Antaa DI

drug

グルアセト35注

維持液(ブドウ糖加)(2)

維持(3号)液 >>

特徴

  • 3号液。低張電解質輸液。高濃度糖加維持液

専門医コメント

一般的な維持液よりもブドウ糖含有量が多い

用法・用量

通常成人には、1回500〜1000mLを点滴静注する。投与速度は、通常成人ではブドウ糖として1時間当たり0.5g/kg体重以下とする。なお、年齢、症状、体重により適宜増減する。

禁忌

2.1. 高カリウム血症、乏尿、アジソン病、重症熱傷、高窒素血症の患者[高カリウム血症が悪化する又は誘発されるおそれがある]。

2.2. 高リン血症、副甲状腺機能低下症の患者[高リン血症が悪化する又は誘発されるおそれがある]。

2.3. 高マグネシウム血症、甲状腺機能低下症の患者[高マグネシウム血症が悪化する又は誘発されるおそれがある]。

2.4. 高カルシウム血症の患者[高カルシウム血症が悪化するおそれがある]。

用法・用量に関連する注意

<用法・用量に関連する使用上の注意>

本剤は1000mL当たりエネルギー量として400kcal含んでいるが、本剤のみでは1日に必要とされるエネルギー量を十分に満たすことはできないので、手術等による経口摂取不能な患者に対する本剤のみでの使用は短期間とする。

適応

経口摂取が不能又は不十分な場合の水分・電解質の補給・維持、エネルギーの補給

効果・効能

経口摂取不能又は不十分な場合の水分・電解質の補給・維持、エネルギー補給。

効果・効能に関連する注意

本剤を投与する場合には、患者の尿量が1日500mL又は1時間当たり20mL以上あることが望ましい。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 注射部位:(5%以上)血管痛、(0.1〜5%未満)静脈炎。2). 肝臓:(0.1〜5%未満)AST上昇、ALT上昇。3). 代謝:(0.1〜5%未満)低ナトリウム血症。

4). 大量・急速投与:(頻度不明)脳浮腫、肺水腫、末梢浮腫、水中毒、高カリウム血症、血栓性静脈炎。

慎重投与

1.高カリウム血症を伴わない腎不全のある患者[水分、電解質の調節機能が低下しているので、慎重に投与する]。

2.心不全のある患者[循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化する恐れがある]。

3.閉塞性尿路疾患により尿量が減少している患者[水分、電解質の過負荷となり、症状が悪化する恐れがある]。

4.糖尿病の患者[ブドウ糖の組織への移行が抑制されているので、高血糖を生じ症状が悪化する恐れがある]。

重要な基本的な注意

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

9.1.1. 糖尿病の患者:血糖値が上昇することにより、症状が悪化するおそれがある。

9.1.2. 心不全の患者:循環血液量の増加により、症状が悪化するおそれがある。9.1.3. 閉塞性尿路疾患により尿量が減少している患者:水分、電解質等の排泄が障害されているため、症状が悪化するおそれがある。

腎機能障害患者

腎機能障害患者:水分、電解質の過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。

高齢者

投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること(一般に生理機能が低下している)。

妊婦・授妊婦

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意

14.1. 全般的な注意

14.1.1. 使用時には、感染に対する配慮をすること。14.1.2. 注射針や輸液セットのびん針は、ゴム栓の刻印部(凹部)に垂直にゆっくりと刺すこと(斜めに刺した場合、削り片の混入及び液漏れの原因となるおそれがある)、また、針は同一箇所に繰り返し刺さないこと。

14.2. 薬剤調製時の注意

薬剤を配合する場合には、配合変化に注意すること。

14.3. 薬剤投与時の注意

14.3.1. 血管痛や静脈炎があらわれた場合には、注射部位を変更する、投与速度を遅くする、局所を保温するなど適切な処置を行うこと。

14.3.2. 原則として、連結管を用いたタンデム方式による投与は行わないこと(輸液セット内に空気が流入するおそれがある)。

14.3.3. 容器の目盛りは目安として使用すること。14.3.4. 残液は使用しないこと。

取扱い上の注意

20.1. 液漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。20.2. 次の場合には使用しないこと。

・ 外袋内や容器表面に水滴や結晶が認められる場合には使用しないこと。・ 容器から薬液が漏れている場合には使用しないこと。

・ 性状その他薬液に異状が認められる場合には使用しないこと。・ ゴム栓部のシールがはがれている場合には使用しないこと。

保管上の注意

室温保存。

組成・性状

1.組成

本剤は1瓶(500mL)中に次記成分を含む。

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容量 500mL

有効成分 塩化ナトリウム NaCl 0.439g

塩化カリウム KCl 0.373g

塩化マグネシウム MgCl2・6H2O 0.153g

グルコン酸カルシウム水和物 C12H22CaO14・H2O 0.561g

リン酸二水素カリウム KH2PO4 0.681g

無水酢酸ナトリウム CH3COONa 0.821g

ブドウ糖 C6H12O6 50.000g

添加物 pH調整剤(2成分) 適量

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○電解質濃度(mEq/L)

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Na+ K+ Mg2+ Ca2+ Cl− CH3COO− Gluconate− P

35 20 3 5 28 20 5 10(mmol/L)

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○熱量(kcal)

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1瓶500mL中

熱量 200

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2.製剤の性状

本剤は無色〜微黄色澄明の水性注射液で、pH、浸透圧比、比重は次のとおりである。

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pH 4.7〜5.3

浸透圧比(生理食塩液に対する比) 2.4〜2.8

比重d20 20 1.043

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薬効薬理

18.1 作用機序

本剤は水分・電解質の補給・維持、エネルギーの補給効果を示す。

18.2 電解質維持効果

70%肝切除負荷慢性肝障害ラット及び正常ラットを用いて、10%糖加酢酸維持液の電解質維持効果を検討した結果、血漿電解質濃度は、10%糖加酢酸維持液投与により維持された。また、カルシウム、リンを含有しない10%ブドウ糖加乳酸維持輸液又は5%マルトース加酢酸維持輸液に比べ、カルシウムやリンの低下を抑制した。

18.3 エネルギー補給効果

手術侵襲ラットを用いて、体重、血液生化学的検査、肝臓検査、尿検査を指標に10%糖加酢酸維持液の栄養学的効果を検討した結果、体重減少は軽度で、血清総ケトン体の上昇、トリグリセリドの低下、肝臓グリコーゲンの低下は抑制された。また、正常イヌにおける栄養学的効果を検討した結果、血清総蛋白、リン脂質、総コレステロールの低下、肝臓グリコーゲンの低下は抑制され、10%ブドウ糖加乳酸維持輸液と同等の効果が認められた。また、70%肝切除負荷慢性肝障害ラットにおいて、尿中への糖排泄はほとんどなかった。