Antaa DI

drug

バリキサドライシロップ5000mg

バルガンシクロビル塩酸塩シロップ用

抗サイトメガロウイルス薬 >>

特徴

  • VGCV。DNAポリメラーゼ阻害薬(内用

専門医コメント

サイトメガロウイルス感染症・再活性化に対

用法・用量

〈サイトメガロウイルス感染症〉

初期治療

通常、成人にはバルガンシクロビルとして1回900mgを1日2回、食後に経口投与する。

維持治療

通常、成人にはバルガンシクロビルとして1回900mgを1日1回、食後に経口投与する。

〈臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制〉通常、成人にはバルガンシクロビルとして1回900mgを1日1回、食後に経口投与する。

通常、小児にはバルガンシクロビルとして次式により算出した投与量を1日1回、食後に経口投与する。ただし、1日用量として900mgを超えないこと。推定糸球体ろ過量が150より高値の場合は150を用いること。

投与量(mg)=7×体表面積(u)×推定糸球体ろ過量(mL/min/1.73u)。

〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉

通常、新生児及び乳児にはバルガンシクロビルとして1回16mg/kgを1日2回、経口投与する。

禁忌

2.1. 好中球数500/mm3未満又は血小板数25000/mm3未満等、著しい骨髄抑制が認められる患者[本剤の投与により重篤な好中球減少及び重篤な血小板減少が認められている]〔7.1、8.3、11.1.1、11.1.2参照〕。2.2. バルガンシクロビル、ガンシクロビル又は本剤の成分、バルガンシクロビル、ガンシクロビルと化学構造が類似する化合物(アシクロビル、バラシクロビル等)に対する過敏症の既往歴のある患者。

2.3. マリバビル投与中の患者〔10.1参照〕。

2.4. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。

用法・用量に関連する注意

7.1. 〈効能共通〉本剤投与中、好中球減少<500/mm3未満>、血小板減少<25000/mm3未満>又はヘモグロビン減少<8g/dL未満>等、著しい骨髄抑制が認められた場合は、骨髄機能が回復するまで休薬すること。これより軽度の好中球減少<500〜1000/mm3>及び血小板減少<25000〜50000/mm3>の場合は減量すること〔1.1、2.1、8.3、11.1.1参照〕。7.2. 〈効能共通〉腎障害のある患者、腎機能低下している患者では、消失半減期が延長されるので、本剤投与にあたっては血清クレアチニン及びクレアチニンクリアランスに注意すること(参考までに、投与量の調整に関し、成人における外国での標準的な本剤の減量の目安を次に示す)〔9.2腎機能障害患者、9.7.4、9.8高齢者の項、16.6.1参照〕:1)クレアチニンクリアランス≧60mL/min;初期治療1回900mgを1日2回、維持治療、発症抑制1回900mgを1日1回、2)クレアチニンクリアランス40〜59mL/min;初期治療1回450mgを1日2回、維持治療、発症抑制1回450mgを1日1回、3)クレアチニンクリアランス25〜39mL/min;初期治療1回450mgを1日1回、維持治療、発症抑制1回225mgを1日1回、4)クレアチニンクリアランス10〜24mL/min;初期治療1回225mgを1日1回、維持治療、発症抑制1回125mgを1日1回、5)クレアチニンクリアランス<10mL/min;初期治療1回200mgを週3回透析後、維持治療、発症抑制1回100mgを週3回透析後。

推定クレアチニンクリアランスは血清クレアチニン値を用い次の式で算出すること。男性の場合=[(140−年齢[年])×(体重[kg])]÷[(72)×(血清クレアチニン値[mg/dL])]。

女性の場合=0.85×男性の値。

7.3. 〈サイトメガロウイルス感染症〉初期治療について、21日間を超える本剤投与の有効性及び安全性に関する情報は得られていないので、21日間を超える投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみに限ること〔17.1.1参照〕。7.4. 〈サイトメガロウイルス感染症〉サイトメガロウイルス血症の陰性化を確認した場合には、初期治療を終了すること。

7.5. 〈サイトメガロウイルス感染症〉維持治療は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ行い、不必要な長期投与は避けること。7.6. 〈サイトメガロウイルス感染症〉維持治療中に症状が悪化した場合は、初期治療に戻る等考慮すること。

7.7. 〈臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制〉移植後早期より投与を開始し、腎移植患者では200日まで、腎臓以外の臓器移植患者では100日までの投与を目安とすること。

7.8. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉投与期間が6ヵ月を超えた場合の有効性及び安全性に関する情報は得られていないので、非臨床試験において発がん性が報告されている点を考慮し、本剤の投与期間は6ヵ月を目安とすること〔15.2.1、15.2.2、17.1.3参照〕。

腎機能用量

[サイトメガロウイルス感染症]

40≦CCr<60:初期治療 [錠・DS]1回450mgを1日2回, 維持治療:[錠・DS]1回450mgを1日1回

25≦CCr<40:初期治療 [錠・DS]1回450mgを1日1回, 維持治療:[錠]1回450mgを2日に1回 [DS]1回225mgを1日1回

10≦CCr<25:初期治療 [錠]1回450mgを2日に1回 [DS]1回225mgを1日1回, 維持治療 [錠]1回450mgを週に2回 [DS] 1回125mgを1日1回

CCr<10・透析:[錠]1回450mg以下の設定になるため使用しない(DS,ガンシクロビル製剤の静注を考慮)[DS]初期治療:1回200mgを週3回血液透析後。維持治療:1回100mgを週3回血液透析後

[臓器移植におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制]

40≦CCr<60:[錠・DS]1回450mgを1日1回

25≦CCr<40:[錠]1回450mgを2日に1回 [DS]1回225mgを1日1回

10≦CCr<25:[錠]1回450mgを週に2回 [DS]1回125mgを1日1回

CCr<10・透析:1回100mgを週3回、血液透析後

適応

悪性腫瘍・後天性免疫不全症候群・臓器移植(造血幹細胞移植含む)におけるサイトメガロウイルス感染症、臓器移植(造血幹細胞移植除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制

効果・効能

1). 次記におけるサイトメガロウイルス感染症:@後天性免疫不全症候群、A臓器移植(造血幹細胞移植も含む)、B悪性腫瘍。

2). 臓器移植<造血幹細胞移植を除く>におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制。

3). 症候性先天性サイトメガロウイルス感染症。

効果・効能に関連する注意

5.1. 〈効能共通〉消化管障害等が合併した患者に本剤を投与する際には、吸収が低下するおそれがあるため、本剤の使用の適否については十分検討すること。5.2. 〈サイトメガロウイルス感染症〉本剤の投与による重篤な副作用が報告されているので、サイトメガロウイルス感染が確認された患者において、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

5.3. 〈サイトメガロウイルス感染症〉後天性免疫不全症候群患者においては、ヘモグロビン濃度8g/dL未満の患者における本剤投与の有効性及び安全性に関する情報は得られていないことから、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を行うこと。

5.4. 〈臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制〉本剤の投与による重篤な副作用が報告されているので、発症リスクの高い患者(サイトメガロウイルス抗体ドナー陽性かつレシピエント陰性等)において治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。5.5. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉本剤の投与による重篤な副作用が報告されているので、神経学的後遺症リスクの高い中枢神経病変(難聴や網脈絡膜炎を含む)や治療が必要な臨床検査値異常等を有する患者にのみ投与すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 白血球減少(6.4%)、骨髄抑制、汎血球減少、再生不良性貧血、好中球減少、貧血、血小板減少(いずれも5%未満):投与中に重篤な白血球減少、重篤な好中球減少、重篤な貧血、重篤な血小板減少を伴う場合には、造血促進因子を投与するか又は本剤の投与を中止すること〔1.1、2.1、7.1、8.3、9.1.1、9.1.2参照〕。

11.1.2. 血小板減少に伴う重篤な出血(消化管出血を含む)(5%未満)〔1.1、2.1、8.3、9.1.2参照〕。

11.1.3. 腎不全(頻度不明)〔8.4参照〕。

11.1.4. 膵炎(5%未満)。

11.1.5. 深在性血栓性静脈炎(頻度不明)。

11.1.6. 痙攣、精神病性障害、幻覚、錯乱、激越(いずれも5%未満)、昏睡(頻度不明)。

11.1.7. 敗血症等の骨髄障害及び免疫系障害に関連する感染症(5%未満)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 血液:(頻度不明)低色素性貧血、好酸球増多、白血球増加症、リンパ節症(lymphadenopathy)、脾腫。

2). 全身症状:(5%未満)発熱、浮腫、(頻度不明)悪寒、疲労、無力症、倦怠感、脱水、悪液質、下肢浮腫、疼痛、粘膜障害、胸痛、腹水、腹部腫脹。3). 循環器:(頻度不明)不整脈、高血圧、低血圧、片頭痛、静脈炎、頻脈、血管拡張。

4). 呼吸器:(5%未満)咳嗽、(頻度不明)湿性咳嗽、鼻咽頭炎、上気道感染、呼吸困難、肺炎、気管支炎、ニューモシスティスカリニ肺炎、胸水、副鼻腔うっ血。5). 過敏症:(5%未満)発疹、そう痒、(頻度不明)光線過敏性反応、蕁麻疹。6). 消化器:(5%未満)下痢、悪心、嘔吐、上腹部痛、(頻度不明)腹痛、口腔カンジダ症、アフタ性口内炎、潰瘍性口内炎、嚥下障害、舌障害、食道炎、食欲不振、食欲減退、おくび、消化不良、口渇、胃炎、胃腸障害、腹部膨満、鼓腸放屁、便秘、便失禁。7). 精神神経系:(頻度不明)頭痛、不眠症、眩暈、神経障害、異夢、傾眠、鎮静、思考異常、異常感覚、健忘症、緊張亢進、歩行異常、不安、多幸症、情緒不安、運動失調、運動過多、振戦、せん妄、性欲減退、ミオクロヌス、躁病反応、うつ病、神経質、精神病。

8). 皮膚:(頻度不明)皮膚炎、寝汗、脱毛、皮膚乾燥、斑状丘疹、ざ瘡、発汗、剥脱性皮膚炎。

9). 腎臓:(頻度不明)頻尿、尿路感染、血尿。

10). 肝臓:(5%未満)AST上昇・ALT上昇・ALP上昇・LDH上昇等の肝機能障害、黄疸、(頻度不明)肝炎、胆管炎。

11). 筋・骨格系:(5%未満)CK上昇、(頻度不明)関節痛、両下肢痙直、筋肉痛、筋無力症、背痛、骨痛。

12). 感覚器:(5%未満)副鼻腔炎、(頻度不明)弱視、網膜剥離、網膜炎、失明、眼痛、結膜炎、緑内障、霧視、眼出血、視覚障害、硝子体混濁、味覚倒錯、耳痛、耳鳴、難聴。

13). その他:(5%未満)糖尿病、(頻度不明)体重減少、インポテンス、高血糖、低血糖、乳房痛、低カルシウム血症、低カリウム血症、低蛋白血症、低ナトリウム血症、血中マグネシウム減少、蜂巣炎。

副作用の発現頻度は、有害事象に基づく発現頻度及び製造販売後調査の結果を含む。頻度不明の副作用は、本剤の外国の安全性情報又はガンシクロビル点滴静注製剤の国内の安全性情報に基づく(いずれの安全性情報も有害事象及び製造販売後調査の結果を含む)。

警告

1.1. 本剤及び本剤の活性代謝物であるガンシクロビルの投与により、重篤な白血球減少、重篤な好中球減少、重篤な貧血、重篤な血小板減少、重篤な汎血球減少、重篤な再生不良性貧血及び重篤な骨髄抑制があらわれるので、頻回に血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること〔7.1、8.3、9.1.1、9.1.2、11.1.1、11.1.2参照〕。

1.2. 本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験において、一時的精子形成機能障害又は不可逆的精子形成機能障害を起こすこと及び妊孕性低下が報告されていること、また、ヒトにおいて精子形成機能障害を起こすおそれがあることを患者に説明し慎重に投与すること〔15.1、15.2.3参照〕。

1.3. 本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験において、催奇形性、遺伝毒性及び発がん性のあることが報告されているので、本剤も催奇形性、遺伝毒性及び発がん性の作用があると考えられることを患者に説明し慎重に投与すること〔9.4.1、9.4.2、9.5妊婦、9.6授乳婦の項、9.7.1、15.2.1、15.2.2参照〕。

重要な基本的な注意

8.1. 〈効能共通〉本剤の投与による重篤な副作用が報告されていること及び本剤がサイトメガロウイルス感染症を完治させる薬剤でないことを念頭におき、本剤の使用にあたっては患者の精神面も含めて治療の要否を慎重に考えること。また、重大な副作用が発現するおそれのあること及びその内容を患者によく説明し同意を得た後投与すること。8.2. 〈効能共通〉本剤は、吸収後、速やかに活性代謝物のガンシクロビルに変換される。本剤を投与する場合には、ガンシクロビル点滴静注製剤よりもAUCが高くなることがあるので、ガンシクロビル点滴静注製剤から本剤に変更する場合は、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること〔16.1.2参照〕。

8.3. 〈効能共通〉本剤の投与中は、血球数、血小板数等の血液学的検査を行うこと〔1.1、2.1、7.1、9.1.1、9.1.2、11.1.1、11.1.2参照〕。

8.4. 〈効能共通〉本剤の活性代謝物であるガンシクロビルの投与により腎不全が発現することが報告されているので、血清クレアチニン及びクレアチニンクリアランスを慎重に観察すること〔11.1.3参照〕。

8.5. 〈効能共通〉本剤及び本剤の活性代謝物であるガンシクロビルの投与により痙攣、鎮静、めまい、運動失調、錯乱が報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の運転、危険を伴う機械の操作等に従事させないこと。

8.6. 〈サイトメガロウイルス感染症〉サイトメガロウイルス網膜炎の投与期間については、国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を参考にすること。8.7. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉本剤を使用する際には、国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を参考にすること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

9.1.1. 薬剤等による白血球減少の既往歴のある患者:本剤の投与により重篤な好中球減少が認められている〔1.1、8.3、11.1.1参照〕。9.1.2. 血小板減少<25000/mm3以上100000/mm3未満>のある患者:本剤の投与により重篤な血小板減少が認められている〔1.1、8.3、11.1.1、11.1.2参照〕。

9.1.3. 精神病、思考異常の既往歴のある患者、薬剤による精神病反応又は薬剤による神経毒性を呈したことのある患者:精神神経系障害を悪化させるおそれがある。(腎機能障害患者)

腎機能障害患者:ガンシクロビルの血中半減期の延長とクリアランスの低下の報告がある〔7.2、9.7.4、16.6.1参照〕。

肝機能障害患者

肝機能障害患者:肝機能障害を悪化させるおそれがある。

生殖能を有する者

9.4.1. 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性が使用する場合、投与期間中は有効な避妊を行うよう指導すること〔1.3、9.5妊婦の項、15.2.1参照〕。

9.4.2. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性が使用する場合、投与期間中及び投与後90日間は有効な避妊を行うよう指導すること(本剤の活性代謝物であるガンシクロビルで、マウスを用いた小核試験等において遺伝毒性が認められている)〔1.3、15.2.1参照〕。

相互作用

10.1. 併用禁忌:

マリバビル<リブテンシティ>〔2.3参照〕[併用により、本剤の抗ウイルス作用が阻害されるおそれがある(マリバビルは、本剤の活性化又はリン酸化に必要なウイルス由来のUL97を阻害する)]。

10.2. 併用注意:

1). ジドブジン[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用によりジドブジンのAUCが17%増加したとの報告があり、また、併用により有意ではないがガンシクロビルの血漿中濃度の低下傾向がみられたとの報告があり、ガンシクロビル及びジドブジンはいずれも好中球減少、貧血の原因となる可能性があるので、併用する場合は本剤又はジドブジンを減量すること(相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させる)]。2). ジダノシン[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用によりジダノシンの血漿中濃度が上昇したとの報告がある(ガンシクロビル3g/日の経口投与でジダノシンのAUCが84%増加、ガンシクロビル6g/日の経口投与でジダノシンのAUCが124%増加、ガンシクロビル5mg/kg/日の静脈内投与でAUCが38%増加、ガンシクロビル10mg/kg/日の静脈内投与でAUCが67%増加)、併用により、本剤の活性代謝物のガンシクロビルの血漿中濃度が臨床的に有意に増加したとの報告はないが、併用する場合はジダノシンの毒性を注意深く観察すること(生物学的利用率の増加もしくは代謝の遅延が考えられる)]。

3). イミペネム・シラスタチンナトリウム[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用により痙攣が報告されている(機序は不明である)]。4). 骨髄抑制作用のある薬剤及び腎機能障害作用のある薬剤(ジアフェニルスルホン、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩、ヒドロキシカルバミド、フルシトシン、アムホテリシンB、ペンタミジンイセチオン酸塩、核酸誘導体等)[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用により毒性が増強するおそれがある(相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させることが考えられる)]。5). スルファメトキサゾール・トリメトプリム[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとトリメトプリムの併用により、ガンシクロビルの腎クリアランスが16%低下し血漿中消失半減期が15%延長したとの報告がある(しかし、ガンシクロビルのAUC及びCmaxに影響はなく臨床的に有意な変化とは考えられなかった)、また、トリメトプリムのCminが12%上昇したとの報告がある(機序は不明である)]。6). シクロスポリン[シクロスポリンの薬物動態に影響を与えたとの報告はないが、本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用により血清クレアチニン濃度が上昇するとの報告がある(機序は不明である)]。

7). プロベネシド[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用により、ガンシクロビルの腎クリアランスが20%低下しその結果曝露量が40%上昇したとの報告がある(腎尿細管での分泌が競合する)]。

8). ミコフェノール酸 モフェチル[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用によりガンシクロビルの血漿中濃度が上昇及びミコフェノール酸 モフェチルの代謝物のグルクロン酸抱合体血漿中濃度が上昇するおそれがあるが、ミコフェノール酸 モフェチルの活性代謝物の薬物動態に実質的な変化はないと考えられ、腎機能障害患者に、ミコフェノール酸 モフェチルと本剤(腎機能障害患者への推奨量)を併用する場合は、患者の症状に注意し慎重に投与すること(腎尿細管での分泌が競合する)]。9). 免疫抑制剤(プレドニゾロン、タクロリムス)[本剤との併用により、重篤な血小板減少が報告されている(相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させることが考えられる)]。

高齢者

腎機能障害例への投与を参考にし、用量を調節するなど、慎重に投与すること(本剤は、主として腎臓から排泄されるが、腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある)〔7.2参照〕。

妊婦・授妊婦

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験(ウサギ、静脈内投与)で、妊孕性低下、催奇形性(外形異常等)及び遺伝毒性があることが報告されている)〔1.3、2.4、9.4.1、15.2.1、15.2.4参照〕。

授乳婦

投与期間中は授乳しないことが望ましい(本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験(ラット)において、乳汁への移行が認められており、また、ガンシクロビルは動物実験(マウス)において発がん性が認められている)〔1.3、15.2.2参照〕。

小児等

9.7.1. 〈効能共通〉長期投与による発がん性及び生殖毒性の可能性があることを慎重に考慮し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること〔1.3、15.2.1、15.2.2参照〕。

9.7.2. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症以外の効能〉症候性先天性サイトメガロウイルス感染症以外の低出生体重児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.7.3. 〈サイトメガロウイルス感染症の発症抑制〉小児等のサイトメガロウイルス感染症の発症抑制の場合、副作用の発現状況等を考慮し、必要に応じて投与量を調節すること。

9.7.4. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉症候性先天性サイトメガロウイルス感染症で腎機能障害を有する小児等患者には、本剤投与の適否を十分に検討の上、本剤を使用する場合には、頻回に血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること(本剤は、主として腎臓から排泄されるため、これらの患者では、腎機能が正常な患者に比べて血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある)〔7.2、9.2腎機能障害患者の項、16.6.1参照〕。

過剰投与

13.1. 症状

推奨用量の少なくとも10倍以上の用量を数日間投与された腎障害(クレアチニンクリアランス低下)のある患者で、致命的骨髄抑制(骨髄無形成)がみられた例がある。また、本剤を過量投与した場合、腎毒性が増強される可能性がある。13.2. 処置

過量投与時、血中濃度を下げるために血液透析及び水分補給を行うことが勧められる。

適用上の注意

14.1. 薬剤調製時の注意

14.1.2. 本剤は催奇形性及び発がん性のおそれがあるので、皮膚や粘膜に直接触れないようにし、もし、触れた場合は石鹸と水で十分に洗浄し、眼に入った場合も水で十分に洗浄すること。

14.1.3. 溶液を調製してから患者へ交付すること。14.1.4. 溶液を調製する際は、キャップを外した後、91mLの精製水を瓶に添加し、キャップで施栓する。瓶内の粉末が溶解するまで、よく振り混ぜる。14.2. 薬剤交付時の注意

14.2.1. 患者又は保護者等に対し次の点に注意するよう指導すること。・ 本剤は催奇形性及び発がん性のおそれがあるので、皮膚や粘膜に直接触れないようにし、もし、触れた場合は石鹸と水で十分に洗浄し、眼に入った場合も水で十分に洗浄すること。

・ 調製した溶液は、凍結を避けて冷蔵庫(2〜8℃)に保存し、調製後49日以内に使用すること。

取扱い上の注意

20.1. 容器のキャップの開け方

キャップを瓶本体に強く押しつけたまま(カチカチ音がしない状態まで)左に回して開けること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

海外で実施された非無作為化非盲検の市販後臨床試験において、サイトメガロウイルス感染症の発症抑制のためバルガンシクロビルを最長200日間投与された成人の腎移植患者(24例)では、非投与患者(14例)と比較して、精子濃度低下したとの報告がある(ただし、バルガンシクロビル投与終了6ヵ月後には、バルガンシクロビル投与患者(20例)の精子濃度は非投与患者(10例)と同程度まで回復した)〔1.2、15.2.3参照〕。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

15.2.1. 遺伝毒性:バルガンシクロビル及びその活性代謝物であるガンシクロビルにはマウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験及びマウスを用いた小核試験で遺伝毒性が認められ、さらにガンシクロビルにはヒト細胞を用いた姉妹染色体交換試験で遺伝毒性が認められた。これらの結果は、マウスを用いた試験でガンシクロビルにがん原性が認められたことと符合する。バルガンシクロビルもがん原性があると考えられる〔1.3、7.8、9.4.1、9.4.2、9.5妊婦の項、9.7.1参照〕。15.2.2. がん原性:バルガンシクロビルの活性代謝物であるガンシクロビルで、マウスに18ヵ月経口投与したがん原性試験において、20mg/kg/日以上の投与量で雄の包皮腺腫瘍及びハーダー腺腫瘍、雌の生殖器腫瘍及び肝臓腫瘍、雌雄の前胃腫瘍等の腫瘍の発生が増加したとの報告がある〔1.3、7.8、9.6授乳婦の項、9.7.1参照〕。

15.2.3. 精子形成能:動物実験(マウス、ラット、イヌ)において、バルガンシクロビルの活性代謝物であるガンシクロビルは治療濃度域以下の曝露で精子形成機能障害を起こすことが認められているため、バルガンシクロビルにおいても精子形成機能障害が考えられる〔1.2、15.1参照〕。

15.2.4. 胎盤通過性:ex vivoヒト胎盤モデルにおいてバルガンシクロビルの活性代謝物であるガンシクロビルは胎盤透過することが報告されている。ガンシクロビル濃度が1〜10μg/mLにおいて、ガンシクロビルの透過に飽和が認められなかったことから、胎盤通過のメカニズムは主として単純拡散によるものと考えられる〔9.5妊婦の項参照〕。

15.2.5. ヒト骨髄細胞の増殖に対する作用:バルガンシクロビルの活性代謝物であるガンシクロビルのヒト骨髄細胞の増殖に対する作用をin vitroで検討した結果、ガンシクロビルの骨髄毒性は10μmol/L以上であらわれており、アシクロビル(ID50≧100μmol/L)より強く、ビダラビン、トリフロロチミジン(ID50=1〜10μmol/L)より弱かった。

保管上の注意

室温保存。

組成・性状

3.1 組成

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販売名 バリキサドライシロップ5000mg

有効成分 1瓶、12.0g中 バルガンシクロビル塩酸塩5.51g

(1瓶、12.0g中 バルガンシクロビルとして5.00g)

添加剤 D‐マンニトール、フマル酸、ポビドン、安息香酸ナトリウム、サッカリンナトリウム水和物、マルトデキストリン、プロピレングリコール、アラビアゴム末、香料

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3.2 製剤の性状

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販売名 バリキサドライシロップ5000mg

性状・剤形 白色〜微黄色の粉末

1瓶(12.0g)に精製水91mLを加えて調製した溶液は次のとおり

溶液 性状 無色〜黄赤色の澄明な液

濃度 バルガンシクロビル

50.0mg/mL

液量(1瓶中) 100mL

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薬効薬理

18.1 作用機序

バルガンシクロビルは、ガンシクロビルのL‐バリンエステル(プロドラッグ)であり、経口投与されたのち、腸管及び肝臓のエステラーゼにより速やかにガンシクロビルに変換される。プロドラッグ化により経口吸収性が大幅に改善され、高いAUCが得られる。ガンシクロビルはサイトメガロウイルス感染細胞内においてウイルス由来のプロテインキナーゼ(UL97)にリン酸化されてガンシクロビル一リン酸になり、さらにウイルス感染細胞に存在するプロテインキナーゼにリン酸化されて活性型のガンシクロビル三リン酸になる。ガンシクロビル三リン酸はウイルスDNAポリメラーゼの基質であるデオキシグアノシン三リン酸(dGTP)の取り込みを競合的に阻害し、ガンシクロビル三リン酸がDNAに取り込まれ、ウイルスDNAの延長を停止又は制限することによってDNA鎖の複製を阻害する。

18.2 抗ウイルス作用

18.2.1 ヒトサイトメガロウイルスの標準株(AD169、Towne、Major、BT1943、Davis)に対するin vitroにおけるガンシクロビルのIC50値は、0.4〜7.0μmol/Lであった。また、臨床分離株(後天性免疫不全症候群、ヒトサイトメガロウイルス単核症及び腎移植患者等からの分離株)に対するin vitroでのガンシクロビルのIC50値は、0.08〜14μmol/Lであった。

18.2.2 マウスにマウスサイトメガロウイルスを接種し、感染後6時間目より、1〜50mg/kgを1日2回、5日間皮下投与した実験では、ガンシクロビル投与群の生存率は25mg/kg以上の用量で75%以上であったが、対照(生理食塩液)群では10%であった。

18.3 薬剤耐性

免疫機能の低下した患者に発症したサイトメガロウイルス感染症の治療のためにバルガンシクロビルを長期投与した場合、ガンシクロビルに対する耐性ウイルスが検出される場合がある。耐性ウイルスには、ガンシクロビルのモノリン酸化に関与するウイルスキナーゼ(UL97)遺伝子又はウイルスDNAポリメラーゼ(UL54)遺伝子の変異がみられる。UL97遺伝子が変異したウイルスは、ガンシクロビルに対してのみ耐性を示し、一方、UL54遺伝子が変異したウイルスは、類似の作用機序を持つ他の抗ウイルス剤にも交差耐性を示す。

サイトメガロウイルス網膜炎と診断されたAIDS患者にバルガンシクロビルが投与され、148例の患者から分離した多形核白血球について、サイトメガロウイルスの遺伝子型変異解析を実施した結果、3、6、12、18ヵ月後のUL97耐性変異体の発現率は、それぞれ2.2%、6.5%、12.8%及び15.3%であった。

固形臓器移植患者に移植後10日以内から100日までバルガンシクロビルが経口投与され、移植後100日目に採血できた198例の血液サンプルから分離した多形核白血球について、遺伝子型変異解析を実施した結果、UL97耐性変異体は検出されなかった。また、移植後12ヵ月までにサイトメガロウイルス感染症が疑われた患者55名についても、UL97耐性変異体は検出されなかった。

薬物動態

16.1 血中濃度

16.1.1 サイトメガロウイルス網膜炎を発症している後天性免疫不全症候群(エイズ)患者における成績

バルガンシクロビルを初期治療期間(1回900mg、1日2回)または維持治療期間(1回900mg、1日1回)に反復経口投与した時の血漿中バルガンシクロビル濃度は低く、速やかにガンシクロビルに代謝された。

(◆:バルガンシクロビル、●:ガンシクロビル)

<<図省略>>

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薬物動態パラメータ

\                 初期治療期間            維持治療期間

投与量               1回900mg1日2回       1回900mg1日1回

測定対象              バルガンシクロビル ガンシクロビル バルガンシクロビル    ガンシクロビル

AUC0−6h(μg・h/mL)  0.492※※   32.3※※  0.427±0.0981 19.9±6.41

AUC0−24h(μg・h/mL) −         −       0.494※※      31.2±18.5

Cmax(μg/mL)       0.261※※   8.06※※  0.281±0.0717 6.03±2.31

消失半減期(h)          −         2.73※   −            2.95±0.438

−:算出せず

※:n=1、※※:平均値(n=2)、その他は平均値±標準偏差(n=6)で示す。

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16.1.2 臓器移植患者における成績

移植(造血幹細胞、肝、腎移植)後サイトメガロウイルス感染及び感染症患者に1日1回、バルガンシクロビルを反復経口投与した時の血漿中バルガンシクロビルはほとんど検出されず、速やかに活性代謝物であるガンシクロビルに代謝された。バルガンシクロビルを経口投与した時の血漿中ガンシクロビルのCmaxはガンシクロビルを静脈内投与した時のCmaxより小さかったが、AUC0−24hはガンシクロビル静脈内投与時の1.6倍であった。[8.2参照]

移植後CMV感染及び感染症患者に1日1回、バルガンシクロビル(900mg)を反復経口投与又はガンシクロビル(5mg/kg)を反復静脈内投与した時の血漿中バルガンシクロビル及びガンシクロビル濃度推移(推定クレアチニンクリアランスによる補正のため投与量を450mg(バルガンシクロビル)と2.5mg/kg(ガンシクロビル)に調整した腎移植患者を含む)

<<図省略>>

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薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)

\                 バルガンシクロビル経口投与         ガンシクロビル静脈内投与

                  バルガンシクロビル   ガンシクロビル   ガンシクロビル

投与量               900(又は450)mg1日1回      5(又は2.5)mg/kg1日1回

AUC0−24h(μg・h/mL) 0.520±0.258 51.1±18.4 32.4±11.5

Cmax(μg/mL)       0.206±0.121 6.74±2.58 7.17±2.75

生物学的利用率(%)        −           69±14     −

消失半減期(h)          −           5.13±1.12 5.16±1.31

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16.1.3 HIV及びサイトメガロウイルス陽性患者及び健康成人における成績

バルガンシクロビル900mgを経口投与した時、血漿中バルガンシクロビル濃度は低く、そのAUC0−24h及びCmaxは血漿中ガンシクロビルの値のそれぞれ約1%及び約3%であった。バルガンシクロビル900mgを経口投与した時の血漿中ガンシクロビルのAUC0−24hはガンシクロビル5mg/kgを静脈内投与した時のAUC0−24hと同程度であったが、Cmaxはガンシクロビル5mg/kgを静脈内投与時の約60%であった(外国人のデータ)。

CMV網膜炎を発症しているHIV/CMV陽性患者にバルガンシクロビルを反復経口投与又はガンシクロビルを反復静脈内投与した時の血漿中濃度推移

<<図省略>>

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ガンシクロビルの薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)

\                  バルガンシクロビル経口投与 ガンシクロビル静脈内投与

投与量                900mg1日1回食後   5mg/kg1日1回

AUC0−24h(μg・h/mL)  29.1±9.7      26.5±5.9

Cmax(μg/mL)        5.61±1.52     9.46±2.02

生物学的利用率(%)         59.4±6.1      −

消失半減期(h)           4.08±0.76     3.81±0.71

腎クリアランス(mL/min/kg) 3.21±0.75     2.99±0.67

健康成人、HIV陽性患者、CMV網膜炎を発症しているHIV/CMV陽性患者及びCMV網膜炎を発症していないHIV/CMV陽性患者に単回又は反復投与した時の薬物動態パラメータ(複数試験結果)

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16.1.4 腎移植患者を対象とした成績

バリキサドライシロップ5000mg又は同錠450mgをバルガンシクロビルとして900mg、1日1回2日間反復経口投与した時の薬物動態を評価した。その結果、錠剤に対するドライシロップのガンシクロビルのAUC0−t及びCmaxの最小二乗幾何平均の比[90%信頼区間]は、それぞれ1.00[0.96、1.04]及び0.95[0.89、1.01]であった(外国人のデータ)。

16.1.5 症候性先天性サイトメガロウイルス感染症患者を対象とした成績

日本人患者(23例)に、バルガンシクロビル16mg/kgを1日2回反復経口投与した時の投与6週目(投与後90分)の血漿中ガンシクロビル濃度(平均値±標準偏差)は、4.59±1.31μg/mLであった。

16.2 吸収

16.2.1 生物学的利用率

健康成人及びHIV及びサイトメガロウイルス陽性患者にバルガンシクロビル900mgを食後に経口投与した時の生物学的利用率は約60%であった(外国人のデータ)。

16.2.2 用量比例性

HIV及びサイトメガロウイルス陽性患者にバルガンシクロビルを食後に経口投与した時の血漿中ガンシクロビルのAUCは450〜2625mgの投与量範囲において用量比例性を示した(外国人のデータ)。

16.2.3 食事の影響

バルガンシクロビルを1日1回3日間、食後に875mg経口投与した時の血漿中ガンシクロビルのAUC及びCmaxは、空腹時の投与と比較してそれぞれ約30%及び約14%増加した。最高血漿中濃度到達時間は変わらなかった(外国人のデータ)。

16.3 分布

ガンシクロビルを静脈内投与した時の定常状態時の分布容積は0.680±0.161L/kgであった。ガンシクロビルの血漿蛋白結合率は0.5〜51μg/mLの濃度範囲において1〜2%であった(外国人のデータ)。

16.4 代謝

血漿中には主にガンシクロビルとして存在し、バルガンシクロビルは僅かに検出されたものの速やかに消失した。血漿中にはガンシクロビル以外の代謝物は検出されなかった。14C‐ガンシクロビルを単回経口投与した時の尿及び糞中代謝物量はいずれも排泄量の1〜2%程度であった(外国人のデータ)。

16.5 排泄

HIV及びサイトメガロウイルス陽性患者及び健康成人にバルガンシクロビル900mgを単回経口投与した時、主な排泄経路は糸球体ろ過及び尿細管分泌による尿中排泄であった。静脈内投与されたガンシクロビルの全身クリアランス及び腎クリアランスはそれぞれ3.07±0.64mL/min/kg及び2.99±0.67mL/min/kgであり、腎クリアランスは全身クリアランスの大部分を占めていた(外国人のデータ)。

16.6 特定の背景を有する患者

16.6.1 腎機能障害患者

腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス70mL/min以下)にバルガンシクロビル900mgを単回経口投与した時、腎機能の低下に伴ってガンシクロビルの血漿からの消失は遅延し、AUCは増加した。クレアチニンクリアランスとガンシクロビルの経口クリアランスとの間に相関が認められ、患者の腎機能に対応する本剤(錠剤)の減量の目安を算出した。血液透析により血漿中に存在するガンシクロビルの約50%が除去された。なお、クレアチニンクリアランスが10mL/min未満の血液透析を受けている患者には、ドライシロップの投与を行うこと(外国人のデータ)。[7.2、9.2参照]

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クレアチニンクリアランス(mL/min) 例数 ガンシクロビルの薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)

                        経口クリアランス(mL/min) AUC0−ta)(μg・h/mL) 消失半減期(h)

51〜70                6  249±99           49.5±22.4         4.85±1.4

21〜50                6  136±64           91.9±43.9         10.2±4.4

11〜20                6  45±11            223±46            21.8±5.2

≦10                  6  12.8±8           366±66            67.5±34

a)最終測定可能時点までのAUC

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16.7 薬物相互作用

16.7.1 吸収過程における薬物相互作用

バルガンシクロビルの吸収過程にはペプチドトランスポーター(PEPT1)の関与が示唆されている。ラット小腸にバルガンシクロビル10mMを含む緩衝液を灌流した時、バルガンシクロビルの小腸透過係数に対するバラシクロビル、シクロスポリン、オメプラゾール、ネルフィナビル及びミコフェノール酸 モフェチルの影響は認められなかった。

これら薬剤をヒトにおいてバルガンシクロビルと併用投与した時の相互作用は不明である。