特徴
降圧作用機序は十分に解明されていないもの
専門医コメント
妊婦に利用できる降圧薬であるが、副作用が
用法・用量
ヒドララジン塩酸塩として、最初は、通常成人1日30〜40mgを3〜4回に分割経口投与し、血圧値をみながら漸次増量する。維持量は各個人により異なるが通常成人1回20〜50mg、1日30〜200mgである。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
禁忌
2.1. 虚血性心疾患のある患者[反射性交感神経亢進により、心臓の仕事量が増加し、症状を悪化させるおそれがある]。
2.2. 大動脈弁狭窄による心不全、僧帽弁狭窄による心不全及び拡張不全による心不全(肥大型心筋症による心不全、収縮性心膜炎による心不全、心タンポナーデによる心不全等)のある患者[本剤の反射性交感神経亢進作用及び血管拡張作用により、症状を悪化させるおそれがある]。
2.3. 高度頻脈及び高心拍出性心不全(甲状腺中毒症等)のある患者[本剤の反射性交感神経亢進作用及び血管拡張作用により、症状を悪化させるおそれがある]。2.4. 肺高血圧症による右心不全のある患者[本剤の反射性交感神経亢進作用及び血管拡張作用により、症状を悪化させるおそれがある]。
2.5. 解離性大動脈瘤のある患者[本剤の反射性交感神経亢進作用及び血管拡張作用により、症状を悪化させるおそれがある]。
2.6. 頭蓋内出血急性期の患者[本剤の血管拡張作用により、頭蓋内出血を悪化させるおそれがある]。
2.7. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
腎機能用量
15≦CCr<60:1日75〜150mg 3回分服
CCr<15・透析:1日15〜60mg 1〜2回分服
適応
【内服】本態性高血圧症、妊娠高血圧症候群による高血圧【注射】高血圧性緊急症
効果・効能
本態性高血圧症、妊娠高血圧症候群による高血圧。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. SLE様症状(発熱、紅斑、関節痛、胸部痛等)(いずれも頻度不明)。
11.1.2. 劇症肝炎、肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):劇症肝炎、肝炎、著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいALP上昇、著しいγ−GTP上昇、著しいLDH上昇、著しいビリルビン上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある〔8.2、9.3肝機能障害患者の項参照〕。
11.1.3. うっ血性心不全、狭心症発作誘発(いずれも頻度不明)〔9.1.2参照〕。
11.1.4. 麻痺性イレウス(頻度不明)。
11.1.5. 呼吸困難(頻度不明)。
11.1.6. 急性腎障害(頻度不明)〔9.2腎機能障害患者の項参照〕。11.1.7. 溶血性貧血、汎血球減少(いずれも頻度不明)。11.1.8. 多発性神経炎(頻度不明)。
11.1.9. 血管炎(頻度不明)。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 血液:(頻度不明)ヘモグロビン減少、赤血球減少、白血球減少、顆粒球減少、血小板減少、紫斑、LE細胞陽性、好酸球増多。
2). 肝臓:(頻度不明)肝脾腫。
3). 精神神経系:(頻度不明)頭痛、眠気、不安、抑うつ、めまい、倦怠感、末梢神経障害(知覚異常等)、神経過敏、振戦、激越、幻覚。
4). 循環器:(頻度不明)頻脈、心悸亢進、心電図異常、起立性低血圧、胸内苦悶、逆説的血圧上昇。
5). 消化器:(頻度不明)悪心・嘔吐、食欲不振、下痢、口渇、便秘。6). 眼:(頻度不明)流涙、結膜炎、眼球突出。
7). 泌尿器:(頻度不明)排尿困難、糸球体腎炎。
8). 過敏症:(頻度不明)発疹、発熱。
9). その他:(頻度不明)顔面潮紅、鼻閉、筋肉痛、リンパ節腫、関節痛、浮腫、体重減少。
慎重投与
1.腎機能障害・肝機能障害のある患者[本剤の代謝・排泄が遅延することにより、降圧作用及び副作用が増大する恐れがあるので、このような患者では投与量、投与間隔の調節を考慮する]。
2.虚血性心疾患の既往歴のある患者[心仕事量の増大により、虚血性心疾患を誘発する恐れがある]。
3.うっ血性心不全のある患者[心仕事量の増大により、症状が悪化する恐れがある]。4.脳血管障害のある患者[過度の降圧により脳血流量が減少し、症状が悪化する恐れがある]。
重要な基本的な注意
8.1. 降圧作用に基づくめまい等があらわれ、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に支障を来すことがあるので注意すること。
8.2. 定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.2参照〕。(特定の背景を有する患者に関する注意)
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 虚血性心疾患の既往歴のある患者:心仕事量の増大により、虚血性心疾患を誘発するおそれがある。
9.1.2. うっ血性心不全のある患者:心仕事量の増大により、症状が悪化するおそれがある〔11.1.3参照〕。
9.1.3. 脳血管障害のある患者:過度の降圧により脳血流量が減少し、症状が悪化するおそれがある。
腎機能障害患者
腎機能障害患者:投与量、投与間隔の調節を考慮すること(本剤の代謝・排泄が遅延することにより、降圧作用及び副作用が増大するおそれがある)〔11.1.6、16.5参照〕。
肝機能障害患者
肝機能障害患者:投与量、投与間隔の調節を考慮すること(本剤の代謝・排泄が遅延することにより、降圧作用及び副作用が増大するおそれがある)〔11.1.2、16.4、16.5参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:
1). MAO阻害剤[過度の血圧低下をきたすおそれがあるので、用量に注意すること(機序は不明であるが、MAO阻害剤が本剤の代謝を阻害すると考えられている)]。2). 他の降圧剤(利尿降圧剤等)、ジアゾキシド[過度の血圧低下をきたすおそれがあるので、用量に注意すること(いずれも血圧降下作用を有するため)]。3). フェノチアジン系精神神経用剤[過度の血圧低下をきたすおそれがあるので、用量に注意すること(フェノチアジン系精神神経用剤により血圧低下を生じることがあるため)]。
4). β−遮断剤(メトプロロール、プロプラノロール)[これらの薬剤の作用が増強されることがある(これらの薬剤の肝臓での初回通過効果が減少し、血中濃度が上昇するおそれがある)]。
高齢者
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に過度の降圧は好ましくないとされており、脳梗塞等が起こるおそれがある)。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されており、またヒト胎児においても経胎盤的に移行し、新生児に血小板減少等を起こすおそれがある)。(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中へ移行する)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
過剰投与
13.1. 徴候、症状
過量投与時の主要な症状は心血管系障害(頻脈、心悸亢進、低血圧、心筋虚血、不整脈、狭心症、循環虚脱、ショック等)であり、他に乏尿、無尿、意識障害、振戦、痙攣、低体温、嘔吐、全身潮紅、発汗等。
適用上の注意
14.2. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
取扱い上の注意
開封後は湿気を避けて保存すること。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
アプレゾリン錠25mg 有効成分 1錠中
日局 ヒドララジン塩酸塩 25mg
添加剤 D‐マンニトール、トウモロコシデンプン、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、白糖、タルク、アラビアゴム、ヒプロメロース、酸化チタン、マクロゴール、カルナウバロウ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
3.2 製剤の性状
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
アプレゾリン錠25mg 性状 白色の糖衣錠
外形 <<図省略>> <<図省略>> <<図省略>>
識別コード SJ 103
大きさ(約) 直径:7.6mm 厚さ:4.5mm 質量:0.2g
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
薬効薬理
18.1 作用機序
降圧作用機序については、まだ十分に解明されていないが、末梢細動脈の血管平滑筋に直接作用し、血管を拡張することが主作用であると考えられている。ヒドララジンによる心拍数・心拍出量の増加は血管抵抗減少に伴う反射性の交感神経緊張によるものと考えられている。これらの心刺激作用はβ‐アドレナリン受容体遮断剤又は節遮断剤により抑制される。また腎・脳血流量に関しては血管抵抗の減少とともに維持又は増加させる。
薬物動態
16.1 血中濃度
健康成人4例に100mg経口投与後、血漿中濃度のピークは1〜2時間後にみられ、0.4〜1.3μg/mLである。血漿半減期は個々で大きく異なり、2〜4時間および6〜8時間であった(外国人のデータ)。
16.4 代謝
主に肝臓でN‐acetyltransferaseによりアセチル化され不活化する。ヒドララジンの主な代謝物は芳香環の水酸化体とそのグルクロン酸抱合体及びN‐アセチル抱合体であるが、ヒトでの代謝経路としてはN‐アセチル化が重要であり、アセチル化能が生体内利用率に、影響を及ぼすと考えられている(外国人のデータ)。[9.3参照]
16.5 排泄
14C‐ヒドララジンを経口投与あるいは静脈内投与した場合、その尿中排泄率にはほとんど差がなく、放射活性は50〜80%が尿中に、3〜12%が糞中に排泄される(外国人のデータ)。[9.2、9.3参照]