特徴
好酸球を直接除去する気管支喘息治療薬。皮
専門医コメント
IL-5受容体α鎖に特異的に結合する抗I
用法・用量
通常、成人、12歳以上の小児及び体重35kg以上の6歳以上12歳未満の小児にはベンラリズマブ(遺伝子組換え)として1回30mgを、初回、4週後、8週後に皮下に注射し、以降、8週間隔で皮下に注射する。
禁忌
2.1. 本剤及び本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
用法・用量に関連する注意
10mgシリンジと30mgシリンジの生物学的同等性試験は実施していないため、30mgを投与する際には10mgシリンジを使用しないこと。
腎機能用量
腎機能正常者と同じ
適応
気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)
効果・効能
気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)。
効果・効能に関連する注意
5.1. 高用量の吸入ステロイド薬とその他の長期管理薬を併用しても、全身性ステロイド薬の投与等が必要な喘息増悪をきたす患者に本剤を追加して投与すること。5.2. 投与前の血中好酸球数が多いほど本剤の気管支喘息増悪発現に対する抑制効果が大きい傾向が認められており、また、データは限られているが、投与前の血中好酸球数が少ない患者では、十分な気管支喘息増悪抑制効果が得られない可能性があるので、本剤の作用機序及び臨床試験で認められた投与前の血中好酸球数と有効性の関係を十分に理解し、患者の血中好酸球数を考慮した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.1参照〕。
5.3. 本剤は既に起きている気管支喘息の発作や症状を速やかに軽減する薬剤ではないため、急性の発作に対しては使用しないこと。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
重篤な過敏症(頻度不明):アナフィラキシー(蕁麻疹、血管浮腫、喉頭浮腫、アナフィラキシー反応等)等の重篤な過敏症があらわれることがある。また、過敏症反応の発現が遅れて認められることがある。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(1%以上10%未満)頭痛。
2). 感染症:(頻度不明)咽頭炎(咽頭炎、細菌性咽頭炎、ウイルス性咽頭炎、及びレンサ球菌性咽頭炎)。
3). 全身障害:(1%以上10%未満)発熱。
4). 投与部位:(1%以上10%未満)注射部位反応(疼痛、紅斑、そう痒感、丘疹等)。
5). 過敏症:(0.1%以上1%未満)過敏症反応(蕁麻疹、丘疹状蕁麻疹、及び発疹)。
重要な基本的な注意
8.1. 本剤の投与は、気管支喘息の治療に精通している医師のもとで行うこと。8.2. 本剤の投与開始後に喘息症状がコントロール不良であったり、悪化した場合には、医師の診療を受けるように患者に指導すること。
8.3. 本剤の投与開始後にステロイド薬を急に中止しないこと(ステロイド薬の減量が必要な場合には、医師の管理下で徐々に行うこと)。
8.4. 本剤はヒトインターロイキン−5(IL−5)受容体αサブユニットと結合することにより、好酸球数を減少させるが、好酸球は一部の寄生虫(蠕虫)感染に対する免疫応答に関与している可能性があるので、患者が本剤投与中に寄生虫感染し、抗寄生虫薬による治療が無効な場合には、本剤投与の一時中止を考慮すること〔9.1.1参照〕。(特定の背景を有する患者に関する注意)
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 寄生虫に感染している患者:本剤の投与開始前に寄生虫感染を治療すること〔8.4参照〕。
高齢者
一般的に生理機能が低下している。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること(本剤はモノクローナル抗体であり、動物実験(カニクイザル)において本剤は胎盤を通過することが報告されており、妊娠中のカニクイザルにおける曝露量が臨床投与量における曝露量の99.0倍であったときに、出生仔末梢血好酸球減少が認められたが、出生後180日までに回復した)。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤の乳汁中への移行は不明である)。
小児等
6歳未満の幼児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤投与前の注意
14.1.1. 投与30分前に冷蔵庫から取り出し、本剤を外箱に入れたままの状態で室温に戻しておくことが望ましい。
14.1.2. 使用前に不溶性異物や変色がないことを目視により確認すること(不溶性異物又は変色が認められる場合は使用しないこと)。
14.2. 薬剤投与時の注意
14.2.1. 皮膚に圧痛・挫傷・紅斑・硬化がある部位には使用しないこと。14.2.2. 投与部位は、上腕部、大腿部又は腹部とすること。同一箇所へ繰り返し注射することは避け、投与毎に注射部位を変えること。
14.2.3. 本剤は、1回使用の製剤であり、再使用しないこと。(取扱い上の注意)
20.1. 本剤は激しく振とうしないこと。
20.2. 本剤は凍結を避け、凍結した場合は使用しないこと。20.3. 光曝露を避けるため、本剤は外箱に入れて保存すること。20.4. 冷蔵庫から出した後は30℃以下で保存し、14日以内に使用すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報
重症喘息患者を対象とした第3相国際共同臨床試験(SIROCCO試験及びCALIMA試験)において、本剤の成人における承認用法・用量で投与を受けた患者の14.9%(122/820例)に抗ベンラリズマブ抗体が認められ、12.0%(98/820例)に中和抗体が認められた。
小児の重症喘息患者を対象として薬物動態、薬力学及び長期安全性を評価した第3相国際共同試験(TATE試験)において、6〜14歳の重症患者の13.3%(4/30例)に抗ベンラリズマブ抗体が認められ、4例全てに中和抗体が認められた。抗ベンラリズマブ抗体陽性となった一部の患者では、血清中ベンラリズマブ濃度低下及び本剤投与後に減少した血中好酸球数増加が認められた。なお、抗ベンラリズマブ抗体の発現による本剤の有効性及び安全性に対する影響を示唆する成績は得られていない。
保管上の注意
2〜8℃に保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 ファセンラ皮下注30mgシリンジ
有効成分 1シリンジ(1mL)中
ベンラリズマブ(遺伝子組換え)30mg
添加剤 L‐ヒスチジン 1.4mg、L‐ヒスチジン塩酸塩水和物 2.3mg、トレハロース水和物 95mg、ポリソルベート20 0.06mg
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本剤の有効成分ベンラリズマブ(遺伝子組換え)は、チャイニーズハムスター卵巣細胞で産生される。ベンラリズマブ(遺伝子組換え)のセルバンクの作製に使用する培地成分の製造において、ブタ由来成分(トリプシン)を使用している。
3.2 製剤の性状
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販売名 ファセンラ皮下注30mgシリンジ
剤形 注射剤(プレフィルドシリンジ)
色・性状 無色から黄色の澄明又は乳白光を呈する液。
半透明から白色の微粒子を認めることがある。
pH 5.5〜6.5
浸透圧比 約1(生理食塩液に対する比)
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薬効薬理
18.1 作用機序
本剤は、ヒトインターロイキン‐5受容体αサブユニット(IL‐5Rα)に特異的かつ高親和性で結合(解離定数:16pM)する、フコース欠損型ヒト化免疫グロブリンGサブクラス1、κ型アイソタイプ(IgG1κ)モノクローナル抗体である。
18.2 アポトーシス誘導作用
本剤は、Fcドメインのフコース欠損により、ナチュラルキラー細胞等のエフェクター細胞上のFcγRIIIaに高い親和性(解離定数:45.5nM)を示すために抗体依存性細胞傷害活性が増強され、IL‐5Rαを発現する好酸球及び好塩基球のアポトーシスを誘導する。
18.3 血中好酸球の除去作用
第III相国際共同試験(SIROCCO試験及びCALIMA試験)で、成人における承認用法・用量で本剤を皮下投与したとき、血中好酸球の低下が認められた。同様の血中好酸球の低下が、第III相国際共同試験(TATE試験)で、6〜14歳の小児における承認用法・用量で本剤を皮下投与したときにも認められた。
薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人に本剤25、100及び200mg注)を単回皮下投与したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは次記のとおりである。
図1 日本人健康成人における血清中濃度推移(平均値+標準偏差)
<<図省略>>
表1 日本人健康成人における単回皮下投与時の薬物動態パラメータ
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投与量 25mg(6例) 100mg(6例) 200mg(6例)
tmax(day) 7.00(4.00、7.00) 5.00(4.00、7.00) 4.00(4.00、7.00)
Cmax(μg/mL) 1.99±0.34 7.17±2.41 15.0±5.4
AUC0−t(μg・day/mL) 59.10±9.80 203.46±68.78 408.47±131.47
AUC0−∞(μg・day/mL) 61.33±10.12 211.92±76.02 420.13±136.69
t1/2(day) 15.6±3.0 17.4±3.0 15.6±2.6
CL/F(mL/day) 417.68±73.55 528.99±205.52 523.79±180.38
Vz/F(mL) 9,228.1±1,299.5 12,930.5±4,709.3 11,779.6±4,695.4
平均値±標準偏差(tmaxは中央値(最小値、最大値))
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注)本剤の成人における承認用量は1回30mgである。
日本人小児喘息患者に本剤10及び30mgを単回皮下投与したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは次記のとおりである。
図2 日本人小児喘息患者における血清中濃度推移(平均値±標準偏差)
<<図省略>>
表2 日本人小児喘息患者における単回皮下投与時の薬物動態パラメータ
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投与量 10mg(8例) 30mg(3例)
tmax(day) 6.92(0.93、14.95) 7.94(7.26、8.13)
Cmax(μg/mL) 2.02±0.53 3.35±0.76
AUC0−28(μg・day/mL) 39.60±5.49 72.16±21.53
平均値±標準偏差(tmaxは中央値(最小値、最大値))、AUC0−28の例数は10mg群5例及び30mg群2例
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16.1.2 反復投与
第III相国際共同試験(CALIMA試験)において、本剤の成人における承認用法・用量で投与を受けた喘息患者(日本人患者を含む)の投与開始後16週及び48週の血清中トラフ濃度(平均値±標準偏差、以下同様)は、それぞれ412±330ng/mL(377例)及び326±267ng/mL(337例)であった。これらの患者のうち、日本人集団における投与開始後16週及び48週の血清中トラフ濃度は、それぞれ452±324ng/mL(26例)及び392±326ng/mL(26例)であった。
16.2 吸収
母集団薬物動態解析の結果、上腕部への皮下投与時の絶対的バイオアベイラビリティは58.9%と推定された。
16.4 代謝
ベンラリズマブはヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、肝臓以外にも広く生体に存在するタンパク質分解機構により消失すると推定される。