特徴
胃粘膜上皮細胞間結合(タイトジャンクショ
専門医コメント
安全性は高いがときに便秘、下痢などがあり
用法・用量
通常成人イルソグラジンマレイン酸塩として1日4mgを1〜2回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
腎機能用量
減量の必要はないと思われるが、薬物動態データがほとんどなく不明
適応
胃潰瘍、急性・慢性胃炎の急性憎悪期の胃粘膜病変改善
効果・効能
1). 胃潰瘍。
2). 次記疾患の胃粘膜病変(胃粘膜びらん、胃粘膜出血、胃粘膜発赤、胃粘膜浮腫)の改善:急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 消化器:(1%未満)便秘、下痢、嘔気・嘔吐。
2). 肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇、LDH上昇、γ−GTP上昇、ビリルビン上昇等。
3). 皮膚:(1%未満)発疹、(頻度不明)皮膚そう痒感、発赤、湿疹、多形滲出性紅斑、浮腫性紅斑。
4). その他:(1%未満)胸部圧迫感、(頻度不明)発熱。
重要な基本的な注意
特定の背景を有する患者に関する注意
高齢者
低用量(例えば2mg/日)から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報
健康成人における本剤の血漿中からの消失半減期は約150時間である。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 イルソグラジンマレイン酸塩錠4mg「日医工」
有効成分 1錠中
イルソグラジンマレイン酸塩 4mg
添加剤 乳糖水和物、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリソルベート80、ステアリン酸マグネシウム
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3.2 製剤の性状
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販売名 イルソグラジンマレイン酸塩錠4mg「日医工」
剤形 素錠
色調 白色
外形 表面 <<図省略>>
裏面 <<図省略>>
側面 <<図省略>>
直径(mm) 7.0
厚さ(mm) 2.6
質量(mg) 130
本体コード ◇143
包装コード ◇143
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薬効薬理
18.1 作用機序
胃粘膜障害物質(胃酸等)による胃粘膜表層上皮細胞の細胞間間隙開大や胃粘膜血流低下を抑制することにより細胞防御作用を示す。これらの作用には本剤の胃粘膜内cAMP増加作用や細胞間コミュニケーション活性化作用(組織の共役促進による粘膜抵抗力及びバリア機能の増強)が関与すると考えられている。
18.2 実験潰瘍に対する作用
水浸拘束ストレス潰瘍(ラット)、エタノール潰瘍(ラット)、Shay潰瘍(ラット)、インドメタシン潰瘍(ラット)、ヒスタミン潰瘍(モルモット)・(ラット)、アスピリン潰瘍(ラット)、モノクロラミン潰瘍(ラット)、虚血再灌流胃粘膜障害(ラット)等の急性実験潰瘍や酢酸胃潰瘍(ラット)等の慢性実験潰瘍に対し、1〜10mg/kgの低用量で用量依存的に抗潰瘍作用を示す。
18.3 実験胃炎に対する作用
エタノール誘起胃炎及びタウロコール酸誘起萎縮性胃炎並びにアンモニア誘起胃粘膜障害に対し、用量依存的に抑制又は治癒促進効果を示す(ラット)。
18.4 細胞防御作用
18.4.1 0.2N塩酸の胃内注入で発生する胃粘膜上皮の剥離脱落を防止し細胞間間隙の開大を抑制する(ラット)。
18.4.2 無水エタノール経口投与による胃粘膜損傷に対し、胃粘膜上皮細胞の剥離脱落を抑制する(ラット)。
18.4.3 エタノール等の胃粘膜障害物質の胃粘膜内透過を抑制する(ラット)。
18.5 胃粘膜血流改善作用
酢酸潰瘍辺縁粘膜血流量を用量依存的に増加させ(イヌ)、モノクロラミンによる胃粘膜血流の低下を抑制する(ラット)。
18.6 抗炎症作用
18.6.1 各種刺激剤によるヒト活性化好中球からの活性酸素産生を抑制する(in vitro)。
18.6.2 虚血再灌流胃粘膜障害においてTNF‐αの産生を抑制し、MPO活性を指標とした炎症性細胞の胃粘膜への浸潤を抑制する(ラット)。
18.6.3 ヒト胃粘膜上皮細胞とH. pyloriの共培養系において炎症性サイトカインであるIL‐8、RANTESの産生を濃度依存的に抑制する(in vitro)。
18.7 細胞間コミュニケーション活性化作用
ウサギ胃粘膜培養上皮細胞を用いたDye Coupling法において、細胞間コミュニケーション活性化作用を示す(in vitro)。
薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男子4名にイルソグラジンマレイン酸塩4mgを単回経口投与した場合、未変化体の血漿中濃度は投与後約3.5時間で最高値(Cmax)に達し、その後、約150時間の消失半減期で減少した。
薬物動態パラメータ
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Tmax(hr) Cmax(μg/mL) t1/2(hr) AUC0−∞(μg・hr/mL)
3.5±1.9 0.154±0.034 152±47 23.0±5.0
平均値±標準偏差、(n=4)
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16.1.2 反復投与
〈健康成人〉
健康成人男子6名にイルソグラジンマレイン酸塩2mgを1日1回、28日間反復経口投与した場合、未変化体の血漿中濃度は投与14日以降ほぼ定常状態となった。投与終了後血漿中濃度は緩やかに減少し、消失半減期は約170時間であった。
〈胃潰瘍患者〉
胃潰瘍患者10名にイルソグラジンマレイン酸塩4mgを4週間から8週間1日1回あるいは2回に分割経口投与した場合、健康成人男子にイルソグラジンマレイン酸塩2mgを反復投与した場合と同様に投与後約2週間で定常状態に達していた。
16.1.3 生物学的同等性試験
(1)イルソグラジンマレイン酸塩錠2mg「日医工」
イルソグラジンマレイン酸塩錠2mg「日医工」及びガスロンN錠2mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ2錠(イルソグラジンマレイン酸塩として4mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中イルソグラジン濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.8)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ
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判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0→168(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL) Tmax(hr) t1/2(hr)
イルソグラジンマレイン酸塩錠2mg「日医工」 7264.3±1416.9 89.8±17.3 1.45±1.33 119.8±43.4
ガスロンN錠2mg 7381.8±1443.1 95.2±18.1 1.30±1.38 120.4±58.9
(2錠投与、Mean±S.D.、n=20)
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血漿中薬物濃度推移
<<図省略>>
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
(2)イルソグラジンマレイン酸塩錠4mg「日医工」
イルソグラジンマレイン酸塩錠4mg「日医工」及びガスロンN錠4mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(イルソグラジンマレイン酸塩として4mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中イルソグラジン濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.8)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ
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判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0→168(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL) Tmax(hr) t1/2(hr)
イルソグラジンマレイン酸塩錠4mg「日医工」 7328.0±1905.3 90.2±18.9 1.33±0.91 139.1±99.3
ガスロンN錠4mg 7584.9±1601.2 92.5±16.2 2.03±5.18 138.0±64.3
(1錠投与、Mean±S.D.、n=20)
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血漿中薬物濃度推移
<<図省略>>
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
16.3.1 作用部位への移行性
14C‐イルソグラジンを静脈内投与した後の胃粘膜での放射能濃度は血漿中より高かった(ラット)。
16.3.2 蛋白結合
14C‐イルソグラジンの1%ヒト血清アルブミンに対する結合率は62.4%であった。
16.4 代謝
健康成人男子にイルソグラジンマレイン酸塩4mgを経口投与した場合、尿中主代謝物は、イルソグラジンのm‐OH体の抱合体であり、この他p‐OH体の抱合体及びN‐oxide体が検出された。なお、これらの代謝物の薬理作用・毒性は未変化体と比較して、著しく弱いかほとんど認められなかった。
16.5 排泄
健康成人男子にイルソグラジンマレイン酸塩4mgを経口投与した場合、80時間までの尿中排泄率は未変化体が1.77%、m‐OH体の抱合体が3.54%、p‐OH体の抱合体が0.79%およびN‐oxide体が0.94%であった。