Antaa DI

drug

エプレレノン錠100mg「杏林」

特徴

  • アルダクトン(約10%)と異なり、女性化

専門医コメント

心不全で、低カリウム血症を合併している症

用法・用量

通常、成人にはエプレレノンとして1日1回50mgから投与を開始し、効果不十分な場合は100mgまで増量することができる。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 高カリウム血症の患者もしくは本剤投与開始時に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えている患者[高カリウム血症を増悪させるおそれがある]。2.3. 重度腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/分未満)のある患者〔9.2.1参照〕。

2.4. 重度肝機能障害<Child−Pugh分類クラスCの肝硬変に相当>のある患者〔9.3.1参照〕。

2.5. カリウム保持性利尿薬投与中及びミネラルコルチコイド受容体拮抗薬投与中の患者〔10.1参照〕。

2.6. イトラコナゾール投与中、リトナビル含有製剤投与中及びエンシトレルビル フマル酸投与中の患者〔10.1参照〕。

2.7. 微量アルブミン尿を伴う糖尿病又は蛋白尿を伴う糖尿病患者[高カリウム血症を誘発させるおそれがある]。

2.8. 中等度以上の腎機能障害(クレアチニンクリアランス50mL/分未満)のある患者〔9.2.3参照〕。

2.9. カリウム製剤投与中の患者〔10.1参照〕。

用法・用量に関連する注意

7.1. CYP3A4阻害薬と併用する場合には、本剤の投与量は1日1回25mgを超えないこと〔10.2、16.7.2参照〕。

7.2. 本剤の投与中に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えた場合には減量を考慮し、血清カリウム値が5.5mEq/Lを超えた場合は減量ないし中止し、血清カリウム値が6.0mEq/L以上の場合には直ちに中止すること。

腎機能用量

30≦CCr<60

・高血圧症:禁忌(高K血症を誘発させる恐れがある)

・慢性心不全:1日1回隔日25mgから開始し、4週間以降を目安に1日1回25mgへ増量。最大1日1回25mg

CCr<30:禁忌(高K血症を誘発させる恐れがある)

適応

高血圧症【25・50mg】慢性心不全でACE阻害薬、 ARB、 β遮断薬、 利尿薬などの基礎治療中

効果・効能

高血圧症。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 高カリウム血症(1.7%)〔8.1参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 血液およびリンパ系障害:(0.5%未満)貧血、溢血斑。2). 代謝および栄養障害:(1%以上)高尿酸血症、(0.5〜1%未満)高トリグリセリド血症、(0.5%未満)高血糖、口渇、痛風、高カルシウム血症、脱水、糖尿病悪化、低ナトリウム血症、食欲亢進。

3). 精神障害:(0.5%未満)不眠症、うつ病、神経過敏、不安。4). 神経系障害:(1%以上)頭痛、めまい、(0.5%未満)異常感覚、起立性低血圧、傾眠、知覚減退、眩暈、片頭痛、失神、健忘。

5). 心臓障害:(0.5〜1%未満)心悸亢進、(0.5%未満)頻脈、期外収縮、不整脈、狭心症。

6). 血管障害:(0.5%未満)低血圧、脳血管障害。7). 呼吸器、胸郭および縦隔障害:(0.5〜1%未満)咳、感冒症状・上気道感染、(0.5%未満)呼吸困難、咽頭炎、鼻炎、副鼻腔炎、鼻出血、喘息・喘鳴。8). 胃腸障害:(1%以上)嘔気、消化不良、(0.5〜1%未満)下痢、腹痛、便秘、(0.5%未満)嘔吐、口内乾燥、胃食道逆流、鼓腸放屁、味覚倒錯。9). 肝胆道系障害:(0.5%未満)脂肪肝、肝機能異常。10). 皮膚および皮下組織障害:(0.5〜1%未満)発疹、多汗、(0.5%未満)皮膚そう痒症、皮膚疾患、蕁麻疹、皮膚乾燥、血管神経性浮腫。11). 筋骨格系および結合組織障害:(1%以上)筋痙攣、(0.5%未満)関節痛、筋痛、四肢疼痛、背部痛、筋脱力、攣縮。

12). 腎および尿路障害:(0.5〜1%未満)頻尿、(0.5%未満)多尿、蛋白尿、夜間頻尿、血尿、尿路感染。

13). 一般・全身障害および投与部位の状態:(1%以上)疲労、(0.5〜1%未満)末梢性浮腫、無力症、胸痛、(0.5%未満)潮紅、ほてり、疼痛、倦怠感。14). 臨床検査:(1%以上)ALT上昇、γ−GTP上昇、AST上昇、(0.5〜1%未満)CK上昇、BUN上昇、(0.5%未満)ECG異常、血中クレアチニン上昇、単球増多、コレステロール増加、尿比重減少、Al−P上昇、好酸球増多、プロトロンビン減少、尿比重増加、リンパ球増多、好塩基球増多、LDH上昇、白血球増多、尿糖、ビリルビン増加、ヘモグロビン増加。

15). 眼障害:(0.5%未満)眼痛、視覚異常、眼球乾燥、霧視。16). 耳および迷路障害:(0.5%未満)耳鳴。

17). 生殖系および乳房障害:(0.5〜1%未満)勃起障害、(0.5%未満)女性化乳房、リビドー減退、月経異常。

重要な基本的な注意

8.1. 高カリウム血症があらわれることがあるので、血清カリウム値を原則として投与開始前、投与開始後(又は用量調節後)の1週間以内及び1ヵ月後に観察し、その後も定期的に観察すること〔11.1.1参照〕。

8.2. 肝機能異常がみられることがあるので、投与開始後1ヵ月を目処に肝機能検査値を観察し、その後も定期的に観察すること。

8.3. 低ナトリウム血症があらわれることがあるので、血清ナトリウム値を定期的に観察すること。

8.4. 降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。

特定の背景を有する患者に関する注意

腎機能障害患者

9.2.1. 重度腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/分未満)のある患者:投与しないこと(高カリウム血症を誘発させるおそれがある)〔2.3参照〕。9.2.2. 軽度腎機能障害のある患者:より頻回に血清カリウム値を測定すること(高カリウム血症のリスクが高まるおそれがある)。

9.2.3. 中等度以上の腎機能障害(クレアチニンクリアランス50mL/分未満)のある患者:投与しないこと(高カリウム血症を誘発させるおそれがある)〔2.8参照〕。

肝機能障害患者

9.3.1. 重度肝機能障害<Child−Pugh分類クラスCの肝硬変に相当>のある患者:投与しないこと(高カリウム血症等の電解質異常が発現するおそれがある)〔2.4参照〕。

9.3.2. 軽度〜中等度肝機能障害のある患者:高カリウム血症等の電解質異常の発現頻度が高まるおそれがある。

相互作用

本剤は主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。

10.1. 併用禁忌:

1). カリウム保持性利尿薬(スピロノラクトン<アルダクトンA>、トリアムテレン<トリテレン>、カンレノ酸カリウム<ソルダクトン>)、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬<フィネレノン以外>(エサキセレノン<ミネブロ>)〔2.5参照〕[血清カリウム値が上昇するおそれがある(カリウム貯留作用が増強するおそれがある)]。2). イトラコナゾール<イトリゾール>、リトナビル含有製剤<ノービア、パキロビッド>、エンシトレルビル フマル酸<ゾコーバ>〔2.6、16.7.1参照〕[本剤の血漿中濃度が上昇し血清カリウム値の上昇を誘発するおそれがある(強力なCYP3A4阻害薬は本剤の代謝を阻害する)]。

3). カリウム製剤(塩化カリウム<製剤>、グルコン酸カリウム<製剤><グルコンサンK>、アスパラギン酸カリウム<製剤><アスパラカリウム、アスパラ>、ヨウ化カリウム<製剤>、酢酸カリウム<製剤>)〔2.9参照〕[血清カリウム値が上昇するおそれがある(カリウム貯留作用が増強するおそれがある)]。10.2. 併用注意:

1). ACE阻害薬(カプトプリル、エナラプリルマレイン酸塩、リシノプリル水和物等)、アンジオテンシン2受容体拮抗薬(ロサルタンカリウム、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン等)、アリスキレンフマル酸塩、シクロスポリン、タクロリムス水和物、ドロスピレノン[血清カリウム値が上昇する可能性があるので、より頻回に血清カリウム値を測定するなど十分に注意すること(カリウム貯留作用が増強するおそれがある)]。

2). フィネレノン[血清カリウム値上昇及び高カリウム血症が発現する危険性が増大するおそれがあるので、治療上必要と判断される場合にのみ併用し、併用する場合には、より頻回に血清カリウム値を測定するなど患者の状態を慎重に観察すること(カリウム貯留作用が増強するおそれがある)]。

3). CYP3A4阻害薬(クラリスロマイシン、エリスロマイシン、フルコナゾール、サキナビルメシル酸塩、ベラパミル塩酸塩等)〔7.1、16.7.2参照〕[本剤の血漿中濃度が上昇し血清カリウム値の上昇を誘発するおそれがあるので、より頻回に血清カリウム値を測定するなど十分に注意すること(CYP3A4阻害薬は本剤の代謝を阻害する)]。

4). CYP3A4誘導薬(デキサメタゾン、フェニトイン、リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール等)、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)〔16.7.4参照〕[本剤の血漿中濃度が減少するおそれがあるので、本剤投与時は、これらの薬剤及びセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないことが望ましい(これらの薬剤及びセイヨウオトギリソウにより誘導された代謝酵素により、本剤の代謝が促進されるおそれがある)]。5). リチウム製剤(炭酸リチウム)[利尿薬又はACE阻害薬との併用によりリチウム中毒を起こすことが報告されているので、血中リチウム濃度に注意すること(明確な機序は不明であるが、ナトリウムイオン不足はリチウムイオンの貯留を促進するといわれているため、ナトリウム排泄を促進することにより起こると考えられる)]。6). 非ステロイド性消炎鎮痛薬(インドメタシン等)[カリウム保持性利尿薬との併用によりその降圧作用の減弱、腎機能障害患者における重度の高カリウム血症の発現が報告されている(明確な機序は不明であるが、プロスタグランジン産生が抑制されることによって、ナトリウム貯留作用による降圧作用の減弱、カリウム貯留作用による血清カリウム値の上昇が起こると考えられる<危険因子>腎機能障害)]。7). ミトタン[ミトタンの作用を阻害するおそれがある(ミトタンの薬効を類薬(スピロノラクトン)が阻害するとの報告がある)]。

高齢者

9.8.1. 一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こるおそれがある)。

9.8.2. より頻回に血清カリウム値を測定すること(一般的に腎機能が低下していることが多く、高カリウム血症のリスクが高まるおそれがある)。

妊婦・授妊婦

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(妊娠ラット及びウサギにエプレレノンを経口投与した試験において、胎仔に移行することが確認され、この時、催奇形性はみられなかったが、ウサギでは早期吸収胚数増加が認められた)。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトにおける本剤の乳汁中移行性については不明であるが、分娩後の哺育中ラットに14C−エプレレノンを経口投与した後の放射能は乳汁に移行することが報告されている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

保管上の注意

室温保存。

組成・性状

3.1 組成

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販売名 エプレレノン錠100mg「杏林」

有効成分(1錠中) 日局エプレレノン

100mg

添加剤 乳糖水和物、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、酸化チタン、マクロゴール6000、三二酸化鉄、カルナウバロウ

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3.2 製剤の性状

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販売名 エプレレノン錠100mg「杏林」

剤形 フィルムコーティング錠

色調 赤色

外形 <<図省略>>

<<図省略>>

<<図省略>>

本体表示 エプレレ 100 杏林

直径(mm) 9.6

厚さ(mm) 4.7

質量(mg) 350

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薬効薬理

18.1 作用機序

エプレレノンはミネラルコルチコイド受容体に結合し、レニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン系(RAAS)のホルモンであるアルドステロンの結合を阻害する。アルドステロンは腎などの上皮組織並びに心臓、血管及び脳などの非上皮組織におけるミネラルコルチコイド受容体に結合し、ナトリウム再吸収及びその他の機序を介して血圧を上昇させる。エプレレノンはこれらのアルドステロンの作用を阻害することで降圧作用を発揮するものと考えられる。エプレレノンはレニン分泌へのアルドステロンによるネガティブフィードバックを抑制するため、血漿中レニン活性及び血清中アルドステロン濃度を持続的に上昇させるが、これらの上昇はエプレレノンの作用を減弱しない。

18.2 受容体結合の選択性

エプレレノンは、ラット及びヒトのミネラルコルチコイド受容体に選択的に結合する。糖質コルチコイド受容体、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体等、他のステロイドホルモン受容体に対する親和性は、ミネラルコルチコイド受容体に対する親和性と比べて1/20以下であった。ラットを用いた試験で、臨床投与量のエプレレノンには、ミネラルコルチコイド受容体以外のステロイドホルモン受容体への作用に起因する副作用は認められなかった。

18.3 高血圧に対する作用

18.3.1 エプレレノンは、アルドステロン持続投与/食塩負荷を行った一側腎摘出高血圧ラットにおいて、収縮期血圧に対し持続的な降圧作用を示した。

18.3.2 エプレレノンは、脳卒中易発症性自然発症高血圧ラット(SHRSP)において、2週間の投与期間中、収縮期血圧に対し持続的な降圧作用を示した。また、ACE阻害薬であるリシノプリルとの併用により、降圧作用は顕著に増強された。

18.3.3 食塩感受性低レニン型高血圧の動物モデルであるDahl食塩感受性ラットにおいて、エプレレノンは4週間の持続投与で収縮期血圧に対し用量依存的な降圧作用を示した。

18.4 慢性心不全に対する作用

エプレレノンは心不全動物モデル(マウス、ラット、イヌ)において、心機能関連のパラメータ(左室駆出分画など)を改善し、心保護作用(心肥大、左室リモデリングの抑制)を示した。

薬物動態

16.1 血中濃度

16.1.1 単回投与

エプレレノンを欧米人健康成人男性に単回経口投与したところ、約1.5時間後に平均最高血漿中濃度(Cmax)に達した。25〜100mgまでの用量ではCmax及び血漿中濃度曲線下面積(AUC)はともに用量に比例して増加した(外国人データ)。

16.1.2 反復投与

エプレレノンを欧米人健康成人男性に1日1回反復経口投与したところ、エプレレノンは2日以内に定常状態に達した。反復投与後のエプレレノン血漿中濃度に蓄積性は認められなかった(外国人データ)。

日本人健康成人男性に100mg反復投与後のCmax、AUC0−24、tmax及びt1/2は、それぞれ1.78±0.34μg/mL、12.3±3.7μg・h/mL、1.46±0.84h及び5.00±1.74hであり、これらの値は欧米人にエプレレノン100mgを反復投与した時の値に類似していた。

16.1.3 生物学的同等性試験

〈エプレレノン錠50mg「杏林」〉

エプレレノン錠50mg「杏林」とセララ錠50mgをクロスオーバー法によりそれぞれ1錠(エプレレノンとして50mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。

表16‐1 薬物動態パラメータ

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                判定パラメータ                          参考パラメータ

                AUC0−24(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL)    tmax(hr)  t1/2(hr)

エプレレノン錠50mg「杏林」 4630.1±1486.4     1148.77±274.40 1.43±0.97 2.7±0.9

セララ錠50mg        4827.6±1630.8     1065.13±240.50 1.62±0.95 2.9±0.9

(平均値±標準偏差、n=40)

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図16‐1 血漿中濃度

<<図省略>>

〈エプレレノン錠100mg「杏林」〉

エプレレノン錠100mg「杏林」とセララ錠100mgをクロスオーバー法によりそれぞれ1錠(エプレレノンとして100mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。

表16‐2 薬物動態パラメータ

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                 判定パラメータ                          参考パラメータ

                 AUC0−24(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL)    tmax(hr)  t1/2(hr)

エプレレノン錠100mg「杏林」 7849.1±2076.6     1946.63±515.98 1.32±0.89 3.0±0.7

セララ錠100mg        7811.9±2138.0     1682.42±391.15 1.69±1.10 3.0±0.7

(平均値±標準偏差、n=35)

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図16‐2 血漿中濃度

<<図省略>>

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

16.2.1 食事の影響

高脂肪含有食を摂取した欧米人健康成人における2種の試験において、エプレレノン100mg単回投与後のCmax及びAUCの平均値は、空腹時と比較してそれぞれCmaxにて0.8及び1.0倍、AUCにて1.1及び1.0倍であった(外国人データ)。

16.2.2 バイオアベイラビリティ

経口投与時のバイオアベイラビリティは69%であった(外国人データ)。

16.3 分布

ヒト血漿を用いたin vitro蛋白結合試験において、14C‐エプレレノンの平均蛋白結合率は0.02〜60μg/mLの濃度範囲にて60.6%以下と低値を示した。エプレレノンの結合蛋白質は血清アルブミン及びα1‐酸性糖蛋白質であり、それぞれの平均蛋白結合率は11.5%及び53.7%以下であった。エプレレノンと血球との特異的な結合は認められなかった。

Long‐Evans系雄性ラットに14C‐エプレレノンを20mg/kgにて単回経口投与した後、消化管を除いた組織において、組織内放射能濃度が高値を示した組織は肝臓、膵臓及び腎臓であった。また、組織内放射能濃度が低値を示した組織は眼(水晶体以外)、脳及び脊髄であった。白色及び有色皮膚における組織内放射能濃度は同様な値を示したが、有色皮膚中放射能の消失半減期は白色皮膚中の消失半減期よりも高値を示した。

16.4 代謝

エプレレノンは主としてCYP3A4にて代謝される。In vitro試験においてエプレレノンはCYP1A2、CYP3A4、CYP2C19、CYP2C9及びCYP2D6活性を阻害しなかった。臨床投与量にてヒト血漿中には抗アルドステロン作用を示す代謝物は認められなかった。14C‐エプレレノンを単回経口投与後、糞中及び尿中にはそれぞれ投与した放射能の32%及び67%が排泄された。また未変化体として糞中及び尿中に投与量の2.5%が回収された。

エプレレノンはP‐糖蛋白の基質ではなく、阻害作用も認められなかった(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

16.6.1 腎機能障害患者

重度腎機能障害患者にエプレレノン100mgを反復投与した時、定常状態においてエプレレノンのAUC0−24及びCmaxは健康成人と比較してそれぞれ32%及び19%高値を示したが、有意な差ではなかった。エプレレノン反復投与後の血漿クリアランスとクレアチニンクリアランスに相関性は認められなかった。また、これらの患者において反復投与によるクレアチニンクリアランスの減少は認められなかった。エプレレノンは血液透析では除去されなかった(外国人データ)。

16.6.2 肝機能障害患者

中等度の肝機能障害患者において、エプレレノン400mg注)を反復投与した時の薬物動態について検討した。肝機能障害患者では、エプレレノン400mgを反復投与した時、定常状態においてエプレレノンのAUC0−24は、健康成人と比較して42%高値を示した。重度の肝機能障害患者における試験は行われていない(外国人データ)。

注)本剤の国内承認用量は高血圧症では1日1回50〜100mg、慢性心不全では1日1回25〜50mgである。

16.6.3 高齢者

エプレレノン100mgを反復投与した時、非高齢者(18〜45歳)に比べて高齢者(65歳以上)の定常状態におけるエプレレノンのCmax及びAUC0−24はそれぞれ22%及び45%高値を示した(外国人データ)。

16.6.4 慢性心不全患者

心不全患者(NYHA心機能分類II〜IV)にエプレレノン50mgを反復投与した時の定常状態でのAUC及びCmaxは、年齢、体重、性別を一致させた健康被験者と比較して、それぞれ38%及び30%高値を示した(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

16.7.1 ケトコナゾール(強力なCYP3A4阻害薬)

エプレレノン100mg及びケトコナゾール(経口剤は国内未承認)200mg(1日2回)を併用投与した時、エプレレノンのCmax及びAUC0−∞はそれぞれ1.7倍及び5.4倍増加した(外国人データ)。[10.1参照]

16.7.2 エリスロマイシン、ベラパミル塩酸塩、サキナビル、フルコナゾール及びクラリスロマイシン(CYP3A4阻害薬)

エリスロマイシン500mg(1日2回)、ベラパミル塩酸塩240mg(1日1回)、サキナビル1200mg(1日3回)、フルコナゾール200mg(1日1回)及びクラリスロマイシン500mg(1日2回)とエプレレノン100mgを併用投与した時、エプレレノンのCmaxは1.3〜1.6倍に、AUCは2.0〜3.3倍に増加した(外国人データ)。[7.1、10.2参照]

16.7.3 グレープフルーツジュース

グレープフルーツジュースの摂取によりエプレレノン100mgを投与した後のエプレレノンのAUC0−∞及びCmaxはそれぞれ1.2倍及び1.3倍の増加であった(外国人データ)。

16.7.4 セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)

エプレレノン100mg及びセイヨウオトギリソウ300mg(1日3回)を併用投与した時、エプレレノンのAUC0−∞及びCmaxはそれぞれ0.7倍及び0.8倍の減少であった(外国人データ)。[10.2参照]

16.8 その他

〈エプレレノン錠25mg「杏林」〉

エプレレノン錠25mg「杏林」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン」に基づき、50mg錠を標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた。