特徴
最初のALK阻害薬。ALKの受容体チロシ
専門医コメント
ALK/ROS-1融合遺伝子チロシンキナ
用法・用量
通常、成人にはクリゾチニブとして1回250mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. ロミタピド投与中の患者〔10.1参照〕。
用法・用量に関連する注意
副作用により、本剤を休薬、減量、中止する場合には、副作用の症状、重症度等に応じて、次の基準を考慮すること。
1). 血液系副作用[日和見感染症等の臨床的事象を伴わないリンパ球減少症を除く]:
@. 臨床的事象を伴わないリンパ球減少症を除く血液系副作用<グレード1−2>:同一投与量を継続。
A. 臨床的事象を伴わないリンパ球減少症を除く血液系副作用<グレード3>:グレード2以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同一投与量で投与を再開する。B. 臨床的事象を伴わないリンパ球減少症を除く血液系副作用<グレード4>:グレード2以下に回復するまで休薬し、回復後は200mg1日2回から投与を再開する[臨床的事象を伴わないリンパ球減少症を除く血液系副作用再発<グレード4>の場合は、グレード2以下に回復するまで休薬し、回復後は250mg1日1回に減量して投与を再開する(グレード2以下に回復するまで休薬し、回復後は250mg1日1回に減量して投与を再開した後グレード4の再発が認められる場合は投与を中止する)]。2). グレード1以下の血中ビリルビン増加を伴うALT又はAST上昇〔1.3、8.2、11.1.2参照〕:
@. グレード1以下の血中ビリルビン増加を伴うALT上昇<グレード1−2>又はグレード1以下の血中ビリルビン増加を伴うAST上昇<グレード1−2>〔1.3、8.2、11.1.2参照〕:同一投与量を継続。
A. グレード1以下の血中ビリルビン増加を伴うALT上昇<グレード3−4>又はグレード1以下の血中ビリルビン増加を伴うAST上昇<グレード3−4>〔1.3、8.2、11.1.2参照〕:グレード1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後は200mg1日2回から投与を再開する[グレード1以下の血中ビリルビン増加を伴うALT上昇再発<グレード3−4>又はグレード1以下の血中ビリルビン増加を伴うAST上昇再発<グレード3−4>の場合は、グレード1以下に回復するまで休薬し、回復後は250mg1日1回に減量して投与を再開する(グレード1以下に回復するまで休薬し、回復後は250mg1日1回に減量して投与を再開した後グレード3以上の再発が認められる場合は投与を中止する)]。
3). グレード2−4の血中ビリルビン増加を伴うALT又はAST上昇[胆汁うっ滞又は溶血がある場合を除く]〔1.3、8.2、11.1.2参照〕:@. 胆汁うっ滞除くグレード2−4血中Bil増加を伴うALT上昇<グレード1>・溶血除くグレード2−4の血中Bil増加を伴うALT上昇<グレード1>又は胆汁うっ滞除くグレード2−4血中Bil増加を伴うAST上昇<グレード1>・溶血除くグレード2−4の血中Bil増加を伴うAST上昇<グレード1>:同一投与量を継続。A. 胆汁うっ滞除くグレード2−4血中Bil増加を伴うALT上昇<グレード2>・溶血除くグレード2−4の血中Bil増加を伴うALT上昇<グレード2>又は胆汁うっ滞除くグレード2−4血中Bil増加を伴うAST上昇<グレード2>・溶血除くグレード2−4の血中Bil増加を伴うAST上昇<グレード2>、胆汁うっ滞除くグレード2−4血中Bil増加を伴うALT上昇<グレード3>・溶血除くグレード2−4の血中Bil増加を伴うALT上昇<グレード3>又は胆汁うっ滞除くグレード2−4血中Bil増加を伴うAST上昇<グレード3>・溶血除くグレード2−4の血中Bil増加を伴うAST上昇<グレード3>、胆汁うっ滞除くグレード2−4血中Bil増加を伴うALT上昇<グレード4>・溶血除くグレード2−4の血中Bil増加を伴うALT上昇<グレード4>又は胆汁うっ滞除くグレード2−4血中Bil増加を伴うAST上昇<グレード4>・溶血除くグレード2−4の血中Bil増加を伴うAST上昇<グレード4>:投与を中止する。
4). 間質性肺疾患〔1.2、8.1、9.1.1、11.1.1参照〕:投与を中止する。
5). QT間隔延長〔8.3、9.1.2、10.2、11.1.3参照〕:@. QT間隔延長<グレード1−2>〔8.3、9.1.2、10.2、11.1.3参照〕:同一投与量を継続。
A. QT間隔延長<グレード3>〔8.3、9.1.2、10.2、11.1.3参照〕:グレード1以下に回復するまで休薬し、回復後は200mg1日2回から投与を再開する[QT間隔延長再発<グレード3>の場合は、グレード1以下に回復するまで休薬し、回復後は250mg1日1回に減量して投与を再開する(グレード1以下に回復するまで休薬し、回復後は250mg1日1回に減量して投与を再開した後グレード3以上の再発が認められる場合は投与を中止する)]。
B. QT間隔延長<グレード4>〔8.3、9.1.2、10.2、11.1.3参照〕:投与を中止する。
グレードはNCI−CTCAEによる。
Bil:ビリルビン。
腎機能用量
腎機能正常者と同じ
適応
ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
効果・効能
1). ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌。2). ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌。
効果・効能に関連する注意
5.1. 十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、ALK融合遺伝子陽性又はROS1融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断薬を用いること)。
5.2. 本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 間質性肺疾患(2.1%):死亡に至った症例も報告されている〔1.2、7.用法及び用量に関連する注意の項、8.1、9.1.1参照〕。11.1.2. 劇症肝炎、肝不全、肝機能障害:劇症肝炎(頻度不明)、肝不全(0.2%)、ALT上昇、AST上昇、ビリルビン上昇、Al−P上昇等を伴う肝機能障害(33.9%)があらわれることがあり、劇症肝炎、肝不全により死亡に至った症例も報告されている〔1.3、7.用法及び用量に関連する注意の項、8.2参照〕。11.1.3. QT間隔延長(3.2%)、徐脈(10.1%):QT間隔延長、徐脈(随伴症状:低血圧、失神、めまい等)があらわれることがある〔7.用法及び用量に関連する注意の項、8.3、9.1.2、10.2参照〕。
11.1.4. 血液障害:好中球減少症(21.2%)、白血球減少症(14.3%)、リンパ球減少症(4.5%)、血小板減少症(3.0%)等があらわれることがある〔8.4参照〕。
11.1.5. 心不全(0.2%):体液貯留(肺水腫、胸水、心嚢液貯留等)、急激な体重増加、心不全症状(息切れ、呼吸困難、浮腫等)が認められた場合には、休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 眼:(10%以上)視覚障害(視力障害、光視症、霧視、硝子体浮遊物、複視、羞明、視野欠損、視力低下等)(59.0%)。
2). 神経系:(10%以上)味覚異常(20.4%)、浮動性めまい(14.3%)、ニューロパチー(11.7%)、(1%以上〜10%未満)頭痛、不眠症。3). 代謝:(10%以上)食欲減退(20.2%)、(1%以上〜10%未満)低アルブミン血症、低リン酸血症、低カリウム血症、脱水。
4). 心血管系:(1%以上〜10%未満)血栓塞栓症。5). 呼吸器:(1%以上〜10%未満)咳嗽、肺炎。
6). 皮膚:(10%以上)発疹(11.1%)、(1%以上〜10%未満)皮膚そう痒症、紅斑、(1%未満)光線過敏症。
7). 筋骨格系:(1%以上〜10%未満)筋痙縮、関節腫脹。8). 消化器:(10%以上)悪心(50.9%)、下痢(48.4%)、嘔吐(43.9%)、便秘(32.2%)、腹痛(上腹部痛、腹部不快感等)(12.6%)、(1%以上〜10%未満)食道障害(食道炎、食道潰瘍等)、消化不良、腹部膨満、口内乾燥。
9). 腎臓:(1%以上〜10%未満)血中クレアチニン増加、複雑性腎嚢胞、(1%未満)腎機能障害、腎膿瘍。
10). その他:(10%以上)浮腫(末梢性浮腫、顔面浮腫、眼窩周囲浮腫等)(34.8%)、疲労(26.8%)、(1%以上〜10%未満)発熱、血中テストステロン減少、(頻度不明)血中クレアチンホスホキナーゼ増加。
警告
1.1. 本剤の投与にあたっては、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性(特に、間質性肺疾患の初期症状、投与中の注意事項、死亡に至った例があること等に関する情報)を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2. 本剤の投与により間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った例が報告されているので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部CT検査等の実施など、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、間質性肺疾患が本剤の投与初期にあらわれ、死亡に至った国内症例があることから、治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと〔7.用法及び用量に関連する注意の項、8.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
1.3. 本剤の投与により劇症肝炎、肝不全があらわれ、死亡に至った例が報告されているので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的(特に投与初期は頻回)に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うこと〔7.用法及び用量に関連する注意の項、8.2、11.1.2参照〕。
重要な基本的な注意
8.1. 間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等の有無)の確認及び胸部CT検査等の実施など十分に観察し、また、必要に応じて動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A−aDO2)、肺拡散能力(DLCO)等の検査を行うこと。間質性肺疾患の発現又は症状の増悪が疑われた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること〔1.2、7.用法及び用量に関連する注意の項、9.1.1、11.1.1参照〕。
8.2. 劇症肝炎、肝不全、肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的(特に投与初期は頻回)に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔1.3、7.用法及び用量に関連する注意の項、11.1.2参照〕。8.3. QT間隔延長、徐脈があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に心電図及び電解質検査を行い、また、脈拍、血圧測定を行うなど、患者の状態を十分に観察すること〔7.用法及び用量に関連する注意の項、9.1.2、10.2、11.1.3参照〕。
8.4. 血液障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.4参照〕。
8.5. 視覚障害(視力障害、光視症、霧視、硝子体浮遊物、複視、視野欠損、羞明、視力低下等)があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。また、視覚障害の発現又は症状の増悪が疑われた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。(特定の背景を有する患者に関する注意)
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者:間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある〔1.2、7.用法及び用量に関連する注意の項、8.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者:QT間隔延長が起こるおそれがある〔7.用法及び用量に関連する注意の項、8.3、10.2、11.1.3参照〕。
腎機能障害患者
9.2.1. 重度の腎機能障害のある患者:重度腎機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない〔16.6.1参照〕。
肝機能障害患者
9.3.1. 中等度以上の肝機能障害のある患者:本剤の血中濃度が上昇することがある〔16.6.2参照〕。
生殖能を有する者
妊娠可能な女性:妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。
相互作用
本剤はCYP3A4/5により代謝され、CYP3Aに時間依存的な阻害作用を示すことが確認されている。また、CYP2B6に対して時間依存的な阻害作用を示したことから、CYP2B6の基質となる薬剤と併用した場合、本剤はそれらの血中濃度を上昇させる可能性がある。
本剤はP−糖蛋白(Pgp)、有機カチオントランスポーター(OCT)1及びOCT2に対して阻害作用を示したことから、Pgpの基質となる薬剤、OCT1の基質となる薬剤又はOCT2の基質となる薬剤と併用した場合、本剤はそれらの血中濃度を上昇させる可能性がある。
10.1. 併用禁忌:
ロミタピド<ジャクスタピッド>〔2.2参照〕[ロミタピドの血中濃度が著しく増加するおそれがある(本剤がCYP3Aの阻害剤であることから、ロミタピドの代謝が阻害される)]。
10.2. 併用注意:
1). CYP3Aの基質となる薬剤:
@. CYP3Aの基質となる薬剤(ミダゾラム等)[本剤反復投与時にミダゾラムを単回併用投与したとき、ミダゾラムの単独投与と比べミダゾラムのAUC及びCmaxはそれぞれ3.7倍及び2.0倍となった(本剤がCYP3Aの阻害剤であることから、CYP3Aの基質となる薬剤との併用により、併用薬の代謝が阻害され、併用薬の血中濃度が増加する可能性がある)]。
A. CYP3Aの基質となる薬剤(ミダゾラム等)[併用薬の血中濃度が増加し副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること(本剤がCYP3Aの阻害剤であることから、CYP3Aの基質となる薬剤との併用により、併用薬の代謝が阻害され、併用薬の血中濃度が増加する可能性がある)]。
2). CYP3A阻害剤:
@. CYP3A阻害剤(イトラコナゾール等)[本剤反復投与時にイトラコナゾールを併用投与したとき、単独投与と比べ本剤の定常状態におけるAUCtau・Cmaxはそれぞれ57%・33%増加した(本剤の代謝には主にCYP3Aが関与しているため、併用薬剤のようなCYP3A阻害剤との併用により、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が増加する可能性がある)]。
A. CYP3A阻害剤(イトラコナゾール等)[本剤の血中濃度が増加し副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮し、また、併用する場合は、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤の代謝には主にCYP3Aが関与しているため、併用薬剤のようなCYP3A阻害剤との併用により、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が増加する可能性がある)]。
3). CYP3A誘導剤:
@. CYP3A誘導剤(リファンピシン等)[本剤反復投与時にリファンピシンを併用投与したとき、単独投与と比べ本剤の定常状態におけるAUCtau・Cmaxはそれぞれ84%・79%低下した(本剤の代謝には主にCYP3Aが関与しているため、併用薬剤のようなCYP3A誘導剤との併用により、本剤の代謝が亢進し、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
A. CYP3A誘導剤(リファンピシン等)[本剤の血中濃度が低下し本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること(本剤の代謝には主にCYP3Aが関与しているため、併用薬剤のようなCYP3A誘導剤との併用により、本剤の代謝が亢進し、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
4). QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤(イミプラミン、ピモジド等)〔7.用法及び用量に関連する注意の項、8.3、9.1.2、11.1.3参照〕[QT間隔延長作用を増強するおそれがある(本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により作用が増強する可能性がある)]。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ラット及びウサギに、クリゾチニブをそれぞれ200及び60mg/kg/日(AUCに基づく用量比較で臨床曝露量と同等)反復投与したところ、胎仔重量減少が認められた)〔9.4生殖能を有する者の項参照〕。(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中への移行は不明である)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
その他の注意
15.2. 非臨床試験に基づく情報
15.2.1. ラットにクリゾチニブ150mg/kg/日(AUCに基づく臨床曝露量の約3倍)を反復投与したところ、成長中の長骨骨形成低下が認められた。15.2.2. ラットを用いた反復投与毒性試験において、軽微な精巣パキテン期精母細胞変性及び軽微な卵巣単細胞壊死が認められた。
15.2.3. 遺伝毒性試験成績から、本剤は異数性誘発作用が認められるものの、変異原性又は染色体構造異常誘発性は示さないと考えられる。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
販売名 ザーコリカプセル200mg
有効成分 1カプセル中
クリゾチニブ 200.00mg
添加剤 軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム
(カプセル本体)
酸化チタン、三二酸化鉄
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
3.2 製剤の性状
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
販売名 外形(mm) 識別コード 色調等
ザーコリカプセル200mg <<図省略>> Pfizer CRZ 200 キャップ:淡赤色
1号硬カプセル ボディ:白色
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
薬効薬理
18.1 作用機序
クリゾチニブはALK、肝細胞増殖因子受容体(c‐Met/HGFR)、ROS1及びRecepteur d’Origine Nantais(RON)に対するチロシンキナーゼ阻害剤である。クリゾチニブは、ALK及びROS1の発がん性変異体であるALK融合蛋白質及びROS1融合蛋白質のチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。
18.2 抗腫瘍効果
クリゾチニブは、ALK遺伝子座の転座/逆位により、ALK融合蛋白質を発現するヒト非小細胞肺癌由来NCI‐H3122及びNCI‐H2228細胞株、並びにROS1遺伝子座の転座により、ROS1融合蛋白質を発現するヒト非小細胞肺癌由来HCC78細胞株の増殖を抑制した。また、NCI‐H3122細胞株を移植した免疫不全マウスにおいて、腫瘍の増殖を抑制した。
薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与(健康成人被験者)
日本人健康成人男性(各投与群6例)に本剤150注)、250及び400mg注)を単回経口投与したとき、最高血漿中濃度(Cmax)は、73.5、164及び243ng/mL、血漿中クリゾチニブ濃度−時間曲線下面積(AUC)は、1482、4020及び6817ng・hr/mLであった。Cmax及びAUCは、150及び250mgでは用量に比例する以上に増加する傾向を示し、250及び400mgでは用量に比例して増加した。最高血漿中濃度到達時間(tmax)は用量間で概ね5時間(中央値)であり、終末相における消失半減期(平均値)は29.1〜41.1時間であった。
表1.健康成人男性を対象としてクリゾチニブを単回経口投与後の薬物動態パラメータの要約
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
投与量 N tmaxa)(hr) Cmax(ng/mL) AUC0−∞(ng・hr/mL) t1/2(hr)
150mg注) 6 5.00(5.00、6.00) 73.5(26) 1482(472) 41.1(6.8)
250mg 6 5.00(4.00、6.00) 164(51) 4020(1313) 29.9(4.0)
400mg注) 6 5.00(5.00、6.00) 243(61) 6817(2098) 29.1(3.6)
他に記載がない限り、データは算術平均(標準偏差)で示した。
a)中央値(範囲)
注:本剤の承認用法用量は250mg1日2回経口投与である。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
図1.健康成人を対象としてクリゾチニブを単回経口投与後の血漿中濃度推移(平均+標準偏差)
<<図省略>>
16.1.2 単回及び反復投与(癌患者)
ALK融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺癌患者を対象とした第I相試験において日本人癌患者(n=15)に本剤250mgを単回及び1日2回反復経口投与したときの薬物動態パラメータを次に示した。血漿中クリゾチニブ濃度は本剤250mg1日2回反復投与後15日目までに定常状態に達すると考えられた。なお、本剤反復投与時に得られた見かけの経口クリアランス(平均値)は54.7L/hrであり、単回経口投与時に得られた値(89.3L/hr)と比べ低下した。
表2.癌患者を対象としてクリゾチニブを単回及び反復経口投与後の薬物動態パラメータの要約
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
N tmaxa)(hr) Cmax(ng/mL) AUCτ(ng・hr/mL) AUC0−∞(ng・hr/mL) t1/2(hr)
単回 5 6.00(4.00、8.02) 131(33) 955(348) 3180(1398) 39.5(5.9)
反復 5 4.00(0.00、6.05) 493(106) 4608(467) NC NC
他に記載がない限り、データは算術平均(標準偏差)で示した。NC=算出せず
単回投与時のデータは第−7日(導入期)の値を用いた。反復投与時のデータは第1サイクル第15日のデータを用いた。
a)中央値(範囲)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
健康成人14例に本剤250mgを単回経口投与及び50mgを単回静脈内投与注)したときの絶対的バイオアベイラビリティは約43%と推定された(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
健康成人36例に本剤250mgを食後(高脂肪、高カロリー食)単回経口投与したとき、AUC0−∞及びCmaxは空腹時投与に比べそれぞれ14%減少した(外国人データ)。
16.3 分布
本剤50mgを静脈内投与注)したときの定常状態の分布容積は、1772Lであった(外国人データ)。
In vitroにおけるヒト血漿蛋白結合率は91%で、蛋白結合率に対する薬物濃度の影響は認められなかった。
In vitro試験から、本剤はP‐糖蛋白(Pgp)基質であることが示唆された。
16.4 代謝
In vitro試験から、CYP3A4/5が本剤の主な薬物代謝酵素であることが示唆された。
ヒトにおける主な代謝経路は、ピペリジン環の酸化によるクリゾチニブラクタム生成、並びにO‐脱アルキル化とそれに続く第2相反応(O‐脱アルキル化代謝物の抱合化)であった。
16.5 排泄
健康被験者6例に14C‐標識クリゾチニブ250mgを単回投与したとき、投与480時間までに、投与放射能の63%が糞中、22%が尿中に排泄された。また、糞及び尿中に排泄されたクリゾチニブの未変化体は、それぞれ投与量の53%及び2.3%であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
重度の腎機能障害を伴う被験者(クレアチニンクリアランスが30mL/分未満)に本剤250mgを単回経口投与したときのCmax及びAUCは、腎機能正常被験者(クレアチニンクリアランスが90mL/分以上)と比べてそれぞれ1.3倍及び1.8倍大きかった(外国人データ)。[9.2.1参照]
16.6.2 肝機能障害患者
NCI‐ODWG基準により分類した肝機能の異なる進行癌患者に本剤を反復経口投与したときの定常状態における総クリゾチニブ及び蛋白非結合型クリゾチニブの薬物動態パラメータの要約を表3に示した(外国人データ)。[9.3.1参照]
表3.肝機能の異なる進行癌患者にクリゾチニブを反復経口投与したときの定常状態における総クリゾチニブ及び蛋白非結合型クリゾチニブの薬物動態パラメータの要約a)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
パラメータ(単位) A1群 A2群 B群 C群 D群
総クリゾチニブの薬物動態パラメータ
Cmax(ng/mL) 375.1(50) 283.9(65) 342.1(68) 408.3(56) 272.4(29)
AUCdaily(ng・hr/mL) 7107(48) 5422(66) 6476(73) 8108(58) 4596(63)
tmax(hr) 4.0(0.98−4.0) 4.0(1.0−6.0) 4.0(1.7−11) 3.0(2.0−6.0) 4.0(2.0−6.1)
CL/F(L/hr) 70.39(48) 73.79(66) 77.21(73) 49.26(58) 54.36(63)
蛋白非結合型クリゾチニブの薬物動態パラメータ
Cmax,u(ng/mL) 13.59(41) 8.703(74) 14.77(93) 16.96(56) 9.608(34)
AUCdaily,u(ng・hr/mL) 257.7(38) 166.1(73) 279.4(95) 337.0(59) 161.9(48)
CL/F,u(L/hr) 1940(38) 2407(73) 1791(95) 1188(59) 1542(47)
A1群(n=8):肝機能正常(クリゾチニブ250mgを1日2回反復経口投与)
A2群(n=9):肝機能正常(クリゾチニブ200mgを1日2回反復経口投与注))
B群(n=10):軽度の肝機能障害(クリゾチニブ250mgを1日2回反復経口投与)
C群(n=8):中等度の肝機能障害(クリゾチニブ200mgを1日2回反復経口投与注))
D群(n=6):重度の肝機能障害(クリゾチニブ250mgを1日1回反復経口投与注))
a)tmaxは中央値(範囲)で示し、それ以外は幾何平均値(幾何%変動係数)で示す。
注:本剤の承認用法用量は250mg1日2回経口投与である。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
注:本剤の承認用法用量は250mg1日2回経口投与である。