特徴
エパデールはEPA製剤、ロトリガはEPA
専門医コメント
JELIS試験では、スタチン単独投与群よ
用法・用量
〈閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛および冷感の改善〉
イコサペント酸エチルとして、通常、成人1回600mgを1日3回、毎食直後に経口投与する。
なお、年齢、症状により、適宜増減する。
〈高脂血症〉
イコサペント酸エチルとして、通常、成人1回900mgを1日2回又は1回600mgを1日3回、食直後に経口投与する。
ただし、トリグリセリドの異常を呈する場合には、その程度により、1回900mg、1日3回まで増量できる。
禁忌
2.1. 出血している患者(血友病、毛細血管脆弱症、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、硝子体出血等)[止血が困難となるおそれがある]。
2.2. ミフェプリストン・ミソプロストール投与中の患者〔10.1参照〕。
腎機能用量
腎機能正常者と同じ
適応
閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、 疼痛及び冷感の改善、 高脂血症
効果・効能
1). 閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛および冷感の改善。2). 高脂血症。
効果・効能に関連する注意
〈高脂血症〉適用の前に十分な検査を実施し、高脂血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇、γ−GTP上昇、LDH上昇、ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.2. 心房細動(頻度不明)、心房粗動(頻度不明):イコサペント酸エチル(*4g/日)の海外臨床試験において、入院を要する心房細動又は入院を要する心房粗動のリスク増加が認められたとの報告がある。また、イコサペント酸エチルを含むオメガ−3脂肪酸の国内外臨床試験において、心房細動のリスク増加が認められたとの報告がある。
*)高脂血症において本剤の承認された1日最高用量は、2700mgである。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(0.1〜5%未満)発疹、そう痒感等。2). 出血傾向:(0.1〜5%未満)皮下出血、(頻度不明)血尿、歯肉出血、眼底出血、鼻出血、消化管出血等。
3). 血液:(頻度不明)貧血等。
4). 消化器:(0.1〜5%未満)悪心、胸やけ、腹部不快感、下痢、便秘、腹部膨満感、腹痛、(頻度不明)嘔吐、食欲不振、口内炎、口渇、鼓腸等。5). 肝臓:(0.1〜5%未満)AST上昇・ALT上昇・Al−P上昇・γ−GTP上昇・LDH上昇・ビリルビン上昇等の肝機能障害。
6). 腎臓:(0.1〜5%未満)BUN上昇・クレアチニン上昇。7). 呼吸器:(頻度不明)咳嗽、呼吸困難。
8). 精神神経系:(0.1〜5%未満)頭痛・頭重感、ふらつき、しびれ、(頻度不明)めまい、眠気、不眠。
9). 筋骨格系:(頻度不明)関節痛、筋肉痛、四肢痛、筋痙攣(こむら返り等)。10). その他:(0.1〜5%未満)浮腫、尿酸上昇、CK上昇、動悸、(頻度不明)顔面潮紅、ほてり、発熱、頻尿、全身倦怠感、血圧上昇、女性化乳房、耳鳴、発汗、ざ瘡。
慎重投与
1.月経期間中の患者[出血を助長する恐れがある]。
2.出血傾向のある患者[出血を助長する恐れがある]。
3.手術を予定している患者[出血を助長する恐れがある]。4.抗凝血剤投与中あるいは血小板凝集を抑制する薬剤投与中の患者。
重要な基本的な注意
8.1. 〈閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛および冷感の改善〉治療にあたっては経過を十分に観察し、本剤で効果がみられない場合には、投与を中止し、他の療法に切り替えること(また、本剤投与中は定期的に血液検査を行うことが望ましい)。8.2. 〈高脂血症〉あらかじめ高脂血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法や高血圧・喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分に考慮すること。
8.3. 〈高脂血症〉投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。
特定の背景を有する患者に関する注意
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 出血を助長するおそれのある患者[(1)月経期間中の患者、(2)出血傾向のある患者、(3)手術を予定している患者]。
相互作用
10.1. 併用禁忌:
ミフェプリストン・ミソプロストール<メフィーゴパック>〔2.2参照〕[ミフェプリストン・ミソプロストールによる子宮出血の程度が悪化するおそれがある(イコサペント酸エチルの抗血小板作用により出血が増強するおそれがある)]。10.2. 併用注意:
抗凝固剤(ワルファリンカリウム等)、血小板凝集を抑制する薬剤(アスピリン、インドメタシン、チクロピジン塩酸塩、シロスタゾール等)[出血傾向をきたすおそれがある(イコサペント酸エチルは抗血小板作用を有するので、抗凝固剤、血小板凝集を抑制する薬剤との併用により相加的に出血傾向が増大すると考えられる)]。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている)。
小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意
14.1.1. 本剤は空腹時に投与すると吸収が悪くなるので食直後に服用させること。
14.1.2. 本剤は噛まずに服用させること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報
コントロール不良の高血圧症を有し、他の抗血小板剤を併用した症例において、脳出血があらわれたとの報告がある。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 エパデールS600
有効成分 1包中 日局 イコサペント酸エチル 600mg
添加剤 内容物:トコフェロール
カプセル:ゼラチン、D‐ソルビトール液、濃グリセリン、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル
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3.2 製剤の性状
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販売名 エパデールS600
性状 微黄色透明(軟カプセル剤)
外形 直径約4mmの球形
識別コード MO20A(分包に表示)
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薬効薬理
18.1 作用機序
EPA‐Eは小腸で脱エチル化を受けてEPAに代謝された後、次の作用を示す。
・リポ蛋白に取り込まれ、リポ蛋白の代謝を促進する。
・肝ミクロソームに取り込まれ、脂質の生合成・分泌を抑制する。
18.2 抗血小板作用
18.2.1 各種血栓性、動脈硬化性疾患患者において、種々の凝集惹起剤による血小板凝集を抑制し、血小板粘着能も同様に抑制する。
18.2.2 主として血小板膜リン脂質中のEPA含量を増加させ、血小板膜からのアラキドン酸代謝を競合的に阻害することによりトロンボキサンA2産生を抑制し、血小板凝集を抑制すると考えられる。
18.2.3 コラーゲンによる血小板凝集を抑制する(ウサギ、ex vivo)。
18.2.4 ラット、ウサギ及びヒトにおいて、コラーゲン、ADP、アラキドン酸による血小板凝集を抑制する(in vitro)。
18.2.5 ラット胸部大動脈血管壁でのプロスタサイクリン様物質産生の不変ないし増加が認められている。
18.3 動脈の伸展性保持作用
18.3.1 高コレステロール食飼育ウサギにおける摘出大動脈の伸展性の低下に対して抑制作用を示し、普通食飼育ウサギの大動脈と同等の伸展性を保つ。
18.3.2 高コレステロール食飼育ウサギの胸部大動脈及び大腿動脈の脈波速度(PWV)の増大を抑制し、そのPWV値は普通食飼育ウサギとほぼ同程度である。
18.3.3 高コレステロール食飼育ウサギ大動脈の中膜平滑筋細胞密度及びエラスチン含量の低下、並びに平滑筋中の遊離コレステロールの蓄積を抑制し、更に、内膜平滑筋細胞の増殖を抑制する。
18.4 各種動脈閉塞性病態モデルに及ぼす作用
経口投与により、アラキドン酸静注による血栓形成に基づく突然死(ラット)を抑制し、動静脈シャントの血栓性閉塞(ラット)、エラジン酸誘発血栓(ウサギ)に対し、血栓形成を抑制する。また、ラウリン酸誘発末梢壊疽(ラット)の進行を抑制する。
18.5 血清脂質低下作用
18.5.1 高脂血症患者の血清総コレステロール及び血清トリグリセリドを有意に低下させる。
18.5.2 高コレステロール飼料飼育誘発高脂血症動物(ラット、ウサギ)、カゼイン含有飼料誘発あるいはトライトン誘発高脂血症ラット、更には、普通食飼育動物(ラット、ハムスター)において血中脂質低下作用を示す。
18.5.3 ラットに経口投与すると、リポ蛋白中EPA含量が増加し、また、リポ蛋白の血中からの消失が促進される。
18.5.4 コレステロールの腸管からの吸収抑制、肝での生合成活性抑制、胆汁中への異化排泄促進などの作用を示す(ラット)。
18.5.5 トリグリセリドの腸管からの吸収抑制や肝での生合成活性抑制及び肝からの分泌抑制、更には、血漿リポ蛋白リパーゼ(LPL)活性亢進などの作用を示す(ラット)。
薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与(生物学的同等性試験)
健康成人男性20例を対象として、クロスオーバー法により本剤とエパデールカプセル300を食直後に単回経口投与(EPA‐Eとしてそれぞれ2,700mg)注1)したところ、本剤の血漿中EPAの濃度は、投与約6時間後に最高値153.7μg/mLに達した。また、エパデールカプセル300の血漿中EPAの濃度は投与約6時間後に最高値155.4μg/mLであり、両剤は生物学的に同等であると判断された。
16.1.2 反復投与
(1)健康成人男性にエパデールカプセル300を1回600mg(8例)又は900mg(7例)、1日3回(朝・昼・夕)、毎食直後に連日4週間経口投与したところ、血漿中EPAの濃度はおよそ投与開始1週間後に定常状態に達した。
(2)健康成人男性各群8例にエパデールカプセル300を1回900mg、1日2回(朝・夕)又は1回600mg、1日3回(朝・昼・夕)、食直後に8日間反復経口投与注2)したときの薬物動態は類似しており、血漿中EPAの濃度は投与日数に従い徐々に上昇し、いずれの群においても投与5〜6日目に定常状態に達した。
16.3 分布
16.3.1 組織分布
雌雄ラットに14C標識EPA‐Eを単回経口投与したときの組織内分布率は、観察期間を通じて肝、白色脂肪、筋肉及び皮膚で高値であった。
16.3.2 血漿蛋白結合率
雄ラット及び雄イヌに14C標識EPA‐Eを単回経口投与したときの血漿蛋白結合率は、86.7〜98.8%及び96.7〜98.7%であった。
16.4 代謝
EPA‐Eは小腸において脱エチル化を受けた後、トリグリセリドやリン脂質等の構成脂肪酸として取り込まれ、リンパ及び血漿を経由して各組織へ移行後、肝又は各組織の主としてミトコンドリアにおいてβ酸化によりアセチルCoAにまで代謝され、TCA回路によって炭酸ガス及び水となって体外に排泄されるものと推定される(ラット)。
16.5 排泄
雄ラットに14C標識EPA‐Eを経口投与したところ、投与168時間までの尿中への排泄は2.7%、糞中へは16.7%であった。なお、呼気中へ放射活性の44.4%が排泄された。
注1)高脂血症において本剤の承認された1回用量は、900mgまでである。
注2)閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛および冷感の改善において本剤の承認された用法は、1日3回、毎食直後に経口投与である。