Antaa DI

drug

サークリサ点滴静注100mg

イサツキシマブ(遺伝子組換え)注射液

抗CD38抗体 >>

特徴

  • ダラザレックスに次ぐ抗CD38ヒト型モノ

専門医コメント

多発性骨髄腫に用いられる。Infusio

用法・用量

〈ポマリドミド及びデキサメタゾン併用投与又はカルフィルゾミブ及びデキサメタゾン併用投与〉

通常、成人にはイサツキシマブ(遺伝子組換え)として1回10mg/kgを点滴静注する。28日間を1サイクルとし、最初のサイクルは1週間間隔で4回(1、8、15、22日目)、2サイクル以降は2週間間隔で2回(1、15日目)点滴静注する。〈デキサメタゾン併用投与又は単独投与〉

通常、成人にはイサツキシマブ(遺伝子組換え)として1回20mg/kgを点滴静注する。28日間を1サイクルとし、最初のサイクルは1週間間隔で4回(1、8、15、22日目)、2サイクル以降は2週間間隔で2回(1、15日目)点滴静注する。

禁忌

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

用法・用量に関連する注意

7.1. 本剤と併用する抗悪性腫瘍剤の投与に際しては、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、投与すること〔17.1.1−17.1.3参照〕。7.2. 本剤投与によるInfusion reactionを軽減させるために、本剤投与開始15〜60分前に、本剤と併用するデキサメタゾン(本剤単独投与の場合はデキサメタゾン以外の副腎皮質ホルモン剤)、抗ヒスタミン剤、H2受容体拮抗剤及び解熱鎮痛剤を投与すること〔11.1.1参照〕。

7.3. 本剤は175mg/時の投与速度で点滴静注を開始し、Infusion reactionが認められなかった場合には、患者の状態を観察しながら、投与速度を段階的に上げることができる(ただし、投与速度は400mg/時を超えないこと)。[本剤の投与速度]

1). 投与開始0〜60分の投与速度:初回投与175mg/時、2回目投与以降175mg/時。

2). 投与開始60〜90分の投与速度:初回投与225mg/時、2回目投与以降275mg/時。

3). 投与開始90〜120分の投与速度:初回投与275mg/時、2回目投与以降375mg/時。

4). 投与開始120〜150分の投与速度:初回投与325mg/時、2回目投与以降400mg/時。

5). 投与開始150〜180分の投与速度:初回投与375mg/時、2回目投与以降400mg/時。

6). 投与開始180分以降の投与速度:初回投与400mg/時、2回目投与以降400mg/時。

7.4. Infusion reactionが発現した場合、次のように、本剤の休薬、投与速度の変更等、適切な処置を行うこと〔11.1.1参照〕。・ Grade2のInfusion reaction:Grade1以下に回復するまで休薬し、回復後、87.5mg/時の投与速度で投与を再開することができ、Infusion reactionの再発が認められなかった場合には、30分ごとに50mg/時ずつ最大400mg/時まで投与速度を上げることができる。・ Grade3以上のInfusion reaction:本剤の投与を中止し、本剤を再投与しないこと。

7.5. Grade3の好中球減少又はGrade4の好中球減少が発現した場合、好中球数が1000/mm3以上に回復するまで休薬すること〔11.1.2参照〕。GradeはNCI−CTCAE v4.03に準じる。

適応

再発又は難治性の多発性骨髄腫

効果・効能

再発又は難治性の多発性骨髄腫。

効果・効能に関連する注意

5.1. 本剤による治療は、少なくとも1つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者を対象とすること。

5.2. 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。特に、デキサメタゾンとの併用による投与及び本剤単独投与については、他の治療の実施についても慎重に検討すること〔17.1.1−17.1.4参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. Infusion reaction:アナフィラキシー、呼吸困難、咳嗽、悪寒、気管支痙攣、鼻閉、高血圧、嘔吐、悪心等のInfusion reaction(43.8%)があらわれることがあり、多くの場合は、初回投与時に発現が認められたが、2回目以降の投与時にも認められているので、異常が認められた場合は、本剤の投与を中断又は中止し適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること〔7.2、7.4参照〕。

11.1.2. 骨髄抑制:好中球減少(15.2%)、血小板減少(5.6%)、発熱性好中球減少(2.0%)、貧血(3.0%)、リンパ球減少(0.4%)等の骨髄抑制があらわれることがある〔7.5、8.1参照〕。

11.1.3. 感染症(23.7%):肺炎(7.5%)、敗血症(0.7%)等の重篤な感染症があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 代謝および栄養障害:(5%未満)食欲減退。

2). 精神障害:(10%以上)不眠症。

3). 神経系障害:(5%未満)頭痛。

4). 心臓障害:(5%未満)心房細動。

5). 血管障害:(10%未満5%以上)高血圧。

6). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(10%未満5%以上)呼吸困難、(5%未満)咳嗽。

7). 胃腸障害:(10%以上)下痢、(10%未満5%以上)悪心、(5%未満)嘔吐。

8). 筋骨格系および結合組織障害:(5%未満)背部痛。9). 一般・全身障害および投与部位の状態:(10%以上)疲労。10). その他:(5%未満)体重減少。

警告

本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

重要な基本的な注意

8.1. 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤の投与前及び投与中は定期的に血液検査等を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.2参照〕。8.2. 本剤は、赤血球上に発現しているCD38と結合し、間接クームス試験の結果が偽陽性となる可能性があるため、本剤投与前に不規則抗体のスクリーニングを含めた一般的な輸血前検査を実施すること。輸血が予定されている場合は、本剤を介した間接クームス試験への干渉について関係者に周知すること〔12.1参照〕。(特定の背景を有する患者に関する注意)

生殖能を有する者

妊娠可能な女性:妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。

妊婦・授妊婦

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていないが、IgG1モノクローナル抗体に胎盤通過性があることが知られており、また、CD38遺伝子欠損マウスで免疫系に対する影響及び骨に対する影響が報告されており、本剤の妊娠中の曝露により胎児に有害な影響を及ぼす可能性がある)〔9.4生殖能を有する者の項参照〕。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤のヒト乳汁中への移行は検討されていないが、ヒトIgGは乳汁中に移行するので、本剤も移行する可能性がある)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

臨床検査結果に及ぼす影響

12.1. 本剤は赤血球上のCD38と結合し、抗体スクリーニングや交差試験等の適合性試験に干渉する。本剤による間接クームス試験への干渉を回避するためにジチオスレイトール(DTT)処理(本剤と赤血球上のCD38との結合を阻害する)を考慮すること。なお、Kell血液型抗原はDTT処理で変性するので、不規則抗体スクリーニングにおいてKell血液型抗原に対する抗体の評価が不能となることに注意すること〔8.2参照〕。

12.2. 本剤はIgGκ型モノクローナル抗体であり、血清中Mタンパクの血清蛋白電気泳動法及び血清免疫固定法の結果に干渉する可能性があり、IgGκ型多発性骨髄腫細胞を有する患者における完全奏効(CR)の評価及びCRからの再発の評価に影響を及ぼす可能性があるため注意すること。

適用上の注意

14.1. 薬剤調製時の注意

14.1.1. 本剤は無菌的に希釈調製を行うこと。

14.1.2. 調製前にバイアル内を目視検査し、溶液(通常は無色〜微黄色)に変色あるいは異物が認められた場合は使用しないこと。

14.1.3. 250mLの日局生理食塩液又は5%ブドウ糖液の点滴バッグから本剤の必要量(mL)と同量を抜き取り、本剤を加えて総量250mLの希釈液を調製する。本剤の投与量が2000mgを超える場合は、希釈液の濃度が8mg/mLを超えない範囲で2バッグに分けて調製すること。

14.1.4. 点滴バッグはポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)製、DEHP[di−(2−ethylhexyl)phthalate]を含むポリ塩化ビニル製あるいはエチレン−酢酸ビニル製を使用すること[DEHP:フタル酸ジ−(2−エチルヘキシル)]。

14.1.5. 点滴バッグを反転させて希釈液を穏やかに混和する(振盪しないこと)。

14.2. 薬剤投与時の注意

14.2.1. 本剤の希釈液を投与する際は、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン又はナイロン製のインラインフィルター(孔径:0.2又は0.22μm)を用いて投与すること。また、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル(DEHPの有無は問わない)又はポリエチレン製の投与セットを用いること。

14.2.2. 本剤の希釈液は、ただちに使用しない場合は2〜8℃で保管し、48時間以内に使用すること(その後、室温では8時間以内(本剤の点滴時間を含む)に使用すること)。

14.2.3. 他の薬剤<日局生理食塩液又は5%ブドウ糖液を除く>と同じ静注ラインにて同時注入は行わないこと。

14.2.4. 本剤の未使用残液は適切に廃棄すること。(取扱い上の注意)

外箱開封後は遮光して保存すること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. 臨床試験において、本剤に対する抗体産生が報告されている。15.1.2. 臨床試験において、皮膚有棘細胞癌、乳房血管肉腫、骨髄異形成症候群等の二次性悪性腫瘍が発現したとの報告がある。

保管上の注意

2〜8℃で保存。

組成・性状

3.1 組成

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販売名 サークリサ点滴静注100mg

1バイアル中

有効成分 イサツキシマブ(遺伝子組換え) 100mg/5mL

(20mg/mL)

添加剤 L‐ヒスチジン 7.3mg

L‐ヒスチジン塩酸塩水和物 11.1mg

精製白糖 500mg

ポリソルベート80 1mg

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本剤は遺伝子組換え技術によりチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。

3.2 製剤の性状

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販売名 サークリサ点滴静注100mg

性状 無色〜微黄色の液

pH 5.7〜6.3

浸透圧比 約1.2〜1.4(生理食塩液に対する比)

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薬効薬理

18.1 作用機序

イサツキシマブは、ヒトCD38に結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)及び補体依存性細胞傷害(CDC)活性並びにアポトーシスを誘導すること等により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。

18.2 抗腫瘍効果

イサツキシマブは、ヒト多発性骨髄腫由来MOLP‐8細胞株を皮下移植した重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。

薬物動態

16.1 血中濃度

16.1.1 単回投与

再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に、本剤10mg/kg又は20mg/kgを単剤で週1回4週間反復静脈内投与した後、2週に1回反復静脈内投与したときの初回投与後の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。

本剤10mg/kg又は20mg/kgを単剤で反復静脈内投与したときの初回投与後の血漿中濃度推移(平均±標準偏差)

<<図省略>>

本剤10mg/kg又は20mg/kgを単剤で反復静脈内投与したときの初回投与後の薬物動態パラメータ(平均±標準偏差)

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投与量            10mg/kg   20mg/kg

例数             3         4

Cmax(μg/mL)    124±22.9  280±64.4

AUC1W(μg・h/mL) 9300±3010 21300±5520

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16.1.2 反復投与

再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に、28日間を1サイクルとして本剤5〜20mg/kg注1)をポマリドミド及びデキサメタゾンとの併用で週1回4週間反復静脈内投与した後、2週に1回反復静脈内投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった。

本剤5〜20mg/kg注1)をポマリドミド及びデキサメタゾンとの併用で週1回4週間反復静脈内投与した後、2週に1回反復静脈内投与したときの初回投与後及び7回目投与後での薬物動態パラメータ(平均±標準偏差)

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初回投与後(サイクル1、1日目)

投与量               5mg/kg      10mg/kg        20mg/kg

例数                5           18             6

Cmax(μg/mL)       91.3±19.8   141±18.8       297±16.7

AUC注2)(μg・h/mL)   6100±2840   12800±2430注3)  27000±5620

Ctrough注2)(μg/mL) 17.2±14.6   43.1±15.3注3)   110±41.1

7回目投与後(サイクル3、1日目)

投与量               5mg/kg      10mg/kg        20mg/kg

例数                6           24             6

Cmax(μg/mL)       167±34.5    403±163        648±246

AUC注2)(μg・h/mL)   30900±10900 71000±34600注4) 156000±91000注6)

Ctrough注2)(μg/mL) 60.1±39.8   154±94.6注5)    308±240注6)

注1)承認用量は10mg/kg(ポマリドミド及びデキサメタゾン併用投与又はカルフィルゾミブ及びデキサメタゾン併用投与)又は20mg/kg(デキサメタゾン併用投与又は単独投与)である。

注2)AUC及びCtroughは投与間隔における血漿中濃度−時間曲線下面積及び血漿中トラフ濃度を示す(初回投与後:1週間、7回目投与後:2週間での値)。

注3)n=16

注4)n=19

注5)n=20

注6)n=5

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母集団薬物動態解析に基づき、本薬10mg/kgをポマリドミド及びデキサメタゾンとの併用で週1回4週間反復静脈内投与した後、2週に1回反復静脈内投与したときの、最高血漿中濃度及び血漿中トラフ濃度に基づく蓄積係数は、それぞれ1.8及び3.1と推定された。また、母集団薬物動態解析に基づき、定常状態における半減期は28日と推定された。

注1)承認用量は10mg/kg(ポマリドミド及びデキサメタゾン併用投与又はカルフィルゾミブ及びデキサメタゾン併用投与)又は20mg/kg(デキサメタゾン併用投与又は単独投与)である。