特徴
Ca拮抗薬降圧力:アダラート4.5、ノル
専門医コメント
降圧作用も強く、使用されているケースもみ
用法・用量
〈高血圧症、腎実質性高血圧症〉
通常、成人にはベニジピン塩酸塩として1日1回2〜4mgを朝食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、効果不十分な場合には、1日1回8mgまで増量することができる。
ただし、重症高血圧症には1日1回4〜8mgを朝食後経口投与する。〈狭心症〉
通常、成人にはベニジピン塩酸塩として1回4mgを1日2回朝・夕食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
禁忌
2.1. 心原性ショックの患者[症状が悪化するおそれがある]。2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
腎機能用量
腎機能正常者と同じ
適応
高血圧症、腎実質性高血圧症、狭心症
効果・効能
1). 高血圧症、腎実質性高血圧症。
2). 狭心症。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 肝機能障害(0.1%未満)、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 肝臓:(0.1〜5%未満)肝機能異常(AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇、ビリルビン上昇、Al−P上昇、LDH上昇等)。
2). 腎臓:(0.1〜5%未満)BUN上昇、クレアチニン上昇。3). 血液:(0.1〜5%未満)白血球減少、好酸球増加、(頻度不明)血小板減少。
4). 循環器:(0.1〜5%未満)動悸、顔面紅潮、ほてり、血圧低下、(0.1%未満)胸部重圧感、徐脈、頻脈、(頻度不明)期外収縮。
5). 精神神経系:(0.1〜5%未満)頭痛、頭重、めまい、ふらつき、立ちくらみ、(0.1%未満)眠気、しびれ感。
6). 消化器:(0.1〜5%未満)便秘、(0.1%未満)腹部不快感、嘔気、胸やけ、口渇、(頻度不明)下痢、嘔吐。
7). 過敏症:(0.1〜5%未満)発疹、(0.1%未満)そう痒感、(頻度不明)光線過敏症。
8). 口腔:(頻度不明)歯肉肥厚。
9). その他:(0.1〜5%未満)浮腫(顔浮腫・下腿浮腫・手浮腫)、CK上昇、(0.1%未満)耳鳴、手指発赤・手指熱感、肩こり、咳嗽、頻尿、倦怠感、カリウム上昇、(頻度不明)女性化乳房、結膜充血、霧視、発汗。
発現頻度は、1997年10月までの使用成績調査を含む。
重要な基本的な注意
8.1. カルシウム拮抗剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意すること。8.2. 本剤の投与により、過度の血圧低下を起こし、一過性意識消失等があらわれるおそれがあるので、そのような場合には減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。8.3. 降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
特定の背景を有する患者に関する注意
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 過度に血圧の低い患者:本剤の降圧作用により血圧低下が悪化するおそれがある。
肝機能障害患者
9.3.1. 重篤な肝機能障害のある患者:肝機能障害が悪化するおそれがある。
相互作用
本剤は主としてCYP3A4で代謝される。
10.2. 併用注意:
1). 降圧作用を有する薬剤[血圧が過度に低下することがある(降圧作用が増強される)]。
2). ジゴキシン[ジギタリス中毒があらわれるおそれがあるので、ジゴキシンの血中濃度と心臓の状態をモニターし、異常が認められた場合には、ジゴキシンの用量の調節又は本剤の投与を中止する(カルシウム拮抗剤が、ジゴキシンの尿細管分泌を阻害し、血中ジゴキシン濃度を上昇させるとの報告がある)]。
3). シメチジン[血圧が過度に低下するおそれがある(シメチジンが肝ミクロソームにおけるカルシウム拮抗剤の代謝酵素を阻害する一方で胃酸を低下させ、薬物の吸収を増加させるとの報告がある)]。
4). リファンピシン[降圧作用が減弱されるおそれがある(リファンピシンが肝の薬物代謝酵素を誘導し、カルシウム拮抗剤の代謝を促進し、血中濃度を低下させるとの報告がある)]。
5). イトラコナゾール[血圧が過度に低下することがある(イトラコナゾールが、肝臓における本剤の代謝を阻害し、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある)]。6). グレープフルーツジュース[血圧が過度に低下することがある(グレープフルーツジュースが、肝臓における本剤の代謝を阻害し、本剤の血中濃度が上昇する)]。
高齢者
一般に過度の降圧は好ましくないとされていることから、高血圧症の高齢者に使用する場合は、低用量(2mg/日)から投与を開始するなど経過を十分に観察しながら慎重に投与することが望ましい。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験(ラット、ウサギ)で胎仔毒性が、また妊娠末期に投与すると妊娠期間延長及び分娩時間延長することが報告されている)〔2.2参照〕。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている)。
小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
過剰投与
13.1. 症状
過量投与時、過度の血圧低下を起こすおそれがある。
13.2. 処置
過量投与時、本剤は蛋白結合率が高いため、透析による除去は有用ではない。
適用上の注意
14.2. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報
CAPD(持続的外来腹膜透析)施行中の患者の透析排液が白濁することが報告されているので、腹膜炎等との鑑別に留意すること。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 コニール錠2
有効成分 1錠中日局ベニジピン塩酸塩2mg
添加剤 黄色三二酸化鉄、カルナウバロウ、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物、バレイショデンプン、ヒプロメロース(置換度タイプ:2910)、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、マクロゴール6000
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3.2 製剤の性状
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販売名 コニール錠2
直径(mm) 6.1
厚さ(mm) 3.1
重量(g) 0.08
表面 <<図省略>>
裏面 <<図省略>>
側面 <<図省略>>
色調 剤皮 黄色
フィルムコーティング錠
識別コード KH208(錠剤本体、PTPシートに表示)
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薬効薬理
18.1 作用機序
本剤は細胞膜の膜電位依存性CaチャネルのDHP結合部位に結合することによって細胞内へのCa流入を抑制し、冠血管や末梢血管を拡張させる。なお、本剤は細胞膜への移行性が高く、主として細胞膜内を通ってDHP結合部位に結合すると推定されており、更に摘出血管収縮抑制作用及びDHP結合部位親和性等の検討によりDHP結合部位への結合性が強く、また解離速度も非常に遅いことが確認されており、薬物血中濃度とほとんど相関せずに作用の持続性を示す。
18.2 降圧作用
本剤は高血圧自然発症ラット、DOCA‐食塩高血圧ラット、腎性高血圧イヌに経口投与したとき、作用の発現が緩徐で持続性の降圧作用が認められた。なお、長期間投与においても耐性は生じなかった。また、本剤は本態性高血圧症患者に1日1回経口投与したとき、血圧の日内変動に影響を及ぼさずに24時間にわたり安定した降圧効果を示した。
18.3 抗狭心症作用
本剤は実験的狭心症モデル(ラット)及びイヌ冠動脈結紮再灌流による心機能の低下、虚血性心電図変化を有意に改善した。また、本剤は労作性狭心症患者に経口投与したとき、運動負荷による虚血性変化(心電図ST下降)に対して改善効果を示した。
18.4 腎機能保持作用
本剤は腎不全モデル(5/6腎摘)高血圧自然発症ラットに連続経口投与したとき、降圧作用を示すとともに腎機能を改善した。また、本剤は本態性高血圧症患者に投与したとき、腎血流量の有意な増加が認められた。更に、高血圧を伴った慢性腎不全患者に投与したとき、クレアチニンクリアランス及び尿素窒素クリアランスを有意に増加させ、腎機能保持作用を示した。
薬物動態
16.1 血中濃度
健康成人男性6例にベニジピン塩酸塩2mg、4mg及び8mgをそれぞれ空腹時に単回経口投与したときの血漿中未変化体濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。
単回経口投与したときの血漿中濃度推移(mean+S.D.、n=6)
<<図省略>>
単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
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投与量 tmax(h) Cmax(ng/mL) AUC0−∞(ng・h/mL) t1/2(h)
2mg 1.1±0.5 0.55±0.41 1.04±1.26 −
4mg 0.8±0.3 2.25±0.84 3.94±0.96 1.70±0.70
8mg 0.8±0.3 3.89±1.65 6.70±2.73 0.97±0.34
mean±S.D.、n=6
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16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男性8例にベニジピン塩酸塩8mgを空腹時及び食後30分に経口投与したとき、摂食によりtmaxの遅延、AUCの増加及び見かけのクリアランスの減少が認められた。食後投与によりベニジピン塩酸塩の吸収速度の低下及び生物学的利用率の上昇が認められたことから、投与方法として食後投与が好ましいと考えられた。
16.3 分布
16.3.1 体組織への分布
14C‐ベニジピン塩酸塩1mg/kgをラットに経口投与したとき、肝臓、腎臓、副腎、顎下腺、肺、下垂体、膵臓の順に移行が認められ、脳、脊髄、精巣への移行は少なかった。
16.3.2 胎児移行性
14C‐ベニジピン塩酸塩1mg/kgを妊娠ラットに経口投与したとき、胎児への移行性が認められ、その総量は母体血漿中の1/3以下であった。
16.3.3 母乳移行性
14C‐ベニジピン塩酸塩1mg/kgを授乳ラットに経口投与したとき、乳汁中濃度は血漿中濃度と同様の推移を示した。
16.3.4 蛋白結合率
ヒト血清蛋白結合率は3H‐ベニジピン塩酸塩1〜100,000ng/mLの濃度で98.46〜98.93%であった(in vitro、平衡透析法)。
16.4 代謝
ヒトの血漿中、尿中に検出された代謝物及び動物での代謝研究から、ヒトにおける代謝反応は主として3位側鎖のベンジル基の脱離(N‐脱アルキル化)、3位の1‐ベンジル‐3‐ピペリジルエステル及び5位のメチルエステルの加水分解、ジヒドロピリジン環の酸化、2位のメチル基の酸化と考えられている。
16.5 排泄
外国人健康成人男性5例に14C‐ベニジピン塩酸塩8mgを単回経口投与したとき、累積放射能排泄率は投与後48時間までに尿中に投与量の約35%、糞中には約36%が排泄され、投与後120時間では尿中で約36%、糞中で約59%が排泄された。