特徴
体内にカルニチンを補いカルニチンの欠乏状
専門医コメント
バルプロ酸中毒による高アンモニア血症、嗜
用法・用量
通常、成人には、レボカルニチンとして、1日1.5〜3gを3回に分割経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
通常、小児には、レボカルニチンとして、1日体重1kgあたり25〜100mgを3回に分割経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
用法・用量に関連する注意
7.1. 本剤の投与に際しては、低用量から投与を開始し、臨床症状の改善の程度と副作用の発現の程度及び定期的な臨床検査、バイタルサイン、カルニチンの欠乏状態等から投与量を総合的に判断し、また、増量する場合には慎重に判断し、漫然と投与を継続しないこと〔8.重要な基本的注意の項参照〕。
7.2. 血液透析患者への本剤の投与に際しては、高用量を長期間投与することは避けること(また、血液透析日には透析終了後に投与すること)〔9.2.2参照〕。7.3. 小児への投与に際しては、原則として、成人用量を超えないことが望ましい。
腎機能用量
CCr<60:保存期CKD患者では通常はカルニチン欠乏症を起こさないため、欠乏が明らかな場合を除き投与しない
透析:透析下の末期腎疾患患者ではカルニチン欠乏症になりやすいが、本剤の高用量の長期投与により、トリメチルアミン等の有害な代謝物が蓄積するおそれがある。1回300mgを1日2回などの低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与し、漫然と投与を継続しないこと。血液透析日には血液透析後に投与すること。CAPD患者では血液透析患者よりも欠乏は軽微なため、欠乏が明らかな場合を除き投与しない。
適応
カルニチン欠乏症
効果・効能
カルニチン欠乏症。
効果・効能に関連する注意
5.1. 本剤は、臨床症状・検査所見からカルニチン欠乏症と診断された場合あるいはカルニチン欠乏症が発症する可能性が極めて高い状態である場合にのみ投与すること。5.2. 本剤の投与に際しては、原則として、カルニチンの欠乏状態の検査に加え、カルニチン欠乏の原因となる原疾患を特定すること。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 消化器:(1%未満*)食欲不振、下痢、軟便、腹部膨満感、(頻度不明)悪心・嘔吐、腹痛。
2). 過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒感。
3). その他:(1%未満*)顔面浮腫、血尿、貧血、(頻度不明)体臭。*)エルカルチン錠(レボカルニチン塩化物錠)の使用成績調査における発現頻度。
重要な基本的な注意
本剤投与中は、定期的にバイタルサイン、臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、尿検査)、カルニチンの欠乏状態のモニタリングを行うことが望ましい〔7.1参照〕。(特定の背景を有する患者に関する注意)
腎機能障害患者
9.2.1. 重篤な腎機能障害のある患者又は透析下の末期腎疾患患者:低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与し、漫然と投与を継続しないこと(本剤の高用量の長期投与により、トリメチルアミン等の有害な代謝物が蓄積するおそれがある。重篤な腎機能障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない)。
9.2.2. 血液透析患者:本剤投与により期待する効果が得られない場合には、漫然と投与を継続しないこと〔7.2参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:
糖尿病用薬(経口糖尿病治療薬、インスリン製剤等)[低血糖症状があらわれるおそれがある(機序は不明である)]。
高齢者
患者の状態を観察し、減量するなど十分に注意しながら本剤を投与すること(一般に生理機能が低下している)。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(レボカルニチン塩化物を投与した動物実験(ラット)で胎仔への移行が報告されている)。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(レボカルニチン塩化物を投与した動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている)。
適用上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意
本剤は一包化調剤を避けること〔20.取扱い上の注意の項参照〕。14.2. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
取扱い上の注意
アルミピロー開封後は湿気を避けて保存すること〔14.1参照〕。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 有効成分 添加剤
エルカルチンFF錠100mg 1錠中 ケイ酸カルシウム、カルメロースカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、タルク、酸化チタン、グリセリン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム
レボカルニチン100mg
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3.2 製剤の性状
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販売名 性状 外形 直径(mm) 厚さ(mm) 重さ(mg)
エルカルチンFF錠100mg 白色のフィルムコーティング錠 <<図省略>> <<図省略>> <<図省略>> 7.4 4.1 約192
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薬効薬理
18.1 作用機序
レボカルニチンの投与により組織内における慢性的なカルニチン欠乏状態を是正し、組織内で過剰に蓄積した有害なプロピオニル基をプロピオニルカルニチンとして体外(尿中)へ排泄させる。また、有害なプロピオニル基からミトコンドリア機能を保護し、その代謝を賦活する。
18.2 ミトコンドリア呼吸能に対する作用
ラット肝ミトコンドリアを用いて、レボカルニチン塩化物(l‐体)を光学異性体であるd‐カルニチン塩化物及びdl‐カルニチン塩化物と比較検討した。その結果、l‐体はミトコンドリア呼吸活性への抑制作用を示さず、プロピオン酸によるミトコンドリア呼吸能の抑制作用に対して有意な回復作用を示した(in vitro)。
薬物動態
16.1 血中濃度
健康成人にレボカルニチン1,000mg(本剤又は内用液)を空腹時単回経口投与した時の血漿中遊離カルニチンの濃度の推移を添付文書の図16‐1に示す。また、遊離カルニチン、総カルニチン及びアシルカルニチンの薬物動態パラメータを表16‐1に示す。
本剤及び内用液のいずれにおいても、遊離カルニチンの血漿中濃度は、投与後5時間にピークに達し、以降緩徐に減少した。本剤1,000mg(250mg×4錠)と内用液1,000mg(10%10mL)は生物学的に同等であることが確認された(添付文書の図16‐1、表16‐1)。
図16‐1 健康成人におけるレボカルニチン単回投与時の血漿中遊離カルニチン濃度推移(平均値±標準偏差)
<<図省略>>
表16‐1 レボカルニチン単回投与時の薬物動態パラメータ(遊離カルニチン、総カルニチン、アシルカルニチン)
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投与量 Cmax(μmol/L) AUCt(μmol・h/L) tmax(h) t1/2(h)
遊離カルニチン 本剤(1,000mg) 21.22(5.80) 236.29(81.48) 5.000(2.00−8.00) 10.80(4.84)
内用液(1,000mg) 22.22(5.98) 249.49(88.06) 5.000(2.00−8.00) 11.50(5.34)
総カルニチン 本剤(1,000mg) 27.20(6.90) 294.02(80.50) 4.000(2.00−6.00) 11.60(5.81)
内用液(1,000mg) 28.55(6.22) 302.69(81.48) 5.000(2.00−8.00) 11.37(3.78)
アシルカルニチン 本剤(1,000mg) 7.57(2.43) 60.99(25.58) 5.000(3.00−10.00) 42.46(95.38)
内用液(1,000mg) 7.66(2.09) 56.78(22.01) 4.000(2.00−24.00) 16.31(23.39)
平均値、( )内は標準偏差、ただしtmaxのみ中央値(最小値−最大値)
23例
血漿中濃度は、投与前の血漿中カルニチン濃度(内因性カルニチン濃度)を差し引いた値
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16.5 排泄
16.5.1 尿中排泄率
健康成人に、エルカルチンFF内用液(レボカルニチン内用液)30、60及び90mg/kgを空腹時単回経口投与した時の24時間までのベースラインで補正した遊離カルニチンの累積尿中排泄率(fe,24h)は、それぞれ6.92%、5.92%及び5.59%と用量の増加に伴い低下した。
16.5.2 トランスポーター
レボカルニチンは、有機カチオン/カルニチントランスポーター(OCTN2)の基質である。