特徴
BCAA製剤。
専門医コメント
アミノレバンと併用する場合もあるが、同効
用法・用量
通常、成人に1回1包を1日3回食後経口投与する。
禁忌
先天性分岐鎖アミノ酸代謝異常のある患者[メープルシロップ尿症においては痙攣、呼吸障害等があらわれるおそれがある]。
用法・用量に関連する注意
7.1. 本剤は分岐鎖アミノ酸のみからなる製剤で、本剤のみでは必要アミノ酸の全ては満たすことはできないので、本剤使用時には患者の状態に合わせた必要蛋白量(アミノ酸量)及び熱量(1日蛋白量40g以上、1日熱量1000kcal以上)を食事等により摂取すること。特に蛋白制限を行っている患者に用いる場合には、必要最小限の蛋白量及び熱量を確保しないと本剤の効果は期待できないだけでなく、本剤の長期投与により栄養状態の悪化を招くおそれがあるので注意すること。
7.2. 本剤の投与によりBUN異常又は血中アンモニア異常が認められる場合、本剤の過剰投与の可能性があるので注意すること。また、長期にわたる過剰投与は栄養状態悪化のおそれもあるので注意すること。
7.3. 本剤を2ヵ月以上投与しても低アルブミン血症の改善が認められない場合は、他の治療に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
腎機能用量
15≦CCr<60:慎重投与
CCr<15・透析:腎機能正常者と同じ
適応
食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者の低アルブミン血症の改善
効果・効能
食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者の低アルブミン血症の改善。
効果・効能に関連する注意
5.1. 本剤の適用対象となる患者は、血清アルブミン値が3.5g/dL以下の低アルブミン血症を呈し、腹水・浮腫又は肝性脳症を現有するかその既往のある非代償性肝硬変患者のうち、食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する患者、又は、糖尿病や肝性脳症の合併等で総熱量や総蛋白(アミノ酸)量の制限が必要な患者である。糖尿病や肝性脳症の合併等がなく、かつ、十分な食事摂取が可能にもかかわらず食事摂取量が不足の場合には食事指導を行うこと。なお、肝性脳症の発現等が原因で食事摂取量不足の場合には熱量及び蛋白質(アミノ酸)を含む薬剤を投与すること。5.2. 次の患者は肝硬変が高度に進行しているため本剤の効果が期待できないので投与しないこと[1)肝性脳症で昏睡度が3度以上の患者、2)総ビリルビン値が3mg/dL以上の患者、3)肝臓での蛋白合成能が著しく低下した患者]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 消化器:(0.1〜5%未満)腹部膨満感、下痢、腹部不快感、食欲不振、口渇、(頻度不明)嘔気、便秘、腹痛、嘔吐、おくび、胸やけ等。2). 腎臓:(頻度不明)BUN上昇、血中クレアチニン上昇等。3). 代謝:(頻度不明)血中アンモニア値上昇等。
4). 肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇、T−Bil上昇等。5). 皮膚:(頻度不明)発疹、皮膚そう痒等。
6). その他:(頻度不明)倦怠感、浮腫(顔浮腫、下肢浮腫等)、発赤、ほてり。
重要な基本的な注意
特定の背景を有する患者に関する注意
高齢者
一般に生理機能が低下していることが多く、本剤の投与により血中アンモニア上昇等の代謝障害があらわれやすい。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
取扱い上の注意
安定性試験:本品につき加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)を行った結果、アミノバクト配合顆粒は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 アミノバクト配合顆粒
有効成分 1包(4.74g)中
L‐イソロイシン 952mg
L‐ロイシン 1904mg
L‐バリン 1144mg
添加剤 D‐マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、マクロゴール6000、タルク、香料
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3.2 製剤の性状
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販売名 アミノバクト配合顆粒
剤形 コーティング顆粒
色調 白色
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薬効薬理
18.1 作用機序
非代償性肝硬変患者の血中アミノ酸インバランスの是正を介して、アルブミン合成促進をもたらすものと考えられる。
18.2 慢性肝障害による低蛋白栄養状態に対する栄養状態改善効果
低栄養状態(低アルブミン血症状態)の肝硬変モデルとして四塩化炭素慢性肝障害ラットを用いてイソロイシン・ロイシン・バリン顆粒の効果を検討した。
18.2.1 イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒と同じ組成の分岐鎖アミノ酸を飼料に0、2.5、5.0、10.0%添加し、自由摂取させて検討したところ、ヒトの投与量に近い2.5%添加群が、無添加群及び他の添加群に比べて窒素出納、窒素出納効率、血漿総蛋白及び血漿アルブミン値上昇の各栄養指標で優れており、血漿Fischer比の是正も適切であった。
18.2.2 L‐イソロイシン、L‐ロイシン、L‐バリンの組成比をI(2:1:1)、II(1:2:1.2)、III(1:1:2)と変化させた分岐鎖アミノ酸添加食を自由摂取させたところ、イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒と同じ組成のII群が、他の組成比の群に比べて窒素出納、血漿総蛋白及び血漿アルブミン値上昇の各栄養指標で優れており、血漿Fischer比の是正も適切であった。
18.2.3 イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒と同じ組成の分岐鎖アミノ酸又は同一窒素量で同一エネルギー量の必須アミノ酸を飼料へ添加し、自由摂取させて検討したところ、分岐鎖アミノ酸添加群が、必須アミノ酸添加群より高い栄養効果を示し、血小板数減少抑制と肝臓重量の減少抑制もみられた。
18.3 脳内モノアミン、脳内アミノ酸に及ぼす影響
肝性脳症モデルとして門脈下大静脈吻合ラットを用いてイソロイシン・ロイシン・バリン顆粒の効果を検討した。イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒と同じ組成の分岐鎖アミノ酸投与により血漿及び脳内アミノ酸濃度、脳内モノアミン濃度が正常化したが、イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒と同一窒素量で同一エネルギー量の必須アミノ酸を投与した群ではむしろ増悪する傾向がみられた。
薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
アミノバクト配合顆粒及びリーバクト配合顆粒を、クロスオーバー法によりそれぞれ1包(L‐イソロイシンとして952mg、L‐ロイシンとして1904mg、L‐バリンとして1144mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して各分岐鎖アミノ酸の血漿中濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、いずれもlog(0.8)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ(L‐イソロイシン)
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判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0→10(μg・hr/mL) Cmax(μg/mL) Tmax(hr) t1/2(hr)
アミノバクト配合顆粒 98.3±13.9 25.4±6.0 0.83±0.17 5.8±1.7
リーバクト配合顆粒 97.2±10.2 27.0±6.0 0.75±0.18 12.5±20.6
(1包投与、Mean±S.D.、n=20)
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血漿中薬物濃度推移(L‐イソロイシン)
<<図省略>>
薬物動態パラメータ(L‐ロイシン)
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判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0→10(μg・hr/mL) Cmax(μg/mL) Tmax(hr) t1/2(hr)
アミノバクト配合顆粒 205.7±27.3 48.9±12.4 0.94±0.29 6.2±2.0
リーバクト配合顆粒 203.3±22.7 50.3±12.9 0.77±0.19 8.9±6.1
(1包投与、Mean±S.D.、n=20)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
血漿中薬物濃度推移(L‐ロイシン)
<<図省略>>
薬物動態パラメータ(L‐バリン)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0→10(μg・hr/mL) Cmax(μg/mL) Tmax(hr) t1/2(hr)
アミノバクト配合顆粒 313.2±41.4 52.8±8.9 0.94±0.24 13.0±6.1
リーバクト配合顆粒 312.3±33.0 56.8±9.1 0.79±0.16 16.6±8.7
(1包投与、Mean±S.D.、n=20)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
血漿中薬物濃度推移(L‐バリン)
<<図省略>>
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
ラットにおいて投与された分岐鎖アミノ酸は速やかに吸収され、血漿及び全血中濃度は投与後4時間に最高値を示した後、ゆっくりと減少した。反復投与後もその吸収に大きな影響を与えなかった。
16.3 分布
ラットに投与され、血漿中へ移行した分岐鎖アミノ酸は速やかに血漿蛋白合成に利用された。吸収された分岐鎖アミノ酸は全身に広く分布したが、蛋白合成の盛んな組織に強く分布した。反復投与においても、その分布に大きな影響を与えなかった。
16.5 排泄
ラットに投与された分岐鎖アミノ酸は168時間までに各々4%が尿・糞中に、41%が呼気中に排泄され、分岐鎖アミノ酸の一部はエネルギー源としても利用されていた。反復投与においても、その排泄に大きな影響を与えなかった。