特徴
慢性の胃腸症状、食欲不振、全身倦怠感など
専門医コメント
四君子湯に陳腐と半夏を加えた生薬となって
用法・用量
通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
効果・効能
胃腸の弱いもので、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 偽アルドステロン症(頻度不明):低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム貯留・体液貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと〔8.2、10.2参照〕。11.1.2. ミオパチー(頻度不明):低カリウム血症の結果としてミオパチーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、脱力感、四肢痙攣・四肢麻痺等の異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと〔8.2、10.2参照〕。
11.1.3. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいAl−P上昇、著しいγ−GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
その他の副作用
11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(頻度不明)発疹、蕁麻疹等。
2). 消化器:(頻度不明)悪心、腹部膨満感、下痢等。
重要な基本的な注意
8.1. 本剤の使用にあたっては、患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること。なお、経過を十分に観察し、症状・所見の改善が認められない場合には、継続投与を避けること。
8.2. 本剤にはカンゾウが含まれているので、血清カリウム値や血圧値等に十分留意すること〔10.2、11.1.1、11.1.2参照〕。8.3. 他の漢方製剤等を併用する場合は、含有生薬の重複に注意すること。(特定の背景を有する患者に関する注意)
相互作用
10.2. 併用注意:
カンゾウ含有製剤(芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散等)、グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤(グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・L−システイン、グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・DL−メチオニン配合錠等)〔8.2、11.1.1、11.1.2参照〕[偽アルドステロン症があらわれやすくなり、また、低カリウム血症の結果として、ミオパチーがあらわれやすくなる(グリチルリチン酸は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が促進されることが考えられる)]。
高齢者
減量するなど注意すること(一般に生理機能が低下している)。
妊婦・授妊婦
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
取扱い上の注意
20.1. 本剤の品質を保つため、できるだけ湿気を避け、直射日光の当たらない涼しい所に保管すること。
20.2. 開封後は特に湿気を避け、取扱いに注意すること。20.3. 本剤は生薬を原料としているので、色調等が異なることがある。
保管上の注意
室温保存。
組成・性状
3.1 組成
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販売名 ツムラ六君子湯エキス顆粒(医療用)
有効成分 本品7.5g中、次記の割合の混合生薬の乾燥エキス4.0gを含有する。
日局ソウジュツ・・・4.0g 日局タイソウ・・・2.0g
日局ニンジン・・・4.0g 日局チンピ・・・2.0g
日局ハンゲ・・・4.0g 日局カンゾウ・・・1.0g
日局ブクリョウ・・・4.0g 日局ショウキョウ・・・0.5g
添加剤 日局ステアリン酸マグネシウム、日局乳糖水和物、ショ糖脂肪酸エステル
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3.2 製剤の性状
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剤形 顆粒剤
色 淡灰褐色
におい 特異なにおい
味 甘い
識別コード ツムラ/43
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薬効薬理
18.1 作用機序
18.1.1 胃適応性弛緩に対する作用
モルモット摘出胃で増強した内圧依存性の胃適応性弛緩は、NO合成酵素阻害剤であるNG‐nitro L‐arginineにより消失したが、本剤の添加により再出現した(in vitro)。
18.1.2 胃粘膜障害に対する作用
(1)ラットに経口前投与したところ、インドメタシンあるいは胃動脈の反復電気刺激によるミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性上昇が抑制された。
(2)ラットに経口前投与したところ、インドメタシンによる胃底腺下部の白血球浸潤並びに胃動脈の反復電気刺激による胃粘膜内のPAF産生量増加及び白血球数減少が抑制された。
(3)ラットに経口投与したところ、compound 48/80による胃粘膜組織の過酸化脂質量増加、Se含有グルタチオンペルオキシダーゼ活性低下及びMPO活性上昇がそれぞれ抑制された。
(4)ラットに経口前投与したところ、エタノールによる胃体部深層粘膜の粘液量減少が抑制され、胃表層粘液量が増加した。
18.1.3 活性酸素消去作用
ラット胃粘膜において、スーパーオキサイドアニオン、ヒドロキシラジカル消去活性を示し、MPO活性を阻害した(in vitro)。
18.1.4 食欲増進に対する作用
(1)SSRIを処置し消化管運動障害を惹起したラットに経口投与したところ、5HT2C受容体拮抗作用を介したグレリン分泌促進作用により、摂餌量低下、消化管運動低下及び胃排出遅延が改善された。
(2)シスプラチン誘発食欲低下モデルラットに経口投与したところ、グレリンの血中濃度低下を改善し、摂餌量の低下の抑制が認められた。摂餌量の改善効果は、グレリン受容体拮抗剤(D‐Lys3)‐GHRP‐6の併用投与で消失した。
18.2 消化管運動亢進作用
18.2.1 食欲不振等を有する胃排出能遅延慢性胃炎患者(n=7)に投与したところ、2、4週後の胃排出能が改善した(アセトアミノフェン法)。
18.2.2 イヌに経口投与したところ、空腹期強収縮運動(IMC)の発現周期及び全小腸伝播時間(TET)が短縮した。
18.3 胃適応性弛緩に対する作用
モルモット摘出胃のコリン作動性及びアドレナリン作動性神経を遮断した系において、内圧依存性の胃適応性弛緩を増強した(in vitro)。
18.4 胃粘膜障害に対する作用
18.4.1 ラットに経口投与したところ、compound 48/80による胃粘膜病変の形成が抑制された。
18.4.2 ラットに経口前投与したところ、インドメタシン及び胃動脈の反復電気刺激による胃粘膜病変の形成が抑制され、アドリアマイシンによる胃粘膜の壁細胞障害が抑制された。
18.5 胃粘膜血流低下抑制作用
ラットに経口前投与したところ、胃動脈の反復電気刺激による胃粘膜血流低下が抑制された。
18.6 食欲増進に対する作用
新奇環境変化ストレスモデルマウス、シスプラチン誘発食欲低下モデルラット及び加齢マウスに経口投与したところ、摂餌量低下が抑制された。