14.1.3. 本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。(取扱い上の注意)
アルミピロー包装又は容器の開封後は湿気を避けて保存すること。
その他の注意
15.2. 非臨床試験に基づく情報
特殊毒性:変異原性及び抗原性は認められていない。がん原性試験において、ラット18mg〜9mg/kg群*(浮腫の臨床最高用量の約68倍)の雌にのみ腎臓腫瘍の発生率の上昇が認められた。その他の器官・組織では特異的な腫瘍発生は認められていなかった。
(*:52週まで18mg/kgを、それ以降は9mg/kgを投与した)。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 有効成分(1錠中) 添加剤
トラセミドOD錠4mg「TE」 トラセミド 4mg D‐マンニトール、結晶セルロース、クロスポビドン、フマル酸ステアリルナトリウム
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3.2 製剤の性状
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販売名 色・剤形 外形
トラセミドOD錠4mg「TE」 白色の片面割線入りの円形の素錠(口腔内崩壊錠) 表面 裏面 側面
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直径 厚さ 質量
7.0mm 2.7mm 120mg
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薬効薬理
18.1 作用機序
麻酔イヌの腎クリアランス試験、ストップフロー試験、ラットマイクロパンクチャー試験及びウサギマイクロパーフュージョン試験の結果から、他のループ利尿剤と同様にヘンレ係蹄の上行脚における電解質の再吸収抑制による利尿作用を示す。また、ラット腎細胞質画分における、受容体結合の阻害による抗アルドステロン作用が認められた。
18.2 利尿作用
正常血圧ラット、高血圧自然発症ラット、腎性高血圧ラット、病態モデル動物(一側腎摘出後デオキシコルチコステロン酢酸塩皮下投与−食塩負荷高血圧ラット及び肝硬変ラット)において、トラセミド0.3、1、3mg/kgの単回経口投与により用量依存的な利尿作用を示した。
また、正常ラットにおけるトラセミドの尿中Na/K比改善効果は、既存のループ利尿剤と抗アルドステロン剤を併用した場合とほぼ同等の作用を示した。
18.3 抗浮腫作用
ラットにトラセミド0.3〜10mg/kgの単回経口投与したとき、カラゲニン足蹠浮腫、カラゲニン胸膜炎及びヒスタミン誘発毛細血管透過性の亢進を用量依存的に抑制した。
また、麻酔イヌのうっ血性急性心不全モデルにおいて、トラセミド0.3mg/kgの静脈内投与により、病態の進行を抑制した。
薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男子にトラセミド2、5、10mg注)を空腹時に単回経口投与したとき、投与後約1時間で最高血漿中濃度に達し、消失半減期は約2時間であった。
用量別血漿中未変化体濃度推移
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投与量(mg) 投与条件 Cmax(μg/mL) Tmax(h) T1/2β(h) AUC0−∞(μg・h/mL)
2 1mg×2 0.23±0.04 0.6±0.2 2.0±0.8 0.45±0.05
5 5mg×1 0.48±0.14 0.8±0.3 2.4±0.6 1.28±0.32
10 5mg×2 1.40±0.26 0.9±0.2 2.2±0.4 3.55±0.52
(平均±標準偏差、n=5)
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16.1.2 生物学的同等性試験
トラセミドOD錠8mg「TE」とルプラック錠8mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(トラセミドとして8mg)、健康成人男子に絶食単回経口投与(水で服用及び水なしで服用)して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
(1)水で服用
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AUC0−12(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL) Tmax(hr) T1/2(hr)
トラセミドOD錠8mg「TE」 3327±765.8 1427±323.7 0.65±0.22 2.98±0.51
ルプラック錠8mg 3281±684.5 1443±371.1 0.88±0.62 3.08±0.42
(平均値±標準偏差、n=20)
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<<図省略>>
(2)水なしで服用(ルプラック錠8mgは水で服用)
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AUC0−12(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL) Tmax(hr) T1/2(hr)
トラセミドOD錠8mg「TE」 3158±683.9 1373±322.6 0.87±0.37 2.92±0.53
ルプラック錠8mg 3145±650.2 1430±377.5 0.87±0.39 2.96±0.46
(平均値±標準偏差、n=19)
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<<図省略>>
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男子6例にトラセミド8mgをクロスオーバー法で単回経口投与したとき、食後投与時には未変化体のTmaxの遅延が認められたが、その他の薬物動態パラメータは変化せず、食事の影響は少なかった。
16.3 分布
血漿蛋白結合率は97〜99%。
16.5 排泄
健康成人にトラセミド2、5、10mg注)を単回経口投与したとき、24時間後の代謝物及び未変化体尿中排泄率は50〜80%であった。このうち20〜30%が未変化体(トラセミド)であった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎疾患患者
トラセミド8mgを食後に単回経口投与したとき、24時間後の未変化体尿中排泄率は約15%であり、健康成人と比較し低下した。[9.2.1参照]
16.6.2 肝・心疾患患者
トラセミド8mgを食後に単回経口投与したとき、健康成人と比較し、血漿中未変化体濃度の半減期が長くなりAUCが増加した。
16.6.3 高齢者
若年者(19〜28歳)及び高齢者(65〜83歳)の健康成人男子にトラセミド5mgを1日1回、8日間反復経口投与し、初日及び8日目の血漿中濃度推移及び尿中排泄率を比較した。その結果、血漿中未変化体の薬物動態パラメータには高齢者と若年者で差がなかった。一方、未変化体の腎クリアランスは高齢者で低下傾向があった。未変化体の腎クリアランスはクレアチニンクリアランスと良好な相関関係が認められ、高齢者においては腎機能の低下により、尿中への排泄が減少したものと推定された。しかし、トラセミドの腎クリアランスは全身クリアランスの約1/4であるため血中薬物動態パラメータに差がなかったと考えられた(外国人のデータ)。
16.8 その他
トラセミドOD錠4mg「TE」は、トラセミドOD錠8mg「TE」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた。
注)本剤の承認用量は1日1回4〜8mgである。