特徴
フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ)と鼻
専門医コメント
フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ)とプ
用法・用量
通常、成人及び12歳以上の小児には1回2錠(フェキソフェナジン塩酸塩として60mg及び塩酸プソイドエフェドリンとして120mg)を1日2回、朝及び夕の空腹時に経口投与する。
禁忌
2.1. 本剤の成分及び塩酸プソイドエフェドリンと化学構造が類似する化合物(エフェドリン塩酸塩又はメチルエフェドリン塩酸塩を含有する製剤)に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 重症高血圧の患者[症状が悪化するおそれがある]〔9.1.2参照〕。2.3. 重症冠動脈疾患の患者[症状が悪化するおそれがある]〔9.1.3参照〕。2.4. 閉塞隅角緑内障の患者[症状が悪化するおそれがある]〔9.1.4参照〕。2.5. 尿閉のある患者[症状が悪化するおそれがある]〔9.1.6参照〕。2.6. 交感神経刺激薬による不眠、めまい、脱力、振戦、不整脈等の既往歴のある患者[塩酸プソイドエフェドリンの交感神経刺激作用が強くあらわれるおそれがある]〔9.1.5参照〕。
腎機能用量
1回1錠 1日1〜2回(プソイドエフェドリンの尿中未変化体排泄率のデータに幅があるため、至適投与量が定めにくい)
適応
アレルギー性鼻炎
効果・効能
アレルギー性鼻炎。
効果・効能に関連する注意
鼻閉症状が中等症以上の場合に本剤の使用を検討すること〔8.1、17.1.1参照〕。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):呼吸困難、血圧低下、意識消失、血管浮腫、胸痛、潮紅等の過敏症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.2. 痙攣(頻度不明)。
11.1.3. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇、Al−P上昇、LDH上昇等があらわれることがある。11.1.4. 無顆粒球症、白血球減少、好中球減少(いずれも頻度不明)。11.1.5. 急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明):発熱、紅斑、多数の小膿疱等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(0.1〜0.5%未満)頭痛、疲労、(頻度不明)しびれ感、眠気、倦怠感、めまい、不眠、神経過敏、悪夢、睡眠障害、中枢神経刺激、激越、落ち着きのなさ、脱力、恐怖、不安、緊張、振戦、幻覚。
2). 消化器:(0.1〜0.5%未満)口渇、(頻度不明)便秘、嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、消化不良、虚血性大腸炎。
3). 過敏症:(0.1〜0.5%未満)発疹、(頻度不明)血管浮腫、そう痒、蕁麻疹、潮紅。
4). 肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇。
5). 腎臓・泌尿器:(頻度不明)頻尿、排尿困難、尿閉。6). 循環器:(頻度不明)頻脈、動悸、血圧上昇、高血圧、不整脈、循環虚脱。7). その他:(頻度不明)味覚異常、浮腫、胸痛、呼吸困難、食欲不振、蒼白、月経異常。
重要な基本的な注意
8.1. 本剤の使用は鼻閉症状が強い期間のみの最小限の期間にとどめ、鼻閉症状の緩解がみられた場合には、速やかに抗ヒスタミン剤単独療法等への切り替えを考慮すること(本剤を2週間を超えて投与したときの有効性及び安全性は臨床試験では検討されていないため、2週を超えて投与する場合には患者の症状を確認しながら投与すること)〔5.効能又は効果に関連する注意の項、17.1.1参照〕。
8.2. 効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
特定の背景を有する患者に関する注意
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 糖尿病の患者:血糖値が上昇するおそれがある。9.1.2. 高血圧<重症高血圧を除く>の患者:血圧が上昇するおそれがある〔2.2参照〕。
9.1.3. 虚血性心疾患<重症冠動脈疾患を除く>の患者:虚血性心疾患が悪化するおそれがある〔2.3参照〕。
9.1.4. 眼圧上昇<閉塞隅角緑内障を除く>のある患者:眼圧が上昇するおそれがある〔2.4参照〕。
9.1.5. 甲状腺機能亢進症の患者:交感神経刺激作用が増強するおそれがある〔2.6参照〕。
9.1.6. 前立腺肥大<尿閉を除く>のある患者:排尿困難が悪化するおそれがある〔2.5参照〕。
腎機能障害患者
適宜減量すること(塩酸プソイドエフェドリンは主として腎臓を経て尿中に排泄され、腎機能障害患者では排泄が遅延し、作用が強くあらわれるおそれがある)〔16.5、16.6.1参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:
1). エリスロマイシン〔16.7.1参照〕[フェキソフェナジン塩酸塩の血漿中濃度を上昇させるとの報告がある(P糖蛋白の阻害によるフェキソフェナジン塩酸塩のクリアランスの低下及び吸収率の増加に起因するものと推定される)]。2). 水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤<服用>〔16.7.2参照〕[フェキソフェナジン塩酸塩の作用を減弱させることがあるので、同時に服用させないなど慎重に投与すること(水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウムがフェキソフェナジン塩酸塩を一時的に吸着することにより吸収量が減少することによるものと推定される)]。
3). 交感神経系に対し抑制的に作用する降圧剤(メチルドパ、レセルピン)[降圧作用が減弱することがある(塩酸プソイドエフェドリンの交感神経刺激作用により、交感神経抑制作用を減弱する)]。
4). 交感神経刺激薬[塩酸プソイドエフェドリンの心血管に対する作用が増強されることがある(共に交感神経刺激作用を有するため)]。
5). 選択的MAO−B阻害剤(セレギリン)[血圧上昇等が起こるおそれがある(セレギリンのMAO−B選択性が低下した場合、交感神経刺激作用が増強されると考えられる)]。
高齢者
異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。腎機能が低下していることが多く、血中濃度が上昇する場合がある〔16.6.3参照〕。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳婦
授乳中の女性には本剤投与中は授乳を避けさせること(塩酸プソイドエフェドリンでは、ヒト乳汁中へ移行することが報告されており、また、フェキソフェナジン塩酸塩では、動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている)。
小児等
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は12歳未満の小児に対する有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
臨床検査結果に及ぼす影響
フェキソフェナジン塩酸塩は、アレルゲン皮内反応を抑制するため、アレルゲン皮内反応検査を実施する3〜5日前から本剤の投与を中止すること。
過剰投与
13.1. 症状
〈フェキソフェナジン塩酸塩〉外国での過量投与症例として、高用量を服用した2例の報告があり、フェキソフェナジン塩酸塩1800mgを服用した症例では症状はなく、フェキソフェナジン塩酸塩3600mgを服用した症例では、めまい、眠気及び口渇がみられた。
〈塩酸プソイドエフェドリン〉交感神経刺激薬を大量に投与すると、めまい感、頭痛、悪心、嘔吐、発汗、口渇、頻脈、前胸部痛、動悸、高血圧、排尿困難、筋力低下及び筋緊張、不安、落ち着きのなさ、不眠症、妄想や幻覚を伴う中毒性精神病、不整脈、循環虚脱、痙攣、昏睡、呼吸不全がみられることもある(塩酸プソイドエフェドリンの排泄は、尿pHが低下すると増加する)。
13.2. 処置
〈フェキソフェナジン塩酸塩〉過量投与時、フェキソフェナジン塩酸塩は血液透析によって除去できない。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意
14.1.1. 患者に対し次の点に注意するよう指導すること。・ PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
・ 本剤は徐放層を含む錠剤であるため、噛んだり、砕いたりせず、水と一緒にそのまま服用すること。
・ 糞便中に、有効成分放出後の殻錠が排泄されることがある。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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有効成分 日局フェキソフェナジン塩酸塩30mg及び塩酸プソイドエフェドリン60mg(1錠中)
添加剤 カルナウバロウ、ステアリン酸、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、部分アルファー化デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、酸化チタン、マクロゴール4000、タルク、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄
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3.2 製剤の性状
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色調・剤形 うすいだいだい色フィルムコート錠
外形 <<図省略>> <<図省略>> <<図省略>>
大きさ 長径17.5mm、短径7.8mm
厚さ 6mm
質量 588mg
識別コード H◇
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薬効薬理
18.1 作用機序
18.1.1 フェキソフェナジン塩酸塩
選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を主作用とし、加えて炎症性サイトカイン産生抑制作用、好酸球遊走抑制作用及び各種ケミカルメディエーター遊離抑制作用を示す。
18.1.2 塩酸プソイドエフェドリン
α受容体を刺激し、鼻粘膜の血管平滑筋を収縮させ、血流を減少させることにより、鼻粘膜の充血や腫脹を軽減し、強い鼻閉改善効果を示す。
18.2 ヒスタミンH1受容体拮抗作用
フェキソフェナジン塩酸塩は、ヒスタミンH1受容体においてヒスタミンと拮抗し、モルモット摘出回腸標本及び気管標本におけるヒスタミン誘発収縮を抑制した(10の−7乗〜3×10の−6乗M)。また、全身投与でモルモット・ヒスタミン誘発気道収縮及び皮膚反応を抑制した。なお、フェキソフェナジン塩酸塩にはアドレナリン、アセチルコリン、セロトニン及びタキキニンの各受容体並びにL型カルシウムチャネルに対する親和性は認められていない。
18.3 I型アレルギー病態モデル動物に対する作用
フェキソフェナジン塩酸塩は、モルモット抗原誘発アレルギー性鼻炎、ラット受身皮膚アナフィラキシー(PCA)反応、ラット抗原誘発全身性アナフィラキシー反応及びモルモット抗原誘発即時型喘息反応を抑制した。
18.4 好酸球、炎症性サイトカイン及び細胞接着分子に対する作用
フェキソフェナジン塩酸塩は、季節性アレルギー性鼻炎患者由来鼻粘膜上皮細胞培養上清により誘発されるヒト好酸球の遊走を10の−6乗M以上で抑制した。また、季節性アレルギー性鼻炎患者由来鼻粘膜上皮細胞を活性化ヒト好酸球とともに培養したときに培養上清中に遊離される炎症性サイトカインであるIL‐8及びGM‐CSFをそれぞれ10の−6乗M以上及び10の−9乗M以上で抑制し、細胞接着分子であるsICAM‐1を10の−9乗M以上で減少させた。
18.5 ケミカルメディエーター遊離抑制作用
フェキソフェナジン塩酸塩は、健康成人の末梢血好塩基球及びアトピー性皮膚炎患者の末梢血白血球からの抗ヒトIgE抗体刺激によるヒスタミン遊離を抑制した(10の−6乗〜10の−5乗M)。また、モルモット抗原誘発即時型喘息モデルにおいて気管支肺胞洗浄液(BALF)中のロイコトリエン量を減少させた。
薬物動態
16.1 血中濃度
日本人健康成人男子28例に本剤2錠を反復経口投与したとき、血漿中フェキソフェナジン及びプソイドエフェドリンの血漿中濃度推移及びパラメータは次のとおりであった。
ディレグラ配合錠2錠又はフェキソフェナジン塩酸塩錠60mg1錠を1日2回5日間反復投与したときのフェキソフェナジンの血漿中濃度推移
<<図省略>>
血漿中フェキソフェナジン濃度パラメータ
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投与量 Cmax(ng/mL) AUC0−12(ng・hr/mL) tmax(hr) t1/2z(hr) CL/F(L/hr)
初回投与後
フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg1錠 207±92.5 1120±345 2.00(1.00−6.00) − −
ディレグラ配合錠2錠 315±126 1690±580 1.75(1.00−5.00) − −
1日2回5日間反復投与後
フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg1錠 286±133 1610±589 1.50(1.00−4.00) 15.3±10.7 41.7±13.7
ディレグラ配合錠2錠 328±148 1790±613 1.75(1.00−4.00) 18.4±8.58 37.6±12.9
平均値±標準偏差、tmaxは中央値(最小値−最大値)
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ディレグラ配合錠2錠を1日2回5日間反復投与したときのプソイドエフェドリンの血漿中濃度推移
<<図省略>>
血漿中プソイドエフェドリン濃度パラメータ
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投与量 Cmax(ng/mL) AUC0−12(ng・hr/mL) tmax(hr) t1/2z(hr) CL/F(L/hr)
初回投与後
ディレグラ配合錠2錠 251±34.7 2240±339 5.00(3.00−6.00) − −
1日2回5日間反復投与後
ディレグラ配合錠2錠 371±64.0 3500±655 5.00(2.50−6.02) 6.39±1.40 35.4±6.3
平均値±標準偏差、tmaxは中央値(最小値−最大値)
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16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
日本人健康成人男子に本剤2錠を単回経口投与したとき、絶食時に対する食後投与時の血漿中プソイドエフェドリンのCmax及びAUC0−72の幾何平均比の90%両側信頼区間はそれぞれ0.96〜1.10及び0.90〜1.00であったのに対し、血漿中フェキソフェナジンではそれぞれ0.29〜0.43及び0.33〜0.43であった。
16.2.2 バイオアベイラビリティ
クロスオーバー法により、日本人健康成人男子28例に本剤2錠又はフェキソフェナジン塩酸塩錠60mg1錠を1日2回5日間反復投与したときのフェキソフェナジンのバイオアベイラビリティは同様であった。
16.3 分布
健康成人33例にフェキソフェナジン塩酸塩40、200及び400mgを1日2回経口投与注1)したとき、投与後1時間及び12時間のフェキソフェナジンのin vivoにおける血漿蛋白との結合率は、13〜7359ng/mLの濃度範囲で60〜82%(69.4±5.9%)であった。
プソイドエフェドリンのin vivoにおける血漿蛋白との結合率は、0.2〜1.8μg/mLの濃度範囲で79.4±7.3%であった。
注1)成人におけるフェキソフェナジン塩酸塩の承認用量は1回60mg、1日2回である。
16.4 代謝
プソイドエフェドリンは、1%以下が肝臓でN‐脱メチル化され、活性代謝物のノルプソイドエフェドリンへと代謝されることが報告されている。
16.5 排泄
健康成人男子8例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル60mg注2)を単回経口投与したときの投与後48時間までの尿中フェキソフェナジンの平均累積回収率は11.1%であった。
健康成人男子に14C‐フェキソフェナジン塩酸塩溶液60mgを単回経口投与したとき、投与後11日までの尿及び糞中の回収率は91.5%で、放射能を示す分画のほとんどはフェキソフェナジンであり、糞中に約80%、尿中に約11.5%排泄された。プソイドエフェドリンは、投与後24時間以内に、投与量の43〜96%が未変化体として尿中に排泄される。消失半減期は、尿中pHが6未満で短縮し、8を超えると延長する可能性があることが報告されている(外国人データ)。[9.2参照]
注2)フェキソフェナジン塩酸塩カプセルとフェキソフェナジン塩酸塩錠60mgは生物学的に同等であった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
成人の腎機能障害患者29例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル80mg注1)を単回投与したとき、クレアチニンクリアランス41〜80mL/min及び11〜40mL/minの患者におけるフェキソフェナジンのCmaxは健康成人に比し、それぞれ1.5倍及び1.7倍高く、平均消失半減期はそれぞれ1.6倍及び1.8倍長かった。また、透析患者(クレアチニンクリアランス:10mL/min以下)におけるフェキソフェナジンのCmaxは健康成人に比し、1.5倍高く、平均消失半減期は1.4倍長かった。なお、忍容性は良好であった(外国人データ)。[9.2参照]
16.6.2 肝機能障害患者
成人の肝機能障害患者17例(アルコール性肝硬変10例、ウイルス肝炎5例、その他2例)にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル80mg注1)を単回投与したとき、肝機能障害患者におけるフェキソフェナジンの薬物動態は、被験者間の分散も大きく、肝障害の程度による体内動態の差はみられなかった。Child‐Pugh分類でB又はC1であった患者のフェキソフェナジンのAUC0−∞は2176ng・hr/mL、Cmaxは281ng/mL、t1/2は16.0hrであった。これらの値は健康若年者における値のそれぞれ1.2、1.1、1.2倍であった。なお、忍容性は良好であった(外国人データ)。
16.6.3 高齢者
65歳以上の健康高齢者20例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル80mg注1)を単回投与したときのフェキソフェナジンのAUC0−∞は2906ng・hr/mL、Cmaxは418ng/mL、t1/2は15.2hrであった。これらの値は健康若年者における値のそれぞれ1.6、1.6、1.1倍であった。なお、忍容性は良好であった(外国人データ)。[9.8参照]
16.7 薬物相互作用
外国人健康成人男子22例に、クロスオーバー法でフェキソフェナジン塩酸塩60mg錠、塩酸プソイドエフェドリン120mg錠(徐放剤)及び両剤を併用して反復経口投与したとき、定常状態下における、単独投与時に対する併用投与時のフェキソフェナジン及びプソイドエフェドリンの血漿中Cmax及びAUC0−12はほぼ同様であった(外国人データ)。
16.7.1 エリスロマイシン
健康成人男子18例にフェキソフェナジン塩酸塩円形錠1回120mg注1)、注3)1日2回とエリスロマイシン1回300mg1日4回7日間併用して反復経口投与したとき、血漿中フェキソフェナジンのCmaxはフェキソフェナジン塩酸塩単独投与時の約2倍に上昇した。一方、血漿中エリスロマイシン濃度には、併用による影響はなかった。この血漿中フェキソフェナジン濃度上昇の機序は動物試験から、P糖蛋白の阻害によるフェキソフェナジンのクリアランスの低下及び吸収率の増加に起因するものと推定された。[10.2、17.3.1参照]
注3)フェキソフェナジン塩酸塩円形錠とフェキソフェナジン塩酸塩錠60mgは生物学的に同等であった。
健康成人男子にフェキソフェナジン塩酸塩円形錠120mg1日2回とエリスロマイシン300mg1日4回7日間併用して反復経口投与したときのフェキソフェナジンの血漿中濃度
<<図省略>>
16.7.2 水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤
健康成人男子22例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル120mg注1)の投与15分前に水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤を単回投与したとき、フェキソフェナジンのAUC0−30及びCmaxはフェキソフェナジン塩酸塩単独投与時の約40%減少した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 ケトコナゾール
健康成人男子23例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル1回120mg注1)1日2回とケトコナゾール錠400mg1日1回7日間併用して反復経口投与したとき、血漿中フェキソフェナジン濃度はフェキソフェナジン塩酸塩単独投与時の約2倍に上昇したが、血漿中ケトコナゾール濃度には、併用による影響はなかった(外国人データ)。血漿中フェキソフェナジン濃度上昇の機序はエリスロマイシンと同様と推定された。
16.7.4 オメプラゾール
健康成人男子23例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル120mg注1)の投与11時間前と1時間前にオメプラゾールカプセルをそれぞれ40mg及び20mgを単回投与したとき、フェキソフェナジン塩酸塩の薬物動態に影響はなかった(外国人データ)。