特徴
フェルビナク製剤。
専門医コメント
塗布剤は塗布による発赤やかゆみ・痛みなど
用法・用量
症状により、適量を1日数回患部に塗布する。
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[喘息発作を誘発するおそれがある]〔9.1.1参照〕。
適応
変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛の消炎・鎮痛
効果・効能
次記疾患並びに症状の鎮痛・消炎:変形性関節症、筋・筋膜性腰痛症、肩関節周囲炎、腱炎・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・外傷後の疼痛。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、血管浮腫、呼吸困難等)があらわれることがある。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
皮膚:(0.1〜1%未満)皮膚そう痒、皮膚炎、発赤、(0.1%未満)接触皮膚炎、皮膚刺激感、皮膚水疱。
慎重投与
気管支喘息のある患者[喘息発作を誘発する恐れがある]。
重要な基本的な注意
8.1. 消炎鎮痛剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意すること。
8.2. 慢性疾患(変形性関節症等)に対し本剤を用いる場合には薬物療法以外の療法も考慮すること。
特定の背景を有する患者に関する注意
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 気管支喘息<アスピリン喘息又はその既往歴を除く>のある患者:喘息発作を誘発するおそれがある〔2.2参照〕。
9.1.2. 皮膚感染症のある患者:感染を伴う炎症に対して用いる場合には適切な抗菌剤又は抗真菌剤を併用し、観察を十分行い慎重に使用すること(皮膚の感染症を不顕性化するおそれがある)。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。シクロオキシゲナーゼ阻害剤を妊娠中期以降の妊婦に使用し、胎児動脈管収縮が起きたとの報告がある。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤使用時の注意
14.1.1. 眼及び粘膜に使用しないこと。
14.1.2. 表皮が欠損している場合に使用すると一時的にしみる、ヒリヒリ感を起こすことがあるので使用に際し注意すること。
14.1.3. 密封包帯法で使用しないこと。
取扱い上の注意
火気を避けて保存すること。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 ナパゲルンローション3%
有効成分 1mL中 日局 フェルビナク 30mg
添加剤 カルボキシビニルポリマー、2,2’,2’’‐ニトリロトリエタノール、エタノール、濃グリセリン
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3.2 製剤の性状
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販売名 ナパゲルンローション3%
性状 わずかに粘性を有するごくわずかに白濁した液剤
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薬効薬理
18.1 作用機序
疼痛、急性炎症・慢性炎症に対し、鎮痛・抗炎症作用を示す。
18.1.1 プロスタグランジン生合成抑制作用
フェルビナクは、モルモット肺より抽出したプロスタグランジン合成酵素のシクロオキシゲナーゼに対し、阻害作用が認められた(IC50=0.61μg/mL)。
18.1.2 抗プロスタグランジン作用
フェルビナクは、プロスタグランジンE1によるスナネズミ結腸の収縮に対し、抑制作用を示した。
18.2 鎮痛作用
〈軟膏〉
ナパゲルン軟膏3%は、ラットのRandall‐Selitto法及び硝酸銀誘発関節炎の炎症性疼痛に対し、1%インドメタシンゲル状軟膏とほぼ同等の鎮痛作用を示した。
〈クリーム〉
ナパゲルンクリーム3%は、ナパゲルン軟膏3%と同様の鎮痛作用を示し、ラットのRandall‐Selitto法による炎症性疼痛に対し、鎮痛作用を示した。
〈ローション〉
ナパゲルンローション3%は、ラットのRandall‐Selitto法による炎症性疼痛に対し、鎮痛作用を示した。
18.3 抗炎症作用
〈軟膏〉
ナパゲルン軟膏3%は、ラットのカラゲニン足蹠浮腫、打撲足浮腫及びアジュバント関節炎、また、モルモットの紫外線誘発紅斑法等の急性・慢性炎症反応に対して、1%インドメタシンゲル状軟膏と同等あるいは強い抗炎症作用を示した。
〈クリーム〉
ナパゲルンクリーム3%は、ナパゲルン軟膏3%と同様の抗炎症作用をもち、ラットのカラゲニン足蹠浮腫及びアジュバント関節炎の急性・慢性炎症反応に対して、抗炎症作用を示した。
〈ローション〉
ナパゲルンローション3%は、ラットのカラゲニン足蹠浮腫、綿球肉芽腫及びアジュバント関節炎等の急性・慢性炎症反応に対して、抗炎症作用を示した。
薬物動態
16.1 血中濃度
〈軟膏〉
ナパゲルン軟膏3%を10g(フェルビナクとして300mg)、健康成人男子6例の背部に単回塗擦し、塗擦8時間後に薬剤を除去したときのフェルビナクの血清中濃度は、塗擦後24時間目に平均最高血中濃度411ng/mLを示し、48時間目に90ng/mLまで減少した。
ナパゲルン軟膏3%を1回3.3g、1日3回(フェルビナクとして297mg/日)、5日間反復して健康成人男子6例の背部(同一部位)に塗擦し、各日の3回目の塗擦4時間後に薬剤を除去したときのフェルビナクの血清中濃度は、2日目以降平均血中濃度約100〜300ng/mLを示し、最終塗擦終了後64時間目に48ng/mLまで減少した。
〈ローション〉
ナパゲルンローション3%を10mL(フェルビナクとして300mg)、健康成人男子5例の背部に単回塗布し、塗布8時間後に薬剤を除去したときのフェルビナクの血清中濃度は、塗布後24時間目に平均最高血中濃度414ng/mLを示し、48時間目に65ng/mLまで減少した。
16.3 分布
〈軟膏〉
関節液の貯留を認める変形性膝関節症患者2例に対して、ナパゲルン軟膏3%を3g単回塗擦したとき、塗擦6時間後の血清中フェルビナク濃度は28〜37ng/mL、滑液中濃度は10〜15ng/mLを示した。当該患者は塗擦6時間後に手術が施行されたが、各組織中のフェルビナク濃度は、塗擦部皮膚、皮下脂肪、筋肉及び滑膜で血清より高値を示した。
〈ローション〉
3%‐14C‐フェルビナクローション剤の0.3mL(フェルビナクとして9mg)を雄性ラットの剃毛した正常腹部皮膚に単回塗布したとき、塗布部位皮膚中及び筋肉中の放射能濃度は、血清中濃度よりも高く、それぞれ塗布後0.5時間目及び6時間目に最高値が得られ、塗布後0〜96時間のAUCは、それぞれ5.6mg eq hr/g及び40.3μg eq hr/gであった。
16.5 排泄
〈軟膏〉
血清中濃度測定と同時に測定した尿中排泄では、単回塗擦及び5日間連続塗擦時ともに、代謝物として主にフェルビナク抱合体並びに4’‐OH‐フェルビナク及びその抱合体が尿中に認められた。単回塗擦後48時間目までのこれらの平均総排泄量は、9.86mg(塗擦量の3.29%)であり、そのうち未変化体フェルビナクの排泄量は0.21mgであった。また、5日間反復塗擦時の塗擦期間中の各日のこれらの平均排泄量は1.88〜4.33mg(塗擦1日量の0.63〜1.46%)であった。
〈ローション〉
血清中濃度測定と同時に測定した尿中排泄では、主にフェルビナク抱合体並びに4’‐OH‐フェルビナク及びその抱合体が尿中に認められた。単回塗布後48時間目までのこれらの平均総排泄量は、10.79mg(塗布量の3.6%)であった。