Antaa DI

drug

パキロビッドパック300

ニルマトレルビル・リトナビルシート

抗新型コロナウイルス薬 >>

特徴

  • 2022年2月10日、新型コロナウイルス

専門医コメント

重症化予防のために発症から5日以内に投与

用法・用量

通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ニルマトレルビルとして1回300mg及びリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与する。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 次の薬剤を投与中の患者:エレトリプタン臭化水素酸塩投与中、アゼルニジピン投与中、オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン投与中、エプレレノン投与中、アミオダロン塩酸塩投与中、ベプリジル塩酸塩水和物投与中、フレカイニド酢酸塩投与中、プロパフェノン塩酸塩投与中、キニジン硫酸塩水和物投与中、リバーロキサバン投与中、チカグレロル投与中、アナモレリン塩酸塩投与中、リファブチン投与中、ブロナンセリン投与中、ルラシドン塩酸塩投与中、ピモジド投与中、スボレキサント投与中、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン投与中、エルゴメトリンマレイン酸塩投与中、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩投与中、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩投与中、フィネレノン投与中、イバブラジン塩酸塩投与中、シルデナフィルクエン酸塩<レバチオ>投与中、タダラフィル<アドシルカ>投与中、バルデナフィル塩酸塩水和物投与中、ロミタピドメシル酸塩投与中、ベネトクラクス<再発又は難治性の慢性リンパ性白血病の用量漸増期>投与中(ベネトクラクス<再発又は難治性の小リンパ球性リンパ腫の用量漸増期>投与中を含む)、ジアゼパム投与中、クロラゼプ酸二カリウム投与中、エスタゾラム投与中、フルラゼパム塩酸塩投与中、トリアゾラム投与中、ミダゾラム投与中、ボリコナゾール投与中、アパルタミド投与中、カルバマゼピン投与中、フェニトイン投与中、ホスフェニトインナトリウム水和物投与中、フェノバルビタール投与中、メペンゾラート臭化物・フェノバルビタール投与中、リファンピシン投与中、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品摂取中(St.John’s Wort)〔10.1参照〕。

2.3. 腎機能障害又は肝機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者〔9.2.1、9.3.1、10.2参照〕。

用法・用量に関連する注意

7.1. SARS−CoV−2による感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始すること(臨床試験において、症状発現から6日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない)〔17.1.1参照〕。7.2. 中等度腎機能障害患者(eGFR[推算糸球体ろ過量]30mL/min以上60mL/min未満)には、ニルマトレルビルとして1回150mg及びリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与すること。重度腎機能障害患者(eGFR 30mL/min未満)への投与は推奨しない〔9.2.2、9.2.3、14.1.1、16.6.1参照〕。

腎機能用量

中等度の腎機能障害患者(eGFR[推算糸球体ろ過量]30mL/min以上60mL/min未満)には、ニルマトレルビルとして1回150mg及びリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与すること。重度の腎機能障害患者(eGFR 30mL/min未満)への投与は推奨しない。

適応

SARS-CoV-2による感染症

効果・効能

SARS−CoV−2による感染症。

効果・効能に関連する注意

5.1. 臨床試験における主な投与経験を踏まえ、SARS−CoV−2による感染症の重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者に投与すること。また、本剤の投与対象については最新のガイドラインも参考にすること〔17.1.1参照〕。

5.2. 重症度の高いSARS−CoV−2による感染症患者に対する有効性は確立していない。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 肝機能障害(頻度不明)。

11.1.2. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)(いずれも頻度不明)。

11.1.3. アナフィラキシー(頻度不明)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 過敏症:(頻度不明)蕁麻疹、そう痒症、紅斑、咽喉絞扼感、血管性浮腫。2). 神経系障害:(1%以上5%未満)味覚不全、(1%未満)浮動性めまい、頭痛。

3). 血管障害:(頻度不明)高血圧。

4). 胃腸障害:(1%以上5%未満)下痢・軟便、(1%未満)悪心、嘔吐、消化不良、胃食道逆流性疾患、(頻度不明)腹痛。

5). 肝胆道系障害:(1%未満)ALT上昇、AST上昇。6). 皮膚及び皮下組織障害:(1%未満)発疹。

7). 筋骨格系及び結合組織障害:(1%未満)筋肉痛。8). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(頻度不明)倦怠感。

重要な基本的な注意

本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服薬中のすべての薬剤を確認すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に相談するよう患者に指導すること〔10.相互作用の項、16.7.1参照〕。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

9.1.1. HIV感染患者。

(1). HIV感染患者:本剤はリトナビルを含むため、未治療のHIV感染又はコントロール不良のHIV感染患者に投与した場合、HIVプロテアーゼ阻害剤に対する耐性が生じる可能性がある。

2). HIV感染患者:リトナビルを含む抗HIV療法又はコビシスタットを含む抗HIV療法と本剤を併用する場合、リトナビルの用量調節は不要である。(腎機能障害患者

9.2.1. 腎機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者:投与しないこと(コルヒチンの血中濃度が上昇するおそれがある)〔2.3、10.2参照〕。9.2.2. 中等度腎機能障害のある患者(コルヒチンを投与中の患者を除く):ニルマトレルビルを減量して投与すること(ニルマトレルビルの血中濃度が上昇するおそれがある)〔7.2、14.1.1、16.6.1参照〕。

9.2.3. 重度腎機能障害のある患者(コルヒチンを投与中の患者を除く):投与は推奨しない(ニルマトレルビルの血中濃度が上昇するが、臨床推奨用量は検討されていない)〔7.2、16.6.1参照〕。

肝機能障害患者

9.3.1. 肝機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者:投与しないこと(コルヒチンの血中濃度が上昇するおそれがある)〔2.3、10.2参照〕。9.3.2. 肝機能障害のある患者(コルヒチンを投与中の患者を除く):リトナビルは主に肝臓で代謝されるため、高い血中濃度が持続するおそれがある。また、トランスアミナーゼ上昇を合併している患者では肝機能障害を増悪させるおそれがある。

相互作用

本剤はCYP3Aを強く阻害し、また、P−gpを阻害する。ニルマトレルビル及びリトナビルはCYP3Aの基質である。他の薬剤との相互作用は、可能なすべての組み合わせについて検討されているわけではないので、併用に際しては用量に留意して慎重に投与すること〔8.重要な基本的注意の項、16.7.1、16.7.2参照〕。10.1. 併用禁忌:

1). エレトリプタン臭化水素酸塩<レルパックス>、アゼルニジピン<カルブロック>、オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン<レザルタス配合錠>、エプレレノン<セララ>、アミオダロン塩酸塩<アンカロン>、ベプリジル塩酸塩水和物<ベプリコール>、フレカイニド酢酸塩<タンボコール>、プロパフェノン塩酸塩<プロノン>、キニジン硫酸塩水和物、リバーロキサバン<イグザレルト>、チカグレロル<ブリリンタ>、アナモレリン塩酸塩<エドルミズ>、リファブチン<ミコブティン>、ブロナンセリン<ロナセン>、ルラシドン塩酸塩<ラツーダ>、ピモジド、スボレキサント<ベルソムラ>、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン<クリアミン>、エルゴメトリンマレイン酸塩、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩<パルタン>、フィネレノン<ケレンディア>、イバブラジン塩酸塩<コララン>、シルデナフィルクエン酸塩<レバチオ>、タダラフィル<アドシルカ>、バルデナフィル塩酸塩水和物<レビトラ>、ロミタピドメシル酸塩<ジャクスタピッド>〔2.2参照〕[不整脈、血液障害、血管攣縮等、これら薬剤による重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こるおそれがあるので併用しないこと(本剤のチトクロームP450に対する競合的阻害作用により、併用した場合これらの薬剤の血中濃度が大幅に上昇することが予測される)]。

2). ベネトクラクス〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期〉<ベネクレクスタ>〔2.2参照〕[ベネトクラクスの再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期に本剤を併用した場合、腫瘍崩壊症候群の発現が増強されるおそれがある(本剤がCYP3Aにおけるベネトクラクスの代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。3). ジアゼパム<セルシン、ホリゾン>、クロラゼプ酸二カリウム<メンドン>、エスタゾラム<ユーロジン>、フルラゼパム塩酸塩<ダルメート>、トリアゾラム<ハルシオン>、ミダゾラム<ドルミカム、ミダフレッサ>〔2.2、16.7.2参照〕[過度の鎮静や呼吸抑制等が起こるおそれがあるので併用しないこと(本剤のチトクロームP450に対する競合的阻害作用により、併用した場合これらの催眠鎮静薬及び抗不安薬の血中濃度が大幅に上昇することが予測される)]。

4). ボリコナゾール<ブイフェンド>〔2.2参照〕[ボリコナゾールの血中濃度が低下したとの報告があるので併用しないこと(本剤のチトクロームP450の誘導作用によるものと考えられている)]。

5). アパルタミド<アーリーダ>〔2.2参照〕[アパルタミドの血中濃度が上昇し副作用が増強されるおそれがあり、また、本剤の血中濃度が減少することで抗ウイルス作用の消失や耐性出現のおそれがあるので、本剤からCYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮し、やむを得ず併用する際には、アパルタミドの減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現や本剤の効果の減弱に十分注意すること(本剤がCYP3Aによるこれらの薬剤の代謝を競合的に阻害するため、また、これらの薬剤がCYP3Aを誘導するため)]。

6). カルバマゼピン<テグレトール>〔2.2、16.7.2参照〕[カルバマゼピンの血中濃度が上昇するおそれがあり、また、本剤の血中濃度が減少することで抗ウイルス作用の消失や耐性出現のおそれがある(本剤がCYP3Aによるこれらの薬剤の代謝を競合的に阻害するため、また、これらの薬剤がCYP3Aを誘導するため)]。7). フェニトイン<ヒダントール、アレビアチン>、ホスフェニトインナトリウム水和物<ホストイン>、フェノバルビタール<フェノバール>、メペンゾラート臭化物・フェノバルビタール<トランコロンP配合錠>、リファンピシン<リファジン>、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)〔2.2参照〕[抗ウイルス作用の消失や耐性出現のおそれがある(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、ニルマトレルビル及びリトナビルの濃度が低下するおそれがある)]。

10.2. 併用注意:

1). フェンタニル、フェンタニルクエン酸塩、オキシコドン塩酸塩水和物、リドカイン、リドカイン塩酸塩、ダサチニブ水和物、ゲフィチニブ、ニロチニブ塩酸塩水和物、ビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍薬(ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩等)、イリノテカン塩酸塩水和物、タモキシフェンクエン酸塩、トレミフェンクエン酸塩、エベロリムス、シロリムス、ケトコナゾール(経口剤は国内未販売)、イトラコナゾール、ミコナゾール、イサブコナゾニウム硫酸塩、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、クエチアピンフマル酸塩、ブロモクリプチンメシル酸塩、カルシウム拮抗薬<アゼルニジピンは併用禁忌>(アムロジピンベシル酸塩、ジルチアゼム塩酸塩、フェロジピン、ニカルジピン塩酸塩、ニフェジピン、ニトレンジピン、ニルバジピン、ベラパミル塩酸塩等)、ボセンタン水和物、アトルバスタチンカルシウム水和物、シンバスタチン、シロスタゾール、コルヒチン、トファシチニブクエン酸塩、ウパダシチニブ水和物、サルメテロールキシナホ酸塩、シルデナフィルクエン酸塩<バイアグラ>、タダラフィル<シアリス・ザルティア>、アルプラゾラム、デキサメタゾン、キニーネ〔2.3、9.2.1、9.3.1、16.7.2参照〕[これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがあり、これら薬剤の副作用が発現しやすくなるおそれがあるため、充分な観察を行いながら慎重に投与し、必要に応じて減量や休薬等の適切な措置を講ずること(本剤がCYP3Aにおけるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。

2). フルチカゾンプロピオン酸エステル、ブデソニド、トリアムシノロンアセトニド[これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがあり、これら薬剤との併用において、クッシング症候群、副腎皮質機能抑制等が報告されているので、併用は治療上の有益性がこれらの症状発現の危険性を上回ると判断される場合に限ること(本剤がCYP3Aにおけるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。3). モメタゾンフランカルボン酸エステル、シクレソニド:@. モメタゾンフランカルボン酸エステル[モメタゾンフランカルボン酸エステルの血中濃度が上昇し、副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様の症状があらわれる可能性がある(本剤がCYP3Aにおけるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。

A. シクレソニド[シクレソニドの活性代謝物である脱イソブチリル体の血中濃度が上昇し、副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様の症状があらわれる可能性がある(本剤がCYP3Aにおけるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。

4). イブルチニブ、エンコラフェニブ、セリチニブ[これら薬剤の血中濃度が上昇し副作用が増強されるおそれがあるので、本剤からCYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮し、やむを得ず併用する際には、これら薬剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤がCYP3Aにおけるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。5). ベネトクラクス〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、急性骨髄性白血病〉[ベネトクラクスの再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期又は急性骨髄性白血病に対してベネトクラクス投与中に本剤を併用した場合、ベネトクラクスの副作用が増強されるおそれがあるので、ベネトクラクスを減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤がCYP3Aにおけるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。

6). シクロスポリン、タクロリムス水和物[これら薬剤の血中濃度が上昇し重篤な副作用が発現した症例も報告されていることから、やむを得ない場合を除きこれら薬剤との併用は避けるが、やむを得ず併用する場合には、これら薬剤の減量を考慮し、本剤投与中及び投与終了後に、併用薬の血中濃度及び併用薬による副作用の十分なモニタリングを行うこと(本剤がCYP3Aにおけるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。

7). ワルファリンカリウム[ワルファリンの血中濃度に影響を与えるおそれがあるので、頻回なINRのモニタリングを行うことが望ましい(肝薬物代謝酵素の関与が考えられる)]。

8). テオフィリン、エチニルエストラジオール、エストラジオール安息香酸エステル[これら薬剤の血中濃度が減少するおそれがあり、これら薬剤の増量が必要となる場合がある(本剤がこれら薬剤の肝薬物代謝酵素を誘導するためと考えられている)]。9). フルコナゾール、ホスフルコナゾール[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある(これら薬剤がCYP3Aにおける本剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。

10). タバコ[喫煙により本剤のAUCが減少するおそれがある(機序不明)]。11). ジドブジン[本剤との併用によりジドブジンのCmax及びAUCがそれぞれ減少するとの報告がある(本剤がグルクロン酸抱合を促進するためと考えられている)]。

12). ラモトリギン、バルプロ酸ナトリウム[これら薬剤の血中濃度が低下するおそれがある(本剤がグルクロン酸抱合を促進するためと考えられている)]。13). ネビラピン[本剤の血中濃度が減少するおそれがある(ネビラピンがCYP3Aを誘導するためと考えられている)]。

14). エファビレンツ[本剤及びエファビレンツの血中濃度が上昇するおそれがあり、高頻度に有害事象が発生する可能性があるので、臨床検査値等のモニタリングを行いながら慎重に投与すること(機序不明)]。

15). リオシグアト[リオシグアトの血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤との併用が必要な場合は、患者の状態に注意し、必要に応じてリオシグアトの減量を考慮すること(本剤のCYP1A1及びCYP3A阻害によりリオシグアトのクリアランスが低下する)]。

16). ジゴキシン[ジゴキシンの血中濃度が有意に増加したとの報告があるので、ジゴキシンの血中濃度モニタリングを行うなど注意すること(本剤のP−gp阻害作用によるものと考えられている)]。

17). ロペラミド塩酸塩[ロペラミドの血中濃度が上昇するおそれがある(本剤のP−gp阻害作用によるものと考えられている)]。

18). アファチニブマレイン酸塩[アファチニブの血中濃度が上昇し副作用が発現しやすくなるおそれがあるので、本剤はアファチニブと同時かアファチニブ投与後に投与すること(本剤のP−gp阻害作用によるものと考えられている)]。19). ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩〔16.7.2参照〕[ダビガトランの血中濃度が上昇し出血リスクが上昇するおそれがあるので、本剤と併用する場合は、ダビガトランの減量を考慮すること(本剤のP−gp阻害作用によるものと考えられている)]。

20). ロスバスタチンカルシウム[ロスバスタチンの血中濃度が上昇するおそれがある(本剤のBCRP阻害作用が関与している可能性がある)]。21). グレカプレビル水和物・ピブレンタスビル[グレカプレビル及びピブレンタスビルの血中濃度が上昇するおそれがある(本剤のP−gp又はBCRP阻害作用によるものと考えられる)]。

22). トラゾドン塩酸塩[トラゾドンの血中濃度が上昇し悪心・めまい・低血圧・失神を起こす可能性があるので、本剤と併用する場合は、患者の状態に注意し、必要に応じてトラゾドンの減量等を考慮すること(本剤がCYP3Aにおけるトラゾドンの代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。

23). エトラビリン[エトラビリンの血中濃度が低下したとの報告がある(本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によるものと考えられている)]。

24). その他のHIVプロテアーゼ阻害薬(アタザナビル硫酸塩、ダルナビル エタノール付加物等)[これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある(本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。25). マラビロク[マラビロクの血中濃度が上昇するおそれがある(本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。26). クロピドグレル硫酸塩、クロピドグレル硫酸塩・アスピリン[クロピドグレルの活性代謝物の血中濃度が低下し作用が減弱するおそれがある(本剤のCYP3A阻害作用等による可能性が考えられる)]。

27). アピキサバン[アピキサバンの血中濃度が上昇し出血リスクが上昇するおそれがあるので、本剤と併用する場合はアピキサバンの投与量に応じて減量を考慮すること、治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、本剤との併用が適切と考えられない患者には併用しないこと(本剤のCYP3A4及びP−gp阻害作用により、薬剤の代謝及び排出を阻害するためと考えられている)]。

妊婦・授妊婦

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠ウサギにニルマトレルビルを投与した実験において、臨床曝露量(AUC)の11倍に相当する用量で胎仔体重減少が認められている。また、リトナビルを妊娠ラットに投与した実験において、胎盤を通過して胎仔へ移行することが報告されている。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ニルマトレルビルのヒト乳汁への移行性については不明であるが、リトナビルはヒト乳汁中へ移行することが報告されている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない〔16.6.3参照〕。

適用上の注意

14.1. 薬剤調製時の注意

14.1.1. 中等度の腎機能障害患者に対してはパキロビッドパック300を交付すること〔7.2、9.2.2参照〕。

14.2. 薬剤交付時の注意

14.2.1. シート1枚には1日分(朝及び夕方の2回分)が含まれるため、1回に服用すべき錠剤を患者に指導すること。

14.2.2. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

保管上の注意

室温保存。

保険給付上の注意・その他

注意

本剤は、本邦で特例承認されたものであり、承認時において有効性、安全性、品質に係る情報は限られており、引き続き情報を収集中である。そのため、本剤の使用に当たっては、あらかじめ患者又は代諾者に、承認時において有効性、安全性、品質に係る情報は限られており、引き続き情報を収集中である旨並びに有効性及び安全性に関する情報を十分に説明し、文書による同意を得てから投与すること。

組成・性状

本製品は次の2製剤を組み合わせたものである。

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パキロビッドパック300 1シート(1日分)中 ニルマトレルビル錠 2錠

リトナビル錠 2錠

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3.1 組成

製剤各々の組成は次のとおりである。

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有効成分 1錠中 ニルマトレルビル 150mg 1錠中 リトナビル 100mg

添加剤 結晶セルロース、乳糖水和物、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ヒプロメロース、酸化チタン、マクロゴール400、三二酸化鉄 コポリビドン、モノラウリン酸ソルビタン、軽質無水ケイ酸、フマル酸ステアリルナトリウム、無水リン酸水素カルシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、マクロゴール400、ヒドロキシプロピルセルロース、タルク、マクロゴール4000、ポリソルベート80

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3.2 製剤の性状

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有効成分 外形 識別コード 色調等

上面 下面 側面

ニルマトレルビル <<図省略>> <<図省略>> <<図省略>> PFE 3CL 淡赤色のフィルムコート錠

長径17.5mm、短径8.5mm、厚さ5.7mm

リトナビル <<図省略>> <<図省略>> <<図省略>> NK 白色〜微黄白色のフィルムコート錠

長径約17mm、短径約9mm、厚さ約6mm

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薬効薬理

18.1 作用機序

ニルマトレルビルはSARS‐CoV‐2のメインプロテアーゼ(Mpro:3CLプロテアーゼ又はnsp5とも呼ばれる)を阻害し(IC50=19.2nmol/L)、ポリタンパク質の切断を阻止することで、ウイルス複製を抑制する。

リトナビルは検討した最高濃度(3μmol/L)までSARS‐CoV‐2に対して抗ウイルス活性を示さなかった。リトナビルはニルマトレルビルのCYP3Aによる代謝を阻害し、血漿中濃度を増加させる。

18.2 In vitro抗ウイルス活性

ニルマトレルビルは細胞培養系を用いた試験において、SARS‐CoV‐2臨床分離株(USA‐WA1/2020株)に対して抗ウイルス活性を示した(dNHBE細胞注):EC50 61.8nmol/L)。

ニルマトレルビルはSARS‐CoV‐2臨床分離株(USA‐WA1/2020株)並びに変異株であるalpha株(B.1.1.7系統)、beta株(B.1.351系統、K90R変異)、beta株(B.1.351系統、K90R+P252L変異)、gamma株(P.1系統)、delta株(B.1.617.2系統)、lambda株(C.37系統)、mu株(B.1.621系統)及びomicron株(B.1.1.529/BA.1系統)に対して同程度の抗ウイルス活性を示し、EC50はそれぞれ38.0、41.0、141、127.2、24.9、15.9、21.2、25.7及び16.2nmol/Lであった(P‐gp欠損Vero E6細胞)。また、ニルマトレルビルはSARS‐CoV‐2臨床分離株(USA‐WA1/2020株)並びに変異株であるomicron株[B.1.1.529/BA.2、BA.2.12.1、BA.4、BA.4.6、BA.5、BF.7(P252L+F294L変異)、BF.7(T243I変異)、BQ.1、BQ.1.11及びXBB.1.5系統]に対して同程度の抗ウイルス活性を示し、EC50はそれぞれ98.8、65、40、39、146、44、108、76.4、104、89.8及び113nmol/Lであった(P‐gp阻害薬存在下のVero E6‐TMPRSS2細胞)。

注)分化正常ヒト気管支上皮細胞

18.3 In vivo抗ウイルス活性

ニルマトレルビルは、マウス馴化株であるSARS‐CoV‐2‐MA10株を感染させたマウスにおいて、肺のウイルス力価の減少、感染に伴う体重減少の抑制、肺の病態の改善が認められた。

18.4 薬剤耐性

SARS‐CoV‐2を用いたin vitro耐性誘導試験において、メインプロテアーゼに単一又は複数のアミノ酸変異が8種認められ、そのうちT21I+T304I、L50F+T304I、F140L+A173V、A173V+T304I又はT21I+S144A+T304Iのアミノ酸変異を有するSARS‐CoV‐2に対するニルマトレルビルの抗ウイルス活性は5.9〜28倍低下した(P‐gp欠損Vero E6細胞又はA549‐ACE2細胞)。

薬物動態

16.1 血中濃度

16.1.1 単回投与

健康成人にニルマトレルビル300mgをリトナビル100mg併用下で単回経口投与したときのニルマトレルビル及びリトナビルの薬物動態パラメータ並びに血漿中濃度推移を次に示す(外国人データ)。

健康成人にニルマトレルビル300mgをリトナビル100mg併用下で単回経口投与したときのニルマトレルビル及びリトナビルの薬物動態パラメータ

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         薬物動態パラメータ

ニルマトレルビル Cmax(μg/mL)      2.21(33)

         AUCinf(μg・hr/mL) 23.01(23)

         Tmax(hr)         3.00(1.02−6.00)

         t1/2(hr)         6.05±1.79

リトナビル    Cmax(ng/mL)      359.3(46)

         AUCinf(ng・hr/mL) 3599(47)

         Tmax(hr)         3.98(1.48−4.20)

         t1/2(hr)         6.15±2.24

n=12

Tmax:中央値(範囲)、t1/2:算術平均値±標準偏差、その他のパラメータ:幾何平均値(CV%)

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健康成人にニルマトレルビル300mgをリトナビル100mg併用下で単回経口投与したときのニルマトレルビル及びリトナビルの血漿中濃度推移(n=12、算術平均値+標準偏差)

<<図省略>>

16.1.2 反復投与

ニルマトレルビル75、250又は500mgをリトナビル併用下(1回100mgを1日2回)で1日2回反復経口投与したところ注)、ニルマトレルビルの血漿中濃度は2日目までに定常状態に到達し、単回投与時に比べAUCtau及びCmaxは約2倍に増加した(日本人及び外国人データ)。

16.2 吸収

16.2.1 食事の影響

高脂肪食摂食後にニルマトレルビル300mg(150mg錠剤2錠)をリトナビル100mg併用下(ニルマトレルビルの投与前12時間、投与時及び投与後12時間に投与)で単回経口投与したとき、空腹時投与と比較して、ニルマトレルビルのCmaxの平均値は約60%、AUCinfの平均値は約20%増加した(外国人データ)。国際共同第II/III相試験では本剤を食事の有無にかかわらず投与した。本剤は、食事の有無にかかわらず投与できる。

16.3 分布

ニルマトレルビルのヒト血漿蛋白結合率は約69%であった(in vitro)。

リトナビルは、0.01〜30.0μg/mLの濃度範囲でヒト血漿蛋白質と99%以上結合した。リトナビル2μg/mLにおけるヒト血液中の血球移行率は11.4%であった(in vitro)。

健康成人にニルマトレルビル300mg(経口懸濁液)をリトナビル100mg併用下で1日2回3日間反復経口投与したときのVz/Fの平均値は、ニルマトレルビルは104.7L、リトナビルは112.4Lであった(外国人データ)。

16.4 代謝

In vitro試験から、リトナビル非併用下ではニルマトレルビルは主にCYP3A4で代謝されることが示唆された。ニルマトレルビルをリトナビルと併用投与したとき、ニルマトレルビルの代謝が阻害される。健康成人にニルマトレルビル300mgをリトナビル(1回100mgを1日2回)併用下で単回経口投与したとき、血漿中に認められた薬物関連物質はニルマトレルビルの未変化体のみであった。なお、尿及び糞中には酸化代謝物がわずかに認められた(外国人データ)。

ヒト肝ミクロソームを用いた試験で、リトナビルは58.7%〜60.4%が代謝され、主に3種類の酸化代謝物を生成することが示された。また、リトナビルの代謝には主にCYP3A及びCYP2D6が関与することが示された(in vitro)。健康被験者に14C標識リトナビルのカプセル剤を単回経口投与し、尿、糞中の代謝物を検索した結果、未変化体及び主に4種類の酸化代謝物が確認された。

16.5 排泄

リトナビルを併用したときのニルマトレルビルの主な消失経路は腎排泄であり、ニルマトレルビル300mg(経口懸濁液)をリトナビル100mg(1回100mgを1日2回)併用下で単回経口投与したとき、糞及び尿中からそれぞれ投与量の約35.3%及び49.6%の薬物関連物質が確認された。排泄物中の主要な薬物関連物質はニルマトレルビル未変化体であり、加水分解に起因する少量の代謝物が認められた(外国人データ)。

健康被験者に14C標識リトナビルのカプセル剤600mgを単回経口投与したとき、投与後148時間までに、投与した放射能の86.4%が糞中へ、11.3%が尿中へそれぞれ排泄された。また、未変化体約33.8%が糞中へ、約3.5%が尿中へ排泄された(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

16.6.1 腎機能障害患者

軽度(eGFR60mL/min以上90mL/min未満)、中等度(eGFR30mL/min以上60mL/min未満)及び重度(eGFR30mL/min未満)の腎機能障害患者にニルマトレルビル100mgをリトナビル100mg併用下(ニルマトレルビルの投与前12時間、投与時、投与後12時間及び24時間に投与)で単回経口投与したとき注)、正常な腎機能を有する被験者と比較して、ニルマトレルビルのCmax及びAUCinfの調整済み幾何平均値は、軽度の腎機能障害患者では30%及び24%、中等度の腎機能障害患者では38%及び87%、重度の腎機能障害患者では48%及び204%高かった(外国人データ)。[7.2、9.2.2、9.2.3参照]

腎機能障害がニルマトレルビルの薬物動態に及ぼす影響

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                 正常な腎機能(n=10) 軽度腎機能障害(n=8) 中等度腎機能障害(n=8) 重度腎機能障害(n=8)

Cmax(μg/mL)      1.60(31)     2.08(29)     2.21(17)      2.37(38)

AUCinf(μg・hr/mL) 14.46(20)    17.91(30)    27.11(27)     44.04(33)

Tmax(hr)         2.0(1.0−4.0) 2.0(1.0−3.0) 2.50(1.0−6.0) 3.0(1.0−6.1)

t1/2(hr)         7.73±1.82    6.60±1.53    9.95±3.42     13.37±3.32

Tmax:中央値(範囲)、t1/2:算術平均値±標準偏差、その他のパラメータ:幾何平均値(CV%)

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16.6.2 肝機能障害患者

中等度の肝機能障害患者(Child‐Pugh分類B)にニルマトレルビル100mgをリトナビル100mg併用下(ニルマトレルビルの投与前12時間、投与時、投与後12時間及び24時間に投与)で単回経口投与したとき注)、ニルマトレルビルの曝露量は正常な肝機能を有する被験者と同様であった(外国人データ)。

肝機能障害がニルマトレルビルの薬物動態に及ぼす影響

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                 正常な肝機能(n=8)  中等度肝機能障害(n=8)

Cmax(μg/mL)      1.89(20)     1.92(48)

AUCinf(μg・hr/mL) 15.24(36)    15.06(43)

Tmax(hr)         2.0(0.6−2.1) 1.5(1.0−2.0)

t1/2(hr)         7.21±2.10    5.45±1.57

Tmax:中央値(範囲)、t1/2:算術平均値±標準偏差、その他のパラメータ:幾何平均値(CV%)

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重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。

16.6.3 小児患者

18歳未満の小児を対象にニルマトレルビル及びリトナビルの薬物動態は評価していない。

成人の母集団薬物動態モデル及び小児の体重分布を用いて、12歳以上かつ体重40kg以上の小児患者に対して推奨用法・用量で本剤を投与したときの定常状態時の血漿中ニルマトレルビルの曝露量を推定したところ、成人で認められた血漿中ニルマトレルビルの曝露量と概ね同程度になると推定された。[9.7参照]

16.7 薬物相互作用

16.7.1 In vitro試験

ニルマトレルビル:P‐gpの基質である。また、CYP3A4を可逆的及び時間依存的に阻害し、P‐gpを阻害する。

リトナビル:CYP3Aと特に強い親和性を示し、CYP3Aで酸化される種々の併用薬剤の代謝を競合的に阻害する。グルクロン酸抱合を促進し、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19を誘導することがわかっている。併用薬剤の血中濃度を低下させ、薬効が減弱する場合には併用薬剤の用量調節が必要となる可能性がある。[8.、10.参照]

16.7.2 臨床薬物相互作用試験

(1)イトラコナゾール及びカルバマゼピン

ニルマトレルビルをリトナビル併用下でイトラコナゾール(CYP3A阻害薬)又はカルバマゼピン(CYP3A誘導薬)と併用投与したときのニルマトレルビル及びリトナビルのCmax及びAUCに対する影響を評価した結果を次に示す(外国人データ)。[10.、10.1、10.2参照]

カルバマゼピン又はイトラコナゾールがニルマトレルビル及びリトナビルの薬物動態に及ぼす影響

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          投与量                                    n  薬物動態パラメータの比a)(%)(併用投与/単剤投与)(90%信頼区間)

併用薬       併用薬              ニルマトレルビル/リトナビル           ニルマトレルビル                                    リトナビル

                                                    Cmax                  AUCb)                 Cmax               AUCb)

カルバマゼピンc) 300mg1日2回(16回投与) 300mg/100mg単回投与       10 56.82(47.04、68.62)    44.50(33.77、58.65)    25.59(18.76、34.91) 16.57(13.32、20.60)

イトラコナゾール  200mg1日1回(8回投与)  300mg/100mg1日2回(5回投与) 11 118.57(112.50、124.97) 138.82(129.25、149.11) NC                 NC

a)影響がない場合は100(%)

b)カルバマゼピン:AUC=AUCinf、イトラコナゾール:AUC=AUCtau

c)カルバマゼピンは投与開始8日目から15日目まで1日2回300mgまで増量(1日目〜3日目は100mgを1日2回投与、4日目〜7日目は200mgを1日2回投与)

NC:算出していない

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(2)ミダゾラム及びダビガトラン

ニルマトレルビルをリトナビル併用下でミダゾラム(CYP3A基質)又はダビガトラン(P‐gp基質)と併用投与したときのミダゾラム又はダビガトランのCmax及びAUCinfに対する影響を評価した結果を次に示す(外国人データ)。[10.、10.1、10.2参照]

ニルマトレルビル及びリトナビルがミダゾラム又はダビガトランの薬物動態に及ぼす影響

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       投与量                              n  薬物動態パラメータの比a)(%)(併用投与/単剤投与)(90%信頼区間)

併用薬    併用薬        ニルマトレルビル/リトナビル           Cmax                  AUCinf

ミダゾラム  2mg(単回投与)  300mg/100mg1日2回(9回投与) 10 368.33(318.91、425.41) 1430.02(1204.54、1697.71)

ダビガトラン 75mg(単回投与) 300mg/100mg1日2回(3回投与) 24 233.06(172.14、315.54) 194.47(155.29、243.55)

a)影響がない場合は100(%)

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注)本剤の承認された用法及び用量は、ニルマトレルビル300mg及びリトナビル100mgを同時に1日2回経口投与である。