Antaa DI

drug

プロチレリン酒石酸塩注1mg「NP」

プロチレリン酒石酸塩1mg1mL注射液

脊髄小脳変性症治療薬 >>

特徴

  • TRHの注射製剤。視床下部・脳幹・小脳に

専門医コメント

効果はタルチレリンとほとんど変わらない。

用法・用量

〈遷延性意識障害(ただし、昏睡、半昏睡を除く)〉

通常、成人には疾患に応じて、次記の用量を1日1回10日間静注又は点滴静注する。静脈内注射の場合は、生理食塩液、ブドウ糖注射液又は注射用水5〜10mLに希釈して、徐々に注射する。

1). 頭部外傷:1回プロチレリン酒石酸塩水和物として0.732〜2.92mg(プロチレリンとして0.5〜2mg)。

2). くも膜下出血(ただし、意識障害固定期間3週以内):1回プロチレリン酒石酸塩水和物として2.92mg(プロチレリンとして2mg)。〈脊髄小脳変性症〉

通常、成人には1日1回プロチレリン酒石酸塩水和物として0.732〜2.92mg(プロチレリンとして0.5〜2mg)を筋肉内又は静脈内に注射するが、重症例にはプロチレリン酒石酸塩水和物として2.92mg(プロチレリンとして2mg)を注射する。2〜3週間連日注射した後、2〜3週間の休薬期間をおく。以後、これを反復するか、週2〜3回の間歇注射を行う。

静脈内注射の場合は、生理食塩液、ブドウ糖注射液又は注射用水5〜10mLに希釈して、徐々に注射する。

腎機能用量

腎機能正常者と同じ

適応

下垂体TSH分泌機能検査(0.5mgのみ)、頭部外傷・くも膜下出血における遷延性意識障害、脊髄小脳変性症における運動失調改善

効果・効能

1). 次記疾患に伴う昏睡・半昏睡を除く遷延性意識障害:頭部外傷、くも膜下出血(ただし意識障害固定期間3週以内)。

2). 脊髄小脳変性症における運動失調の改善。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. ショック様症状(頻度不明):一過性血圧低下、意識喪失等があらわれることがある。

11.1.2. 痙攣(頻度不明)。

11.1.3. 下垂体卒中(頻度不明):下垂体腺腫患者に投与した場合、頭痛、視力障害・視野障害等を伴う下垂体卒中があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には外科的治療等適切な処置を行うこと〔9.1.3参照〕。11.1.4. 血小板減少(頻度不明)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 循環器:(0.1〜5%未満)脈拍数変動、熱感、顔面潮紅感、動悸、胸部圧迫感、血圧変動。

2). 消化器:(5%以上)悪心、(0.1〜5%未満)嘔吐、食欲不振、腹痛、口渇、(0.1%未満)異味感、(頻度不明)心窩部不快感。

3). 肝臓:(0.1〜5%未満)ALT上昇、(0.1%未満)Al−P上昇、(頻度不明)AST上昇。

4). 血液:(0.1〜5%未満)白血球減少、(0.1%未満)貧血。5). 精神神経系:(0.1〜5%未満)興奮、多弁、頭痛、めまい、しびれ感、(0.1%未満)振戦、不眠、(頻度不明)不安。

6). 過敏症:(0.1〜5%未満)発疹、そう痒。

7). その他:(0.1〜5%未満)尿意、発熱、発汗、悪寒、倦怠感、浮腫、(0.1%未満)排尿障害、(頻度不明)脱力感、咽頭違和感、乳房腫大、乳汁分泌。

慎重投与

1.心障害のある患者[本剤は、一過性血圧上昇及び一過性脈拍数上昇させることがある]。

2.遺伝性果糖不耐症の患者[本剤の添加剤D−ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発される恐れがある]。

重要な基本的な注意

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

9.1.1. 心障害のある患者:本剤は一過性血圧上昇および一過性脈拍数上昇させることがある。

9.1.2. 遺伝性果糖不耐症の患者:本剤の添加剤D−ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されないため、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。

9.1.3. 下垂体腺腫の患者〔11.1.3参照〕。

高齢者

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、用量に注意する。

妊婦・授妊婦

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意

14.1. 薬剤投与時の注意

14.1.1. 静脈内投与にあたってはできるだけゆっくり投与すること。急速に静脈内注射すると、一過性尿意、悪心、熱感等があらわれやすい。14.1.2. 筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、次記の点に注意すること。

(1). 筋肉内注射時同一部位への反復注射は行わないこと。なお、小児には特に注意すること。

(2). 筋肉内注射時神経走行部位を避けるよう注意すること。(3). 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. 本剤の連用により、TRHに対するTSH分泌反応が低下するので、定められた投与期間を標準として投与すること。

15.1.2. 本剤の連用によるTSH分泌反応低下は連用中止1週ないし2週後に回復するので、TRHテストを施行する場合はその後に行うこと。15.1.3. 甲状腺ホルモン剤投与中、抗甲状腺剤投与中、副腎皮質ステロイド剤投与中の患者ではTRHに対するTSH分泌反応が変化することがある。

保管上の注意

室温保存。

組成・性状

3.1 組成

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販売名 有効成分 添加剤

プロチレリン酒石酸塩注1mg「NP」 1アンプル(1mL)中 1アンプル(1mL)中

日本薬局方 プロチレリン酒石酸塩水和物 1.464mg(プロチレリンとして1mg) D‐ソルビトール 50mg

塩化ナトリウム 0.3mg

塩化カリウム 0.46mg

水酸化ナトリウム 適量

塩酸 適量

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3.2 製剤の性状

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販売名 pH 浸透圧比 性状

プロチレリン酒石酸塩注1mg「NP」 5.5〜6.5 約1(生理食塩液に対する比) 無色澄明の液

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薬効薬理

18.1 作用機序

甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンである。脳下垂体前葉での甲状腺刺激ホルモンTSH及びプロラクチンの産生を促進する。臨床的には、脳下垂体前葉でのTSH分泌能の診断役として用いられる。他に脳エネルギー代謝改善作用を示すので、脳血管障害などの際の意識障害等に用いられる。

18.2 自発運動亢進作用

正常マウスに2.5mg/kg静注、下垂体摘出マウスに10mg/kg静注及び正常ラットに5mg/kg腹腔内投与により、自発運動亢進が認められる。この作用は、プロチレリンが中脳−辺縁系ドーパミンニューロン終末部位である側坐核におけるドーパミン活性を高めることによると考えられる。

18.3 覚醒促進作用

18.3.1 正常マウスに0.6mg/kg、正常ラットに2.4mg/kg、下垂体摘出ラットに2.4mg/kgの静注により、ペントバルビタール睡眠時間を短縮し、正常マウスに0.6mg/kg静注によりエタノール麻酔時間を短縮する。また、正常ラットに5mg/kg静注によりペントバルビタール前処置による脳内グルコース利用率の低下に拮抗する。

18.3.2 意識障害モデル動物(頭部外傷マウス、脳幹圧迫ネコ、視床下部電気破壊ネコ)において、0.16mg/kg〜5mg/kg静注により行動上及び脳波上覚醒反応が早期に認められる。

18.4 脳波賦活作用

正常ネコに0.1mg/kg静注により脳波賦活作用を示し、その作用点は視床下部及び脳幹であると考えられる。

18.5 運動失調改善作用

遺伝性運動失調マウスであるRolling mouse Nagoyaに25mg/kg腹腔内投与、また、シトシンアラビノシドによる小脳変性運動失調ラットに5又は10mg/kg腹腔内投与により、運動量の増加とともに転倒回数の減少等運動失調改善作用が認められる。この作用は小脳内ノルアドレナリン代謝回転の促進作用によるものと考えられる。なお、小脳サイクリックヌクレオチド(c‐GMP、c‐AMP)の増加も一部関与していると考えられる。

薬物動態

16.1 血中濃度

16.1.1 点滴静注時の血中濃度

健康成人にプロチレリンとして0.5、2mg(各4例)を120分間で点滴静注すると、血中プロチレリン濃度は投与開始15分後に0.5mg投与で663pg/mL(投与前値は126pg/mL)、2mg投与で3,150pg/mL(投与前値は101pg/mL)を示し、点滴中はほぼ同値を持続するが、終了後急速に低下する。0.5、2mg投与時の血中濃度の半減期はそれぞれ約18分、約9分である。

16.1.2 静注時の血中濃度

健康成人(10例)にプロチレリンとして2mgを静注すると、血中プロチレリン濃度は投与5分後に16,660pg/mLを示し、30分後には1,003pg/mL、120分後には19.3pg/mLと速やかに低下する。血中濃度の半減期は4.5分である。

16.1.3 筋注時の血中濃度

健康成人(5例)にプロチレリンとして2mgを筋注すると、血中プロチレリン濃度は、投与5分後に8,940pg/mLを示し、以後漸減するが、120分後でも283pg/mLであり、比較的長時間高値を持続する。血中濃度の半減期は19.6分である。

16.1.4 生物学的同等性試験

プロチレリン酒石酸塩注2mg「NP」とヒルトニン注射液のそれぞれ1mL(プロチレリンとして2mg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に絶食時に単回筋肉内投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC0→300min、Cmax)の平均値の差の95%信頼区間は±20%の範囲にあり、両剤の生物学的同等性が確認された。

薬物動態パラメータ

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                   判定パラメータ                           参考パラメータ

                   AUC0→300min(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL) Tmax(hr) t1/2(hr)

プロチレリン酒石酸塩注2mg「NP」 1396.8±362.0          41.2±11.6   6.7±3.9  30.1±3.9

ヒルトニン注射液           1302.8±265.5          41.4±11.7   5.0±0.0  29.9±3.1

(Mean±S.D.、n=12)

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血漿中プロチレリン濃度推移

<<図省略>>

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。