特徴
胆汁排泄なので、腎機能障害を伴う高血圧症
専門医コメント
褐色細胞腫の高血圧などで使用する。3剤目
用法・用量
通常、成人にはドキサゾシンとして1日1回0.5mgより投与を始め、効果が不十分な場合は1〜2週間の間隔をおいて1〜4mgに漸増し、1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は8mgまでとする。ただし、褐色細胞腫による高血圧症に対しては1日最高投与量を16mgまでとする。
禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
用法・用量に関連する注意
<用法・用量に関連する使用上の注意>
本剤は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜からの吸収により効果発現を期待する製剤ではないため、唾液又は水で飲み込む。
腎機能用量
腎機能正常者と同じ
適応
高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症
効果・効能
1). 高血圧症。
2). 褐色細胞腫による高血圧症。
副作用
次の副作用*があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 失神・意識喪失(0.01%):起立性低血圧によることが多いので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、仰臥位をとらせるなど適切な処置を行うこと。
11.1.2. 不整脈(頻度不明)。
11.1.3. 脳血管障害(頻度不明)。
11.1.4. 狭心症(頻度不明)。
11.1.5. 心筋梗塞(頻度不明)。
11.1.6. 無顆粒球症、白血球減少、血小板減少(いずれも頻度不明)。11.1.7. 肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):肝炎、著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいγ−GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 肝臓:(0.1〜1%未満)AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇、(0.1%未満)LDH上昇、(頻度不明)胆汁うっ滞。
2). 循環器:(0.1〜1%未満)起立性めまい、起立性低血圧、低血圧、動悸・心悸亢進、頻脈、ほてり(顔面潮紅等)、(0.1%未満)胸痛・胸部圧迫感、(頻度不明)徐脈。
3). 精神・神経系:(0.1〜1%未満)めまい、頭痛・頭重、眩暈、(0.1%未満)眠気、不眠、しびれ感、(頻度不明)耳鳴、興奮、振戦、知覚鈍麻、不安、うつ病、神経過敏。
4). 消化器:(0.1〜1%未満)悪心・嘔吐、(0.1%未満)腹痛、口渇、食欲不振、下痢、便秘、(頻度不明)消化不良、鼓腸放屁。
5). 筋・骨格系:(頻度不明)関節痛、筋力低下、筋痙直、筋肉痛、背部痛。6). 呼吸器:(0.1%未満)息苦しさ、鼻出血、鼻炎、咳、(頻度不明)気管支痙攣悪化、呼吸困難。
7). 泌尿・生殖器:(0.1%未満)頻尿・夜間頻尿、尿失禁、(頻度不明)持続勃起、勃起障害、射精障害(逆行性射精等)、血尿、排尿障害、多尿。8). 過敏症:(0.1%未満)発疹、そう痒感、(頻度不明)蕁麻疹、血管浮腫、光線過敏症。
9). 血液:(0.1〜1%未満)白血球減少、(0.1%未満)血小板減少、(頻度不明)紫斑。
10). 眼:(頻度不明)かすみ目、術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)。11). その他:(0.1〜1%未満)倦怠感、(0.1%未満)浮腫、脱力感、異常感覚、発熱、(頻度不明)発汗、疼痛、体重増加、女性化乳房、脱毛。*)使用成績調査を含む。
慎重投与
1.ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤服用中の患者。2.肝機能障害のある患者[主として肝臓で代謝されるため、血中濃度−時間曲線下面積(AUC)が増大することがある]。
重要な基本的な注意
8.1. 起立性低血圧があらわれることがあるので、臥位のみならず立位又は坐位で血圧測定を行い、体位変換による血圧変化を考慮し、坐位にて血圧をコントロールすること。
8.2. 本剤の投与初期又は用量の急増時等に、立ちくらみ、めまい、脱力感、発汗、動悸・心悸亢進等があらわれることがあるので、その際は仰臥位をとらせるなどの適切な処置を行うこと(また、必要に応じて対症療法を行うこと)。8.3. 本剤の投与初期又は用量の急増時等に起立性低血圧に基づくめまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う作業に従事する場合には注意させること。
特定の背景を有する患者に関する注意
肝機能障害患者
肝機能障害患者:主として肝臓で代謝されるため、血中濃度−時間曲線下面積(AUC)が増大することがある〔16.6.2参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:
1). 利尿剤又は他の降圧剤[相互に作用を増強するおそれがあるので、減量するなど注意すること(相互に作用を増強するおそれがある)]。
2). ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル、シルデナフィルクエン酸塩)[併用によりめまい等の自覚症状を伴う症候性低血圧を来したとの報告がある(血管拡張作用による降圧作用を有するため、本剤の降圧作用を増強することがある)]。
高齢者
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(脳梗塞等が起こるおそれがあることから、一般に過度の降圧は好ましくないとされている)。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。胎仔器官形成期投与試験にて、ラットへの120mg/kg投与及びウサギへの100mg/kg投与により胎仔死亡率増加が報告されている。(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中への移行が報告されている)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
過剰投与
13.1. 症状
過量投与により低血圧を起こす可能性がある。
13.2. 処置
過量投与時、本剤は蛋白結合率が高いため、透析は有用ではない。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意
14.1.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
14.1.2. 本剤をPTPシート又は瓶から取り出して保存する場合は、湿気を避けて保存するよう指導すること。
14.1.3. 本剤は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜からの吸収により効果発現を期待する製剤ではないため、唾液又は水で飲み込むこと。
14.1.4. 本剤は舌の上にのせ唾液で浸潤させ、唾液のみで服用可能である(また、水で服用することも可能である)。
取扱い上の注意
アルミピロー開封後は湿気を避けて保存すること。瓶の開封後は湿気を避けて保存すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報
α1遮断薬を服用中又は過去に服用経験のある患者において、α1遮断作用によると考えられる術中虹彩緊張低下症候群(Intraoperative Floppy Iris Syndrome)があらわれるとの報告がある。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
販売名 カルデナリンOD錠0.5mg
有効成分 1錠中
日局 ドキサゾシンメシル酸塩 0.61mg(ドキサゾシンとして 0.5mg)
添加剤 D‐マンニトール、結晶セルロース、クロスポビドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、サッカリンナトリウム水和物、ステアリン酸マグネシウム、ステビア抽出精製物、香料、黄色三二酸化鉄
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
3.2 製剤の性状
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
販売名 外形 識別コード 色調等
上面 下面 側面
カルデナリンOD錠0.5mg <<図省略>> <<図省略>> <<図省略>> VTC11 淡黄色
直径 厚さ 重量 素錠
6.0mm 2.8mm 80mg
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
薬効薬理
18.1 作用機序
ドキサゾシンの降圧作用は末梢血管の交感神経α受容体の遮断によるが、α1受容体(シナプス後α受容体)に選択的に働き、α2受容体(シナプス前α受容体)にはほとんど作用しないことがラット摘出輸精管標本、ウサギ摘出肺動脈標本又はreceptor binding assayによるin vitro実験で認められている。また、ドキサゾシンのα1受容体への選択性は従来のα1遮断剤より優れている。
18.2 降圧作用
高血圧自然発症ラット、腎性高血圧ラット、DOCA高血圧ラット及び腎性高血圧イヌを用いた実験において、経口投与により持続的な降圧作用が認められている。高血圧自然発症ラットに1日1回37日間連続経口投与した実験でも安定した降圧効果を示し、耐性は認められなかった。
18.3 血行動態
麻酔イヌにおいてドキサゾシン0.1〜0.5mg/kgの静脈内投与により、持続的な血圧下降、全末梢抵抗の減少、心拍出量及び心拍数の一過性増加がみられた。本態性高血圧症患者にドキサゾシン0.5〜4mgを6週間経口投与した成績では、有意な血圧下降、全末梢抵抗の減少及び心拍出量の増加傾向がみられたが、心拍数には変動は認められなかった。
18.4 血漿レニン活性及びカテコラミン濃度に及ぼす影響
腎性高血圧イヌにドキサゾシン0.1〜1.0mg/kgを経口投与した成績では、血漿レニン活性に有意な影響は認められていない。また、本態性高血圧症患者にドキサゾシン2mgを連続経口投与した成績においても、血漿レニン活性、アルドステロン、ノルアドレナリン及びアドレナリン濃度に有意な変動は認められていない。
薬物動態
16.1 血中濃度
健康成人6名にドキサゾシン錠0.5mg、1mg又は2mgを空腹時に単回経口投与した結果、投与後1.6〜1.7時間に最高血漿中濃度に達し、その濃度はそれぞれ4.9ng/mL、9.4ng/mL及び18.2ng/mLであった。血漿中濃度の半減期は10〜16時間であった。
高血圧症患者7例に2mg錠を1日1回5〜8日間連続経口投与した場合の血漿中濃度は4日目以降で定常状態になり、初日の約1.4倍に増加する。また、血漿中濃度半減期は単回投与時11.1時間、連続投与時12.9時間と大差はなかった。
健康成人男性24例に、クロスオーバー法によりドキサゾシンOD錠4mg又はドキサゾシン錠4mgをそれぞれ空腹時単回経口投与したとき、ドキサゾシンの血漿中濃度及び薬物動態パラメータは次の通りであった。
<<図省略>>
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
剤形及び投与量 Tmax(h) Cmax(ng/mL) AUCt(ng・h/mL) T1/2(h)
ドキサゾシンOD錠4mg(水なしで服用)a) 1.682±0.56790 36.67±7.3296 516.7±113.21 11.82±1.8750
ドキサゾシンOD錠4mg(水ありで服用) 1.583±0.60193 40.23±9.7754 505.7±118.02 11.95±1.5160
ドキサゾシン錠4mg 2.000±1.1229 38.16±7.6917 509.5±102.31 11.89±1.6520
n=24、a)n=22
Tmax:最高血漿中濃度到達時間
Cmax:最高血漿中濃度
AUCt:最終採血時点までの血漿中濃度−時間曲線下面積
T1/2:消失半減期
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ドキサゾシンOD錠4mgは、水なしで服用又は水とともに服用した場合のいずれにおいても、ドキサゾシン錠4mgと生物学的に同等であることが確認された。また、OD錠4mgはOD錠0.5mg、OD錠1mg及びOD錠2mgと溶出挙動が同等であり、生物学的に同等とみなされた。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人12名にドキサゾシンカプセル1mgをクロスオーバー法により空腹時又は食後に単回経口投与した結果、最高血漿中濃度到達時間はそれぞれ2.3時間及び3.9時間であったが、最高血漿中濃度はいずれも6.8ng/mLであり、AUCでも空腹時及び食後投与との間に有意差を認めず、ドキサゾシンの吸収に及ぼす食事の影響は少ない。
16.3 分布
16.3.1 分布
健康成人6名にドキサゾシン錠2mgを単回経口投与したときの血漿中濃度成績から算出した分布容積は1.2L/kgであり、組織への移行性は良好と考えられる。
16.3.2 蛋白結合
ドキサゾシンのヒト血漿蛋白結合率(in vitro)は98.9%であった。
16.5 排泄
健康成人6名にドキサゾシン錠0.5mg、1mg又は2mgを単回経口投与したときの投与後24時間までの未変化体の尿中排泄率はいずれも1%以下であった。
健康成人2名に14C‐標識ドキサゾシン2mgを単回経口投与した場合の投与後7日目までの放射能排泄率は、尿中9%、糞中63%であり、主として糞中へ排泄され、そのほとんどが代謝物として排泄される。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害を伴う高血圧症患者5例と腎機能正常の高血圧症患者7例にドキサゾシン錠2mgを1日1回5〜8日間連続経口投与した結果、両群間で血漿中ドキサゾシン濃度の推移に有意な差は認められなかった。
16.6.2 肝機能障害患者
肝機能の低下している患者(肝硬変患者)12例及び健康成人12名にドキサゾシン錠2mgを単回経口投与した結果、臨床的な影響は明らかではないが、ドキサゾシンの肝機能低下患者におけるAUCは246±84ng・hr/mLと健康成人の値172±61ng・hr/mLに比し有意に増大した。[9.3参照]
16.6.3 高齢者
健康高齢者12名(平均71.4歳)及び若年健康成人6名にドキサゾシン1mgを静注、又は2mgを単回経口投与した結果、健康高齢者では若年健康成人に比し分布容積は有意に高値を示すが、バイオアベイラビリティー、クリアランス及び血漿中濃度半減期には有意な変化は認められなかった。